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グランプリ・上海2015

観戦記事

第12回戦:渡辺 雄也(神奈川) vs. Lin, Yang(台湾)

By 矢吹 哲也

 2日目に進出した日本人プレイヤーたち17名は、奮闘を続けていた。勝利を重ねる者、苦戦を強いられる者......ここからは1試合の勝敗が次なる舞台への行く末を決める。その中で、現在世界ランキング6位の渡辺雄也もまた、戦いを続けていた。

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 すでに来期のプラチナ・レベルを達成している渡辺だが、彼としては夏の世界選手権の出場枠を確実なものとするためにプロ・ポイントを重ねたい。彼の選択したデッキは金川 俊哉、三原 槙仁の両名が作り上げた「ドラゴン・メガモーフ」だ。

 対するは、ここまで全勝を守るリン・ヤン/Lin, Yang。「赤緑信心」を駆る彼は第10回戦の三原との全勝対決も制し、このマッチアップの優位を証明している。

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ゲーム展開

 渡辺は初手を1枚ずつ確認すると、マリガンを宣言。《エルフの神秘家》からゲームを始めたリンに対し、《思考囲い》を放つ。リンの残り手札は《龍王アタルカ》、《狩猟の統率者、スーラク》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》、《クルフィックスの狩猟者》、《エルフの神秘家》という強力なもの。試合後、「ここの選択がゲームを決めた」と語った渡辺は、《クルフィックスの狩猟者》をリンの手札から取り去った。

 リンはしっかりと《ニクスの祭殿、ニクソス》も引き込み、《エルフの神秘家》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》と盤面を構築していく。渡辺はドラゴンを公開しながらの《忌呪の発動》でライフを得つつ《エルフの神秘家》を1体除去するものの、《世界を喰らう者、ポルクラノス》の5点クロックは大きい。

 リンは《爪鳴らしの神秘家》の「変異」を解き《狩猟の統率者、スーラク》を戦線に加えると、強打で攻めた。チャンプ・ブロックでしのぐ渡辺はその返しのターン、《龍王シルムガル》で《世界を喰らう者、ポルクラノス》のコントロールを奪ったが、《ニクスの祭殿、ニクソス》とマナ・クリーチャーから降臨する《龍王アタルカ》に、このゲームの支配を許すことになったのだった。


古き良きビッグ・マナ戦略で盤面を支配するリン

 2ゲーム目はリンが《エルフの神秘家》から「変異」クリーチャーとスタート。渡辺はそれらを《悲哀まみれ》で流し、《サテュロスの道探し》で土地も確保していく。

 《クルフィックスの狩猟者》を盤面に追加したリンがライブラリーの一番上を公開していくが、そこには《世界を喰らう者、ポルクラノス》が並んでいた。1体目を除去した渡辺は自身の盤面に《龍王オジュタイ》を着地させるものの、2体目の《世界を喰らう者、ポルクラノス》がリンの戦場に出ると、「獰猛」を達成した《書かれざるものの視認》から《囁きの森の精霊》と《女王スズメバチ》が飛び出した。

「信心」と盤面を同時に支える強烈な一手

 そして、さらに続く《龍王アタルカ》。リンの緑への「信心」は12まで膨れ上がり、彼は豊富なマナから《囁きの森の精霊》2体目を繰り出すと《世界を喰らう者、ポルクラノス》の「怪物化」を起動した。そこへ《英雄の破滅》を差し向ける渡辺だったが、リンの強大な怪物たちの攻撃は止まらない。「緑信心」系のデッキの力を存分に引き出したリンが、全勝を守り通したのだった。

リン 2-0 渡辺

 試合後、彼いわく「環境内で一番悪いマッチアップ」との対戦に大きく息を吐いた渡辺。1ゲーム目の手札破壊について他に取れた選択肢を吟味する。

「対戦相手が2枚目の土地はすぐに引き込んだものの、その後3枚目ずっと引かなかったんですよね。《世界を喰らう者、ポルクラノス》か《エルフの神秘家》を落として攻め手を与えない方が良かったかもしれないです。相手が土地を引かないことが前提になるんだけれど、そういうプレイもできたのかなと。ただこのデッキ《クルフィックスの狩猟者》を適切に対処する手段ないんだよねえ......」

 複雑な選択肢に苦悶の表情を浮かべ、敗北を噛み締める渡辺。戦いはまだ続く。

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