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グランプリ・神戸12

読み物

Round 5: 森 勝洋(東京) vs. Tzu Ching Kuo(台湾)

By Yusuke Yoshikawa  会場のあちらこちらで、チームのトレードマークを背負ったTシャツが見られる中、世界王者の森 勝洋は、自身の店のカラーである赤で全身をコーディネイトしている。  スリーブもきっちりと合わせて真紅が映える。 Round 5  対戦相手のTzu Ching Kuoは台湾のプレイヤーで、いまの八十岡 翔太が「テゼレット愛」で知られるなら、こちらは「台湾のテゼレイター」、《求道者テゼレット》使いとして名を馳せている存在だ。  日本開催のグランプリとも縁が深く、2010年のグランプリ・横浜ではトップ8に入賞している。  他にも近隣諸国から多くのプレイヤーが参じており、グランプリ・神戸は日本勢のみならず、アジア勢にとってもお祭りなのだ。
Game 1
 森が電光石火でマリガン。  Kuoの《町民の結集》に、森が《旅行者の護符》起動から《月桂樹の古老》を呼ぶ立ち上がりとなった。  《平地》3枚のKuoから送りこまれた《礼拝堂の霊》を前に、森はしばし考えると《地獄乗り》をキャスト、攻撃せずにターンを返す。  Kuoは《壁の守部》をキャスト、しかし4枚目の土地を置けない。  《》《》《》《》《平地》と準備万端のマナソースから、《炉の小悪魔》で人間・トークンの1体を取り除くと、《月桂樹の古老》《地獄乗り》を攻撃に送る。  《月桂樹の古老》を眺めながら、Kuoはブロックせずの意思表示、すると森はここに《吠え群れの飢え》。「陰鬱」も満たして、《地獄乗り》が6/6になって8点のダメージがKuoに。  戦闘後に《ソンバーワルドのドライアド》が追加される。  これで手札を使い切った森、カバレージのカメラに向けて自身の名札を掲げてポーズを取る余裕も。 森 勝洋
森 勝洋
 Kuoは《声無き霊魂》を追加するが、まだ2色目の土地を引けない模様。  さらに森が《流血の呪い》をKuoにエンチャントして力をためる。  次に襲い来る攻撃を考えたか、かなり諦め顔のKuo。《霧のニブリス》で《地獄乗り》をタップしてみるが、満を持した森のフルアタック、まず《地獄乗り》のダメージが2倍でまず8点。Kuoも最善のブロックにより《ソンバーワルドのドライアド》と《炉の小悪魔》は討ち取る。  Kuoは小さく首を振ってターンを返す。  その中にあっても、直前にさり気なく置いた《》から、《地獄乗り》《月桂樹の古老》のどちらかの生け贄を要求する《飢えへの貢ぎ物》をプレイして、簡単には土俵を割らない。  しかし追加の《ウルヴェンワルドの熊》が「陰鬱」付き、さらに《小村の隊長》が出てくるにあたって、Kuoは静かにカードを片付けた。 森 1-0 Kuo
Game 2
Tzu Ching Kuo
Tzu Ching Kuo
「Draw?」  と森がKuoに確認して、Kuoがうなずいて後攻とする第2ゲーム。  森の第2ターン《若き狼》からゲームの幕が開いた。Kuoは《壁の守部》を。  森は《軽蔑された村人》を送り込むが、そこには《遠沼の骨投げ》が飛んでくる。森がここで手を止めてしまうと、Kuoは《未練ある魂》からそのままフラッシュバック、一気に盤面を取りにかかる。  しかし、この世界王者が単に手をこまねいているわけがなかった。ターン終了時に《茨群れの頭目》を送り込むと、アンタップを経て《マルコフの大将軍》をキャスト、《遠沼の骨投げ》のブロックを不可にして一気に高打点で襲い掛かる。  Kuoも《遠沼の骨投げ》とスピリット2体で殴り返しつつ、《礼拝堂の霊》と《壁の守部》で守りを固める。  森はかまわずフルアタック。《吠え群れの頭目》が《礼拝堂の霊》と《壁の守部》でダブルブロックされ、《マルコフの大将軍》をスピリットがチャンプブロック。  