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グランプリ・香港2017

観戦記事

準決勝:佐藤レイ(東京) vs. Jacob Hart(オーストラリア)

By Masashi Koyama

グランプリ・神戸2017は15回戦のバブルマッチで負けちゃって12勝3敗だったんだよね。だから今回プロツアーの権利が手に入って本当に嬉しいよ」

 長い準々決勝を終えたジェイコブ・ハート/Jacob Hartは興奮冷めやらぬ、といった感じで先に準決勝進出を決めていた佐藤レイに向かって話しかけた。

 グランプリのプレイオフのシステム自体が一戦一戦でのノックアウト方式=負ければ即脱落ということもあり、冷静になれという方が難しいのかもしれない。

 とはいえ、ハートはたった今1時間以上に渡る試合を終えたばかりで多少の疲れもありそうなものなのだが、そんなことは気にしないという風に、すぐに試合を始めようとばかりに佐藤の向かいに着席した。

 一方、佐藤は早々に準々決勝の4卓中最初に勝ち上がりを決め、待ちくたびれていたこともあるだろうが、ハートのトラッシュトークに応じつつもすでに飄々とシャッフルを始めている。

 佐藤がこの大会を通じて感情を露わにしたことはあったろうか。15回戦を12勝2敗1分で終え、トップ8へオポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージの差で8位に滑り込めるかどうかという段になっても「多分(決勝ラウンドに残れる可能性は)五分五分だよね? まあ残れなくても仕方ないね」とどこか達観しているような、それでいてやはり飄々とした態度でトップ8発表のアナウンスを待っていた。

 熱いハートに対し冷静な佐藤だが、今ふたりの思いは同じだろう。

 「早くやろうぜ」


佐藤レイ vs. ジェイコブ・ハート

 写真撮影を終えるとすぐさま準決勝の幕が開き、ふたりは戦いにその身を委ねた。

ゲーム1

 佐藤が《難破船あさり》、ハートが《激情の猛竜》という立ち上がり。続く両者のアクションは佐藤が《セイレーンの見張り番》(《川守りの恩恵》が墓地へ)、ハートは《ティロナーリの騎士》を召喚するというもの。ここで佐藤は4マナを使える状態でターンを返す。

 からめ手の多い青を前にして、ハートは逡巡するも《ティロナーリの騎士》で攻撃。佐藤はこれを通し、互いに初めてのダメージが刻まれる。

 佐藤は《セイレーンの見張り番》でアタックし、《葉を食む鞭尾》で地上を固める。一方、ハートは5マナで止まってしまい......というのも変な話かもしれないが、手札に重いカード、具体的には《太陽冠のハンター》を2枚抱えており、思うようなアクションを取れずにいる状態だ。


ハートは思うようにアクションを取れず苦しい展開

 それを尻目に6マナに到達した佐藤は《巨大な戦慄大口》を追加。ハートは6マナ目を引けず、《ティロナーリの騎士》で攻撃。《葉を食む鞭尾》は《塁壁壊し》で討ち取るが、佐藤の飛行クロックは手付かずのままだだ。

 2ターン遅れて6マナに到達したハートは《太陽冠のハンター》をようやく召喚するが、佐藤はそのターン終了時に《風を跨ぐ者》。これでダメージが5点に増大し、アタックでハートのライフは9。見た目上は残り2ターンのクロックだ。

 ハートは《結束した角冠》を召喚し、《押し潰す梢》で《風を跨ぐ者》を落としクロックを外すが、佐藤は余裕綽々といった顔でタッチカラーの《隠れ潜むチュパカブラ》を追加する。

 ここでハートは《激情の猛竜》以外の全軍で攻撃。佐藤は《ティロナーリの騎士》を《隠れ潜むチュパカブラ》と、追加していた《野茂み歩き》でブロック。《巨大な戦慄大口》で《結束した角冠》ブロックを選択し、戦闘ダメージはそのまま解決。ハートは戦闘後に《太陽冠のハンター》2体目を召喚し、佐藤にターンを預ける。

 ライフが7のハートに対し、佐藤は冷静に《巨大な戦慄大口》と《セイレーンの見張り番》で攻撃。佐藤の恐竜は《太陽冠のハンター》と《激情の猛竜》との相打ちとなり、佐藤は追加戦力として《源流の歩哨》を召喚。じわじわとハートを追い詰める。

 ハートは《深海艦隊の扇動者》を召喚するものの、さらなるブロッカーも飛行クロックへの回答も用意できず、ライフ記録であるタブレットメモのリセットボタンを押したのだった。

佐藤 1-0 ハート


ゲーム2

 ハートの《大物群れの操り手》に対し佐藤は《野茂み歩き》から《セイレーンの見張り番》という「探検」シナジーを活かす立ち上がり。ハートは《棘尾ケラトプス》とサイズで対抗しようとするのだが、佐藤はさらに《ティシャーナの道探し》を続け、《野茂み歩き》が順調に育っていく。

 6マナが揃ったハートだが自身のターンにアクションは起こさず、佐藤は逡巡しつつも《大気の精霊》を召喚する。ハートが土地をタップしたところで、《押し潰す梢》かと思ってこれを墓地に置こうとするが、その手札からは《噛み付く帆背びれ》。

 そのままハートはクリーチャーサイズに任せたアタックを佐藤にお見舞いするが、佐藤のライフはいまだ18。《野茂み歩き》が佐藤のライフを高水準に保っている。


佐藤レイは冷静に勝利を手繰り寄せる

 やはりサイズで押し切りたいハートは、2体目の《噛み付く帆背びれ》から、《大物群れの操り手》以外でのアタックを仕掛ける。コンバットトリックが見えるだろうか......だが佐藤は冷静に4/6まで成長した《野茂み歩き》で《棘尾ケラトプス》を、《ティシャーナの道探し》2体で《噛み付く帆背びれ》をブロック。《野茂み歩き》は《塁壁壊し》で失うも、ハートの追加戦力は《オテペクの猟匠》。

 佐藤は《新たな地平》で《大気の精霊》を5/5に成長させると、飛行クリーチャーで攻撃する。ハートのライフは14で、佐藤の飛行クロックは7点。ターンが返ってくれば勝利できる算段だ。

 ここでハートは盛大に土地をタップし、半ば投げ槍に《太陽冠のハンター》をプレイし《オテペクの猟匠》で速攻を与え、勢い良くフルアタックする......が佐藤がブロックを宣言するまでもなく「その《新たな地平》がなあ......2ターンのクロックになっちゃったな」と大きな声と、そしてアクションで佐藤を祝福したのだった。

佐藤 2-0 ハート

佐藤レイ グランプリ・香港2017決勝戦進出!初戴冠まであと1勝!
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