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木曜マジック・バラエティ

2011.05.12

浅原晃の「デッキタイムトラベル!」 Part5 -コンボの系譜 中篇

By 浅原 晃


 前篇からの続き。コンボ編の続きをウルザズ・サーガから!


■1998年

15) 《波動機/Fluctuator(USG)》

 ウルザブロックのサイクリングのシステムを利用したコンボとして一世を風靡したのが《波動機》だ。ウルザブロックではサイクリングのコストが無色2マナに限定されていたため、《波動機》を置くだけで、サイクリングをタダにすることができた。そして、ほとんどのカードをサイクリングカードで埋めることで、0マナのキャントリップを繰り返し、特定のカードにたどり着きそのカードを使ってコンボを達成するという発想が生まれた。

 《波動機》によってサイクリングされたカードは墓地に落ちるため、サイクリングを繰り返しながら、墓地をリソースとして使えるカードがコンボの片割れとして採用される。その中でもスタンダードで活躍したのが、《生ける屍/Living Death(TMP)》と組み合わせた「サイクリングデス」だろう。


⇒1999年 +《生ける屍》+各種サイクリングカード

『サイクリングデス』
4 《漂う牧草地/Drifting Meadow》
4 《離れ島/Remote Isle》
4 《汚染されたぬかるみ/Polluted Mire》
4 《滑りやすいカルスト/Slippery Karst》
4 《薄煙の火口/Smoldering Crater》
4 《枯渇地帯/Blasted Landscape》

-土地(24)-

2 《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
3 《法の信奉者/Disciple of Law》
4 《ふくれたヒキガエル/Bloated Toad》
4 《闇番のエルフ/Darkwatch Elves》
4 《ペンドレルのドレイク/Pendrell Drake》
4 《砂州の大海蛇/Sandbar Serpent》

-クリーチャー(21)-
2 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4 《波動機/Fluctuator》
2 《生ける屍/Living Death》
3 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
2 《排除/Clear》
2 《スクラップ/Scrap》

-呪文(15)-
2 《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
1 《優雅の信奉者/Disciple of Grace》
1 《法の信奉者/Disciple of Law》
4 《防御の光網/Defense Grid》
2 《再入植/Repopulate》
2 《排除/Clear》
1 《スクラップ/Scrap》
2 《沸騰/Boil》

-サイドボード(15)-


 ウルザズ・サーガだけの時代は他のコンボデッキの影に隠れていたが、ウルザズ・レガシーの加入によって、より多くのサイクリングカードが手に入り、コンボデッキとしての強さを確立したデッキだ。フィニッッシャーとしてはサイクリングで墓地に落としたカードを全て戦場に拾い上げて物理で殴って勝利する。

 しかし、このデッキも構成上、《波動機》を置けば決まってしまうという、お手軽な1枚コンボであったためにスタンダードでは強すぎるとして禁止された。


■1999年

16) 《修繕/Tinker(ULG)》

 ウルザズ・サーガでもっとも強いカードと言われて思いつくものの一つは《トレイリアのアカデミー》ではないだろうか。この土地はコンボそのものではなかったが、大量のマナを生み出すことで、あらゆるコンボを高速化した伝説の土地だ。
 ウルザブロックがデザイン上、コンボを多く作れるセットであったというのは一つの方向性として存在していたものの、悪い印象を与えてしまったのは、マナを大量に生み出す、もしくは、マナをフリーにするといったカード群が同時に収録されていたことだろう。それによって、ゲームそのものを壊してしまっていたのは間違いない。

 高速なデッキはそれだけで強さと理不尽さを持つ。ウルザズ・レガシーで、高速化という点で活躍したカードの一つは《修繕》だろう。《修繕》には2つの役割がある、一つが、サーチとしての役割、もう一つがマナを無視して出すことができる、マナ加速としての役割だ。


⇒ 1999年 +《記憶の壺/Memory Jar(ULG)》+《偏頭痛/Megrim(M10)》

『メグリムジャー』 Randy Buehler
グランプリウィーン99 ベスト4 / エクステンデッド
4 《Underground Sea》
4 《真鍮の都/City of Brass》
3 《地底の大河/Underground River》
3 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
2 《宝石鉱山/Gemstone Mine》

