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グランプリ・名古屋2014

観戦記事

決勝:春日 亮佑(千葉) vs. 朴 高志(愛知)

By Masami Kaneko

 少しずつサイドイベントが終わり、喧騒が途切れていく。金曜日から始まったこの「グランプリ・名古屋2014」というお祭りの熱気は少しずつ収まっていき、会場の吹上ホールはこれから日常の静寂へと戻ろうとしている。

 しかしその一角で、今まさに、この3日間で一番熱い戦いが行われていた。「グランプリ・名古屋2014」のチャンピオンを決定するトップ8の試合だ。そしてそのトップ8の試合で、準々決勝の試合が始まった時から、一際大きな声援を背負った2人のプレイヤーが居た。


 春日 亮佑。
 朴 高志。


 この熱い戦いに挑む2人が背負うのは、仲間たちの声援。
 仲間たちは、彼ら2人の勝利に歓声をあげ、祝福し、そして次の試合への応援をするため彼らの試合を見守っていた。

 その声援は、歓声は、祝福は何度も会場に響き渡り、彼らはそれを原動力に決勝まで駆け上ってきた。

 多くの除去と、《燃えさし呑み》《神々の憤怒》《夜の咆哮獣》《炎輪のフェニックス》《パーフォロスの槌》といったレアを擁する強力な赤黒を組み上げた春日。下馬評通り決勝戦までやってきた。

 一方の朴も《エレボスの鞭》《ネシアン未開地の荒廃者》《責め苦の伝令》《霧裂きのハイドラ》と強力なレアの入った黒緑を組み上げている。

 2人の試合を、彼らそれぞれ仲間が祈りを込めて見守る中。

 この3日間の頂点を決める戦いが、今、始まる。

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グランプリ・名古屋2014 決勝戦:春日 亮佑(千葉) vs. 朴 高志(愛知)

ゲーム1

 春日が先手を取り即座にキープを宣言。一方の朴はマリガンに見舞われてしまう。トップを見て「やったら死んでた」と笑う朴、しかしまたもマリガン。これまた山札の上を見て「これもやったら死んでましたね。」と笑顔で居られるのは、仲間が見守る安心感か。

 しかし春日の展開はどこまでも完璧だった。朴の展開した《苛まれし英雄》を《ファリカの療法》で排除すると、返しで《ミノタウルスの頭蓋断ち》を走らせ、4ターン目には《燃えさし呑み》を展開!

 強烈なビートダウンを前に、朴も《肉餓えの馬》から《エレボスの鞭》という強力なレアを展開。なんとか応戦しようとするが、春日も追加戦力《攻撃の元型》を用意し、さらに朴のクリーチャーを《胆汁病》。

 圧倒的な展開を前に、朴に為す術はなかった。

春日 1-0 朴


 試合が始まるまでは2人への応援の言葉や円陣で騒がしかった会場も、残すはこの決勝戦のみ。それぞれの仲間が沢山見守る中、2人の落ち着いたシャッフル音が響き渡る。


朴 高志

 勝ちたい。もちろん、2人ともそう思っているだろう。仲間たちと、マジックを楽しんできたからここに居るのだ。その想いは、同じだ。

ゲーム2

 先手で即座にキープした朴に対して、今度は春日がマリガンに見舞われる。

 朴は《苛まれし英雄》から攻め立てる。さらに追加された《ニクス生まれの狼》こそ《ケラノスの稲妻》で対処するものの、この《苛まれし英雄》が止まらない。《パーフォロスの使者》を展開した春日に対して、朴は《責め苦の伝令》を「授与」!この強烈な一撃で、春日のライフは一気に8まで落ち込む。

 どうにかしたい春日はしかし、この悪魔の加護により5/4飛行となった英雄に対処することができない。とりあえずは、と《強欲なハーピー》を出してみるものの、春日が攻撃を通したところで《苛まれし英雄》が《エレボスの加護》を受け、残り8点だった春日のライフを削りきった。

春日 1-1 朴


 タイまでもつれ込んだこの試合。お互いにとってのこのグランプリという舞台の最後の試合が、今始まる。
 仲間たちが固唾を呑んで見守る中、2人は手札を取った。


春日 亮佑

ゲーム3

 朴の展開は強烈だった。《苛まれし英雄》から《肉餓えの馬》とつなげ、さらに《ネシアンの狩猟者》からの《エレボスの鞭》!

 普通の相手ならば、ひとたまりもない展開だっただろう。そう、普通の相手ならば。

 春日は《苛まれし英雄》を《ファリカの療法》で対処し、《ネシアンの狩猟者》には《稲妻の一撃》を飛ばし、この神の武器に対して真っ向から立ち向かっていく。展開した《パーフォロスの使者》は《屍噛み》で対処されてしまうが、残った《肉餓えの馬》は追加された《ナイレアの信奉者》とともに《神々の憤怒》で一掃!

 ライフこそ心配なものの、盤面は《燃えさし呑み》に《洞窟のランパード》を「授与」し、圧倒する。

 しかし朴も負けてはいない。《エレボスの鞭》が死者たちを蘇らせ一撃を加え、さらに《責め苦の伝令》を追加する。これには春日の《鞭の一振り》が飛ぶが、朴が引いてきたのは《一口の草毒》。《燃えさし呑み》が破壊され、一挙にクロックが減少。ライフも残り10と少ない春日、なんとも心配な状況だ。

 《洞窟のランパード》に《槍先のオリアード》を「授与」しニンフの共演を見せ、朴は《エレボスの鞭》により《責め苦の伝令》を突撃させ、春日のライフは7となる。朴のライフはかなり削られたはずなのに、未だに20だ。

 さらに《ミノタウルスの頭蓋断ち》を展開し、朴のライフを12とした次のターン。ここで《胆汁病》を引いた春日、これを朴の唯一のブロッカーである《蘇りし者の密集軍》に打つべきなのか検討する。残りが12点の朴に対してここで《蘇りし者の密集軍》を排除すれば、6点のダメージを与えられる。そうすれば朴のライフは残り6、次のターンに何も引かれなければ勝ちだ。しかし、もし何か引かれたら。

 春日は決断し、この優秀なる除去をブロッカーに対してプレイした。予定通り、朴のライフは6となる。

 朴はどうにか耐えられる《悪意の幻霊》を展開するものの、ここで春日は《パーフォロスの槌》をトップデッキ!

 《エレボスの鞭》と朴を打ち倒すべく、そこに並び立つ神の武器《パーフォロスの槌》と春日。どうにか朴が《形見持ちのゴルゴン》で耐えようとしたが。

 春日は、山札の上から引いたカードを朴に提示した。

 瞬間、歓声があがる。

 それは、グランプリを戦い抜き、そして頂点に立った男への、仲間たちからの惜しみない賞賛と祝福だった。

春日 2-1 朴

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 最後まで試合を見守り、春日と同じように一喜一憂してくれた仲間たち。
 仲間たちが見守るなかでグランプリの頂点に立った春日。
 グランプリでの勝利は、もちろん素晴らしいことだ。


 しかし、何より素晴らしいのは。


 この仲間たちと、「マジック」ができることではないだろうか。

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 おめでとう春日 亮佑、グランプリ・名古屋2014チャンピオン!

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