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グランプリ神戸11

読み物

Round 6: 三田村 和弥(千葉) vs. 荒井 健一郎(東京)

By Takeshi Miyasaka Round 6  「あんたが書きたいから呼んだでしょ! オレ一敗なんだけど!」  そう筆者に笑いかけながらフィーチャー席に着席するのは、mtg-jp 誌上の連載記事での連載に定評がある三田村「チーフ」和弥。  いくつか選出されたフィーチャーマッチの中から、筆者がこのマッチを書くことを要望したのは両者の人となりを知っているからに他ならないが、そもそも三田村がフィーチャーテーブルに呼ばれたのには理由がある。  「グランプリ・神戸で獲得した自分の賞金を全額被災地へ義援金として寄付しようと思います」  自身の連載記事で宣言した三田村は、少しでも多くの義援金を獲得するために戦っている。編集長が三田村をフィーチャーテーブルへ呼んだのは、理由がある。三田村には負けられない理由がある。  活動地域が近いゆえに知己の二人は、軽いトークを交えながら、互いにデッキをシャッフルし、試合が始まるのを待っている。勝った方は、初日突破にまた少し近づき、負けたほうは崖っぷちへと近づいていく。勝者は常に一人。無情なる勝負の世界。
Game 1
 両者ともにオープニングハンドを熟考したうえでキープしたゲームは、三田村の《コジレックの審問》で開幕する。荒井のオープンしたハンドは《謎めいた命令》 2 枚に、青黒い土地が 3 枚、《呪文づまりのスプライト》という序盤から中盤にかけて戦える、フェアリーらしいハンドであった。
三田村 和弥
三田村 和弥
 ここから三田村は《呪文づまりのスプライト》を捨てさせことを選んだ。しばらく続く序盤の攻防は有利に進むことだろう。  返す刀で荒井がプレイしたのは、引いてきた《コジレックの審問》! 三田村のハンドは、《思考囲い》《稲妻》《謎めいた命令》というグリクシスカラーのカード群。フェアリー vs グリクシスというコントロール対決が明らかとなった瞬間であった。荒井は《思考囲い》を捨てさせて、ターンを終える。序盤の戦いは痛み分け、といったところだろうか。  序盤で互いに失ったりソースは、ドローソースで補充されるのがコントロール同士の戦いである。よりカードを引いたほうが、有効カードへたどり着き、勝利に近づく。理論はいたってシンプルだ。  三田村は《定業》でドローの質を高め、4 ターン目には《精神を刻む者、ジェイス》を降臨させる。荒井の《忍び寄るタール坑》によって忠誠度を失うのはあきらかであるため、まずは自らのライブラリトップを確認して、忠誠度を 5 にしてターンを終える。荒井はセットランドからフルタップして《忍び寄るタール坑》で攻撃し、《精神を刻む者、ジェイス》の忠誠度をとりあえず 2 へ減らしておく。  生き残った《精神を刻む者、ジェイス》で《渦まく知識》して手札を充実させる三田村に対し、荒井は《謎めいた命令》をプレイできるよう、土地をプレイするのみでターンを返す。  「《精神を刻む者、ジェイス》のドロー能力を 3 回使われたら、勝ち目がないから片付けたほうがいい」というセリフは、いままさに《精神を刻む者、ジェイス》のドロー能力をじゅうぶんに利用している男が、彼を慕う若手に対して発したセリフだったか。
 荒井も三田村も土地を並べてターンを返しているだけだが、三田村はそこにワンクッション、《精神を刻む者、ジェイス》のドロー能力を加えているだけに、見た目も手札の質的にも有利そうに見える。実際、《精神を刻む者、ジェイス》のドロー能力→《定業》→《定業》と調整された三田村の手札は、いつのまにか溢れんばかりにふくれあがっていたのだから。  三田村はふくれた手札から 7 枚目の土地をタップインしてターンを終える。  ここでようやく荒井が動く。公開済みの《謎めいた命令》でアンタップの《》をバウンスとドロー。三田村の残りマナは 3 となる算段だ。これが解決されて、三田村はあふれた手札をディスカードする。  荒井は続く自分のターンに《思考囲い》をプレイ。  というカロリーの高いハンドが公開される。  ここから《精神を刻む者、ジェイス》を捨てさせた荒井は、自陣に《精神を刻む者、ジェイス》を降臨させ、ようやく三田村の《精神を刻む者、ジェイス》を対消滅させて片付けることに成功した。そして《変わり谷》で攻撃するが、これは三田村の《稲妻》と交換されたのだった。  コントロール同士の対決は、まずは手札を調整し、次いでより多くのマナをプレイし、しかるのちに脅威を展開してフィニッシュを決める、という三段階からなる。互いのフィニッシュをカウンターしきれるか、手札を攻めて押し通すか、カウンターで守り通すか。フィニッシュホールドを巡る攻防が醍醐味とも言える。  荒井がプレイした脅威である《饗宴と飢餓の剣》は、フェアリーが得たリーサルウェポンだ。《忍び寄るタール坑》を起動したり、装備品をプレイして使ったマナを、たった一度の攻撃で回復できる。しかも相手のリソースに与えるダメージは甚大だ。  当然三田村はこれを許すわけにはいかないので、《謎めいた命令》でカウンター。まずは 1 枚カウンターを使わせた荒井は、6 枚の土地をアンタップしたままターンを終える。  三田村は《思考囲い》をプレイ、荒井は《謎めいた命令》で応戦するが、《マナ漏出》で対応した三田村は《思考囲い》を捨てさせる。荒井の手札は 2 枚の《霧縛りの徒党》を残すのみとなった。プレイすることができれば強力なダメージ源となるが、荒井はフェアリーをコントロールできていない。