-土地(16)-


-クリーチャー(0)-
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》
4 《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
4 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4 《魔力の櫃/Mana Vault》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
4 《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
4 《防御の光網/Defense Grid》
4 《修繕/Tinker》
2 《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》
1 《偏頭痛/Megrim》
4 《記憶の壺/Memory Jar》

-呪文(44)-
2 《砂のゴーレム/Sand Golem》
4 《Force of Will》
2 《紅蓮破/Pyroblast》
1 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
1 《中断/Abeyance》
1 《解呪/Disenchant》
1 《寒け/Chill》
1 《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》
1 《憂鬱/Gloom》
1 《非業の死/Perish》

-サイドボード(15)-


 そして、悪いことにその2つの役割はコンボデッキにもっとも必要な要素だった。アーティファクトというリソースを1つ削るというのが《修繕》のデメリットになるが、リソースを取り合うゲームを行わないコンボデッキではそのデメリットも無いようなものだ。

 さらにこのデッキでは《記憶の壺》そのものが、コンボパーツでありながら、余りにも強力なドローソースであるため、《修繕》によって失ったリソースも一瞬で取り返すことができる。
 コンボパーツが、コンボそのものを回すエンジンにもなる。環境を席巻するような強力なコンボというのは、そういったスタンスを取っていることも多い。

 このデッキはエクステンデッドのものだが、スタンダードと構成パーツはほとんど変わらない。

 《記憶の壺》は《修繕》の力を借りて、最速でありながら、安定度も誇るコンボであったが、禁止カードに指定される速度も1ヶ月と最速であった。あるプレイヤーは《記憶の壺》を大量に購入し、飛行機に乗っている間に禁止されたという話も噂として存在している。風のように去っていったコンボと言えるかもしれない。

 その後、《修繕》はスタンダードに残り、茶単といったアーティファクト主体のデッキで活躍した。強いカードではあるものの、この当時のことを思えば、それは健全な活躍と言っていいだろう。


17) 《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain(UDS)》

 ウルザブロック最後のエキスパンションである、ウルザズ・デスティニーも他の2つと同様にコンボデッキを生み出している。《ネクロポーテンス》よりも直接的に、よりコンボ的に使われたのが《ヨーグモスの取り引き》だ。

 昔から、《ネクロポーテンス》はコンボパーツ集めとしての役割を担うことも多かった。ライフの損失も次のターンに勝てるならあまり問題は無い。コンボデッキにおいてライフを軽視できることこそが、《ネクロポーテンス》をドローソースとして使えた理由だろう。
 ただ、それでも《ネクロポーテンス》には「次のターンにならないと、ライフを払って得たカードが使えない」という弱点があった。それゆえに、循環系のコンボでは使えない――例えば、ライフを即座に得て、それでカードを引くといった動作の循環は不可能だった。
 それによって、純粋に《ネクロポーテンス》と《生命吸収》などで戦うコントロールデッキも、《ネクロポーテンス》のメジャーな戦略として使われていた。

 ただ、《ヨーグモスの取り引き》はその殆どの活躍がコンボデッキとしての活躍だ。それは、1ライフ払って引いたカードがそのターンのうちに使えるという効果がコンボに適しすぎているからであり、特にライフ獲得とそのドローによる循環が即座に行えたため、循環系コンボがスタンダードにおいて活躍した。


⇒1999年 《スカージの使い魔/Skirge Familiar(USG)》+《魂の饗宴/Soul Feast(10E)》

『ピットサイクル』 射場本正巳
The Finals99 ベスト4 / スタンダード
5 《平地/Plains》
7 《沼/Swamp》
1 《高級市場/High Market》
4 《泥炭の沼地/Peat Bog》
2 《僻遠の農場/Remote Farm》
3 《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》

-土地(22)-

4 《アカデミーの学長/Academy Rector》
4 《レイディアントの竜騎兵/Radiant's Dragoons》
4 《スカージの使い魔/Skirge Familiar》

-クリーチャー(12)-
4 《厳かなモノリス/Grim Monolith》
1 《レイモスの歯/Tooth of Ramos》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
4 《死体発掘/Exhume》
1 《縁切り/Renounce》
1 《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》
4 《魂の饗宴/Soul Feast》
3 《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain》

