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戦略記事

ReConstructed -デッキ再構築-

聞こえるか! アタルカよ!

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聞こえるか! アタルカよ!

Gavin Verhey / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing

2015年1月6日


 ドラゴンがいる!

 『タルキール覇王譚』でよく見られる、ドラゴンの頭蓋や骨が散らばったアートに、私はすっかり慣れてしまった。だから完成した『運命再編』のカードを見に行ったとき、その反動は凄まじかった。いやホント。ドラゴンは確かにここにいるんだ。


アート:Karl Kopinski

 『運命再編』では、多色の伝説のドラゴン5枚がサイクルを成している。今はもう、君たちもそのほとんどを目にしたよね。

 オジュタイ、シルムガル、コラガン、ドロモカ。いずれもその手で空を統べる傑物たちだ。

 そして今、私からみんなへ次のドラゴンをお披露目するときがやって来た。赤と緑のドラゴンを。

 赤と緑で強打を決めてやることこそがドラゴンの凶暴性を最もよく表現できる、と君たちが考えているなら、きっとお気に召すことだろう。

 さあ、《世界を溶かすもの、アタルカ》の登場だ。

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ドラゴンの母

 うん、特にわかりにくいところはないよね?

 彼女はそれ単体で、空から12点もの攻撃ができる。12/4飛行クリーチャーのコストはいくつだろう? 少なくとも7マナは下回らないんじゃないかな――さらに《世界を溶かすもの、アタルカ》はトランプルを持ち、また先制攻撃により戦闘で死亡することはまずないという強みもある。

 高速で《世界を溶かすもの、アタルカ》を繰り出し、そして対戦相手が除去を持っていなければ、相手は重大な危機に陥ることだろう。

 相手が重大な危機に陥る、ということなら、ドラゴン中心のデッキにおいては何も《世界を溶かすもの、アタルカ》自身に限った話ではない。

 他にドラゴンが、例えば《永遠のドロモカ》が戦場にいると想像してみてくれ。その状態で《世界を溶かすもの、アタルカ》をプレイすると、二段攻撃が付与された《永遠のドロモカ》の攻撃は5点のダメージを上乗せすることになる――事前に「鼓舞」も機能していれば、更なるダメージも見込めるのだ!

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 ドカーン。

 本日は、《世界を溶かすもの、アタルカ》を用いたふたつの異なる軸を、別々の環境から見ていこう。ひとつはスタンダード、そしてもうひとつは統率者戦だ。いくぞ!

スタンダードで「アタルカ」否か

 スタンダードで《世界を溶かすもの、アタルカ》を使うとすれば、いくつか異なる軸がある。でもこれから数週間は間違いなくドラゴンに心血を注いだデッキを見ていくことになるだろうし、そういうものに触れるのはすべてのカードが公開されてからにしようと思う。

 《世界を溶かすもの、アタルカ》のことを待ち望んでいたデッキは、何もドラゴンに心を捧げたものだけじゃないのだ。

 君たちがどうかはわからないけれど、私は対戦相手を打ち倒すのが好きなんだ。できることなら、迅速に、暴力的にね。一撃で倒せるなら、もうそれ以上のことはないよ。

 もし《世界を溶かすもの、アタルカ》が速攻を持っていたら?

 もし《世界を溶かすもの、アタルカ》が一撃で対戦相手を打ち倒したら?

 うん、君たちに授ける組み合わせが見つかったぞ。ちょっと『テーロス』ブロックまで目を向けて、このささやかなカードのことを思い出してやってくれ。

 ステップ1:《歓楽の神、ゼナゴス》を唱える。

 ステップ2:《世界を溶かすもの、アタルカ》を唱える。

 ステップ3:戦闘フェイズへ移行。《歓楽の神、ゼナゴス》の誘発型能力を《世界を溶かすもの、アタルカ》へ。攻撃して24点。

 対戦相手が《世界を溶かすもの、アタルカ》を除去できるタイミングは、極めて少ない。「うっかり」タップ・アウトの状態になれば、そのまま「事故死」というわけだ。

 さて、これをデッキに仕上げるには、2枚コンボひとつでは足りない。だが幸運にも、赤と緑は主演をしっかりとサポートできる役者たちをすぐさま用意できる――マナを生み出すものたちが7マナを確保するのに役立ち、強烈な一撃をかますことだろう。私ならこんな感じから始めるかな。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ゼナゴスがアタルカを乗せて行く」
スタンダード[MO] [ARENA]
7 《
3 《
4 《奔放の神殿
4 《樹木茂る山麓
3 《マナの合流点
3 《ニクスの祭殿、ニクソス

