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なかしゅー世界一周

2013.03.21

なかしゅー世界一周2013・第5回:世界最大と日本最大のトーナメント

By 中村 修平


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 アメリカ勢大勝利。そして来期4つ目のプロツアーの開催がアナウンス、という久しぶりに私にとっては喜ばしいニュースで幕を閉じたプロツアー「ギルド門侵犯」でしたが、1月末からの私のアメリカ行はもう少し、ほぼ2月一杯まで続きます。

 初めの2週間は練習でベガスのイーフロウ家、次の1週間はカナダ・モントリオールでプロツアー、までが前回の流れ。
 そしてこの週は、グランプリ・シャーロットに参加してから帰る、という旅程にしてあるのです。

 ここで更なる追加プロポイントを...というのは実は微妙なところなのですけどね。
 現状私の今期プロポイントは47点。
 プラチナレベルには到達していますし、大目標である16人トーナメント(世界選手権)の方の目標も概ねキープできている。
 もちろんトップを狙うという選択肢も無くはないのですが、個々の出来ではなくてシーズン毎で目標を達成できるかという点に力点を移してしまってからはや5年。
 この余剰ポイントを次のシーズンに持ち越せたら良いのに、ともったいなく感じてしまうので、こういう状態になったときはそれはそれで困ってしまいます。

 まあ、ここのところプロポイントには苦労し続けていたのでおおよそ3年ぶりの贅沢、いやラッキーと言ってしまって良いです。
 今シーズンを見渡して、敢えて言葉を選んだ末に『適当』が妥当じゃないかと思えるプロプレイヤー・クラブのレベルシステム。それに苦労しているプロが多数いる状況、もう残すところグランプリ数回とプロツアー1回のみという終盤に移っても次シーズンのプロツアー参加権を確保している日本人が私を含めて3人しかいない、という現状を見ているとそう感じてしまいます。

 今回の旅の仲間、行弘賢はその嵐のシーズンに翻弄されている1人。
 プロツアー「ラヴニカへの回帰」で賞金圏内、そして先日のグランプリ・シンガポールを優勝したのにも関わらず、未だにプロツアー継続参戦に必要なゴールド・レベルの確保すらもままならないという状況に置かれています。
 プロツアー「ギルド門侵犯」終了時点での彼の保持ポイントは20点。
 ゴールドまでは30点が必要で、プロツアーでは最低3点が保証されているので都合7点。
 グランプリで言うとまだもう1回優勝分(8点)が必要、ということでこのエクストラグランプリに参加してきたわけですが...

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 まあそんなことは一端脇に置いておいて、こんな人が住むような気温じゃないところからはさっさとおさらば、退廃の都・ベガスに戻って行弘をめくるめくホテルバイキング=バフェ漬けにする作業に没頭することにします。
 この数年でめっきり横に伸びた行弘を更なる愛されボディにするために全力を惜しまぬ所存。ベン・スターク一押しのシーザーズから始まり、アリア、チャイナタウンの寿司食べ放題店伽耶、そして再びシーザーズの朝バフェと1日1食のバフェ祭り。

 順調に気に入ってくれたようで、最終日には「眠くてもうご飯とかいいや」という私から布団を引っぺがしてバフェに連れて行こうするくらいになりました。
 もし私がマジックを辞めた時にはフォアグラ職人という方向に進むのもありなのかも。

 と与太話はこれくらいにしておいて、
 再びの乗り継ぎ先でまたもや乗れずになりかけるなど、ある意味予定通りの過程を経てシャーロットに到着したのは午後11時あたり。
 万が一を見越して、ウェブ登録+当日到着でも間に合うスリープインスペシャルという下準備を経て死角なし、と思ってこの地を踏み出しましたが、空港のWi-Fiを拾ってツイッターを見ていると、ブラッド・ネルソンが
「前日受付の段階で1500人超えしている」
 なんてつぶやいているじゃないですか。

 なるほど、今考えても地獄の始まりを予感させるには充分な幕開けですね。
 ですが当時は翌朝10時くらいに起きだして、悲惨なことになっている会場の実況ツイートに半笑いをするくらいの余裕がまだあったのです...


