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グランプリ・東京2016

観戦記事

第9回戦:渡辺 雄也(東京) vs. 宮本 寛弥(千葉)

By 矢吹 哲也

 世界中のトップ・プロたちが持てる力を引き出して競い合ったプロツアー『イニストラードを覆う影』。そのトップ8には、ひとつたりとも同系なし、実に8種類のデッキが並ぶことになった。

 いずれも輝く色とりどりのデッキを目にした誰もが、実感したことだろう――この環境は未だ解明されていない、と。謎多きスタンダードで行われる今大会に臨むプレイヤーたちは、今日という日を迎えるまで大いに頭を悩ませたはずだ。

 その中で、今大会のデッキ選択に自信を見せるプレイヤーが初日全勝をかけた戦いの舞台に現れた。

 渡辺 雄也が「自信を見せている」ということ。対峙する宮本 寛弥にとってこれほど恐ろしいことはないだろう。渡辺は既存の「バント・カンパニー」に攻撃力を上げるチューンを施し、同系にも、苦手としていたランプ系にも有利を取れる形に仕上げた。

「(『バント・カンパニー』に採用されている)《ヴリンの神童、ジェイス》が遅く感じ、またこのデッキのクリーチャーに『人間』が多いことから、《サリアの副官》のシナジーを組み込んだら調子良くて。練習での成績がかなり良かったので、自信を持って選択できました」と、渡辺は力強く言う。事実、彼の選択の正しさは、ここまでの成績に表れている。

 だが宮本も、「環境初期から長く使い、手に馴染んでいる」という「バント・カンパニー」でここまで全勝。この日の最終戦で最大の相手を迎えた今、この試合に勝利し明日への勢いをつけたいところだ。


渡辺 vs. 宮本。華の全勝対決は、同系による戦いとなった。渡辺の独自チューンは、彼を初日全勝で2日目へ導くだろうか。

渡辺 雄也(バント・カンパニー) vs. 宮本 寛弥(バント・カンパニー)

 ダイス・ロールで宮本が先手を獲得し、両者は初手の7枚を確認する。両者キープで初日最終戦が開幕した。

 動き出しは後手の渡辺。2ターン目に《ラムホルトの平和主義者》を繰り出したものの、それは宮本の《反射魔道士》によって封じられた。渡辺は《不屈の追跡者》を盤面に続けたが、宮本は《ドロモカの命令》でこれを一方的に討ち取る。さらに《森の代言者》も戦場に加え、続くターンには《巨森の予見者、ニッサ》も追加すると、序盤は宮本が制した。

 渡辺は《ラムホルトの平和主義者》と《サリアの副官》を展開し、対抗する。この戦線へさらに《サリアの副官》を加えると、5/5になった《ラムホルトの平和主義者》で攻撃。宮本はこの攻撃を通し、残りライフ17対15で渡辺がリードを取った。

 宮本は2枚目の《森の代言者》を追加し、ここで土地の枚数が6枚になったことで地上の守りが強化された。渡辺は5/5の《サリアの副官》と《ラムホルトの平和主義者》で攻撃。宮本は2対1交換を覚悟してトリプル・ブロックで《サリアの副官》を相討ちに取る。

 宮本は《不屈の追跡者》を戦場へ送り出し、7枚目の土地をセット。《巨森の予見者、ニッサ》が《精霊信者の賢人、ニッサ》へ「変身」すると、「目覚めし世界、アシャヤ」を呼び出して盤面を固めた。

 しかしここで渡辺が3枚目の《サリアの副官》! 6/6の《ラムホルトの平和主義者》と5/5の《サリアの副官》が《精霊信者の賢人、ニッサ》へ攻めかかる。宮本はニッサを失ったものの、《不屈の追跡者》と「アシャヤ」のダブル・ブロックで《サリアの副官》を討ち取った。

 宮本は4/4の「アシャヤ」と4/5の《森の代言者》、3/4の《反射魔道士》で反撃。渡辺は《森の代言者》をダブル・ブロックで防ぐと、宮本は《変位エルドラージ》を繰り出してターンを渡した。

