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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ

2017.11.16

津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ プロツアー『イクサラン』とその後の変化

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 こんにちは! 晴れる屋の津村です。

 先々週末にはプロツアー『イクサラン』が、先週末にはスタンダードのグランプリが3つ開催され、各デッキや環境に大きな影響を与えました。

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プロツアー『イクサラン』 優勝 セス・マンフィールド選手(アメリカ)

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現環境の簡単なおさらい

 現環境で圧倒的に数が多いデッキは「ティムール」(4色を含む)と「ラムナプ・レッド」です。これらのデッキはリストも洗練されていますし、他のデッキと比べると成績も際立っています。ただし他のデッキに全くチャンスがないかと言えばそうではありません。プロツアー『イクサラン』ではセス・マンフィールド/Seth Manfield選手の「スゥルタイ・エネルギー」が、グランプリ・アトランタ2017ではアレックス・ロイド/Alex Lloyd選手の「エスパー・副陽の接近」がそれぞれ優勝を果たしましたし、トップ8にはそれ以外にも興味深いデッキが散見されました。

 今週の記事ではプロツアーやグランプリで結果を残したデッキを中心に、各デッキの創意工夫を見ていきたいと思います。まずは環境の大本命であるこのデッキからご覧ください。

日本の至宝が生み出したマスターピース

渡辺 雄也 - 「4色ティムール」
グランプリ・上海2017 6位 / スタンダード (2017年11月11~12日)
3 《森》
1 《島》
1 《山》
1 《沼》
4 《植物の聖域》
2 《隠れた茂み》
3 《根縛りの岩山》
4 《尖塔断の運河》
4 《霊気拠点》

-土地(23)-

4 《牙長獣の仔》
4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
2 《逆毛ハイドラ》
1 《多面相の侍臣》
2 《スカラベの神》

-クリーチャー(21)-
4 《霊気との調和》
4 《蓄霊稲妻》
2 《削剥》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《慮外な押収》
2 《秘宝探究者、ヴラスカ》

-呪文(16)-
3 《多面相の侍臣》
2 《チャンドラの敗北》
1 《マグマのしぶき》
3 《否認》
1 《削剥》
1 《アズカンタの探索》
1 《宝物の地図》
1 《人工物への興味》
1 《王神、ニコル・ボーラス》
1 《自然に仕える者、ニッサ》

-サイドボード(15)-
グランプリ・上海2017 イベントカバレージ より)

 惜しくも優勝とはいかなかったものの、相変わらずの安定感でトップ8を射止めたなべ君(渡辺 雄也)。メインデッキの構成はプロツアーで散見されたリストと大きな相違はありませんが、このリストの秀逸な点は土地構成とサイドボードプランにあります。

23枚に増量された土地と8枚の「ファストランド」

 まず特筆すべきは土地の総数とその内容です。一般的に3色の「ティムール」も「4色ティムール」も土地の総数は22枚がほとんどですが、このリストはそこに1枚を加えた23枚となっています。4色だけあってカードパワーは環境でも屈指のデッキですし、デッキパワーを遺憾なく発揮できるようにという配慮でしょう。なべ君本人の言葉を借りるのであれば「4色ティムールは(土地を)絶対に23枚にすべき」とのことですし、この1枚の差は見た目以上に大きな違いと言えます。

 また、土地構成に関しても一般的なリストとは大きな違いが見受けられ、それが最も顕著なのは《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》の枚数です。他のリストでは3枚だけ採用されることの多い《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》ですが、このリストでは4枚フル投入されており、その代わりに《山/Mountain》が1枚に抑えられています。これは他のリストよりも{R}{R}の呪文が少ないからといった理由ではなく、序盤に「ファストランド」を引きたいという強い気持ちの表れです。

 「ティムール・エネルギー」は3色のバージョンですら{G}{G}{U}{U}{R}{R}を、4色のバージョンであれば{G}{G}{U}{U}{R}{R}{B}を要求する欲張りなデッキです。いかに《霊気との調和/Attune with Aether》などのサポートがあるとは言えど、序盤に「ファストランド」や赤緑の多色土地を引けていないといずれかのターンで必ず動きに綻びが生じてしまいます。このリストではそういった展開を避けるべく、「ファストランド」を含む多色土地が極限まで増量されているというわけですね。

 実際にこのマナベースを試してみて、他のリストよりも土地関連の問題が大きく改善されていると感じましたし、ある程度呪文の構成に依存するとは言えど、全ての「4色ティムール」のお手本になる素晴らしいマナベースだと思います。

