By Hisaya Tanaka

　プラチナレベルのプロプレイヤー山本賢太郎は初日を１敗で折り返し、プレーオフ進出を十分に望める位置で二日目に臨んでいる。そんな山本のドラフトピックを追っていきたいと思う。

ドラフト

　１パック目１手目、強力レアの《死滅都市の悪鬼》からスタートした山本。

　他の候補としては《凶暴な殴打》《マルドゥの魔除け》《冬の炎》などがあったのだが、「さすがに他のカードとは強さが違う」とのこと。しかし次の２手目は《縁切られた先祖》とちょっと寂しいピックに。

「ピック候補がこれと《道極め》くらいしかなくて、初手を活かすためにも黒を維持したかったので《縁切られた先祖》を取りました。」

　続いて《高山の灰色熊》《引き剥がし》とピックをした山本は、５手目で早々に《ジャングルのうろ穴》を取りマナベースの確保にも手をかける。４手目に《血染めのぬかるみ》《神秘の僧院》を一瞬ピック候補に持ってきていることから、やはりタルキールの３色氏族環境では、土地のバランスも重要な要素なのだろう。

　６、７手目で《よろめく従者》《遠射兵団》とクリーチャーを確保した後は《帰化》などのサイドボードカード、《シディシのペット》などの変異クリーチャーを集めて１パック目を終了した。

――１パック目終了時ではかなりクリーチャーに寄ったピックとなりましたが、この時点で今後どういったカードを期待していたのでしょうか

「《境界の偵察》《苦々しい天啓》《ラクシャーサの秘密》といったあたりですね。」

　やはり初手の《死滅都市の悪鬼》を活かしたデッキ構築を行うため、墓地を肥やすカードを期待しているということだろう。

　そんな２パック目の初手は《荒野の後継者》。《わめき騒ぐマンドリル》《時を越えた探索》などが候補となっていたが、さすがにスペックの良さで素直にピックをした。ところが２手目がまたも《縁切られた先祖》。それ以外の候補となりえるカードも特になく、２手目にしてはちょっとパワー不足なパックだった。

　３手目に《グドゥルの嫌悪者》《大蛇の儀式》と比較し悩んで《松歩き》をピックしたところで、４手目が《スゥルタイのゴミあさり》。素のスペックも高く、文句なしの強力カードだ。その後《長毛ロクソドン》や《花咲く砂地》などを確保していくと、８手目で《境界の偵察》と《苦々しい天啓》が。

――どちらも期待していたカードということだったのですが、《境界の偵察》を優先してピックしていました

「マナコストの問題ですね。４ターン目に《苦々しい天啓》をプレイすると５ターン目に探査カードをプレイすることになるのですが、《境界の偵察》なら４ターン目に探査カードをプレイできます。」

　９手目に《わめき騒ぐマンドリル》をピックした後は、特に有用なカードが流れてくることもなく２パック目は終了となった。

　３パック目は強力カードの《増え続ける成長》から。２手目では《煙の語り部》と迷うものの、２枚目の《スゥルタイのゴミあさり》を選択したところに、次のパックで《ラクシャーサの秘密》。またも《煙の語り部》との２択になるのだが、探査クリーチャーを取ったばかりなこともあり希望していた通り《ラクシャーサの秘密》をピックする。《牙守りの隊長》、《アブザンの魔除け》とデッキの肉付けをしていくと、６手目では《苦々しい天啓》が回ってきてこれを喜んでピック。

　７手目は《高山の灰色熊》と《血蠅の大群》で悩み《血蠅の大群》の選択。「４/２にこだわるデッキでも無くなったので、カット兼サイドボードとしてピックしました。」と山本。そして《苦々しい天啓》《蔑み》を得てドラフト終了となった。

デッキ構築後

――デッキに探査が多いと思うのですが、意識して多くしたんですか？

「《スゥルタイのゴミあさり》などは元々のコストで強いので探査という意識はないです。これが２枚くらいなら問題ないと思います。探査クリーチャーと思っているのは《よろめく従者》だけですね。」

――このデッキの出来は？

「２−１くらいしたいです。」

　少し消極的に２−１と言った山本だが、この特徴的なドラフトは英語版カバレッジでも取り上げられている。果たして山本は良い成績を挙げ2ndドラフトを迎えられるのだろうか。

全ピックリスト

１パック目

1. 《死滅都市の悪鬼》
2. 《縁切られた先祖》
3. 《高山の灰色熊》
4. 《引き剥がし》
5. 《ジャングルのうろ穴》
6. 《よろめく従者》
7. 《遠射兵団》
8. 《暴風》
9. 《シディシのペット》
10. 《アブザンの戦旗》
11. 《帰化》
12. 《ケルゥの戦慄の大口》
13. 《シディシのペット》
14. 《頭蓋書庫》

２パック目

1. 《荒野の後継者》
2. 《縁切られた先祖》
3. 《松歩き》
4. 《スゥルタイのゴミあさり》
5. 《花咲く砂地》
6. 《長毛ロクソドン》
7. 《軍用ビヒモス》
8. 《境界の偵察》
9. 《わめき騒ぐマンドリル》
10. 《まばゆい塁壁》
11. 《悪寒》
12. 《ケルゥの戦慄の大口》
13. 《マルドゥの炎起こし》
14. 《ジェスカイの戦旗》

３パック目

1. 《増え続ける成長》
2. 《スゥルタイのゴミあさり》
3. 《ラクシャーサの秘密》
4. 《牙守りの隊長》
5. 《アブザンの魔除け》
6. 《苦々しい天啓》
7. 《血蠅の大群》
8. 《苦々しい天啓》
9. 《族樹の管理人》
10. 《蔑み》
11. 《子馬乗り部隊》
12. 《朽ちゆくマストドン》
13. 《秘密の計画》
14. 《テイガムの策謀》

デッキ