-呪文(26)-
1 《大天使/Archangel》
2 《解呪/Disenchant》
2 《休止/Cessation》
3 《打倒/Subversion》
2 《非業の死/Perish》
2 《日中の光/Light of Day》
1 《象牙の仮面/Ivory Mask》
1 《撲滅/Eradicate》
1 《一掃/Scour》

-サイドボード(15)-

 かつて日本三大地雷と言われた射場本正巳がデザインしたのが、この『ピットサイクル』だ。このデッキは、『プロスブルーム』のように、いくつかのエンジンを組み合わせて構築されている、

 特にライフそのものがこのコンボにとって重要であるため、いかにライフを効率良く獲得していくか、といった点にも工夫がされているデッキだ。《レイディアントの竜騎兵》と《死体発掘》に注目したのが『ピットサイクル』、海外で開発された《縁切り》を使ったものは『セイバーバーゲン』などと呼ばれている。

 《ヨーグモスの取り引き》はヴィンテージやエクステンデッドなど下の環境ではすぐに禁止、制限カードとなったが、スタンダードでは6マナという重さやライフによってコンボの成功率が大きく変わることから、禁止されることはなかった。


18) 《補充/Replenish(UDS)》

 ウルザズ・デスティニーで生み出されたコンボカードの中で、コンボとして支配的に君臨した時代が長いカードと言えば、《補充》に違いない。
 《補充》がもっとも有名になったのは、ネメシスで加わったパララクスシリーズを使った、『パララクス補充』だが、それ以前にも瞬殺コンボデッキとしての形は存在していた。


⇒1999年 +《伏魔殿/Pandemonium(TSB)》+《オパール色の輝き/Opalescence(UDS)》

『ROP』 Holger Meinecke
ヨーロッパ選手権99 Top 8 / スタンダード
8 《島/Island》
4 《真鍮の都/City of Brass》
4 《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》
2 《サラカスの低地/Thalakos Lowlands》
1 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
4 《裏切り者の都/City of Traitors》

-土地(23)-


-クリーチャー(0)-
3 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
4 《対抗呪文/Counterspell》
4 《直観/Intuition》
4 《大あわての捜索/Frantic Search》
4 《プロパガンダ/Propaganda》
4 《調律/Attunement》
4 《伏魔殿/Pandemonium》
4 《オパール色の輝き/Opalescence》
4 《補充/Replenish》
2 《魔力消沈/Power Sink》

-呪文(37)-
3 《スランの鋳造所/Thran Foundry》
4 《防御の光網/Defense Grid》
3 《エネルギー・フィールド/Energy Field》
3 《解呪/Disenchant》
1 《冬眠/Hibernation》
1 《魔力消沈/Power Sink》

-サイドボード(15)-

 『ROP』と呼ばれるこのデッキは、《補充》によって《伏魔殿》と《オパール色の輝き》を含む、大量のエンチャントを戦場に戻し、クリーチャー化と《伏魔殿》のダメージよって瞬殺するものだ。

 《調律》や《大あわての捜索》をエンジンとして利用しており、見かけ上のアドバンテージを失いながらも、墓地にエンチャントを効率よく落とすことができる。《調律》を2回も起動すれば、相手を倒せるだけのカードが墓地に溜まっており、なおかつ探すカードは《補充》1枚で良かったため、確実性の高いコンボと言える。

 しかし、デッキとしての《補充/Replenish(UDS)》デッキが化けるのはネメシスが加わってからだ。


⇒2000年 +《パララクスの潮流/Parallax Tide(NEM)》《パララクスの波/Parallax Wave(NEM)》

『パララクス補充』 Tom van de Logt
世界選手権00 Top8 / スタンダード
9 《島/Island》
8 《平地/Plains》
4 《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port》

