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なかしゅー世界一周

2013.04.04

なかしゅー世界一周2013・第6回:アルプスを越えてイタリアへ

By 中村 修平


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 ただいま車中にて流れる景色をぼんやりと眺め中。3月も末だというのに雪だらけ。
 自家用車で国境を越えるという経験は初めてです。
 チェコ・ピルゼンから、モーツァルトの生誕地として名高いドイツ・ザルツブルクあたりを経由して、アルプス山系を越えてイタリアへ。向かっている道の先々に古城や修道院みたいなものがあって、中々見飽きないですね。
 かつてのドイツの諸侯もこうやって足しげくイタリアへ向かっていたのかと思うと、なるほどドイツとイタリアというのは近いのだなあとも感じます。

 それにしても、何も予定を立てず人任せという旅も、たまにだと楽で良いものですね。当たり前といえば当たり前ですが。
 普段は、最低限でも交通手段と宿の確保は必ず自分でしているのですが、今回は全くなし。というか、適当に『うんうん』言っていたら気がついたらヨーロッパ、チェコに連行されてきたというのが本当のところです。

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旅のはじまりと

 ではなぜこういうことになったかというと、今年初めのシドニーあたりまで遡ります。
 チェコには2人のルーカス、ルーカス・ブロホン=プロツアー「闇の隆盛」トップ8と、ルーカス・ヤクロフスキー=今期プラチナレベルがいるのですが、

『3人目はどっちのルーカスが良い?』
 唐突にジュザに問われて、
『どっちでもよいよ』
『いやいや、どっちだよ』
『んじゃルーカスで』
『だからどっちのルーカス?』
『どっちのルーカスだと思う?』
 みたいな茶番を経た結果、コインフリップでヤクロフスキーになったところからです。

 とは言っても、その頃は正直そこまで本気にしていたわけではなかったのです......わりかしというか、いやかなりジュザは適当なところがあって、例えば11月のグランプリ・京都に向けては既に複数の日本人、私が知っているだけで3人以上に『チーム組もうぜ』なんて声をかけてたり。なぜ知っているかというと、もちろん私のところに問い合わせがきているからです。

 まあこの時も話半分くらいに受け答えしていて、「前週にイタリアでグランプリもあるしトラベルプランは任せろ」という心強い受け答えとその後1ヶ月ほどの音沙汰無しを経て、プロポイントもなんとかなりそうだし、どっちでもいっか......と思っていたところから更に急展開を迎えたのがプロツアー終了後のモントリオールにて。

『今日こそ旅券を取ろう! 夜にチェコ部屋に来て』

 こうして出発15日前に急遽ヨーロッパツアーが決定。
 ちなみに旅券は、ジュザのグランプリ・ボーフムの賞品である「ヨーロッパグランプリへの旅券」を私名義へ振り替えることを担当と取り付けた上で、さらに予算を聞き出してちょっと余っていたので残りをギルド門侵犯のボックスで受け取るという辣腕ぶり。
 やる気があるときのこいつは本当に抜け目がないです。

 問題としては、それなりにやる気が無いところから降って湧いたヨーロッパ行きの影響で、アメリカ1ヶ月+日本に7日間+そしてヨーロッパにおおよそ10日と休みなしになってしまったことですね。

 ということで改めて、
『トラベルプランは任せてくれ、ついでにスタンダードのデッキも用意しとくよ!』
との言葉に生返事をしつつ、本当に何の準備もしないままヨーロッパに向かったわけですが......

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 おっと、その前に人生初の中東経由、ドバイのエミレーツ航空を使用できたり。
 普段はマイレージの都合でここは使わないのですが、他より300ドルも安かったのと、まあせっかくそういう機会ではあるし、乗ってみたかったしと、使ってみることにしました。
 金満アラブの象徴らしく、機材やサービスが凄まじく良いというという噂通り、まず搭乗機がエアバス社の最新旅客機A380。
 何かとニュースになってしまっているボーイング787は中型の旅客機ですが、こちらは超大型。1階と2階が完全に別構造になっていて搭乗口も別々という、なんだか訳が解らない仕様となっています。あまりに機体が大きすぎて、かなりの数の乗客がいるのにも関わらず久しぶりのシート3列独占状態。
 それと個人的には、備え付けの個人テレビが大きい上に電源口とUSB充電口が付いているのは評価できるポイントですね。
 おかげでパソコンをつけっぱなしにして寝るという、普段では考えられないような贅沢もできました。

