EVENT COVERAGE

グランプリ・京都2015

観戦記事

準々決勝:佐竹 志大(兵庫) vs. 高橋 優太(東京)

By Masami Kaneko

 春の京に、2000人のプレイヤーが集ったグランプリ・京都2015。
 二日間の戦いも終演に近づき、「優勝」という華を手にする可能性のあるプレイヤーは8人のみとなった。

 そんな中、ふたりのプレイヤーが、優勝の栄冠を手にするべく準々決勝の席に着く。

 ひとりは佐竹志大。兵庫県に住む佐竹は、地元のショップ「竜のしっぽ」やレガシーの大会「Known Magicians Clan(KMC)」で練習を積むプレイヤーだ。使用するデッキは「青白赤石鍛冶」。選択理由を「長期間使用しており、経験値が高いから」とするほどには使い込んでいる。

 もうひとりは高橋優太。「晴れる屋Pros」のひとりである高橋もまた、レガシーをやり込んでいるひとりだ。「Eternal Festival」や「BigMagic Open」の優勝などをはじめとして、数々のレガシーの大会で結果を残している。使用デッキは「青白奇跡」。「不利な相手が最も少ない」と語る高橋、環境に対するやりこみがうかがえる。

 トップ8のマッチからは、事前にお互いのデッキリストを交換し確認する時間が用意されている。デッキを見せ合い、お互いのデッキについて積極的に会話を交わすふたり。

高橋「《マナ漏出》どう?」
佐竹「何でも消せるし、打ちやすい《対抗呪文》ですね。」

佐竹「《造物の学者、ヴェンセール》!?......あ、奇跡対策かな?」
高橋「いや、《実物提示教育》対策。」

 高橋は、対戦相手の打ち消し呪文や除去の枚数などを丹念に時間をかけて確認し、それを自分のメモに控えていく。ゲーム中には確認できないメモだが、サイドボードの合間には確認が可能だ。些細な情報も逃したくない。高橋の強い意思が見てとれる。

 お互いに「よろしくお願いします」と声をかけ、大切な一戦が開始された。

qf_satake_takahashi.jpg

ゲーム1

 スイスドローで上位の佐竹が「先手で」と宣言。お互いに7枚のカードを確認し、考えをまとめてキープを宣言。高橋もすぐにキープを宣言し、ゲームが開始された。

 《Volcanic Island》を置く佐竹に対して、1ターン目から《》を起き《思案》と動いていく高橋。佐竹も次の自分のメインフェイズに《渦まく知識》を唱え、《沸騰する小湖》を置いた。

 お互いに青白コントロール系統のデッキではあるが、この序盤から激しい攻防が始まる。

 高橋がまず《相殺》! 返しのターン、佐竹は超強力装備品《梅澤の十手》を展開し、さらにメインからの《赤霊破》を《相殺》に!

高橋「はい、割れます。」

 !?......それもそのはず、1ターン目の《思案》はシャッフルなし。このトップを、高橋は知っている。

 佐竹の4ターン目、アップキープに高橋は《ヴェンディリオン三人衆》を唱えた。なんとここまで高橋、全てのターンでマナを使いきって呪文を唱えている。この《ヴェンディリオン三人衆》に対して、佐竹は《もみ消し》をコストとして《Force of Will》。

 ここまで高橋の置いている土地は《》が2枚と《平地》が1枚。なんでもないことのように思えるが、ことレガシー環境においては、この《もみ消し》にも《不毛の大地》にも引っかからない最強の土地「基本土地」を引いている意味合いは非常に大きい。この時は《Force of Will》のコストに使用された《もみ消し》だが、1、2ターン目に佐竹はこの呪文を構えていたのだ。もしも、高橋の土地が1枚でも《溢れかえる岸辺》などのフェッチランドだったら? ゲームの展開は大きく違ったものだっただろう。

 佐竹はお返しの《真の名の宿敵》を唱えるが、これは高橋、《造物の学者、ヴェンセール》をコストとして《Force of Will》。お互いにまっさらになった盤面。強力装備品である《梅澤の十手》も、クリーチャーを展開しなくては意味がない。

 そして先に決定打を放ったのは、高橋だった。強烈な序盤の末に、お互いにリソースを消耗したあとの《時を越えた探索》!