 渡辺は《ドロモカの命令》で《白蘭の騎士》を強化しつつ宮本の《変位エルドラージ》を除去し、《不屈の追跡者》を追加。宮本は《薄暮見の徴募兵》と《ヴリンの神童、ジェイス》を展開。両者とも盤面にクリーチャーを切らさず、にらみあう。


激しい地上戦を制するべく盤面を吟味する宮本。

 宮本は《ヴリンの神童、ジェイス》を「変身」させると、《薄暮見の徴募兵》の能力で《森の代言者》を引き込みそれを唱えた。渡辺は少考し、《オジュタイの命令》でそれを打ち消しつつ墓地から《サリアの副官》を戦場へ戻す。

 ターンを受けた渡辺は、全軍で攻撃。宮本は5/5に育った《サリアの副官》をトリプル・ブロックし、これを討ち取りにかかるが――渡辺がついに《集合した中隊》を放つと、そこから《反射魔道士》と《ラムホルトの平和主義者》が飛び出し、7/7と育った上にブロックに入っていたクリーチャーが1体減った《サリアの副官》は、宮本の防御を蹴散らした。

 これで宮本の盤面は崩壊し、ドローを確認した彼はカードを片付けたのだった。


強力なデッキを手にした渡辺 雄也を止めるすべは、極めて限られる。

 2ゲーム目、宮本は初手を見るなりマリガンを宣言。6枚になった手札をキープすると、2ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》でゲームを始めた。

 一方の渡辺は《ラムホルトの平和主義者》で戦端を開き、宮本が続けて繰り出した《変位エルドラージ》を《ドロモカの命令》で打ち倒す。4/4となった《ラムホルトの平和主義者》が攻撃へ向かい、宮本は残りライフを16点に減じた。

 《ヴリンの神童、ジェイス》でドローを進めた宮本は、2枚目の《変位エルドラージ》を展開。渡辺は《ラムホルトの平和主義者》の攻撃を再び通すと、《反射魔道士》で《ヴリンの神童、ジェイス》をバウンスした。

 宮本は《変位エルドラージ》で反撃し、《不屈の追跡者》を追加。土地をセットしてすぐに手掛かり・トークンを生け贄に捧げ、1枚のドローと《不屈の追跡者》の強化を得る。

 強化された《不屈の追跡者》は、渡辺の《ラムホルトの平和主義者》を相討ちに取った。しかし渡辺は2枚目の《ラムホルトの平和主義者》と《不屈の追跡者》を続けて展開し、盤面の優位を渡さない。

 宮本は4/5となった《森の代言者》を展開。渡辺の攻撃が一瞬止まる。だが《森の代言者》で反撃した宮本がターンを渡すと、終了時に渡辺の《集合した中隊》が《反射魔道士》と《白蘭の騎士》を彼の戦場へ送り出した。

 《変位エルドラージ》をバウンスされた宮本の盤面を守るのは、《森の代言者》と《ヴリンの神童、ジェイス》のみ。残るライフは13対12で拮抗しているが、盤面の差は大きい。渡辺は手掛かり・トークンを続けて2枚生け贄に捧げ、強化した《不屈の追跡者》を含めて全軍で攻撃した。これで6点のダメージが通り、宮本のライフは残り6。

 宮本は《森の代言者》で反撃するともう1枚《森の代言者》を盤面に加え、先ほど戻された《変位エルドラージ》も展開して守りを固めた。渡辺は《不屈の追跡者》を追加すると最後の手掛かり・トークンを生け贄に捧げ、そして《サリアの副官》で全軍を強化した。

 強化された渡辺の軍勢が宮本に襲いかかる。ブロックと《変位エルドラージ》の能力で一命を取り留めた宮本だったが、返しに引き込んだ《大天使アヴァシン》をもってしても彼を救うことは叶わなかった。

渡辺 2-0 宮本

渡辺 雄也、初日全勝で2日目進出!
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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