 安全確認を終えた三田村は《忍び寄るタール坑》で攻撃し、荒井がコントロールする最後の《地盤の際》と交換する。  脅威を巡る攻防を終えると枯渇した手札のかわりに、展開したりソースだけでプレッシャーをかけることになる。三田村も荒井もマンランドをコントロールしており、彼らの攻撃力はじゅうぶんにプレッシャーたり得る。三田村は《忍び寄るタール坑》で攻撃することを選び、荒井は引いてきた《呪文づまりのスプライト》をプレイすることを選んだ。フェアリーが生き残ることができれば、《霧縛りの徒党》へと「レベルアップ」することができる。あとは、いつレベルアップするか。《呪文づまりのスプライト》で攻撃してターンを終えた荒井は、三田村のアクションを待つ。  三田村は《忍び寄るタール坑》でアタックしてターンを終え、荒井の行動を見守る。荒井は期待に応えて《霧縛りの徒党》をプレイ。三田村は《喉首狙い》で応じるが、荒井はさらに《霧縛りの徒党》をプレイするが、三田村はこれを残していた《謎めいた命令》して荒井が仕掛けたビッグアクションを乗り越えた。しかし、代償としてフルタップとなった。  荒井は《思考囲い》をプレイし、三田村から《火山の流弾》を奪う。三田村の手札は土地と《謎めいた命令》だ。安全確認を終えた荒井は総攻撃、すなわち《呪文づまりのスプライト》と《忍び寄るタール坑》で攻撃する。返す刀で三田村は《忍び寄るタール坑》で攻撃する。互いのクロックは 4 対 3。  荒井にやや分があるが、互いのライフは 7 対 13。荒井がクロック差だけで逆転するにはライフを失いすぎている。荒井が逆転するには、三田村の《忍び寄るタール坑》を除去するか、さらにクロックを増やすしかない。が、望むクロックは、先の攻防で失ったばかりである。  20 分にわたる熱戦は、互いにすれ違う《忍び寄るタール坑》によって決着した。 三田村 1-0 荒井
Game 2
 両者力強くキープしたセカンドゲームは、荒井の《思考囲い》から始まる。三田村が公開したハンドは、序盤の攻防に強いものだった。  《精神を刻む者、ジェイス》を捨てさせられた三田村は、返す刀で《コジレックの審問》をプレイ。ファーストゲームを彷彿させる序盤戦。  この手札破壊で《苦花》を失った荒井は、《変わり谷》による攻撃プランへと移行する。三田村は残った《思考囲い》で荒井のハンドを確認すると《霧縛りの徒党》を発見、のちの脅威となるこれを捨てさせる。殴ってくる《変わり谷》は《稲妻》で処理。  そして三田村が繰り出した脅威は《セドラクシスの死霊》! 勝負がライフレースになると見て取ったか、荒井は《忍び寄るタール坑》での攻撃へとプラン変更、残ったマナで三田村の《忍び寄るタール坑》を破壊する。
 三田村は《セドラクシスの死霊》で攻撃してライフと手札を攻めつつ、《地盤の際》で失った土地の代替品を《定業》で探し当てる。荒井は《ヴェンディリオン三人衆》を公開して《人里離れた谷間》をプレイして警戒させてみるが、三田村はかまわずアタック。いちおう《ヴェンディリオン三人衆》をプレイしてブロックしようとしてみるも、ここに突き刺さる《マナ漏出》。
荒井 健一郎
荒井 健一郎
 ようやく、といった風に《精神を刻む者、ジェイス》をプレイすることができた荒井だが、三田村の場には《セドラクシスの死霊》と《忍び寄るタール坑》という二重の脅威が。ノータイムで《セドラクシスの死霊》を戻そうとして、しばし考えを巡らせることになる。  「むずいなあ」と苦笑しながら、対戦相手の三田村と《精神を刻む者、ジェイス》の、いずれの能力を行使するか談笑する荒井だった。  結局ドロー能力で手札を潤沢にすることを選択、三田村は《精神を刻む者、ジェイス》を《セドラクシスの死霊》のアタックで墓地へと送り、すぐさま自身の《精神を刻む者、ジェイス》をインプレイ。荒井のライブラリを検閲して忠誠度を 5 へ引き上げる。  《セドラクシスの死霊》と《精神を刻む者、ジェイス》を指さして「化けもんだよね、これ」とうそぶく三田村に対して、荒井も苦笑しながら「つええなあ」と、ぼそり。  ライフ表示こそ、三田村 15 に対し、荒井はまだ 12 も残っている。  しかし、《セドラクシスの死霊》と《忍び寄るタール坑》という二重の脅威をどうにもできないことを悟った荒井は、土地を片付け敗北を認めるのだった。 三田村 2-0 荒井
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