 贅沢ついでにちょっとした、いや冷静になってみると物凄い散財もしてしまいました。
 前週の横浜で、とある怖くて《強迫/Duress》打つのが大好きな、仮名として『藤田さん』という人から「ドバイといえば宝くじ。なんと確率5000分の1で1億円。凄い還元率!実にお買い得!!」なんていう催眠商法まがいの、いや力強いお勧めをいただき、ついつい一口買ってしまいました。
 ちなみにお値段278アメリカドル。

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 とりあえず買ってしまった後に、「経費で落ちませんかね?」なんて編集の吉川くんに聞いてみると、
『落ちるとなんて思ってた?』
 ああ、なんて素敵なお返事。

 まあ、発表は2ヶ月後らしいので、当たったらこの場でご報告させていただきます。


チェコで少しの滞在

 ということでチェコ、プラハに到着はしたのですが、ジュザの家があるピルゼンまではおおよそ100キロ程の距離。
 もちろんそれくらいは私もジュザも抜かりはありません。
『シフカに出迎え頼んどいたから。あ、あとお母さんがもうすぐ誕生日なんでツナおにぎりを5つほど買っといて』
 なんか色々と反応に困ってしまいます。

 もっと問題だったのは、空港の売店でツナが売り切れでシャケマヨしかなかったこと。
 とは言ってもジュザはシーフード嫌いなのでこれでも大丈夫なのかさっぱり、まあ普通に日本のお菓子を買っていきつつ。
 日本人に誕生日プレゼントでコンビニのおにぎりをあげたら、まず間違いなく拳骨が飛んでくるという事実はこのまま伏せておくことにしましょう。

 多少は心配していたシフカとの合流も問題なく果たし、いざピルゼン......はピルゼンなのですが、ピルゼンスタジアムへ。

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 この日、木曜日はサッカーUEFAヨーロッパリーグのトーナメントラウンド、FCヴィクトリア・ピルゼン対フェネルバフチェ(トルコ)のファーストレグが行われるのです。
 出発直前に「そういうのがあるけどチケットいる?」って聞かれたので二つ返事でOK。
 実は生でサッカーを見るのは10年ぶりくらいなので楽しみだったりします。
 それにしても、道理で日本を水曜日出発とかなり早いスケジュールに取られていたわけです。

 武装の警官隊や、ゲーム開始前からボルテージが上がりすぎているサポーターに日本とは温度が違いすぎるな、と感じつつ、なんとかキックオフ直後くらいに席に座ることができました。

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 結果は残念ながら後半中盤に疲労が蓄積したところにフェネルバフチェがカウンターで1点。そのまま逃げ切ってフェネルバフチェの勝ち。残念。

 翌朝、トルコ国旗の三日月になぞらえたというクロワッサンの俗話ではないですが、ヨーロッパ中、どこでも繁殖しているトルコ料理、ケバブを食べて溜飲を下げた後。
 さて、その中で唯一と言ってもよいケバブをとんと見ない国、イタリアに向かうとしますか。
 という前振りを経てようやく今に至るというわけです。

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グランプリ・ヴェローナ

 チェコからイタリアまでは車でおおよそ7時間。

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 昼ごろに出発して、到着したのは午後8時を廻ったあたりですね。
 とりあえず会場で、飛行機で到着していた来週チームメイトの方のルーカスと合流、そしてスロバキア人で今はカバレージスタッフのマテジ・ザトカジを探さなくてはならないのです。

 ヨーロッパはウェブ実況では去年からと、既に3年が経過しているアメリカに比べてかなり後発なのですが、その分力を入れていて、担当はプロツアーチャンピオン兼レベルジャッジでもあるドイツのサイモン・ゴッツェンに、ベルギーのドンでありプロツアートップ8入賞4回のマリーン・リバート。
 完全に余談ですが、ポッターと言っても怒らないのに英語読みでマリジンと言うと凄く怒ります。
 そしてザトカジと看板を揃えた上で、色々と機材の拡充、また見せ方にも毎回趣向を凝らしています。

