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プロツアー:闇の隆盛・ホノルル

読み物

(翻訳記事)Round 6: Carrie Oliver(イギリス) vs. Ricky Sidher(アメリカ)

Bill Stark / Translated by Yusuke Yoshikawa


 スタンダードで行われた5回戦を経て、イギリスのCarrie OliverとアメリカのRicky Sidher が40枚のカードを手にして席についた。本日最終の3回戦を競う新しいフォーマットとは? 闇の隆盛/イニストラードのドラフトだ。双方が2日目の望みをより大きく残すべく、素早くシャッフルをしながらほとんど話すことはなく、ラウンドの開始を待った。B


Carrie Oliver と Ricky Sidher が、プロツアー・闇の隆盛の最初のドラフトのマッチで対戦する。

Game 1

 ダイスロールに負け、6枚へのマリガンを強いられつつも、Sidherは第2ターンの《物騒な群衆》で先陣を切った。対戦相手のOliverは《上座の聖戦士》ですぐに応えるが、Sidherは《物騒な群衆》に《信仰の縛め》をつけてオール・インの構え。

 早めのリードをとる目論見だが、Sidherは続いて土地をプレイすることができず、一方Oliverは《深夜の出没》から《旅の準備》、さらにフラッシュバックと戦線を増強してみせると、Sidherはすっかりノックダウンされてしまった。

 土地事故の影響は十二分にあるにせよ、Oliverの軍勢は非常に強大で、リソースの少ないSidherは戦線を維持することができず、Oliverがリードして第2ゲームに移ることとなった。


Carrie Oliverは対戦相手のマナ不足を見逃さず、素早い勝利を手にした。

Carrie Oliver 1, Ricky Sidher 0

 第2ゲームまでの間も、二人のプレイヤーは実に静かにシャッフルを続けている。彼らが交わしたのは、礼儀として必要最小限の言葉だけだった。

「グッドラック」 Sidherが言う。

「あなたも」 Oliverが返す。

Game 2

 第1ゲームの対戦相手のマリガンを目にして、そのお返しというわけではないだろうが、Oliverはすぐさま6枚にすることを選んだ。Sidherは、彼女が第1ゲームでそうしたように、相手のもたつきにつけ込めるだろうか? 彼は第2ターンに呪文を唱えることができたが、それはより望ましいクリーチャーではなく《追跡者の本能》だった。では第2ターンにクリーチャーを出せたのは誰か? Oliverだ。彼女は《暗茂みの狼》から《若き狼》と続けてみせた。

 《礼拝堂の霊》と《上座の聖戦士》がSidherの戦線に駆けつけるが、相手の《若き狼》をブロックした結果現れたのは「陰鬱」でフルパワーになった《ただれ皮の猪》だった。《礼拝堂の霊》で空から攻撃しながら、《ガヴォニーの鉄大工》をキャストして戦線を支える。この時点でライフは14対11でOliverリードだが、ここでOliverが自身の《礼拝堂の霊》をキャストしたことにより、どちらもダメージが通せなくなり、戦線は膠着してしまうこととなった。

 しばらくの後、Sidherはなんとか行く手を阻む《礼拝堂の霊》を排除することに成功し、攻撃を再開した。速やかにライフ差が取り戻され、11対6でSidherのリードとなった。

「これでは緩慢な死を迎えるだけね」

 Oliverは笑みを浮かべながら言った。マナ・フラッドを起こし、対戦相手の2/3スピリットに何も解答を持たない状況が続く中では、ちょっとした絞首台ユーモアのようなものだ。

 そこでOliverのライブラリから現れたのは《悪鬼の狩人》だった。これが均衡状態を派手に変え、Sidherはもう一度形勢が逆転したことを理解せねばならなかった。Oliver はこの1/3クリーチャーを使い、+1/+1カウンターが2個乗った《ガヴォニーの鉄大工》を除去すると、全軍をレッドゾーンに送り込んだ。《叱責》のおかげでSidherはなんとか生き延び、チャンプブロックに散った《上座の聖戦士》が彼の《礼拝堂の霊》を4/5に育て上げた。

 そしてSidherが持っていた《捕食》によって、相手の《悪鬼の狩人》を除去され、《ガヴォニーの鉄大工》が取り戻された。Oliverにはブロッカーが全く残されておらず、致命的なまでに追い詰めていた対戦相手に千載一遇の好機を与えてしまう形になったのであった。

 Sidherがその《捕食》を見せると、Oliverは消沈して肩をすくめ、サイドボードに手を伸ばした。


複数の除去呪文を引けたことで、Sidherは非常に厳しい膠着状態を打開する助けを得た。

Carrie Oliver 1, Ricky Sidher 1

「ずっと《捕食》を持ってたの?」

 第3ゲームに向けてシャッフルをしている間に、Oliverが質問した。

「ああ、そうだよ」

 Sidherが答える。

「そう...、《叱責》と《捕食》の『両方』はケアしてなかったわ...」

 Oliverはため息をついた。

Game 3

 瀬戸際の勝負の第3ゲームにあって、Oliverには無駄にする時間などなかった。まず《若き狼》から、続いて《暗茂みの狼》と出し、第3ターンにはそれをパンプアップすることで、Sidherのライフを14にまで落としてみせる。

 一方のSidherは、土地を1枚置けたのみで、ディスカードを始めてしまった。

 だが、彼がなぜそのような危険性の高い手札をキープしたかが、2枚目の土地を置いた直後に明らかになる。《アヴァブルックの町長》だ。

「わかっていたわ!」

 Oliverが笑う。

「土地1枚の手札をキープする理由なんて、そのくらいしかないもの」

 《罪の重責》が、まさに《吠え群れの頭目》に変身せんとする《アヴァブルックの町長》への一時的な解答にはなったものの、《叱責》が《暗茂みの狼》を除去したことで、Sidherに盤面を安定化させる時間が与えられた。ついに《吠え群れの頭目》となり、Oliverは《信仰の縛め》で《吠え群れの頭目》を縛り、《旅の準備》で変身を解くものの、これで《罪の重責》を起動するマナが足りなくなり、《アヴァブルックの町長》の攻撃を受けてしまうことになった。

 Sidherに盤面を落ち着かされてみると、Oliverはきわめて順調なスタートを切ったにも関わらず、劣勢に置かれていることを感じることとなった。《灰毛ののけ者》で多少のビートダウンはできたものの、すぐに相手の《未練ある魂》で押し返されることになった。

 さらに《高まる残虐性》によって1/1のスピリットがOliverにとって非常に脅威的なものになってしまったが、《灰毛ののけ者》の圧力のおかげで、またしても盤面が膠着してしまう。

 数ターンの後、Sidherは《高まる残虐性》をフラッシュバックするに十分な土地を得た。

 Oliverは落胆しながらため息を付き、

「そうね、十分大きいわね」

 と言いながら、次の一撃が致命的であることを認めると、敗北の落胆のさながらにあっても対戦相手の幸運を願うべく、手を差し出したのだった。

Carrie Oliver 1, Ricky Sidher 2

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