-土地(25)-


-クリーチャー(0)-
1 《空色のダイアモンド/Sky Diamond》
3 《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
1 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
1 《退去の印章/Seal of Removal》
3 《対抗呪文/Counterspell》
1 《エネルギー・フィールド/Energy Field》
1 《浄化の印章/Seal of Cleansing》
4 《大あわての捜索/Frantic Search》
4 《調律/Attunement》
4 《オパール色の輝き/Opalescence》
3 《パララクスの潮流/Parallax Tide》
4 《パララクスの波/Parallax Wave》
4 《補充/Replenish》
1 《神の怒り/Wrath of God》

-呪文(35)-
3 《消去/Erase》
2 《目くらまし/Daze》
1 《寒け/Chill》
1 《黒の防御円/Circle of Protection: Black》
1 《浄化の印章/Seal of Cleansing》
2 《軽快なリフレイン/Lilting Refrain》
1 《呪われたトーテム像/Cursed Totem》
2 《神の怒り/Wrath of God》
2 《水没/Submerge》

-サイドボード(15)-

 『パララクス補充』がコンボデッキとして活躍し、多くのトーナメントを席巻した理由は、それが元の瞬殺型のコンボデッキではなく、コントロール型のコンボデッキへと変貌したからだ。《パララクスの潮流》はコントロールデッキを無力化し、《パララクスの波》はクリーチャーデッキに対してコンボ達成までの時間を稼ぐ、それらが墓地に落ちたとしても、それはまたコンボパーツとなる。長く戦うこともできるし、なにより、青いデッキがカウンターしなければいけない呪文が多かった。

 基本的には《補充》を打ち消せばいいという従来の形に比べれば、それは大きな進歩であり、トーナメントレベルで支持される大きな理由になったといえる。当時の青は今に比べると格段に強く、青に耐性がついたというだけで十分な利点だったのだ。コンボとしても《パララクスの波》と《パララクスの潮流》、そして、《オパール色の輝き》が戻ってくれば、相手は何もできず、実質的に勝利がもたらされた。それは、瞬殺ができなくとも、従来の形に比べ、まったく遜色がないと言えた。

 ただ、完全な瞬殺型もネメシスから《はじける子嚢》を得たことで、カードプールの広いエクステンデッド以下で活躍した。


⇒2000年 +《はじける子嚢/Saproling Burst(NEM)》+《伏魔殿/Pandemonium(TSB)》

『パンデバースト』 森勝洋
グランプリ・京都00 3位 / エクステンデッド
9 《島/Island(NPH)》
4 《平地/Plains》
2 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
1 《Tropical Island》
1 《古えの墳墓/Ancient Tomb(TMP)》
1 《裏切り者の都/City of Traitors(EXO)》
4 《氾濫原/Flood Plain(MIR)》

-土地(24)-


-クリーチャー(0)-
2 《伏魔殿/Pandemonium(EXO)》
4 《補充/Replenish(UDS)》
2 《はじける子嚢/Saproling Burst(NEM)》
1 《無効/Annul(USG)》
4 《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》
4 《対抗呪文/Counterspell(7ED)》
4 《Force of Will》
4 《大あわての捜索/Frantic Search(ULG)》
4 《直観/Intuition(TMP)》
2 《軽快なリフレイン/Lilting Refrain(USG)》
4 《商人の巻物/Merchant Scroll(8ED)》
1 《神秘の教示者/Mystical Tutor(MIR)》

-呪文(36)-
3 《無効/Annul(USG)》
4 《水流破/Hydroblast(5ED)》
1 《誤った指図/Misdirection(MMQ)》
2 《火薬樽/Powder Keg(UDS)》
2 《紅蓮破/Pyroblast(5ED)》
2 《浄化の印章/Seal of Cleansing(NEM)》
1 《神の怒り/Wrath of God(7ED)》

-サイドボード(15)-

 《直観》などの、サーチカードを大量に入れることで、コンボパーツでありながら、《はじける子嚢》や《伏魔殿》の枚数を抑えることができるのがポイントだ。その分早さは若干犠牲になっているが、打ち消し呪文を加えることができ、それによって対応力が増している。
 相手の妨害や妨害に対して強いコンボというのも、一線級に生き残れるコンボの条件であるといえる。

 ただ、ウルザブロックでコンボデッキが隆盛を誇ったことが原因か、それ以降、コンボデッキが活躍することは少なくなり、スタンダードではコントロールとビートダウンの戦いが主流となっていくようなデザインがされていくことになる。