ブロックが宣言された後、森はまずブロックに参加していないスピリットを《収穫の火》で墓地に送り、「陰鬱」を満たした上で《吠え群れの飢え》で《茨群れの頭目》に複数ブロックに耐えうる力を与えようとする。  しかし、Kuoもこれに合わせて《夜の犠牲》で除去。わずかに首をひねる森に、《茨群れの頭目》は狼だからこれの対象になるよとばかりに、ジェスチャーで伝える。  返すKuoのフルアタックに、森は《マルコフの大将軍》への《蜘蛛の掌握》で迎え撃とうとするが、ここには《大物潰し》が。  これにて攻守が完全に逆転。  《若き狼》がブロックに回らざるを得なくなり、Kuoが《絞首台の守部》を追加したところで、森はカードを片付けた。 森 1-1 Kuo
Game 3
 今度は先攻を取った森が、再び《旅行者の護符》でゲームの幕を開ける。  《》2枚で静かにターンを返すKuoに、森はまず《片目のカカシ》。これには一瞬驚いたようなリアクションを返したKuoだが、戻って《霧のニブリス》を送る。  そして森のデッキが唸り始める。まず《月皇ミケウス》、X=3、そして《月桂樹の古老》という打点を高める強力カードが、戦場を支配にかかる。  Kuoも《霧のニブリス》のクロックを遅らされてはいるが、《エルゴードの審問官》を出しつつ、森の《月桂樹の古老》には《死の愛撫》で主導権を完全には渡さない。  森は4つ目のカウンターを載せた《月皇ミケウス》が自らアタック、Kuoは《エルゴードの審問官》でチャンプブロックして2点のライフを得つつ、トークンを得る(ただし0/1)。森は次いで《流血の呪い》で次なる大打撃を見据える。  Kuoは《町民の結集》で横に並べる戦略を続行。  ここで森は手札から、イニストラードのチェックリスト・カードを明かす。その真実は、小型の飛行クリーチャーが多いKuoには致命的とも見える《夜明けのレインジャー》。  しかしKuoも自らのターンに《突然の消失》をキャスト、森の1ターンの守りを封じるのみならず、《月皇ミケウス》を結果として除去してみせる。  これで大きく勢いを削がれた森だが、《夜明けのレインジャー》は健在。何もせずにターンを返し、《黄昏の捕食者》がスピリットを喰らい始める。  Kuoも黙ってはいない。すぐに《死の重み》《遠沼の骨投げ》と連打し、力づくで《黄昏の捕食者》を排除し、続くターンには《銀爪のグリフィン》を送る。  森はこの《銀爪のグリフィン》を《収穫の火》で焼きつつ、《ただれ皮の猪》を5/5で。  Kuoは《未練ある魂》を表裏で。しかし、《片目のカカシ》がその力を大幅に奪っている。  森は《マルコフの大将軍》をプレイして一気呵成の攻撃。さらに《夜明け歩きの大鹿》を追加。  盤面をまとめたはずが、《流血の呪い》のおかげで一気にライフを攻められ、かといって守るトークンのパワーは足りず、Kuoは首をひねりながらもカードをたたむことになった。 森 2-1 Kuo
「カカシ、超強かったね」  終了後に、森が笑って言う。  その言葉のとおり、第3ゲームは開幕の《片目のカカシ》が存分に力を発揮した形である。  しかしそれだけでは決してない。  《収穫の火》から《ただれ皮の猪》5/5につなげたターン、それ以前から森は《収穫の火》の使いどきを待っていた。  1ターン我慢したところに、Kuoが焦ったわけではなかろうが、《銀爪のグリフィン》を出した。これが絶好の餌となってしまったわけだ。  本人の着ている服やイメージ、さらに今日は緑赤白という押せ押せのデッキカラーではあるが、抑えるところはきっちり抑えている。内に秘めた緩急が強さのゆえんなのだろう。
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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