By 宮川 貴浩

　決勝進出をかけた大一番で火花を散らすのは、北の大地北海道からやってきた千葉と、マレーシアの刺客ジョー・ソー/Joe Soh。千葉は２度のプロツアー出場経験のある強豪であり、ソーもグランプリ・台北2014でトップ８に入っている。

　千葉のデッキ選択は、カードパワーが約束され、アブザンにも有利に戦えると言われている「エスパー・ドラゴン」。対するソーは、ずばり「使って楽しかったから！」という理由で「白黒戦士」を選んだ。だが、《軽蔑的な一撃》や《否認》をサイドボードに忍ばせるなど、調整に抜かりはない。

　ソーの矛が千葉を貫き通すのか、はたまた千葉の盾が全てをはじき返すのか。決勝の舞台に立つのは、どちらだ。

ゲーム１

　先手の千葉は１マリガン。戦いの火蓋を切って落としたのは、ソーの《刃の隊長》だった。

　《苦い真理》で手札を補充するもののライフの損失が痛い千葉に対し、ソーは２枚目の《刃の隊長》を追加して畳みかける。千葉は１度アタックを受けた後、《龍王オジュタイ》を公開しながらの《忌呪の発動》でこれに応じた。

　だが、ソーはすぐさま《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を着地させ、攻撃の手を緩めない。これには、千葉が送り出した《龍王オジュタイ》もブロックに回さざるを得なくなる。

　メインフェイズの《完全なる終わり》で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》こそ対処した千葉だったが、ここに《マルドゥの急襲指揮者》が疾駆で登場。ブロックした《刃の隊長》も、《勇敢な姿勢》によって守られる。

猛攻が止む気配を見せないソー。鋭い眼光で相手を見据える。

　千葉は《シルムガルの嘲笑》で２度目の《マルドゥの急襲指揮者》は許さず、《忌呪の発動》でなんとか延命しようと目論む。

千葉も諦めてはいない。ここまでにもピンチは幾度となく切り抜けてきた。

　しかし、ソーの《勇敢な姿勢》が再び《刃の隊長》を生き残らせた。そして、ブロッカーとして出した《ヴリンの神童、ジェイス》を《絹包み》で除去されると、千葉のライフはぴったり０になった。

千葉 0-1 ソー

ゲーム２

　先攻をとった千葉は、《ヴリンの神童、ジェイス》の先置きに成功する。一方のソーは、戦場にクリーチャーが展開されない。

　千葉は普通に唱えられた《マルドゥの急襲指揮者》を《シルムガルの嘲笑》で打ち消し、《ヴリンの神童、ジェイス》を《束縛なきテレパス、ジェイス》へと変身させる。さらには《時を越えた探索》を唱え、一気にアドバンテージの差を広げた。

　ところが、ソーが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を着地させると、千葉の表情が険しくなる。

　《束縛なきテレパス、ジェイス》の［+1］能力で耐えながら《龍王オジュタイ》を展開する千葉に対し、ソーは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をクリーチャー化し、《ヴリンの神童、ジェイス》の忠誠度を減らしにかかる。

　《荒野の確保》、《完全なる終わり》という呪文の応酬の末、ソーの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は追放されるが、千葉も戦士・トークンの攻撃で《束縛なきテレパス、ジェイス》を失った。

　千葉が２枚目の《ヴリンの神童、ジェイス》を出すと、今度はソーのアタックが止まる。千葉も《龍王オジュタイ》を立たせたままターンを返し、試合はにらみ合いの様相を呈してきた。

虎視眈々と勝機をうかがう両者。先に仕掛けるのはどちらか。

　試合を動かしたのは、やはりこのカードだった。勝負に出たソーが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を唱えると、これが通る。ソーは即奥義を使うかトークンを出すか悩んだ末、トークンを出して盤面を強化した。

　千葉は《完全なる終わり》で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を処理しようとするが、ここでソーの《軽蔑的な一撃》が放たれる。

　仕方なく《龍王オジュタイ》のアタックで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を落とす千葉だが、これでついにノーガードになる。

　千載一遇のチャンスに、ソーは《マルドゥの急襲指揮者》を疾駆させ、全軍でアタックを敢行した。千葉は《乱脈な気孔》で《マルドゥの急襲指揮者》と相打ちを取るが、《束縛なきテレパス、ジェイス》を倒され、ライフも攻められる。

　千葉は《勇敢な姿勢》を撃たれた《龍王オジュタイ》の２体目をすぐ用意したが、墓地から戻ってくる《血に染まりし勇者》には《忌呪の発動》も一時しのぎにしかならない。

　このまま勝負を決めたいソー。再度《龍王オジュタイ》に向けた《勇敢な姿勢》は《シルムガルの嘲笑》によってはじかれるが、先ほども勝利のカギとなった《刃の隊長》の着地で一気に打点を跳ね上げることに成功し、とうとう千葉を押し切った。

千葉 0-2 ソー

　対照的なデッキ同士の対戦を制したのは、ソー。最強の矛をもつ男が、一足先に決勝進出を決め、相手を待ち受ける。