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グランプリ・東京2016

観戦記事

第6回戦:市川 ユウキ(神奈川) vs. 平澤 大輔(神奈川)

By 矢吹 哲也

 連勝を重ねたすえのフィーチャー・マッチ。トップ・プロとの対戦。

 グランプリの舞台で戦うマジック・プレイヤーにとって、これほど心躍るものもないだろう。最高のプレイヤーの技術を最も間近に見て学べる機会。自分の技術を全力でぶつけられる相手。世界を舞台に活躍する力あるプレイヤーに挑む瞬間は、何物にも代え難い昂揚感を得られるに違いない。

 平澤 大輔は、昨年病気が原因で片腕を失った。

 しかし、それは彼にとって、マジックを楽しむ上で何のハンデにもならなかった。彼はこれまでと変わらずマジックを楽しみ、そして東京で行われるこの大型イベントにも友人とともに意気揚々と挑んでいる。普段はモダンやレガシーを主戦場にしている平澤は「スタンの練習はあまりできていない」と語るが、「白青人間」を手にここまで不戦勝なしから5戦全勝。「乗った」状態でこの日最大の相手と巡りあった。

 受けて立つは市川 ユウキ。グランプリ・千葉2015王者、松本 友樹とともに作り上げた「スゥルタイ『季節』」は、ゲーム後半に無類の力を発揮するデッキに仕上がっている。このデッキについて「緑白や緑黒、それから各種のコントロールに対して有利に戦える」と語る市川だが、同時に「速いデッキの強い動きを耐えるのは厳しい」と認めた。

 つまりこの試合の勝負どころは序盤――平澤から繰り出される序盤の猛攻を市川が受け切れるかどうかに焦点が当たることになる。


市川 vs. 平澤。グランプリ初フィーチャーで、平澤はトップ・プロに挑戦する。

市川 ユウキ(スゥルタイ「季節」) vs. 平澤 大輔(白青人間)

 初手を並べて確認した平澤は、マリガンを宣言。それを受けて市川は「こちらはやります」と声をかけ、平澤のシャッフルを見守った。


デッキケースにカードを立てかけて手札を確認する平澤。

 先手の平澤が2ターン目《白蘭の騎士》を展開すると、市川は《森の代言者》で応えた。平澤は《反射魔道士》でブロッカーを排除し、この試合のファースト・ダメージを与える。

 ターンを迎えた市川は《破滅の道》で平澤の《反射魔道士》を除去したものの、《白蘭の騎士》の攻撃をもう一度受けて残りライフ16点。《森の代言者》を出し直し平澤の攻勢を阻もうとするが、平澤は《石の宣告》でそれを追放し、攻撃の手を緩めない。

 再度繰り出した《森の代言者》も同じ末路をたどり、《苦い真理》もプレイした市川のライフは11点まで削られた。だがここで《衰滅》を放った彼は一転、盤面の優位を得る。

 平澤の《町のゴシップ屋》を《龍王シルムガル》で奪い、《ヴリンの神童、ジェイス》も《束縛なきテレパス、ジェイス》に「変身」させ、さらに《精霊信者の賢人、ニッサ》も加わると、序盤の攻勢にリソースを使い果たした平澤にその堅固な盤面を崩すことはかなわなかった。


初フィーチャーで緊張する対戦相手をトークで和ませながらも、
ゲームには全力で取り組み世界レベルの力を見せる市川。

 2ゲーム目、平澤は再びマリガンを喫した。6枚の手札を前に少考した彼は、ダブル・マリガンを決意。アドバンテージ獲得に優れた市川のデッキを相手に、この2枚の差は大きいか。

 だが平澤は5枚の手札から、強烈なスタートを切った。1ターン目《町のゴシップ屋》から2ターン目《ドラゴンを狩る者》と繰り出し、市川の《究極の価格》に攻勢を阻まれながらも3ターン目《サリアの副官》で追撃を決める。

 市川の繰り出した《棲み家の防御者》を《停滞の罠》で追放すると、土地が3枚で止まり動けない市川に対して平澤はさらに《永遠の見守り》も盤面に加え、市川のライフを一気に残り7点まで削り取った。


平澤はマリガンを喫しながらも電撃的な速さで攻勢を仕掛け、市川に対応を迫る。

 だが、市川はここで4枚目の土地を引き込み、ダメージ・ランドから1点のダメージを受けながらも《衰滅》で危機を脱した。続けて展開した《ゲトの裏切り者、カリタス》は《石の宣告》を受けたものの、《闇の誓願》で《闇の掌握》を得た市川は、続く平澤の再攻勢に備えた。

 平澤の小型クリーチャー展開は止まらず、市川のライフは残り2点に追い詰められる。マナを十分に得られずダメージ・ランドの使用もためらわれる苦しい展開の中で、それでも市川は的確に除去を当て、生き延びる道を探った。

 平澤は《ドラゴンを狩る者》を引き込み、それを繰り出した。そのターンの終わりに《帰化》で《停滞の罠》の除去に成功した市川は、再び《ゲトの裏切り者、カリタス》を展開し、盤面を築き出す。

 返しにトップ・デッキした《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を繰り出した平澤だが、これは市川の除去と攻撃のコンビネーションで退場させられた。《ゲトの裏切り者、カリタス》の攻撃を通すことに成功した市川はライフを取り戻し、《森の代言者》も盤面に加えた。《永遠の見守り》をもう1枚追加した平澤だったが、4/5となった《森の代言者》とゾンビ・トークンから力を得た《ゲトの裏切り者、カリタス》による攻勢を防ぎ切れず、投了することになったのだった。

市川 2-0 平澤

 こうして市川は、同じデッキを使用する松本とともに全勝を維持。もしや彼らは、謎多きこの環境のスタンダードを「解明」できたのだろうか? 今後の戦いにも期待だ。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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