グランプリ・シャーロット~世界最大のトーナメント

 おまたせしました。ここが地獄の入り口。

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 間違えました。これは隣のモータースポーツ関係の展示。にこやかですねー

 そしてこれが真の地獄の1丁目です。

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 もう一度、今度はアップでいきましょう。

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 2,000人以上がデッキチェックをしている様はなんともはや。
 さらに追い打ちを加えるなら、これが正午前後だということも特筆させていただきたいところです。
 順当に行ったとしてここからデッキ構築に1時間、そして各ラウンドが50分+20分の1時間10分で進行したとしてアナウンスによると11回戦なので14時間弱、つまり日曜日午前2時。全てが予定通りに進んだとしてもです。いい具合に地獄です。
 もっとも、これは途中で「今日は9回戦で切り上げる」というアナウンスが出たので、せいぜい日付を越えたくらいという、これまでにも何回かあったくらいで終われたのですが...

 とりあえずは、せっかく20ドル追加で支払ったスリープインスペシャルの利用価値が実は無かったということが、目の前にある解りやすい現実のようです。
 スリープインスペシャルでは、プレイヤーが持つ不戦勝の数ごとに3回のデッキ構築のタイミングがありました。本戦のパック開封と同時に進行していた1バイ持ちのプレイヤーの回には参加できませんでしたが、今から更に待つよりかはもうやってしまおうということで、2バイ持ちプレイヤーの回に参加してパックをもらうことにします。

 これでその分だけ良いパックを引ければ言うことがないのですが...そう世の中上手くは出来ていませんね。
 まずは再びのゴールドラッシュカードは《シラナの星撃ち/Silhana Starfletcher》フォイル。

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 今回は隣のテーブルの隣の席が当たりでした。残念。

 そして、もらったのはそこそこ程度のパック。
 2マナ域までが4枚という、やや軽いところが足りないボロスに無理やり《ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager》と《一族の誇示/Clan Defiance(GTC)》をタッチしたもの。

 隣の行弘はもっと悲惨なパックを引いたようで、赤と白のマナ発生源が全マナ発生源の半分程度で《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》を入れているというデッキを組まされて、結局バイ明け後2勝3敗、8回戦目でアウト。

 私も初めの3戦を1勝2敗で、もう後はいつ帰るか、というところから連勝して気がつけば初日最終戦バブルマッチのフィーチャーマッチ。
 お互いにボロスだというのに相手がダイスロールで勝ち→後攻を選択、1本をこちらが取って再び相手が後攻を選択、負け。
 そして相手が後手を取りたいならとこちらも後攻を選択、という泥仕合。
 その上でこちらがマナフラッド、返すあちらは1マリガンのマナスクリューという、見るもの的には滑稽、やってる側としては地獄の戦いの末、ようやく引けた《都邑の庇護者/Urbis Protector》で2日目へと進出したのが午前1時頃。
 これでとりあえずはドラフトまで行ける、と安堵しながら宅配ピザで遅すぎる夕食を取っているさなか、

『明日の10回戦目でもう1回足切りがあるよ』

 というアナウンスが。
 いや、本来は11回戦が筋だし、そこからシステム通りに進行すると10回戦目が正当な足切りライン、そしてこのままだと300人以上がドラフトラウンドに進んでしまい収拾がつかなくなってしまうというのも解りますが。思わず何の罪もない枕にコークスクリューブローを2、3発してしまったのは不可抗力としてもらいところです。

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 というわけで翌日の朝、寝ぼけ眼のまま8時前に会場に到着して、改めてバブルマッチの第10回戦の開始、なんとか私はこれに勝つことができましたが、負けてしまったキブラーやルイスがご立腹だったのはこれもまた不可抗力。
 申し訳程度に、10回戦敗退で次に進めなかったプレイヤーはサイドイベント1回無料、なんて発表をしていましたが、どちらかという火に油を注いだだけだったような...