■2002年

19) 《うつろう爆発/Erratic Explosion(ONS)》

 しかし、スタンダードシーンからコンボデッキというものが生まれにくくなったとしても、カードプールの広いエクステンデッドになれば話は別だ。

 オンスロートブロックの中でも異色を放つコンボデッキを生み出したのが、《うつろう爆発》である。このダメージ呪文は、捲られたカードのマナコストに依存している不確定なものだ。


⇒2002年 +《ドラコ/Draco(PLS)》

『ドラコ爆発』 八朔人平
プロツアー・ヒューストン02 24位 / エクステンデッド
10 《島/Island》
5 《山/Mountain》
4 《シヴの浅瀬/Shivan Reef(9ED)》
4 《孤立した砂州/Lonely Sandbar》

-土地(23)-

1 《変異種/Morphling》
3 《ドラコ/Draco》

-クリーチャー(4)-
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》
4 《対抗呪文/Counterspell》
2 《マナ漏出/Mana Leak》
2 《記憶の欠落/Memory Lapse》
4 《火+氷/Fire+Ice》
2 《巻物棚/Scroll Rack》
3 《狡猾な願い/Cunning Wish》
4 《直観/Intuition》
3 《うつろう爆発/Erratic Explosion》
1 《地震/Earthquake》

-呪文(33)-
3 《無効/Annul》
1 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
3 《退去の印章/Seal of Removal》
1 《音波の炸裂/Sonic Burst》
1 《冬眠/Hibernation》
1 《枯渇/Mana Short》
1 《転覆/Capsize》
1 《荒残/Rack and Ruin》
1 《嘘か真か/Fact or Fiction》
1 《妨害/Thwart》

-サイドボード(15)-

 その不確定を確定した大ダメージとして作られたコンボデッキが『ドラコ爆発』だ。《ドラコ》のマナコストは16。《うつろう爆発》でライブラリーから捲られれば16点のダメージを与えられる。《うつろう爆発》はライブラリーを上から捲っていくという条件なので、当然《ドラコ》を仕込まなければいけないが、それは《巻物棚》や《渦まく知識》を使って効率よくセットできる。

 このデッキの最大の利点は、リソースという点で手札から3マナの《うつろう爆発/Erratic Explosion(ONS)》1枚をキャストするだけでコンボが成立することだろう。1枚のカードしか使わないため、アドバンテージに優れ、戦場にパーマネントを必要としないため妨害も難しい。
 そして、このデッキはコンボの構成パーツが多くないため、コントロールとして振る舞うこともできるということになる。実際、メインに《変異種/Morphling(USG)》が入っているように、コントロールとしての勝ち方も意識しているのが分かる。

 ただ、欠点もあり、当然のことだが16点のダメージしか与えられないことが挙げられる。マジックは誰もが知っている通り、20のライフからスタートする。このコンボは決まっても勝てるというわけではない。後のライフを他の火力によって削る必要がある。ただ、この欠点も《狡猾な願い/Cunning Wish(JUD)》によって、メインに多くの火力を入れる必要が無いという点によって致命的ではないと言えるだろう。


■2003年

20) 《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher(MRD)》

 ミラディンブロックに入り、《ゴブリンの放火砲》が加わることによって、当時のエクステンデッドはコンボデッキの時代を迎える。その原動力となったのは、《修繕》と《ゴブリン徴募兵》だ。


⇒2003年 +《マナ切り離し/Mana Severance(TMP)》

『マナベルチャー』 Gabriel Nassif
プロツアー・ニューオーリンズ03 準優勝 / エクステンデッド
4 《島/Island》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《裏切り者の都/City of Traitors》
4 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port》

-土地(20)-


-クリーチャー(0)-
2 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《厳かなモノリス/Grim Monolith》
2 《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》
3 《発展のタリスマン/Talisman of Progress》
2 《通電式キー/Voltaic Key》
1 《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
4 《魔力の乱れ/Force Spike》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
4 《マナ切り離し/Mana Severance》
4 《修繕/Tinker》
1 《急流/Rushing River》
4 《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》
1 《精神隷属器/Mindslaver》

