By Sugiki, Takafumi

　青緑ランプとエスパー・メンターという、今環境のスタンダードではこれまで決して活躍してきたとは言えないデッキ同士の対決となったこの準々決勝。スイスラウンドの順位が高い青緑ランプのパヴェル・マトウセク/Pavel Matousekが先手。対する高尾翔太はグランプリ・静岡2014準優勝という戦績がある。奇しくもデッキは当時と同じカラーリングのエスパー・メンターである。

高尾 翔太 vs. パヴェル・マトウセク

ゲーム１

　先手のマトウセクは《森》、《見捨てられた神々の神殿》から《葉光らせ》。スタンダードではあまり見ないクリーチャーではあるが、２マナのマナジャンプアップカードとして《爪鳴らしの神秘家》に追加で入っている。

　対する高尾は《乱脈な気孔》、《溢れかえる岸辺》から《ヴリンの神童、ジェイス》をプレイ。

　ここからマトウセクは《吹きさらしの荒野》から《森》をフェッチし、《爆発的植生》で《島》を２枚戦場に。手札には、《爆発的植生》がもう１枚と《水の帳の分離》が控えており、あとは《精霊龍、ウギン》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といったフィニッシュカードを引き込めば一気に勝負を決めることができる。

　対する高尾は防御に徹する。３ターン目は《究極の価格》で《葉光らせ》を除去し、少しでもマナ加速の勢いを抑えようとするも、マトウセクの２枚目の《爆発的植生》の前には焼け石に水だ。しかも、マトウセクはしっかりと《精霊龍、ウギン》をトップデッキしており、次のターンにはプレイができる。

　高尾は４ターン目《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をプレイする。もし《精霊龍、ウギン》をマトウセクにプレイされると《束縛なきテレパス、ジェイス》もろとも追放されてしまうが、手札の《破滅の道》でそれを除去して、その先は何も引かれないことを祈る展開だ。

　高尾の想定どおりにゲームは進む。マトウセクは《精霊龍、ウギン》をプレイ、X=4で起動をし、《束縛なきテレパス、ジェイス》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、２/２トークンを除去する。高尾は《破滅の道》で《精霊龍、ウギン》を除去してターンを返し、これからといった思いだったであろう。

　ところが急転直下、このゲームは終わりを告げる。

　マトウセクは９枚の土地から覚醒６の《水の帳の分離》。追加ターンにまたも覚醒６の《水の帳の分離》で、先ほど覚醒した土地にさらに+1/+1カウンターを６つ乗せ、12点パンチ。さらなる追加ターンにもう一度12点パンチ。

高尾 0-1 マトウセク

　マトウセクは《僧院の導師》とトークンによる攻撃に対処するために、若干数の《カル・シスマの風》をサイドインする。

パヴェル・マトウセク

ゲーム２

　先手の高尾、《乱脈な気孔》、《溢れかえる岸辺》から《島》をフェッチし、《ヴリンの神童、ジェイス》、3ターン目に《僧院の導師》と軽快な展開。

　対するマトウセクも《爪鳴らしの神秘家》、《ニッサの巡礼》、《巨森の予見者、ニッサ》、《精霊龍、ウギン》といったブン回りの期待できる手札から、２ターン目に《爪鳴らしの神秘家》、３ターン目は《ニッサの巡礼》と順調にマナを伸ばしていく。

　しかし、サイドボードインした高尾のカードが突き刺さる。《蔑み》がマトウセクの手札から《精霊龍、ウギン》を抜き去る。残りの手札は《巨森の予見者、ニッサ》、《時を越えた探索》、《水の帳の分離》に土地２枚。

　そして、フィニッシャーを引きに行くためのマトウセクの《時を越えた探索》には高尾の《軽蔑的な一撃》が突き刺さり、その横では《僧院の導師》からモンク・トークンがどんどんと湧いて出る。

　マトウセクは延命のために《水の帳の分離》で得たターンに《精霊龍、ウギン》を引き込むも、８マナが揃う前に《僧院の導師》のトークンの群れにより打ち倒されてしまった。

高尾 1-1 マトウセク

高尾 翔太

ゲーム３

　再度先手が回ってきたマトウセクの初手７枚は、

• 《水の帳の分離》
• 《水の帳の分離》
• 《水の帳の分離》
• 《爪鳴らしの神秘家》
• 《葉光らせ》
• 《森》
• 《伐採地の滝》

　この手札をマトウセクはキープ。しかし、この手札が要求するドローは、《ニッサの巡礼》、《爆発的植生》といったようなマナランプカードと《精霊龍、ウギン》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といったフィニッシャーカードの２種類になってしまう。少し甘いキープであっただろうか。

　マトウセクは《葉光らせ》、《爪鳴らしの神秘家》と展開するも、それぞれ高尾は《自傷疵》、《絹包み》でしっかりと対処。そして、《蔑み》で確認できた手札は《水の帳の分離》３枚と《爪鳴らしの神秘家》２枚。マトウセクは不運にも土地が２枚で止まってしまっているのだ。

　高尾は一気に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、《真面目な訪問者、ソリン》で攻め立て、３ターンの後にマトウセクは敗北を認め、高尾に握手を求めた。

高尾 2-1 マトウセク