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プロツアー:闇の隆盛・ホノルル

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(翻訳記事)準決勝: 永井 守(日本・神奈川) vs. Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル)

Tim Willoughby / Translated by Yusuke Yoshikawa



永井 守(緑黒タッチ赤《ケッシグの狼の地》) vs. Paulo Vitor Damo da Rosa(緑赤《ケッシグの狼の地》)

 スターひしめくトップ8にあって、日本人プレイヤー・永井守にとってパワフルなプレイヤーに当たることは避けられない。準々決勝では、Lukas Blohonと対戦し見事勝利を得た。この準決勝では、BlohonのチームメイトであるPaulo Vitor Damo da Rosa(PV)と対戦することとなった

 永井はこれは初のプロツアー・サンデーの経験である一方、PVはそうではない。30回出場して9回のトップ8、30%もの率でプロツアートップ8を成し遂げているのは、比類なき記録であろう。 先達である今回のトップ8プレイヤー・Jon Finkelにしても20%をわずかに越えるくらいなのだから、広く史上最高のプレイヤーのひとりとして知られるのもうなずける。


永井守はPaulo Vitor Damo da RosaのChannelFireballのチームメイトを倒して勝ち上がってきた。彼は初のプロツアートップ8で、連勝を続けられるだろうか?

Game 1

 双方のプレイヤーが、1度ならず2度までもマリガンするという、波乱の幕開けとなった。しかし互いに手札が5枚とは思えないほど、ゲームはなめらかな滑り出しを見せた。PVからは2枚の《不屈の自然》、永井は1枚の《不屈の自然》と《漸増爆弾》である。


PVは5枚スタートにもかかわらず、マナを大量に要求するデッキのために展開を進める。

 マナ加速のおかげで、PVは速やかに《原始のタイタン》のパワーにあずかることができた。永井は《真面目な身代わり》と《極楽鳥》を持ってはいたが、土地全部を使っても強烈な一撃にはなりえない。PVは《ケッシグの狼の地》でバックアップされた毒攻撃をしつつ、《原始のタイタン》で通常のダメージも与えていく。

 永井は、早くも第1ゲームを落とす危機に追い詰められた。彼はなんとか《墓所のタイタン》を見つけてキャストし、2体のゾンビ・トークンを出しはしたものの、PVは上空からの《墨蛾の生息地》&《ケッシグの狼の地》による攻撃で、毒による勝利を確たるものにしたのだった。

永井 守 0, Paulo Vitor Damo da Rosa 1


Game 2

 第2ゲーム、永井はまたもマリガンを強いられたが、PVは笑みを浮かべてキープした。

「ようやくだよ!」

 彼は満足行く7枚を見て、笑って言う。3タテでJelger Wiegersmaを降した準々決勝にしても、幸運な7枚にめぐり合ったことはなかった。それでも不平を言うことは決してなく、6枚を受け入れてゲームに臨んでいた。

 不運にも、永井はトリプルマリガンでゲームを始めることになってしまった。これはこの第2ゲームにおいて、覆すことのできない差のように思えた。それでも永井は第1ターンの《極楽鳥》から入り、5ターン連続で土地を置けば《原始のタイタン》につながるスタートを切った。

 PVの出足は例によって《不屈の自然》《太陽の宝球》というマナ加速からのもので、これにより素早く《原始のタイタン》につなげた。2体のタイタンが交換され(そう、永井はやり遂げた)、そののちに永井の手から《墓所のタイタン》が現れた。

 ビッグ・プレイはまだ続く。PVは《解放された者、カーン》をキャストすると、《墓所のタイタン》を追放した。永井はこの《解放された者、カーン》を倒すべくゾンビ・トークンで攻撃するが、PVは《酸のスライム》《墨蛾の生息地》をブロックに残していた。

 永井は少し未来が見えてきたかに思われたが、PVはさらなるアクションを用意していた。《高原の狩りの達人》が永井のクリーチャーから可能性をすっかり奪ってしまったのだ。

 永井はできる限りのダメージを与えるべく、《ケッシグの狼の地》を使った攻撃でPVのライフを9に落とした。一方の永井自身は、《高原の荒廃者》への変身で誘発した能力によるものが初のダメージで、18となった。


PVのプレインズウォーカーが永井のクリーチャーを「解放」していく。

 PVは彼の《高原の狩りの達人》をできる限り変身させていく方針のようで、永井の《太陽の宝球》に向けて《古えの遺恨》を使うと、もう一つに向けてフラッシュバックし、1ターンに2つ以上の呪文という条件を満たした。