-呪文(40)-
3 《水銀のドラゴン/Quicksilver Dragon》
1 《白金の天使/Platinum Angel》
3 《無効/Annul》
4 《寒け/Chill》
1 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《罠の橋/Ensnaring Bridge》
2 《綿密な分析/Deep Analysis》

-サイドボード(15)-


 《ゴブリンの放火砲》は土地が出るまでライブラリーを上から公開していくが、土地が出ずにライブラリーが尽きてしまった場合、それまで公開した分のカードと同じだけのダメージを与えることができる。《マナ切り離し》はデッキの土地を全てゲームから除外することができるので、その後、《ゴブリンの放火砲》を起動すれば、ライブラリーの枚数と等しいだけのダメージ、大抵は20点以上のダメージを相手に与えることができる。

 青単で構築されているこのデッキは《古えの墳墓》や《裏切り者の都》といった2マナを生み出す土地をふんだんに使っており、《金属モックス》や《威圧のタリスマン》といったマナ加速を使いながら、《神秘の教示者》や《修繕》といったサーチ能力で安定して3ターンから4ターンでのコンボ達成可能にした。


⇒2003年 +《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter(6ED)》

『ゴブバンテージ』 浅原 晃
プロツアー・ニューオーリンズ03 第10位 / エクステンデッド
17 《山/Mountain》
4 《古えの墳墓/Ancient Tomb(TMP)》

-土地(21)-

3 《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》
4 《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》
4 《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》
4 《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》
4 《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》
2 《宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator》
1 《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》
3 《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》
2 《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》

-クリーチャー(27)-
4 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《煮えたぎる歌/Seething Song》
4 《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》

-呪文(12)-
4 《ゴブリンのうすのろ/Goblin Goon》
1 《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》
1 《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》
2 《破壊的脈動/Shattering Pulse》
3 《忘却石/Oblivion Stone》
4 《荒残/Rack and Ruin》

-サイドボード(15)-

 もう一つ、同じ大会で活躍したのが、この『ゴブバンテージ』だ。
 本来、『ゴブバンテージ』とは、好きな数のゴブリンをデッキに積み上げることができる《ゴブリン徴募兵》を使って、《ゴブリンの首謀者》で4枚のゴブリンをドローしてからの圧倒的物量、アドバンテージで圧殺するデッキである。その構想をもとに、2003年の夏に行われた世界選手権で日本勢がシークレットデッキとして使用し好成績を収めた。

 その初期の『ゴブバンテージ』に比べ、ミラディンブロックが加わり、一気にコンボ色が強くなったのがこの形だ。《ゴブリン徴募兵》はそれ単体でも3ターンキルを可能にするクリーチャーだが、《ゴブリンの放火砲》でデッキに積み上がったゴブリンを公開していき、大ダメージを与えることも可能になっている。この『ゴブバンテージ』の強さは、速さというよりも、その攻め方の多様性にある。

 コンボデッキとビートダウンの融合。マジックでは強いデッキの条件として、攻め方が複数あるものは強いと言われる。何故なら、一つの勝ち方に傾倒している場合、対策する側もより対策しやすくなってしまうからだ。それが警戒されているデッキなら尚更だろう。

 ただ、軸の違う2つのコンボが成立している『ゴブバンテージ』では、本来もっとも有効な対策と言われる《仕組まれた疫病》や《寒け》によっても完全に沈黙することがない。
 ビートダウンでもコンボでも勝てる、よほどかみ合っていなければ器用貧乏になってしまうが、お互いが欠点を補う形に構築できれば、これほど理想的な形も無いだろう。

 《ゴブリンの放火砲》はミラディンブロック3つめのエキスパンションであるフィフス・ドーンが出たあとには、『アイアンワークス』と呼ばれるコンボデッキで使われることもあった。


⇒2004年 +《マイアの保育器/Myr Incubator(MRD)》+《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks(5DN)》

『アイアンワークス』 岡本尋
The Finals04 準優勝 / スタンダード
2 《古えの居住地/Ancient Den》
3 《大焼炉/Great Furnace》
4 《教議会の座席/Seat of the Synod》
2 《伝承の樹/Tree of Tales》
4 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》

