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グランプリ・千葉2016

戦略記事

デッキテク:中野彰教の「黒単グリセルストーム」

by Masashi Koyama

(この記事はグランプリ本戦1日目に取材したものです)

 あなたの好きな色は何ですか?

 マジックを彩る白青黒赤緑の5色。マジックのプレイヤーであれば、この中にフェイバリットカラーがあり、その色のマナを存分に使い倒そうとした経験があることだろう。

 では同じ色を10年以上一貫して使い続けている意志を持つプレイヤーは、一体どれくらいいるのだろうか。5つの色が自由に使えるマジックにあって、きっとそんなプレイヤーはごく少数しかいないと思われる。ましてや、その色でグランプリに出場し好成績を残すなんて――まるで夢物語のようだ。

 だが、そんなドリームをこの大舞台で叶えたプレイヤーがいる。

 中野彰教――

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「黒が大好きなんです!」

 冒頭の質問を投げかけると、とびっきりの笑顔で中野は答えてくれた。彼はマジックを始めた『神河謀反』の頃から10年以上黒単色のデッキを使い続けていると言う。

 普段から本グランプリ主催者である晴れる屋に足繁く通い、黒いデッキを使い続けている彼は第4回戦でプラチナ・プロの高橋優太から大金星を上げる大立ち回りを見せ、8回戦終了時点で7勝1敗と好位置につけている。

 そんな岩をも通す「意志」を貫く彼の珠玉の一作がこれだ。

中野 彰教 - 「黒単グリセルストーム」
グランプリ・千葉2016 / レガシー (2016年11月26~27日)[MO] [ARENA]
12 《
2 《裏切り者の都

-土地(14)-

3 《意志の大魔術師
4 《グリセルブランド

-クリーチャー(7)-
4 《ライオンの瞳のダイアモンド
4 《水蓮の花びら
2 《金属モックス
4 《暗黒の儀式
4 《納墓
4 《思考囲い
4 《冥府の教示者
4 《浅すぎる墓穴
4 《死体のダンス
4 《暴露
1 《苦悶の触手

-呪文(39)-
3 《見栄え損ない
2 《真髄の針
2 《外科的摘出
2 《苦花
4 《罠の橋
2 《最後の望み、リリアナ

-サイドボード(15)-

 このデッキの基本的な動きは以下の通りだ。

1.マナ加速から《納墓》で《グリセルブランド》を墓地へ送り、《浅すぎる墓穴》か《死体のダンス》で戦場へ送り込む。

2.大量のカードを引き、《暗黒の儀式》《水蓮の花びら》などのマナ加速を重ね《納墓》で《意志の大魔術師》を墓地に落とす。

3.《浅すぎる墓穴》か《死体のダンス》で《意志の大魔術師》を戦場に出し、能力を起動。

4.墓地の呪文を大量に唱え、ストームが十分に溜まった《苦悶の触手》を対戦相手へ打ち込む。

 これはあくまでも動きの一例であり、他の手順としては《死体のダンス》か《浅すぎる墓穴》プレイ、解決前に《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動し、手札にあるクリーチャーを釣り上げるルートもある。

 また、忘れがちであるが《納墓》は クリーチャー以外のカードも墓地に送ることができる ため、あらかじめ《冥府の教示者》か《苦悶の触手》を墓地へ落とし、《意志の大魔術師》から唱えることが可能となっている。

  ANTに代表されるストーム系デッキは一度コンボを防がれた際の息切れが激しく、その後のリカバリーが非常に困難だが、《意志の大魔術師》があればすぐに復旧できる点も非常に大きい。

 《意志の大魔術師》の元祖と言える《ヨーグモスの意志》はあまりの強力さにレガシーでは禁止カードとなっているが、このデッキであればその凶悪さを十分に堪能できそうだ。

 この種のコンボデッキには致命的なカードが多くサイドボード後のゲームに課題を抱えていそうだが、中野はかなり割り切ったサイドボードを用意することでこの問題を乗り越えようとしている。

「奇跡コントロールや《スレイベンの守護者、サリア》《墓掘りの檻》などの苦手なカードを擁する相手にはサイドボード後から別軸の勝利手段を用意しています」

 前述した通り、中野は本グランプリで第4回戦で対戦したプラチナ・プロの高橋優太を含む2度、現環境の大本命である奇跡コントロールに勝利しており、ここまではこの戦略が功を奏しているようだ。

 そしてこの先も好調を維持し、決勝ラウンド進出を果たすことはできるか――彼の「意志」に注目だ。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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