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グランプリ・神戸2014

観戦記事

第14回戦:八十岡 翔太(東京) vs. 香山 元志(兵庫)

By 矢吹 哲也

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 第14回戦。この時点に至っても、いまだトップ8はひとりも確定していない。2200人超のプレイヤーたちから抜け出し上位に名を連ねる者たちは、最後の最後まで「ひりつく」ような戦いを強いられる。

 ここで取り挙げるのは、今大会ひと際ギャラリーを集め沸かせる八十岡 翔太と、「King of the Hill」の舞台で戦い続けてきた香山 元志だ。

それぞれのデッキ

 八十岡が選択したデッキは、今大会を通して多くの者がその目で見て、その耳で聞き、あるいは対戦相手として実感してきたであろう――「青黒テゼレット」だ。もはやこれを彼に聞くこと自体が失礼にあたるのかもしれないが、その選択の理由を尋ねると、彼は「いや、ないです」と彼らしい回答をくれた。それ以上のことは、そう、結果が雄弁に語っている。

 一方の香山は「風景の変容」。緑黒系を仮想敵とした選択だという。打ち消し呪文を多く擁するコントロール系への脆さは認めた彼だが、事実、先のラウンドで「白青赤コントロール」相手に敗北を喫し、「King」の座を失った。

 八十岡のデッキにも青が入り、打ち消し呪文は搭載されている。香山にとってはここが踏ん張りどころだろう。


香山 元志

試合展開

 ダイスロールに敗れ、軽く悔しがる八十岡。両者キープを宣言。

 動き出しは八十岡からだった。第1ターンに《オパールのモックス》、《ダークスティールの城塞》、《大祖始の遺産》と軽快にアーティファクトを展開。

 香山も《桜族の長老》を展開し土地を伸ばしにかかるが、八十岡は4ターン目にしっかりと《ボーラスの工作員、テゼレット》を着地させ、5/5になった《大祖始の遺産》で攻勢をかける。

 香山はそれに対するべく、《仕組まれた爆薬》をX=1で置いてターンを返す。八十岡の《コジレックの審問》を見て、香山は少し間を置き《深遠の覗き見》。デッキのキー・カードである《風景の変容》を引き込んだ。それを受けて熟考した八十岡は、さらに《ダークスティールの城塞》をクリーチャー化し攻撃。これで香山のライフは9点に落ち込んだ。

 着実に土地を置き、《風景の変容》までのカウントダウンを刻む香山。しかし八十岡の《ボーラスの工作員、テゼレット》が3体目の5/5を彼にもたらすと、その全軍攻撃を耐えることが香山にはできなかった。


八十岡 翔太

 2ゲーム目は香山がマリガン。八十岡は手札をじっと見ながらしばし考え、「キープです」と宣言。マリガン後の手札を見て少し考えた香山も、6枚でキープ。

 その6枚を八十岡が1ターン目に暴く。香山の1ターン目にセットされた《霧深い雨林》に加えて、《イゼットの魔除け》、《呪文滑り》、《桜族の長老》、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、《蒸気孔》、という陣容。八十岡はここから《桜族の長老》を抜き去った。

 香山はその次のドローで《明日への探索》を引き込み、これを「待機」させるが、「待機」が明けたところに八十岡の《否認》が差し向けられた。

 その後しばらくは互いに大きな動きのない展開。八十岡の攻め手が整う前に勝負を決めてしまいたい香山だが、打ち消しと手札破壊でじわじわとアドバンテージを取り続けた八十岡の前に、ついに手札がなくなってしまう。

 それでもトップから《差し戻し》、《古えの遺恨》と引き込み、八十岡の妨害に成功する香山。しかしその後が続かない。2ターン連続で土地を引き続けた香山に対し、八十岡は《エレンドラ谷の大魔導師》を着地させた。香山のデッキに極めて効果的なクリーチャーの登場に、彼は厳しい表情を浮かべる。

 ようやく引き込んだ《風景の変容》も《エレンドラ谷の大魔導師》を前に繰り出せず、そうしている間にとうとう《ボーラスの工作員、テゼレット》が八十岡のもとに駆けつけた。

 《エレンドラ谷の大魔導師》による2点クロックが突如7点になり、追い詰められた香山。彼は次のドローを見るとターンを返し、八十岡の軍団が全員攻撃に向かってくるのを確認すると、手札に残った《風景の変容》を見せて投了の合図としたのだった。

八十岡 2-0 香山

 前のラウンドから2連敗と、一転して窮地に立たされた香山。次の一戦が分水嶺となる。一方の八十岡も、最後まで一切気を抜けない。グランプリ・神戸2014は、怒涛の予選最終ラウンドを迎える。

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