-土地(19)-


-クリーチャー(0)-
4 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》
4 《発展のタリスマン/Talisman of Progress》
4 《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》
4 《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
4 《血清の幻視/Serum Visions》
4 《マナ漏出/Mana Leak》
4 《加工/Fabricate》
1 《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》
4 《物読み/Thoughtcast》
4 《マイアの保育器/Myr Incubator》

-呪文(41)-
1 《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》
2 《溶接の壺/Welding Jar》
4 《無効/Annul》
4 《秘宝の障壁/Relic Barrier》
4 《夜の囁き/Night's Whisper》

-サイドボード(15)-

 これはスタンダードで活躍した茶単のデッキで、《クラーク族の鉄工所》によって大量のマナを生み出し、《マイアの保育器/Myr Incubator(MRD)》から大量のトークンで勝利する。

 基本的には《ウルザの保育器》から生み出された大量のトークンによって殴り勝つことができるので、《ゴブリンの放火砲》自体はメインパーツというわけではない。1ターン早く勝てるオプションや、全体除去に対して警戒すべきときに使われた。


■2004年

21) 《精神の願望/Mind's Desire(SCG)》

 21世紀のコンボデッキを語る上で絶対に外せないシステム。と聞かれたら真っ先に挙げられるものの一つは「ストーム」に違いない。このコンボに特化したシステムを生み出したのはオンスロート3つ目のエキスパンションである、スカージだ。

 《精神の願望》はエクステンデッドで特に活躍したデッキで様々な形が存在するが、ここでは代表的なものをいくつか紹介していこう。


⇒2003年 +《ぐるぐる/Twiddle(8ED)》

『ぐるぐるデザイア』 藤田修 / デザイン:藤田剛史
プロツアー・ニューオーリンズ03 72位 / エクステンデッド
4 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
2 《裏切り者の都/City of Traitors》
4 《サプラーツォの岩礁/Saprazzan Skerry》
4 《教議会の座席/Seat of the Synod》

-土地(14)-


-クリーチャー(0)-
4 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《厳かなモノリス/Grim Monolith》
3 《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
4 《ぐるぐる/Twiddle》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《夢の掌握/Dream's Grip》
3 《エネルギーの炸裂/Burst of Energy》
2 《神秘の教示者/Mystical Tutor》
4 《修繕/Tinker》
2 《瞑想/Meditate》
2 《企業秘密/Trade Secrets》
4 《先細りの収益/Diminishing Returns》
2 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
4 《精神の願望/Mind's Desire》

-呪文(46)-
1 《白金の天使/Platinum Angel》
2 《悪意の眼差し/Baleful Stare》
3 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
4 《防御の光網/Defense Grid》
2 《急流/Rushing River》
2 《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》

-サイドボード(15)-

 『マナベルチャー』や『ゴブバンテージ』が流行していたプロツアー・ニューオリンズ03の中で、さらなる速さを求めたデッキも作られていた。それが、《精神の願望》を使った『ぐるぐるデザイア』だ。
 マナを稼ぎながら、ストームも稼ぐ、それが《精神の願望》デッキの理想的な動きになる。このデッキでは、《金粉の水蓮》を《修繕》などで戦場に出し、《ぐるぐる》をまるで《暗黒の儀式》のように使って、マナとストームを稼いでいく。

 速度という点では申し分なかったが、ストームや《先細りの収益》の不確実性が欠点として挙げられるだろう。ストーム5~6といった数字ではそれがスカることも十分考えられるからだ。


⇒2004年 +《サファイアの大メダル/Sapphire Medallion(TMP)》+《断絶/Snap(ULG)》+《フェアリーの大群/Cloud of Faeries(ULG)》

『青黒デザイア』 大磯正嗣
プロツアー・コロンバス04 ベスト8 / エクステンデッド
7 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《地底の大河/Underground River》

-土地(17)-

4 《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
2 《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》

-クリーチャー(6)-
4 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《サファイアの大メダル/Sapphire Medallion》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
2 《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
4 《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》
3 《断絶/Snap》
2 《商人の巻物/Merchant Scroll》
3 《直観/Intuition》
3 《狡猾な願い/Cunning Wish》
2 《綿密な分析/Deep Analysis》
1 《転換/Turnabout》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
4 《精神の願望/Mind's Desire》