 永井は《幽霊街》を戦場に置き、《ケッシグの狼の地》をごまかして、いくばくかの安全を保とうとするが、依然《高原の狩りの達人》が脅威として立ちはだかる。加えてPVは、やはりこちらも危険な《墨蛾の生息地》で攻撃してパンプアップすることで、こちらに《幽霊街》を起動することを迫った。《幽霊街》がなくなれば、あとは《ケッシグの狼の地》が自由に暴れまわるだけだ。永井はPVをライフ5まで追い詰めたが、自身は12だ。

 PVの《酸のスライム》が永井の《墨蛾の生息地》を戦場から排除する。ここで、永井の《真面目な身代わり》を《ケッシグの狼の地》で強化して攻撃すると、ちょうど勝てるのではないかと思われた。だがPVは最後のトリックを用意していた。フルパンプに合わせて放たれた《帰化》が《真面目な身代わり》を除去すると、永井にはタップアウトした土地と、眼前に迫るとどめの一撃のみがあったのだった。

永井 守 0, Paulo Vitor Damo da Rosa 2


Game 3

 この第3ゲームまで永井は7枚の初手をキープできていなかったが、ようやくその時が訪れ、一方のPVはマリガンを選んだ。

 永井は《太陽の宝球》からマナ加速を始めるが、PVには早い段階のマナ加速を実現する緑マナに窮乏していた。しかし《太陽の宝球》を妨害する《古えの遺恨》は持っており、永井が次にキャストした《真面目な身代わり》も潜在的にフラッシュバックで除去できる見込みになった。

 とうとう、PVは《》を引き当て、《不屈の自然》をキャストするともう1枚の《》を持ってきた。しかしこの時点で、永井は《墓所のタイタン》をキャストしていた。負けじとばかりに、PVも《原始のタイタン》を送り出し、返しの攻撃に備える。


永井は第3ゲームにして高速運転を始めた。

 だがPVが捌ききれる以上の衝撃がそこにあった。《原始のタイタン》の巨大さを物ともしない《喉首狙い》がこれを除去すると、PVにこのトップ8で初めて土をつけたのだった。

永井 守 1, Paulo Vitor Damo da Rosa 2


Game 4

 永井がまたしてもマリガンに見舞われたのに対して、PVはわずかに眼を動かしただけだった。彼は、瀬戸際のゲームを前にして1枚少ないスタートになり明確に神経をすり減らしながら対戦相手がシャッフルをする様子を、実に歓迎しているようにも見えた。

 永井は結局5枚のスタートとなり、二人はよくあるように、《不屈の自然》からゲームに入った。

 PVがマナ加速を《緑の太陽の頂点》からの《極楽鳥》で続けたのに対し、永井は《真面目な身代わり》で応えた。どうやら双方ともにかなり早くタイタンにたどり着きそうだ。

 だが筆者のその考えを嘘にしてしまおうとでも言うのか、PVは《緑の太陽の頂点》をX=5でプレイして、《酸のスライム》を持ち出すと永井の《墨蛾の生息地》を破壊してみせた。しかしこれは永井のマナ加速をわずかにとどめたに過ぎず、《不屈の自然》と《太陽の宝球》が代わりを果たした。

 わずかな思考の後、PVは単にタイタンをプレイしたのでは不十分だと判断した。7マナを使うと《解放された者、カーン》をキャストし、永井の土地を除去しにかかったのだ。《酸のスライム》はブロックに残し、永井が《真面目な身代わり》ですぐに穴埋めしてきたのを目にしても、それほど落胆していないように見えた。

 PVの手から《業火のタイタン》が現れ、今度は《解放された者、カーン》で手札を排除にかかった。これで永井は《緑の太陽の頂点》から《原始のタイタン》を持ってくることができたが、依然《解放された者、カーン》は健在で、《業火のタイタン》が待ち構えており、PVは実に速いクロックを永井に突きつけていた。永井のライフは1回の攻撃で17から3に落ちた。《業火のタイタン》が生き残っている以上、次に攻撃を指定されただけで終わってしまう。

 永井は手札を取り落とすと、対戦相手に向かって手を伸ばし、握手を求めた。


永井はPVの猛攻の前に敗れ、ChannelFireball勢が決勝に進むこととなった。

永井 守 1, Paulo Vitor Damo da Rosa 3

Paulo Vitor Damo da Rosaが3-1で勝利し、決勝に進出!

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