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グランプリ・京都2015

観戦記事

準決勝:佐渡 海(Kai Thiele)(東京) vs. 村上 和弥(愛媛)

By 矢吹 哲也

 広いテーブルとプレイ・マット、照明、そしてカメラ。フィーチャー・マッチ・テーブルの中でも、生放送が行われるテーブルはとりわけ注目が集まり、緊張の度合いも高まる。それがグランプリ決勝へと続く大きな試合ならば、尚更だろう......と、両者とも神妙な面持ちでデッキのシャッフルを行ったところで、佐渡が申し出た。

「チューイングガムとか食べます?」

 ギャラリーを含めた周りの空気が一瞬緩んだ。佐渡がガムを配り、村上はそれを受け取って噛み始める。長い戦いを越えて出会った好敵手に、塩ならぬガムを送ったのだ。

 さすがに疲労の色は見えるものの、両者とも戦意十分。京都で起きた大合戦、最後の舞台まで進むのはどちらになるか。

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ゲーム展開

 先手の村上は手札を眺め、マリガンを宣言。佐渡は「こっちはキープです」と力強く答えた。佐渡は序盤から《渦まく知識》、《思案》で積極的にコンボの準備を進めていく。一方の村上も《渦まく知識》で手札を整えると、3ターン目に《相殺》を着地させた。

 返しのターンに佐渡が《ギタクシア派の調査》を撃つと、村上は「頼むぞ」とライブラリー・トップを軽く叩き、《相殺》の効果で公開。めくれたのは《目くらまし》で「相殺」ならず。とはいえ手札には《Force of Will》を持ち、そこから《目くらまし》も手に入るのなら悪くない。村上は迎えたターンに《僧院の導師》を繰り出し、ターンを返す。

 すると佐渡がドロー後、「これいけそう」と声を上げた。たしかに村上は《僧院の導師》に3マナを払ったため、現時点で起きている土地は残り1枚で隙はできている。

 佐渡の《ライオンの瞳のダイアモンド》が通ると、《陰謀団式療法》で《Force of Will》を指定。最大の障害を取り払い、2枚目の《ライオンの瞳のダイアモンド》を重ねて、さらに《汚物の雨》。

佐渡が「一番のお気に入りカード」に挙げた《汚物の雨》が、その期待に応える。

 残った土地からマナを出し、さらにすべての土地を生け贄に捧げて膨大なマナを生み出した佐渡。さらに《陰謀団の儀式》を唱え、ストームとマナを稼ぎだす。そして放たれる「ストーム6」の《苦悶の触手》。手札に残る最後の1枚は、「暴勇」が機能した《冥府の教示者》。

 佐渡が《炎の中の過去》を持ってくると、村上は敗北を確信し、カードを片付けた。


長らく愛用している佐渡のデッキは、この大舞台でも彼に力を与える。

 2ゲーム目も村上は初手に首を傾げ「キープするけども」とやや苦い表情を見せた。再び佐渡が先に動き出し、《思案》でライブラリーを掘り進める。

 そのターンの終わりに《渦まく知識》を唱える村上。3枚加えた手札を吟味して2枚を戻すと、フェッチ・ランドを起動してライブラリーをシャッフルした。迎えたターンに《墓掘りの檻》をプレイして、墓地への対策に成功する。ドロー・ゴーの佐渡に対し、村上はさらに《相殺》を繰り出すが、そこにはターンの終わりに《突然の衰微》が差し向けられた。

 だが村上は2枚目の《相殺》を持っていた。佐渡が《ライオンの瞳のダイアモンド》をプレイすると、《相殺》でめくれたのは《思案》。佐渡はそれ以上動かず、ターンを返す。

 佐渡は再び迎えたターンに《水蓮の花びら》。村上が《相殺》の効果でライブラリーの一番上を公開すると、またもや《思案》。手札の《陰謀団式療法》が撃てず、足踏みを強いられる佐渡。