 この強烈な1枚に対して、佐竹は「どうぞ」と言うしかない。さらには《精神を刻む者、ジェイス》を唱え、高橋は圧倒的な場を作り上げた......かに見えたが、高橋が「(《精神を刻む者、ジェイス》の)『渦まく知識』で」と言った瞬間に《稲妻》が飛ぶ。状況はまたもイーブンに。

 しかしその後佐竹も動けない。コントロール同士の対決とは思えないノーハンド対決。フルタップの隙のトップデッキで何もされなかった高橋、思わず「よしっ」と声が漏れた。

 そしてこの後展開した《師範の占い独楽》が、高橋を少しずつ有利にしていく。《沸騰する小湖》などのフェッチランドと組み合わさり、高橋に濃密なドローをもたらしていく。そして、ついにたどりついた《相殺》!

 揃ってしまった《師範の占い独楽》《相殺》に対して、ようやく引いた《時を越えた探索》を唱えてみるが、これは《対抗呪文》。

 ついには高橋の《精神を刻む者、ジェイス》が降臨。これでどうしようもなくなった佐竹は、次のゲームで巻き返すべくカードを片付けた。

佐竹 0-1 高橋
qf_takahashi.jpg

 高橋優太は、練習の人だ。ひたすらに練習を積み、その結果として勝利を掴む。

 先日のプロツアー『タルキール龍紀伝』にも出場していたという高橋は、残念ながら初日敗退が決まると、即座に次のイベントである「グランプリ・京都2015」に頭を切り替え練習を始めた。

「勝たなくてはいけないと思った。」 そう語る高橋は、友人たちがプロツアーの2日目に出発する中、悔しさを噛み締め部屋でひたすらMagic Onlineでレガシーの練習をしていたという。帰国したあともレガシーの練習を重ねた高橋。「勝たなくてはいけない。」 自身に課せたこの約束を守るべく、高橋はそのためにできること、すなわち練習を積み重ねた。

 そして、高橋優太は今、このグランプリの準々決勝に座っているのだ。

ゲーム2


佐竹 志大

 ここで佐竹、ゲーム開始前、7枚の手札をめくる前にかなりの時間考えこむ。そして宣言した。「後手で。」

 一般的に、マジックにおける構築戦では、先攻を選ぶのが有利とされている。その「定跡」を崩し、はっきりと理由を持って宣言されたこの言葉。練習の成果であるその言葉には、重みがあった。

 後攻でゲームを開始した佐竹だったが、7枚の手札をマリガン。6枚の手札も熟考を重ねた末マリガンすることになってしまった。5枚でスタートすることになった佐竹に対して、早速《渦まく知識》で手札を整えていく高橋。2ターン目に《師範の占い独楽》を着地させる。

 佐竹は《石鍛冶の神秘家》を着地させるが、高橋は《相殺》! このレガシーを代表するコンボを、3ターン目にして決めてみせた。

 佐竹もここで引くわけにはいかない。《石鍛冶の神秘家》からの《殴打頭蓋》での攻め切りをもくろみ、高橋は《造物の学者、ヴェンセール》で耐えようとする。

 この《造物の学者、ヴェンセール》に《マナ漏出》が決まり、ついに戦闘でライフの推移が発生。ライフを攻めきるという一縷の望みをかけて、佐竹は進んでいく。

 しかし高橋の《精神を刻む者、ジェイス》! この《精神を刻む者、ジェイス》が佐竹の《殴打頭蓋》の細菌・トークンを消し去り、そして《石鍛冶の神秘家》の1点という小さな力ではかの青い悪魔を打ち倒すことは叶わない。

 ついにこの《精神を刻む者、ジェイス》は[+2]能力を起動。高橋はライブラリーの上に見たカードを残して、さらには《不毛の大地》2枚を起動しマナを攻め立てる!

 残された《摩耗+損耗》を見つめる佐竹。一応は唱えてみるも、しっかりと《相殺》で打ち消されたのを見て、準決勝に進出する対戦相手を称える右手を差し出した。

佐竹 0-2 高橋

 練習の積み重ね。丁寧なプレイ。あらゆる可能性の想定。

 敗北と、こらえた涙を糧に。高橋は優勝という頂への道を一歩進んだ。

  • この記事をシェアする

RESULTS

RANKING

NEWEST