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家
4 《森の女人像
3 《旅するサテュロス
2 《発生器の召使い
4 《クルフィックスの狩猟者
2 《世界を喰らう者、ポルクラノス
3 《歓楽の神、ゼナゴス
3 《囁きの森の精霊
3 《世界を溶かすもの、アタルカ

-クリーチャー(28)-
3 《火口の爪
4 《歓楽者ゼナゴス
1 《龍語りのサルカン

-呪文(8)-

 一見すると、そこら中に溢れる「《クルフィックスの狩猟者》と《森の女人像》」デッキのひとつにしか見えないかもしれない。核となる部分が赤緑ミッドレンジ戦略であるのも確かだ。だがこのデッキには、従来のものとは違う点がいくつもあるんだ。

 それら自体が優秀なので、従来から採用されているカードもいくつか入っている。でもそれだけけなく、それらのカードはコンボの完遂へ向かってゲームを進めてくれる。《エルフの神秘家》と《歓楽者ゼナゴス》はどちらも赤緑のデッキの常連で、素早く《世界を溶かすもの、アタルカ》を解き放つのに必要なマナを生み出してくれる。《発生器の召使い》なんかはちょっと洒落てるね。だがこいつで《囁きの森の精霊》や《世界を溶かすもの、アタルカ》を繰り出してやれば、対戦相手に準備を整える暇も与えずプレッシャーをかけることができるはずだ。

 そしてもちろん、《ニクスの祭殿、ニクソス》もまた必要なときにマナ加速の役に立ち......加えて、《火口の爪》でゲームを終わらせる力になってくれるだろう!

 スタンダードで《世界を溶かすもの、アタルカ》を駆使し、対戦相手にどこからともなく壮絶な死を与えたいなら、ぜひともこの形から試してみてくれ!

アタルカを統率せよ

 同じ系統の他のカードすべてに影響を与える場面で、伝説の大型クリーチャーが新しく登場した――この瞬間こそ私は、統率者戦用のデッキを組むときだと感じる!

 マジックの歴史において、ドラゴンは遠い昔からたくさんのものが現れてきた。だから選択肢に困ることはないだろう――とはいえ、ドラゴンの部族カードだけでは数が足りない。そこで例えば、《鉤爪のジィーリィーラン》や《ドラゴン語りのシャーマン》、そして《皇帝ヘルカイト》といったカードも役に立つはずだ。それらの上に《世界を溶かすもの、アタルカ》を据えてやれば恐ろしいまでのダメージを叩き出し、ドラゴンの存在を高らかに掲げることができるに違いない。

 鍵となるのは、ドラゴンをきちんとプレイできるようにすることだ。幸運にも《世界を溶かすもの、アタルカ》は赤であり「緑でもある」ため、緑のマナ加速呪文の数々を使うことができる――それに加えて、アーティファクトの優秀なマナ加速カードも活用できるぞ。

 サンプルを挙げるなら、こんな感じになるだろう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「我がドラゴンはここにあり」
統率者:世界を溶かすもの、アタルカ[MO] [ARENA]
7 《
5 《
1 《血染めのぬかるみ
1 《統率の塔
1 《銅線の地溝
1 《火の灯る茂み
1 《忘れられた洞窟
1 《菌類の到達地
1 《グルールの芝地
1 《カープルーザンの森
1 《霧深い雨林
1 《モスファイアの谷
1 《苔汁の橋
1 《怒り狂う山峡
1 《根縛りの岩山
1 《沸騰する小湖
1 《滑りやすいカルスト
1 《薄煙の火口
1 《背骨岩の小山
1 《踏み鳴らされる地
1 《Taiga
1 《奔放の神殿
1 《平穏な茂み
1 《吹きさらしの荒野
1 《樹木茂る山麓