洗練されたサイドボードプラン

 サイドボードで真っ先に目を奪われるのは《アズカンタの探索/Search for Azcanta》や《宝物の地図/Treasure Map》といった「ティムール」ではあまり採用されることのないカード群かもしれませんが、個人的にそれ以上の衝撃を受けたのがメインデッキと合わせて4枚採用された《多面相の侍臣/Vizier of Many Faces》です。

 「不朽」を絡めてお手軽にアドバンテージを提供してくれるこのカードは、間違いなくミラーマッチで最高のカードです。サイドボード後のプランとしては《牙長獣の仔/Longtusk Cub》は抜いてしまい、序盤のターンを除去に充てることでゲームの長期化を目指します。

 そうすると「プレインズウォーカー」の枚数はほとんど同じで、《多面相の侍臣/Vizier of Many Faces》の枚数で勝るこちら側が自然と有利になるという仕組みです。一般的に《多面相の侍臣/Vizier of Many Faces》は2~3枚に抑えられていることがほとんどですが、おそらく多少なりとも{U}{U}がネックになっていると思われます。ですが前述の通りこのリストは「ファストランド」を増量することでその問題をしっかりとクリアしていることもあり、このような大胆な構成に踏み切れたのでしょう。

 他に注目すべきは、中長期戦の備えとして採用された《アズカンタの探索/Search for Azcanta》と《宝物の地図/Treasure Map》です。

 これらは追加の《自然に仕える者、ニッサ/Nissa, Steward of Elements》と言えるような立ち位置のカードですが、どちらも戦闘で落とされることがなく、「変身」すると土地になってくれるので中盤以降の手数の多さに寄与する点も秀逸です。特に設置後にマナがかからず、《削剥/Abrade》されることもない《アズカンタの探索/Search for Azcanta》は非常に強力だと感じたので、今後はサイドボードカードとして定着する可能性があると思います。

 このリストは現時点で最もミラーマッチに強い構成だと思います。僕自身もミラーマッチで簡単に勝てるようになって驚いたので、なかなかミラーマッチで勝てないという方はぜひこちらのリストをお試しください。


「ティムール」耐性を増した「ラムナプ・レッド」

Trey Van Cleave - 「ラムナプ・レッド」
グランプリ・アトランタ2017 5位 / スタンダード (2017年11月11~12日)
14 《山》
4 《ラムナプの遺跡》
4 《陽焼けした砂漠》
2 《屍肉あさりの地》

-土地(24)-

4 《ボーマットの急使》
4 《損魂魔道士》
4 《地揺すりのケンラ》
4 《過酷な指導者》
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
4 《暴れ回るフェロキドン》
4 《熱烈の神ハゾレト》

-クリーチャー(26)-
4 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
2 《削剥》

-呪文(10)-
3 《ピア・ナラー》
2 《栄光をもたらすもの》
3 《マグマのしぶき》
2 《チャンドラの敗北》
2 《削剥》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》

-サイドボード(15)-
グランプリ・アトランタ2017 イベントカバレージ より)

 プロツアー以降も「ティムール」とともに環境を牽引する「ラムナプ・レッド」。ここ最近の変化としては、《過酷な指導者/Harsh Mentor》や《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》が一般的な戦略として定着してきたことです。

 これらは「ティムール」対策の一環です。どちらも「ラムナプ・レッド」にとって致命的な《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》対策になり、前者はそれに加えて《牙長獣の仔/Longtusk Cub》と《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》にも睨みを利かせてくれ、後者は優秀なアタッカーとして機能してくれます。

 「ティムール」に対しては《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》など序盤のクリーチャーを囮に除去呪文を炙り出し、最終的に上記2種類のカードが戦場に残るようにプレイできれば理想的です。逆に「ティムール」を使うプレイヤーは、これらのクリーチャーを見かけたら《栄光をもたらすもの/Glorybringer》や《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》をサイドボード後にも残すようにするなど、除去の総数に気を配りましょう。このようなリストに対しては展開の遅さよりも肝心なクリーチャーを打ち漏らしてしまうことの方が問題となりやすいので、今までの「ラムナプ・レッド」戦よりも気持ち多めに除去呪文を残すようにしましょう。


 こちらのリストはあくまで既存の「ラムナプ・レッド」のアップデートといった形ですが、アメリカの殿堂顕彰者であるベン・スターク/Ben Starkは、摩訶不思議な新機軸の赤単を持ち込み、結果を残しています。