 ちょっと時系列が前後しますが、このグランプリからの新コーナー、「王様マリーンの勝手気ままにデッキのキーカードトップ5」を発表などは本人のキャラもあって凄く面白い。
 元々リッチ・ハーゴンのポッドキャストというテキスト以外のコンテンツがありましたが、既にこちらではテキストと実況配信の主従が逆転している印象です。

 と、このままだと今一番いきいきしているコンテンツの話を延々としてしまいそうなので脇に本筋に戻るとして、なぜザトカジを探しているかというと、手持ちユーロがゼロだから。
 人づてでザトカジから日本語版のギルド門侵犯のボックスを頼まれたので、ユーロはそれで良いやとユーロを全く用意していなかったからです。
 ちなみにチェコはユーロ圏ではありますが通貨はチェコ・コルナ。

 そしてザトカジは今日は来ないという悲報。

 困りました。このままでは大会に参加するためのお金がありません。
 しょうがないからクレジットカードでエントリーできるか、確認しようとしたらジュザが、
『あ、レジスト必要ないよ。事前にウェブ登録で一緒にやっといたから』

 おおっ、あなたは神なのか!
 そういえばずっと前にDCIナンバー教えたことがありましたが、まさかやっておいてくれるとは!!

 と見直したのに、翌朝で大減点。ホテルでまごついてトーナメント開始予定時間2分前に会場到着。
 ちなみにこの時デッキリストは真っ白、シフカ、ジュザ、イワン、ルーカス、そして私と5人して突貫作業のリスト記入の末、なんとか席に着いたのは...まあ控え目にみてどう見ても遅刻でしたが、なんとか許してもらえました。ただ字が汚すぎて自分で判別が出来ないレベル、ついでに言うと一部カードは足りていないし、そういえばそのカードは《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》なのですが、急ぎすぎてて二つ名を書いていなかった気もします。
 あ、練習時間は本当にゼロですね。とっても良い感じのグランプリです。

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 早速バイ明けの初戦でジャッジが来てゲームロスの宣告が......
 えっ、対戦相手に?
 そしてフィーチャーマッチで土地が止まる対戦相手......

 なんだかなあという感じです。
 ちなみにデッキの廻りは非常に悪くて、マリガンした上で毎回こんな初手で勝てるのかなあと思いながら何故か勝つ、というのを繰り返して気がつけばここまで全勝。
 ジュザも全勝で1番テーブル、2番テーブルと隣同士で初日最終戦を迎えることになりました。
 同じデッキを使っているシフカも1敗で初日抜けを確定させていて、ルーカスも2敗。
 ジュザが今までで一番自信があるデッキというのも頷ける...いや正直、全然デッキが廻っていないでかなり泥臭く勝っているので全く確信が持てませんが、とにかくここまではやってきました。

中村 修平
グランプリ・ヴェローナ2013 / スタンダード
4 《森》
1 《平地》
1 《沼》
4 《寺院の庭》
1 《陽花弁の木立ち》
4 《草むした墓》
2 《森林の墓地》
1 《神無き祭殿》
3 《孤立した礼拝堂》
1 《魂の洞窟》
1 《ガヴォニーの居住区》
1 《大天使の霊堂》

-土地(24)-

4 《アヴァシンの巡礼者》
3 《東屋のエルフ》
2 《国境地帯のレインジャー》
2 《ケンタウルスの癒し手》
3 《修復の天使》
4 《スラーグ牙》
4 《静穏の天使》
1 《孔蹄のビヒモス》

-クリーチャー(23)-
4 《忌まわしい回収》
4 《根囲い》
1 《血統の切断》
4 《堀葬の儀式》

-呪文(13)-
2 《死儀礼のシャーマン》
2 《ケンタウルスの癒し手》
2 《幽霊議員オブゼダート》
2 《強迫》
1 《墓場の浄化》
3 《突然の衰微》
2 《血統の切断》
1 《魂の洞窟》

