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グランプリ・名古屋2014

戦略記事

『テーロス』『神々の軍勢』シールドの覇者・プロツアー『マジック2015』予選突破者にインタビュー

By Hisaya Tanaka

 グランプリ・名古屋では、初日突破をかけ『テーロス』『神々の軍勢』のシールド構築でプレイヤーたちが少ない席を争っている。そんな『テーロス』『神々の軍勢』のシールドに長けた猛者達がいることはご存知だろうか。

 3月から行われている、プロツアー『マジック2015』予選を突破したプレイヤー。彼らはこのグランプリ・名古屋と同じ『テーロス』『神々の軍勢』のシールドとドラフトを突破して、プロツアーへの権利を獲得した強者なのだ。

 ここではその中から数人に、この環境のシールド・ドラフトについての話を聞いてみようと思う。

(以下、プロツアー予選を「PTQ」と表記します)

PTQ_Winner_Interview_Kakumae.jpg

 1人目は、覚前 輝也(大阪)。かつて日本選手権でトップ8入りした経験もある強豪だ。その年の世界選手権の権利を持ちながらもMTGを休止、『テーロス』から復帰をするやいなや、浜松で行われたプロツアー予選を突破してプロツアー『マジック2015』の権利を獲得した。

――この環境のシールド戦のコツはありますか?

覚前「クソビートと除去祭りだけが答えなんじゃないかと思っています。」

――ということは、PTQもクソビートか除去祭りだったんですか?

覚前「PTQの時は《難破船の歌い手》と《静寂の歌のセイレーン》がセットで来て大活躍してました。」

――今回のデッキはどうでしょう?

覚前「怪しいですね。まず3色なのが不安です。本当は赤い除去を使いたいのでメイン色にしたかったのですが、クリーチャーがいなくて青緑タッチ赤になってしまいました。」

――タッチ色の赤いカード思ったより多いですね。

覚前「そうですね。青白のクソビートも組めたのですが、こっちは除去がないのでサイドボードです。」

――この環境のドラフトについてですが、どんなことを考えてピックしてますか?

覚前「3手目まで色を決めない、ですね。」

――上家と協調というですね。

覚前「はい、上に合わせて強いスペルだけもらえれば、クリーチャーは弱くていいです。」

――弱くていいんですか?

覚前「2/1の猫(《レオニンの投網使い》)とかでいいですね。スペルが強ければ本当になんでもいいんです。」

――デッキが不安ということですが、まずは2日目のドラフトを目指して頑張ってください。

覚前「プラチナ目指してますので、頑張ります。」


PTQ_Winner_Interview_Tanaka.jpg

 2人目は、新潟のプロツアー予選を制した田中あきら。仕事の合間にMagic Online(MO)でドラフトをこなし、PTQの遠征も積極的に繰り返す社会人プレイヤーだ。

――この環境のシールドをどう思いますか?

田中「この環境はちょっと事故ったらすぐ負けるので、事故りにくいデッキを組むべきですね。多色化するカードが減ったので多色にするのが難しいです。」

――PTQからそういった構築を心がけていたのでしょうか?

田中「あの時は赤緑で綺麗なデッキが組めたのですが、練習不足で青のバウンスを2枚タッチしてしまいました。」

――では今回はその反省を踏まえて...

田中「と、思っていたのですが、これを見てください。」

田中「環境的に多色が難しいので事故らないデッキを目指すという話だったのですが、大量の占術ランドによって事故りにくい多色デッキが作れそうだったので、色々とタッチしました。そこそこ汚いけど事故らなさそうなデッキになりました。」

――どのくらいのデッキだと思いますか?

田中「中の上ですね。2日目に行けるくらいかな。」

――MOで練習しているというドラフトについてお願いします。

田中「練習しているのですが、PTQではドラフトで失敗してしまいました。仕方なくワンチャンスを作れるデッキに仕上げたのですが、運良くそれがはまって勝てました。」

――どういったピックを目指していますか?

田中「『神々の軍勢』で白を取りたいですね。おおよそどの色と組んでも平気なので。ただ人気色なので、他の色もずっと練習しています。」

――プロツアー『マジック2015』はもちろん...

田中「はい、行きます。仕事はありますが行けるプロツアーは全部周ります!」


PTQ_Winner_Interview_Fujimura.jpg

 最後は、藤村 和晃(大阪)。神奈川で行われた参加者250人の予選を勝ち抜き、プロツアー『マジック2015』の権利を獲得した。先に行われたグランプリ・静岡でもトップ8に入り、次のプロツアー『ニクスへの旅』の権利も獲得しており、一つ前のプロツアー『神々の軍勢』にも参加している、今ノッているプレイヤーだ。

――この環境のシールドのコツみたいなものはあるんですか?

藤村「強いカードを使う。レアは使い得です。関東ではライザ(筆者注:石村信太朗。MOのシールドPTQを多数突破し、Magic Online Championshipにも招待された強豪プレイヤー)とかの3色押しが強いですが、2色で組んだ方がいいことが多いです。」

――『神々の軍勢』で多色が組みにくくなったからでしょうか?

藤村「それも確かにあるんですが、『テーロス』の頃から思っていました。この環境、『上の上デッキ』が組めれば確かにすごく強いんですがそれ以外は結構負けるし、逆に悪いカードプールでも『痩せビート』を作って上振れすれば7−2できることがあるので、僕はそうしています。」

――今回のシールドデッキはどうですか?

藤村「青緑のコモンビートです。マナサポートは結構あるんだけど2色で組んでいます。」

――ドラフトはどうでしょう?

藤村「赤をやりたくないですね。とりあえず3手目までは強いカードを狙って、取れないようだったら黒に行きたいです。」

――空いてそうだからでしょうか?

藤村「そうですね。『神々の軍勢』の黒が弱いので、『テーロス』で強いカードが周ってくることに賭けます。白が一番強いですが人気もあるので、黒のほうがやりたいですね。」

――プロツアーは両方行きますよね?

藤村「はい。ただブロック構築は外国勢が強いですね。」

――日本とは違いますか?

藤村「スタンダードは日本でも外国でもやってる量が多いのであまり変わらないですけど、ブロック構築みたいなのはまとまって集中してやってる外国勢が強いですね。この前のモダンのプロツアーに出た時も同じことを思いました。デッキが全然違う。やっぱ多人数で集中してると閃きますね。正直今、日本って層が薄いじゃないですか。一人でMOで調整してる人ばかりで、それだとなかなか閃かないです。」

――現状を把握してしっかりとした意見と自信を持ってる感じがします

藤村「自信はありますからね。そうでなければわざわざ250人のPTQに大阪から遠征してこないです。まあそういった自信がいい方向に出てるんじゃないかって、ばんじゅん(筆者注:板東潤一郎。関東の強豪。藤村と仲が良い)とも話してました。あと右手の重み違いますね。」

――重み?

藤村「一時マジックをやめようと思ったのですが、このまま何も勝たないでやめたら負け犬だって思って。それで真面目に練習しようと思ってMOを始めたんです。仕事してないのでみんなが仕事してる間、ずっとクリックしてました。そうしたらかなり結果が伴うようになってきました。この右手の重みは大きいですね。」


 さてプロツアー予選突破者の意見はどうだっただろうか。3人とも、自分なりの環境解釈をして確固たる理論を組み上げてデッキ構築・ドラフトを行っているように思えた。こういった一貫性が強いデッキを作るコツなのかもしれませんね。

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