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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2016

観戦記事

第10回戦:Marcio Carvalho(ポルトガル) vs. Jiachen Tao(アメリカ)

川添 啓一
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Chapman Sim / Tr. Keiichi Kawazoe

2016年9月2日


マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho vs. ジャアチェン・タオ/Jiachen Tao (ドラフト)

 この卓には白黒に行ったプレイヤーが3人おり、ジャアチェン・タオにとって分はあまり良くなかった。他の2人がタオと同じカードを欲しがったのは、良い兆候ではなかった。だがこの逆風にもかかわらず、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』の覇者は2ラウンドを制し、ドラフトマスター、マルシオ・カルヴァリョとの全勝対決に臨んだ。もし快進撃を続けるドラフトマスターを止められる者がいるなら、それはこのプロツアー『ゲートウォッチの誓い』の覇者に違いないだろう。

 カルヴァリョのデッキについて言えば、爆弾レアが満載だという噂で持ちきりであった。ヘイト・ドラフト(他者の妨害のために自分が必要としないカードをピックする行為)は世界選手権のような場ではまず行われないからだ。自らのデッキを強化することは他の7人に対抗するために有効であって、ただ隣の1人から1枚のカードを奪うことよりも価値があるのだ。時としてそれが正しい戦略となりうることもあるが、それでもプレイヤーたちはそうした対抗手段的なドラフトよりも、いかに自分のデッキを最良のものにするかに心血を注いでいる。

 これらの理由から、カルヴァリョは最終的に《魂を飲み込むもの》と《古き知恵の賢者》だけにとどまらず、《内部着火》と《爪の群れのウルリッチ》までも手に入れることとなった。これらの赤の強力な呪文は、《分かれ道》と2枚の《原初のドルイド》によって支えられている。

 対するタオのデッキも確かに強力だ。《異端聖戦士、サリア》、《絞墓の群衆》、《縫い師の移植》、そして《消えゆく光、ブルーナ》に加えて、《死の重み》や《神聖な協力》、《銀の一撃》、《粗暴者の貶め》といった除去呪文を持っていた。対戦相手は飛行戦力(と蜘蛛)をあまり持っていないため、タオは《憑依された死体》や《霊体の予備兵》、そして時には《孤独な夜番の霊》あたりで空から攻撃を仕掛けたほうが有効かもしれない。2枚の《眠れぬ者の使者》は普段以上に強力になるだろう。

 タオはカルヴァリョのデッキの弱点を突いて倒すことができるだろうか? それとも、カルヴァリョがもう一度3-0を達成し、18-0のグランドスラムにまた近づくのだろうか? 早速見てみよう。

ゲーム展開

 カルヴァリョは《原初のドルイド》と《無謀な識者》からスタートしたが、タオはすぐにそれを《死の重み》で押し潰した。カルヴァリョがより強力なカードを探すことを許すのは全く得策ではない。しかしタオは3・4ターン目に動くことができず、《辺境林の生存者》と《魂を飲み込むもの》からのプレッシャーを受けることになった。自分の身を守れるのはたった1体の《孤独な夜番の霊》のみで、いきなり不利な状況へと追い込まれた。

 《辺境林の生存者》が攻撃すると、それをタオは《粗暴者の貶め》で除去した。戦闘後、《原初のドルイド》を生け贄に《自然もどき》が現出で唱えられた。これはカルヴァリョが1枚だけ入れている《》を探すためだけでなく、タオがまだ手札化していなかった手掛かりも同時に破壊していったのだ。


マルシオ・カルヴァリョはタオのアドバンテージ要素をことごとく潰していった

 もっとも、《絞墓の群衆》がゾンビの軍勢で盤面を埋めることを考えればタオにとってその手掛かりは重要ではなかった。カルヴァリョの唱えた《分かれ道》と《原初のドルイド》がまず2体のゾンビを供給し、自らも《嘆きのグール》、《謎の石の断片》、そして《甚だしい大口》によって3体のゾンビを生み出した。カルヴァリョはより重い一撃となるカードを多く持っていたが、ここまで広がった盤面に対しては有効ではなかった。

 この劣勢の中で、カルヴァリョは《未知との対決》でカードを引きに行き、最後のチャンスで解答を探した。しかし、最後には《謎の石の断片》2枚の能力で、タオは第1ゲームに勝利したのだった。

 第2ゲームも、カルヴァリョは《原初のドルイド》から《書庫の霊》、《辺境林の生存者》と立ち上がった。一方タオの軍勢は《捨て身の歩哨》、《ガヴォニーの不浄なるもの》、《憑依された死体》、そしてスピリット・トークンといった状態だ。

 《不憫なグリフ》が地上での膠着状態を打ち破ろうとしたとき、タオが《絞墓の群衆》を呼んだ。歴史が繰り返そうとしている。しかし、タオは先程とは違う選択をとり、5/5のまま攻撃に移った。カルヴァリョは迷わずに《辺境林の生存者》をその前に押し出した。もしこのターンにどちらかが呪文を唱えれば、4点のダメージを負っている《絞墓の群衆》はそのまま死ぬことになる。

 タオはそのままターンを返すことをよしとしなかった。テンポ・ロスは許容できるものではなく、またカルヴァリョのブロックは彼がインスタントタイミングでのアクションを持っている可能性を示唆していたからだ。結局タオは《憑依された死体》を生け贄に《甚だしい大口》を唱え、《絞墓の群衆》から2/2のゾンビを得ようとした。その能力の解決後、カルヴァリョは《即時却下》でその6/5と誘発型能力の両方にしっかりと対処したのだった。


ジャアチェン・タオは即時却下されても諦めていなかった

 しかしながら、こうしたロングゲームはカルヴァリョに対して有利に働いていなかった。《霊体の予備兵》や繰り返し戻ってくる《憑依された死体》によって、タオは5体のスピリット・トークンからなる強力な飛行戦線を構築していたからだ。

 カルヴァリョの《金縛り》と《内部着火》は《信仰持ちの聖騎士》と《消えゆく光、ブルーナ》に対しての解答となったが、タオはまだまだ空中に戦力をたくさん持っていたのだ。《異端聖戦士、サリア》は将来カルヴァリョが呼びうる全てのブロッカーを遅らせ、そして2枚目の《甚だしい大口》がさらにタオを有利にした。

 もはやここまで、カルヴァリョは手札の土地を置いて手を差し出した。事前評価を覆し、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』の覇者がドラフト・マスターを打ち破ったのだ。

ジャアチェン・タオ 2-0 マルシオ・カルヴァリョ

「ここで勝って17連勝まで行きたかったんだけど、ここで燃え尽きちゃったかな」とマルシオ・カルヴァリョは嘆いた。だが彼は依然として8勝2敗と単独首位を維持し、一方タオは7勝3敗と2位グループに上がったのだった。

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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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