-サイドボード(15)-

 が、相手はジョエル・カラフェルの人間リアニメーター。
 《堀葬の儀式/Unburial Rites》をキーカードとしているのは同じですが、こちらが主に《静穏の天使/Angel of Serenity》で盤面を制圧することを目的としているのに対して、あちらは《栄光の目覚めの天使/Angel of Glory's Rise》で一撃必殺。
 《炎樹族のシャーマン/Burning-Tree Shaman》+《地底街の密告人/Undercity Informer》+《悪鬼の狩人/Fiend Hunter》が戻ってくる→《悪鬼の狩人/Fiend Hunter(ISD)》で《栄光の目覚めの天使/Angel of Glory's Rise(AVR)》を追放→発生する2マナでシャーマンと狩人を生け贄に捧げる→天使が再び帰ってきて→シャーマンと狩人のセットが戻ってくる、というサイクルでこちらのライブラリーが削り切れるという動き。

 その差はいかんともし難いです。
 とにかく3点セットが揃っては駄目。墓地に落とすスピードはこちらの8枚に加えて《信仰無き物あさり/Faithless Looting》と《地底街の密告人/Undercity Informer》までいるので比べ物にならず。
 こちらの勝ち筋は、高速で《静穏の天使/Angel of Serenity》を釣って相手の墓地にあるキーカードを追放しながら4回殴るというのが一番現実的ですが、手札から《悪鬼の狩人/Fiend Hunter》が出てきた場合、相手に塩を送ることにもなりかねない、というリスクを抱えてのかなり不利な戦いになります。
 1本目はカラフェルがダブルマリガンをするも、5ターン目に3点セットと天使が墓地に落ちて手札から《堀葬の儀式/Unburial Rites》でおしまい。
 2本目はこちらがダブルマリガンでそもそも勝負にならずであっさり終了という幕切れ。

 改めて認識しました。
 勝ち筋が無くはないですが、物凄く厳しいマッチアップです。
 とはいえ、全く期待していなかった大会で8勝1敗なら充分です。
 デッキの感触から大きなことは考えず、明日は目標3勝3敗1分けでプロポイント......なんて言っていたら、同じく横で3本目ダブルマリガンで死んだジュザから「そこはトップ8目標だろ」との突っ込み。
 確かに使った4人全員が初日抜け、うち3人が1敗なら全然期待が持てそうだね、という話をホテルに向かう車の中で話していたのですが......
 まさかここから道に迷って1時間ヴェローナをドライブする羽目になるとは。
 さらに翌日にはもっと悲惨なマッチアップが待ち受けていようとは、黄色いM字に行きたがるチェコ人達を押さえてホテル飯にしたこの時は思ってもみませんでした。

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 昨日の教訓からちゃんと余裕を持って会場入りしたまでは良かったのですが、1戦目シフカとの同系対決に負けた後。
 対人間リアニメーター、対人間リアニメーター、間にジャンドビートダウンを挟んで、人間リアニメーター人間リアニメーター人間リアニメーター......
 延々と人間リアニメーターと当たり続ける羽目に。
 おかしいな、2日目のプレイヤー130名のうち、このデッキを選択したのは20名強くらいだったのにな......
 実に日曜日の7戦中5戦が人間リアニメーターとの対決で、この日のスコアは2勝5敗という散々なものでした。
 またしてもプロポイントが取れず。
 そうでなくてもあまりデッキが廻っていなくて苦しい週末だったとはいえ、初日がちょっと良い位置にいただけに余計にがっくりと来るものがあります。
 私だけではなく最終戦トップ8駆けだったジュザは敗北、シフカも3勝4敗で辛うじてプロポイントと、昨日と正反対に散々な結果に一同うなだれ、チェコに撤収。

 Krasnitski Crushes in Verona(英語イベントカバレージ)


花のヴェローナ

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 と、その前にお願いしてちょっと寄り道してもらいました。
 花のヴェローナといえば『ロミオとジュリエット』の舞台となったところ、もちろんシェイクスピアのそれ自体は創作ですが、当時の邸宅がジュリエットの家として観光スポットになっているのです。

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 せっかくなので記念撮影。そして今度こそチェコにかえろかえろ。
 まだヨーロッパ滞在は1週間もあるのです。

 次はオランダ行と、またも急遽決まったアメリカ行についてになると思います。
 それではまた次回、世界の何処かでお会いしましょう。

アメリカから帰国中の機内にて
中村修平

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