 その間に村上は《石鍛冶の神秘家》で《殴打頭蓋》を持ってくる。ターンを迎えた佐渡は2枚目の《水蓮の花びら》。《相殺》でめくれたカードは《翻弄する魔道士》。思わぬこのトップに村上は「強い」と漏らしつつ、返しのターンにそれを繰り出し、《冥府の教示者》を指定した。

強力な対策カードがコンボを許さない

 じわじわと佐渡の動きを狭め、クロックを刻む村上。佐渡は手札をじっと見つめて活路を探すが、ターンを返すしかない。村上は一挙7点の攻撃を通し、佐渡のライフは残りひと桁になった。

 ドロー・ゴーを続ける佐渡。再び7点のダメージを受け、残りライフ2点。村上は佐渡の最後のターンにも《摩耗+損耗》の《摩耗》で《ライオンの瞳のダイアモンド》を破壊する。

 《渦まく知識》を引き込んだ佐渡は最後までコンボの道を探った。村上の《相殺》を《クローサの掌握》で破壊し、《陰謀団の儀式》。それに《Force of Will》を差し向けた村上だが、佐渡は対応して《渦まく知識》。

 《墓掘りの檻》で《炎の中の過去》を封じられ、《翻弄する魔道士》で《冥府の教示者》を封じられたが、まだ勝ち手段はある。ストームを重ね続け、《苦悶の触手》を放てばいい。

 だがしかし、《渦まく知識》で引いた3枚に、このコンボを繋ぐ光は見出だせなかった。


コンボ・デッキに有効なカードを多く搭載し、サイドボーディング後のゲームを有利に進める村上。

 熱戦は最終ゲームまでもつれたが、ここで村上が再びのマリガン。「スイスラウンドでは一回もマリガンなかったのに」とここに来ての不運に肩を落とす。

 それでも6枚の手札をキープしてゲームが始まると、積極的に動いたのは村上の方だった。《思案》で手札の安定を図り、その後1ターン土地を置き合ったあとに、《相殺》を戦場へ。続けて《翻弄する魔道士》も繰り出した村上は、《突然の衰微》を指定。佐渡を絡めとる盤面を築き上げていく。

 動かない佐渡を後目に、《石鍛冶の神秘家》を戦線へ加える村上。佐渡の《水蓮の花びら》を《相殺》(公開は土地)で打ち消し、攻撃を続ける。ターンを迎えた佐渡は再び《水蓮の花びら》を唱えるが、再び《相殺》に阻まれた。

 《殴打頭蓋》も加えた攻撃で佐渡のライフを残り6点まで追い詰める村上。最終ターンとなる佐渡は3枚目の《水蓮の花びら》をプレイするが、《相殺》でめくれたのは......またもや土地! 佐渡は思わず「マジで」と声を上げる。

村上の想いに応え、鉄壁の守りを見せる《相殺》。

 それでも佐渡は諦めない。《冥府の教示者》を「暴勇」なしで唱え《暗黒の儀式》を追加すると、1枚目を唱えた。村上はそこへ《目くらまし》を当て、佐渡はそれに対応して2枚目の《暗黒の儀式》。だが村上はさらに《狼狽の嵐》を撃ち込み、2枚の《暗黒の儀式》を討ち取った。

 これが止めの一撃となった。佐渡は手札を置き、右手を差し出す。佐渡の仲間たちが「いいゲームだった」、「お疲れ様」と口々に声をかけると、涙ぐむような表情を見せた。

 そこへ、村上が声をかける。「あの......ガムの捨て紙いただけますか?」 彼は最初に佐渡からもらったガムを捨てる紙がなく、試合中ずっと噛んでいたのだ。一方の佐渡はといえば、ライフを記録するメモ用紙にガムを捨てていた。

 佐渡は一瞬の間を置いて......「え? その紙そういうものだったんですか!」

 一同、爆笑。

村上 2-1 佐渡

 村上が佐渡を2勝1敗で下し、決勝へ!

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