「ラムナプ・レッド」の進化系!? 新たに現れた「デザート・レッド」

Ben Stark - 「デザート・レッド」
グランプリ・アトランタ2017 準優勝 / スタンダード (2017年11月11~12日)
13 《山》
4 《ラムナプの遺跡》
3 《死者の砂丘》
3 《陽焼けした砂漠》
2 《屍肉あさりの地》

-土地(25)-

4 《ボーマットの急使》
3 《損魂魔道士》
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
3 《暴れ回るフェロキドン》
3 《砂かけ獣》
1 《熱烈の神ハゾレト》
3 《栄光をもたらすもの》

-クリーチャー(19)-
2 《マグマのしぶき》
2 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
3 《削剥》
2 《宝物の地図》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文(16)-
1 《損魂魔道士》
1 《暴れ回るフェロキドン》
2 《熱烈の神ハゾレト》
1 《栄光をもたらすもの》
2 《チャンドラの敗北》
2 《マグマのしぶき》
1 《削剥》
2 《木端+微塵》
2 《グレムリン解放》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》

-サイドボード(15)-
グランプリ・アトランタ2017 イベントカバレージ より)

 「デザート・レッド」と呼ばれるこのアーキタイプは、《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》はおろか《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》までもが1枚まで減量された驚きの構成に仕上がっています。代わりに採用されているのは《栄光をもたらすもの/Glorybringer》に《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》、さらには《砂かけ獣/Sand Strangler》、《宝物の地図/Treasure Map》と中長期戦を見据えたものばかり。

 土地にも《死者の砂丘/Dunes of the Dead》という明らかに長期戦を見越したカードが採用されており、このデッキがいかに終盤戦に重きを置いて構築されているかが伺えます。従来の「ラムナプ・レッド」が《過酷な指導者/Harsh Mentor》や《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》で「ティムール」対策を施したのに対し、「デザート・レッド」は真っ向から消耗戦を挑んで勝利することを目論んでいるのです。

「ティムール」以外のマッチアップは?

 しっかりとした結論が出せるまでには至りませんでしたが、対「ラムナプ・レッド」に関してもこちら側だけいきなりサイドボード後のような構成なので多少は有利が付くと思います。4ターン目の《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》だけは手を焼きますが、除去の総量が多いのでそれ以外のカードには余裕を持って対処できますからね。

 コントロールデッキに対しては無駄カードの多さゆえにかなり相性が悪くなっているものの、仮想敵は「ティムール」、そして「ラムナプ・レッド」と割り切ったデッキ選択ということなのでしょう。

グランプリ時点でのこのデッキの強み

 グランプリ時点でのこのデッキの強みとしては、対戦相手が「ラムナプ・レッド」と錯覚しやすいことが挙げられます。《砂かけ獣/Sand Strangler》や《宝物の地図/Treasure Map》を見たところで「一風変わった『ラムナプ・レッド』」としか予想できないはずなので、対戦相手は「ラムナプ・レッド」用のサイドボーディングを施してきたことでしょう。

 しかしこのデッキの実状は「ラムナプ・レッド」の皮をかぶったミッドレンジデッキなので、《チャンドラの敗北/Chandra's Defeat》以外の除去呪文は決して効果的とは言えません。グランプリの結果を見たあとであればすぐさま「デザート・レッド」だと気付くことができるかもしれませんが、1本目で《砂かけ獣/Sand Strangler》や《宝物の地図/Treasure Map》、それに《死者の砂丘/Dunes of the Dead》といったカードを見かけた際には、軽いカードばかりサイドインしてしまわないように注意しましょう。


ついに栄冠・サイドボード後のプランを明確にした「エスパー・副陽の接近」

Alex Lloyd - 「エスパー・副陽の接近」
グランプリ・アトランタ2017 優勝 / スタンダード (2017年11月11~12日)
3 《平地》
1 《島》
4 《灌漑農地》
4 《氷河の城砦》
4 《秘密の中庭》
4 《異臭の池》
4 《水没した地下墓地》
2 《霊気拠点》

-土地(26)-

1 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(1)-
4 《致命的な一押し》
4 《選択》
4 《検閲》
2 《アズカンタの探索》
4 《不許可》
4 《天才の片鱗》
4 《残骸の漂着》
2 《排斥》
2 《燻蒸》
3 《副陽の接近》

