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グランプリ・神戸2017

観戦記事

準々決勝:Park, Bi-o(韓国) vs. 玉田 遼一(大阪)

By Sugiki, Takafumi

 《港町》神戸。その歴史は古く、奈良時代まで遡る。瀬戸内海の穏やかな潮は、港の建造に適しており、この神戸は奈良時代に「大輪田の泊」と呼ばれる、朝鮮半島や中国大陸との交易拠点として、栄えてきた。それより1400年。世界中でプレイされるマジック:ザ・ギャザリングという素晴らしいカードゲームが生まれ、ゲームでの世界交流がプロツアー、グランプリという形で行われている。

 そして、今日、この神戸国際展示場では、マジックのグランプリ・神戸2017が開催され、カードを通じての国際交流が行われている。近代マジックのカードを網羅的に使用できるモダン構築戦で開催されているグランプリにて、朝鮮半島は韓国から来ているパク・ビオ/Park, Bi-oは見事トップ8の座を射止めた。そして今、「ジェスカイ・コントロール」を操るプラチナ・プロである玉田遼一という高い高い壁に立ち向かう。

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パク・ビオ vs. 玉田 遼一
ゲーム1

 玉田にはゲーム開始前の儀式がある。手札となる7枚のカードを盤面に提示したあと、メガネをかけて、そして手札をオープンする。彼がメガネをかけたならば、それは臨戦態勢の合図だ。

 パクが《思考囲い》で玉田の手札を露わにする。提示されたのは、

 正直なところ、玉田にとってはいまいちの手札だ。しかし、土地の安定性は確保されており、ドローするカードによっては、とたんに強い手札に変身する。ここからパクは、その手札を強くさせるきっかけとなる《血清の幻視》を抜く。

 パクが静かに土地を置いてフェッチをし、ライフを減らしていく中、対する玉田も《天界の列柱》から静かに土地を並べていく。玉田のドローは、《論理の結び目》、《電解》、《稲妻のらせん》と続き、火力で焼き切ることも狙えるような手札だ。

 そうとも知らず、パクは《稲妻》を自身に打ち、ライフを10へ。《死の影》をプレイしたいがためであるが、これが吉と出るのであろうか。玉田の手札にはすでに、

 と、すでに7点分の火力呪文が控えている。

 パクは《死の影》をプレイし、さらに《血染めのぬかるみ》で《蒸気孔》をアンタップインしてライフが早くも7。とうとう、玉田の手札の火力全てで足りるところまでライフが落ちた。

 《死の影》が6点の攻撃。パクはさらに《黄金牙、タシグル》を追加の攻め手として盤面に追加する。

 少考の後、玉田は、まず《稲妻のらせん》を。しかし、パクの《頑固な否認》がそれを阻む。ここから、玉田にはパクの残りライフ7を削るための2つの選択肢が生まれる。

 残りは4マナ、土地は《天界の列柱》含む6枚。

プランその1:手札の《電解》を打ち込んで、そのドローと次のターンのドローで、10枚ほど残っている追加の火力呪文または《瞬唱の魔道士》を引くことに賭ける。裏目は、当然それらを引けなかったとき。

プランその2:このターンには《稲妻》で、相手のライフを4へ。そして次のターンに、《天界の列柱》で攻撃して残り4点を削る。裏目は相手のデッキに3枚入っているうちの1枚の《致命的な一押し》が手札にあったとき。

 しばらく悩んだ後、玉田が取ったのはプラン2。しかし、パクの手札からは無情の《致命的な一押し》。

まさに玉田にとっては致命的

 玉田はライフメモを見ながら、カードを片付けた。

パク 1-0 玉田


パク・ビオ
ゲーム2

 ダブルマリガンを喫してしまったパクの《思考囲い》からゲームがスタートする。公開された手札は、

 ここから、《論理の結び目》を抜き去る。しかし、パクはマリガンが祟り、土地が2枚でストップ。トップデッキした《血清の幻視》も、玉田が少考の後《呪文捕らえ》で追放。土地を並べるのを許されない。

パクの《血清の幻視》を的確に捕らえる

 玉田も土地が止まっているものの、手札には火力が溜まってきており、カウンターバーンのような展開だ。パクがアンタップインでショックランドをプレイしていたこともあり、玉田の《呪文捕らえ》が3回攻撃したところで、パクのライフはすでに6。

 最後は《頑固な否認》も十分にケアできる状態で、火力呪文をプレイし、玉田は早々に2ゲーム目を取り返した。

パク 1-1 玉田


玉田 遼一
ゲーム3

 ゲーム3はゆっくりとしたペースで進んでいく。パクはこれまでのゲームでは、マナが必要でないときもアンタップインを続けてきた《湿った墓》をタップインで置くことからも、長期戦を見込んでいることがわかる。

 パクは2ターン目に《集団的蛮行》をプレイし、玉田の手札を見てゲームプランを立てる。公開されたのは、

 そして、パクのプランが決まる。それは、《流刑への道》を抜いて、手札の《グルマグのアンコウ》を活躍させるというものだ。玉田が土地を引き続ける中、土地1枚を残しての《グルマグのアンコウ》が無事パクの盤面へと登場し、玉田は強烈なクロックを突きつけられる。

 しかも、パクの手札には《頑固な否認》に加えて《瞬唱の魔道士》も控えており万全といった態勢だ。

玉田のライフを蝕む邪悪な深海魚

 ターンの帰ってきた玉田は、相手が1マナしか立っていないここが勝負時と見て、《電解》と《稲妻》を《グルマグのアンコウ》に打ち込む。しかしながら、《稲妻》は《頑固な否認》で打ち消され、《グルマグのアンコウ》の除去は成就せず。

グルマグのアンコウ》の力を借りた《頑固な否認

 《血清の幻視》でドローを掘り進めて見つけ出した《流刑への道》をプレイするも、当然のようにパクは《瞬唱の魔道士》から《頑固な否認》。

 しかし、これでようやく、パクの《グルマグのアンコウ》へのガードが外れたこととなり、2回目の《電解》、《稲妻》の合わせ技で、なんとかこの厄介な深海魚を焼き魚とし、墓地に送ることに成功する。

 しかし、ここでのパクの手札には、追加の《グルマグのアンコウ》の他、《コラガンの命令》、《外科的摘出》も控えており、《グルマグのアンコウ》のバックアップ体制は完璧だ。《グルマグのアンコウ》をフルタップでプレイして、引き続きダメージクロックを提示するパク。

 玉田はトップデッキした《瞬唱の魔道士》で《流刑への道》を対象に取るが、そこに突き刺さる《外科的摘出》。4マナしか残っていない玉田は《謎めいた命令》で《外科的摘出》を打ち消しても結局《流刑への道》が打てないため、この《外科的摘出》を通す。

 これで、《グルマグのアンコウ》への対処策は実質玉田のデッキからは失われてしまったに等しい。さらに、《外科的摘出》で手札が露わになっており、パクにとっては短手数の詰将棋を詰ますだけだ。

 玉田は、《謎めいた命令》で《瞬唱の魔道士》と《グルマグのアンコウ》をタップさせるなど延命を図るも、《コラガンの命令》で《瞬唱の魔道士》を除去されると力尽き、盤面を片付けた。

パク 2-1 玉田


 玉田は悔しそうな顔を見せながらも、初のグランプリトップ8だというパクの健闘を称える。パクの後ろには、同じく韓国から来た仲間たちが祝福を。そして、インタビューブースへと向かう盟友を誇らしげな顔で見送っていた。そして、何よりパクは疲れを見せながらも、ジャイアントキリングを達成した喜びに目を輝かせていた。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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