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合間にサイン会も華やかに

 その後の第11回戦も勝利して9勝2敗で折り返したところでドラフトポッドは14番テーブル。賞金圏内は64人、8番テーブルなのでまだまだ彼方。
 上手く色の誘導ができて満足な出来のオルゾフが完成と思いきや、2戦目は実は卓内に遥かに上回る完成度の同系がいたというフィーチャーマッチ。
 《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》、《死盟の天使/Deathpact Angel》にくらくらしながらもなんとか下して連勝。しかし後に卓内でのボスキャラ、デビット・シャーフマンに倒されて2勝1敗。
 これで、トップ8の目どころか2勝1敗でようやくプロポイント、というポジションに落ちたところで、大失敗のオルゾフデッキを構築してしまい2連敗。
 最終戦は不戦勝ゲットで70位。

 なんというか、ただひたすら疲れました。

 帰りの乗り継ぎ先、アトランタで行弘がどうしても伝説の呪われたアイスクリームを食べたいと男気溢れるアピールをしてくれたので、アイスクリームただもらいで若干溜飲を下げたことだけが救いですかね。
 全く、何故君はパーを出すかね...

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久しぶりの日本、グランプリ・横浜

 ということで、アイスの余韻を噛み締めたまま、10時間程の睡眠と、字幕無しでリンカーンの伝記映画に挑戦して15分で挫折を味わういつつ、それ以外は原稿を書くといういつものコースを経て日本に帰着。
 危うく行弘の預け入れ荷物がロストしそうで、「やはりアトランタの呪いというのはあったのだ」と結論付けようとした瞬間に荷物が届いて残念だったということ以外では、特筆すべきことはありませんでした。

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 そういえば1ヶ月ぶりの日本でした。
 帰ってきてみるとつくづく思います。やはり日本は素晴らしい。
 例え照明がちょっと暗かろうとそれは些細な問題。
 久しぶりの我が住処に久しぶりの日本の食べ物。溢れかえる日本語、アメリカでは中々味わえないちょっとした気遣い、気がつけばだいぶ暖かくなっているこの気候までもが本当に素晴らしい!
 と、謳歌するのは半日程度で、後は海外からの客人の応対をするのに追われていたという気がします。

 帰国した火曜日に、英語版カバレージのために来日してきたベン・シュワルツと合流して、水曜日にはアメリカから来たクリスティアン・カルカノをお出迎え、その合間に今はイスラエル在住らしいアメリカの若手プレイヤー、シャーハーラ・シャンハーからの相談、のちに横浜への旅券を取ったからよろしく。というのに対応していたり。

 あ、そういえば、せっかくなんで家から歩いて5分のスカイツリーに、カルカノを連れてとうとう登ってみたりしていましたね。

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 某アニメが好きなカルカノに、スカイツリー下のテレビ局直営ショップに連れて行ったところ、思いのほか展望台への行列が少なかったというのが発端ですが、喜んでもらえたようで。
 後日、秋葉原に連れて行ったらより喜んでいたのは、わりかし複雑なのですが。

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 それはそれとして、グランプリ・横浜の方は、流石に前週のアレを経験していると2200人程度なら動じなくなっていましたね。なんやかんやで日本だと電車が終わらない時間に終了してくれますし。
 ただデッキの方はそうもいかなかったようで、最後に連敗しての初日落ち。
 これで3連続くらいの日本のグランプリ初日落ち。そしてノーポイント。
 余裕があるとはいっても、去年の実績から考えて追加の1点くらいはどこかで取っておきたいところではあって、そうなると残りはあと3つですか。

 とにかく疲れきった2週間。
 そして気がつけばもう次のフライトとなっていて自分でも驚いています。
 次はヨーロッパで2連戦、ヴェローナとユトレヒト。オランダでチーム戦だなんて、これもまた悪名高い双頭巨人戦グランプリだったアムステルダムを思い出しますが、どうなることでしょうか。
 それではまた次回、世界の何処かで。

ヨーロッパ滞在先のチェコ、ピルゼンにて
中村修平

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