-呪文(33)-
4 《威厳あるカラカル》
2 《スカラベの神》
2 《奔流の機械巨人》
2 《否認》
1 《ジェイスの敗北》
1 《アズカンタの探索》
2 《ヴラスカの侮辱》
1 《明日からの引き寄せ》

-サイドボード(15)-
グランプリ・アトランタ2017 イベントカバレージ より)

 メインデッキは最強と名高い「副陽の接近」デッキですが、ひとつひとつのアクションが大振りなためどうしてもサイドボード後の《否認/Negate》を乗り越えることができず、なかなかプレミアイベントで結果が残せないデッキとされていました。

 そこでこのリストには、プランB(第二の勝ち手段)として《スカラベの神/The Scarab God》が採用されています。《威厳あるカラカル/Regal Caracal》で《否認/Negate》を無駄カードにするという戦略は以前から存在していましたが、《栄光をもたらすもの/Glorybringer》や《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》のような汎用性の高いカードに対して脆いという欠点がありました。

 《スカラベの神/The Scarab God》は《威厳あるカラカル/Regal Caracal》よりも対処法が限られており、なおかつそれらの多くは《慮外な押収/Confiscation Coup》など本来ならばこのデッキに対して残したくないようなカードばかり。1枚でゲームに勝てるという意味でも、対戦相手を惑わすという意味でも、《スカラベの神/The Scarab God》は最上級の1枚というわけです。

 実際に優勝者がそうしていたかどうかは分かりませんが、このリストはサイドボード後に《副陽の接近/Approach of the Second Sun》を全てサイドアウトして純然たる「エスパーコントロール」にシフトすることもできますし、《副陽の接近/Approach of the Second Sun》に依存しないこの戦略は非常に参考になると思います。

 また、サイドボード後はメインデッキ以上に《アズカンタの探索/Search for Azcanta》が重要になることも覚えておきましょう。もとよりメインデッキの勝率が高いデッキなので、メインデッキ戦の《アズカンタの探索/Search for Azcanta》は土地が止まらないようにする潤滑油程度の存在に過ぎませんが、対戦相手の戦略を上回るプランニングが要求されるサイドボード後には、このカードのライブラリー操作能力と「変身」後のアドバンテージ獲得能力が大きな助けとなるからです。

 それと、このデッキに採用された《致命的な一押し/Fatal Push》は、このデッキが苦手とする「ラムナプ・レッド」の軽量クリーチャーや、「スゥルタイ・エネルギー」で脚光を浴びている《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》対策として重宝します。どちらも従来の青白2色では対策が難しかった類のカードなので、これもまた環境に合わせた重要な変化と言えるでしょう。

 このようにいくつかのマイナーチェンジを施して優勝を果たした「副陽の接近」デッキですが、このタイミングでの勝利にはある種の必然性があったように思います。

 各グランプリのトップ8プロフィール欄を見てみると「苦手なデッキはなんですか?」という問いに対してこのデッキを挙げたプレイヤーが実に多かったですし、「ティムール」と「ラムナプ・レッド」への意識が最大限に高まったこの瞬間こそが、「副陽の接近」デッキにとって最大の好機だったのかもしれません。


伝統的なビートダウン戦略・南米勢が持ち込んだ「緑白アグロ」

Eduardo Vieira - 「緑白アグロ」
プロツアー『イクサラン』 スタンダード部門 7勝3敗 (2017年11月3~5日)
7 《平地》
5 《森》
4 《陽花弁の木立ち》
1 《まばらな木立ち》
3 《シェフェトの砂丘》
3 《ハシェプのオアシス》

-土地(23)-

3 《聖なる猫》
2 《造命の賢者、オビア・パースリー》
4 《アダントの先兵》
4 《典雅な襲撃者》
4 《マーフォークの枝渡り》
4 《立て直しのケンラ》
2 《キンジャーリの陽光翼》
1 《ピーマの改革派、リシュカー》
2 《信義の神オケチラ》

-クリーチャー(26)-
3 《顕在的防御》
2 《軍団の上陸》
4 《旗幟+鮮明》
2 《霊気圏の収集艇》

-呪文(11)-
2 《陽光鞭の勇者》
3 《英雄的介入》
1 《空鯨捕りの一撃》
2 《排斥》
3 《燻蒸》
2 《啓示の刻》
2 《試練に臨むギデオン》

-サイドボード(15)-
プロツアー『イクサラン』 イベントカバレージ より)