-呪文(37)-
2 《サイカトグ/Psychatog》
1 《被覆/Envelop》
1 《棺の追放/Coffin Purge》
1 《マナ漏出/Mana Leak》
1 《断絶/Snap》
1 《思考停止/Brain Freeze》
2 《残響する真実/Echoing Truth》
1 《魔力流出/Energy Flux》
1 《直観/Intuition》
1 《再建/Rebuild》
1 《転換/Turnabout》
1 《卑下/Condescend》
1 《天才のひらめき/Stroke of Genius》

-サイドボード(15)-

 ストームはいかにそのターン中にカードを使えるかで確実性が変わる。その確実性を上げるには、そのターンカードを使うことができる数をより多く、そのためには、マナを使わない呪文をどれだけ多く、手札を極力減らさずに唱え続けられるかに懸かっている。そういったカードが多くあれば、呪文の数を稼ぎ、《精神の願望》で《精神の願望》が捲れるのを期待できるだけのストームを稼ぐことができる。

 この『青黒デザイア』ではフリースペルと呼ばれる土地が起きる呪文、《フェアリーの大群》と《断絶》を使い、さらに《サファイアの大メダル》でそれらのマナを軽減することで、マナを増やしながら効率よくストームを稼ぐことを実現している。
 余ったマナを《狡猾な願い》をループさせることで使い切るのもテクニックの一つだった(編注:現在のルールでは不可能となっています)。


⇒2006年 +《睡蓮の花/Lotus Bloom(TSP)》

『TEPS』 Paul Matthews
グランプリ・フィラデルフィア08 ベスト8 / エクステンデッド
3 《宝石鉱山/Gemstone Mine》
3 《地熱の割れ目/Geothermal Crevice》
4 《硫黄孔/Sulfur Vent》
4 《ほくちの加工場/Tinder Farm》
2 《用水路/Irrigation Ditch》

-土地(16)-


-クリーチャー(0)-
4 《睡蓮の花/Lotus Bloom》
2 《金属モックス/Chrome Mox》
4 《炎の儀式/Rite of Flame》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《煮えたぎる歌/Seething Song》
3 《太陽との交感/Channel the Suns》
4 《彩色の星/Chromatic Star》
4 《彩色の宝球/Chromatic Sphere》
4 《燃え立つ願い/Burning Wish》
3 《深遠の覗き見/Peer Through Depths》
3 《暗黒への突入/Plunge into Darkness》
2 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
3 《精神の願望/Mind's Desire》

-呪文(44)-
3 《殺戮の契約/Slaughter Pact》
3 《否定の契約/Pact of Negation》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《死の印/Deathmark》
1 《外殻貫通/Hull Breach》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1 《太陽との交感/Channel the Suns》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
1 《精神の願望/Mind's Desire》

-サイドボード(15)-

 青のパーツがローテーションによって失われてからエクステンデッドで組まれたのが、純粋なマナ加速と《燃え立つ願い》で《精神の願望》や《巣穴からの総出》を状況に応じて使っていく形だ。
 時のらせんブロックから加わった待機の《睡蓮の花》は初手にさえあれば、もっとも効率のよいマナ加速であり、ストームの数を増やしてくれる呪文でもあった。キャントリップも多く入っており、手札をそのターンまで溜めて、一気に決めるといった形になっている。

 このデッキの形だと、マナ加速が大量に入っているため、直線的すぎるといった弱点もあるが、それを補ったのがストームのシステムだ。
 ストーム自体は誘発型能力だったため、《もみ消し》といった特殊な打消し呪文でない限り、打消し呪文で対処するのは難しい、そのため、本来、コンボパーツだけを打ち消せばよいという青の戦略が通用しにくい。途中のマナ加速を打ち消さなければいけないといった選択を迫られることが、カウンターデッキの優位を打ち消してくれているのだ。



 最後まで書いてしまうとちょっと長くなってしまうので今回はここまで。

 次回、ストームの続きなどから始めて、後編ということで完結しようと思う。「強いコンボデッキとはどういうものか」というものにも詳しく触れていく予定だ。

 それでは、また次回。

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