 その後のグランプリでは結果が残せなかったものの、ウィリー・エデル/Willy Edelたちがプロツアーに持ち込み好成績を収めたデッキが「緑白アグロ」。基本的にはマナ・カーブ通りに展開して攻撃を繰り返す古典的なビートダウンデッキですが、このデッキ最大の魅力は《旗幟+鮮明/Appeal+Authority》を絡めた一撃必殺です。

 毎ターンクリーチャーを展開する都合上、《旗幟/Appeal》が《超巨大化/Monstrous Growth》を越えることも多々ありますし、《典雅な襲撃者/Adorned Pouncer》や《信義の神オケチラ/Oketra the True》などの「二段攻撃」を持ったクリーチャーと組み合わせれば驚くべき打点を叩き出してくれます。

 ブロックで凌ごうにも《鮮明/Authority》がそれを許さず、除去呪文を構えた相手には「破壊不能」を付随できる《アダントの先兵/Adanto Vanguard》に《旗幟/Appeal》を唱えたり、《顕在的防御/Blossoming Defense》でのバックアップを待てば問題なく任務を遂行できます。

 《旗幟/Appeal》はやはり「二段攻撃」と組み合わせてなんぼなので、3マナ域に《生真面目な補充兵/Solemn Recruit》を採用したリストも存在しますね。

 「不朽」と「永遠」持ちのクリーチャーが多いことに加え、呪文のような能力を持った土地が大量に含まれているので、マナフラッドしづらいのもこのデッキの魅力のひとつです。

 この手のデッキが苦手とする全体除去呪文が影を潜めているのも追い風ですし、モダン顔負けの爽快感が味わえるデッキでもありますので、ビートダウンデッキやコンボデッキがお好きな方にぜひともお勧めしたいデッキです。


今週の一押し ~「グリクシス(青黒赤)・工匠」~

岡田 尚也 - 「グリクシス・工匠」
グランプリ・上海2017 4位 / スタンダード (2017年11月11~12日)
5 《島》
3 《山》
4 《尖塔断の運河》
2 《異臭の池》
4 《霊気拠点》
4 《産業の塔》
2 《発明博覧会》
1 《廃墟の地》

-土地(25)-

4 《霊気急襲者》
4 《つむじ風の巨匠》
1 《ピア・ナラー》
4 《異端の飛行機械職人》
1 《スカラベの神》

-クリーチャー(14)-
2 《マグマのしぶき》
4 《抽出機構》
3 《蓄霊稲妻》
3 《金属の叱責》
2 《解析調査》
4 《発明者のゴーグル》
1 《霊気圏の収集艇》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文(21)-
2 《屑鉄場のたかり屋》
4 《強迫》
3 《削剥》
2 《没収の曲杖》
1 《金属の叱責》
1 《川の叱責》
1 《橋上の戦い》
1 《廃墟の地》

-サイドボード(15)-
グランプリ・上海2017 イベントカバレージ より)

 今年から復活することになったThe Finals。在りし日のThe Finals2011にて、オリジナルの「青黒感染」で栄冠を勝ち取った岡田さんは、その後もモダンの「青赤・紅蓮術士の昇天」(参考デッキリスト)を世に送り出すなど、独自のデッキを追求し続け結果を残しています。

 デッキができるまでの経緯や各デッキに対する相性に関しては、岡田さんのインタビューがございますのでそちらの記事をご覧いただければと思います。

 このデッキしかり、プロツアーで8勝2敗という成績を残した「白単吸血鬼」しかり、数で押す戦略は「ティムール」と「ラムナプ・レッド」を攻略するひとつの鍵なのかもしれませんね。


おわりに

 今週の「スタンダード・アナライズ」は以上です。今回はプロツアーの開催までに相当な時間があったため、いつも以上に各デッキの完成度が高かったと思います。だからこそ多くのプレイヤーが練習しきれていないであろう珍しいデッキを選択したり、予想外のサイドボードプランが炸裂したりと、いつもとはまた違った戦略や魅力が垣間見えるプロツアーになったのではないでしょうか。

 プロツアー後にグランプリが3か国で開催される盛だくさんの1か月となりましたが、今週末にはグランプリ・ポートランド2017が、来月にはワールド・マジック・カップ2017にThe Finals2017が控えており、スタンダードの変遷はまだまだ終わりそうにありません。僕もThe Finals2017に参加する予定ですので、参加されるみなさまはよろしくお願いいたします!

 それでは、また次回の連載で!

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