-土地(35)-

1 《竜使いののけ者
1 《花の壁
1 《クルフィックスの狩猟者
1 《ドラゴン語りのシャーマン
1 《永遠の証人
1 《ムル・ダヤの巫女
1 《真面目な身代わり
1 《欲深きドラゴン
1 《溜め込むドラゴン
1 《狩り立てられたドラゴン
1 《ヴァルカスの災い魔
1 《歓楽の神、ゼナゴス
1 《鉤爪のジィーリィーラン
1 《ドラゴンの大母
1 《ヘルカイトの暴君
1 《蔵製錬のドラゴン
1 《降る星、流星
1 《玉座の災い魔
1 《災火のドラゴン
1 《ドラゴン魔道士
1 《皇帝ヘルカイト
1 《窯口のドラゴン
1 《山背骨のドラゴン

-クリーチャー(23)-

1 《世界を溶かすもの、アタルカ

-統率者(1)-
1 《ギャンブル
1 《師範の占い独楽
1 《太陽の指輪
1 《旅人のガラクタ
1 《ドラゴンの息
1 《探検
1 《遥か見
1 《グルールの印鑑
1 《壌土からの生命
1 《精神石
1 《自然の知識
1 《不屈の自然
1 《森の知恵
1 《衝動のタリスマン
1 《連合の秘宝
1 《耕作
1 《ドルイドの物入れ
1 《はるかなる放浪
1 《木霊の手の内
1 《溶岩震
1 《連鎖反応
1 《紅蓮の達人チャンドラ
1 《火のるつぼ
1 《中心部の防衛
1 《爆発的植生
1 《野生語りのガラク
1 《調和
1 《レインジャーの道
1 《騙し討ち
1 《スランの発電機
1 《歓楽者ゼナゴス
1 《金粉の水蓮
1 《精神の眼
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ
1 《龍語りのサルカン
1 《夢石の面晶体
1 《伝承探求者の石
1 《マナの反射
1 《書かれざるものの視認
1 《歯と爪
1 《ドラゴンの嵐

-呪文(41)-

 全体除去を採用するために枠を確保してもいいだろう。君たちのプレイ・グループによっては、《炎渦竜巻》や《地震》、そしてあまりに酷い場合は《燎原の火》が欲しくなることもあるかもしれない。

 それでも、大切なのはデッキの核の部分――でっかいドラゴンを使うことだぞ!

 ドラゴンを繰り出す手段はふたつある。ひとつは、コストを踏み倒して出す方法だ。《中心部の防衛》や《騙し討ち》といったカードが君の持つ深紅の恐怖を素早く展開し、対戦相手に隙を与えないようにする。ゲーム後半には《歯と爪》や《ドラゴンの嵐》のようなカードを用いて、一度に複数のドラゴンを呼び出すこともできる!

 もうひとつの手段は、まさに伝統的な方法だ。ひたすらにマナを伸ばし、ドラゴンをプレイする! このデッキはマナ加速をするアーティファクトや土地を探す緑の呪文に溢れていて、それらを駆使するだけでも多くのドラゴンを展開できるはずだ。

 ドラゴンの展開を進め、あとは《世界を溶かすもの、アタルカ》を着地させれば、すべてのドラゴンが大量のダメージを叩き出すことだろう。

 言うまでもないかもしれないが、統率者ダメージのルールにより、《世界を溶かすもの、アタルカ》は2回の攻撃でプレイヤーをひとり葬り去る! もう少し、例えば《歓楽の神、ゼナゴス》などで手助けをしてやれば、こいつは対戦相手を一発で倒せる脅威となり、さらに恐れられるぞ。

 5体の伝説のドラゴンたちは、間違いなく統率者戦に大波乱をもたらすことだろう――中でも《世界を溶かすもの、アタルカ》は、強烈なパンチを喰らわすはずさ。試してみてくれ!

新たなスタンダードを定める

 今週のデッキ募集の概要は以下のとおりだ。

 タルキールの風景が大きく変わったこの新しい世界で、スタンダードの世界もまた大きな変化を迎えようとしている! そこで何ができるのかを見ていこう。

フォーマット:『運命再編』導入後のスタンダード

デッキの制限:なし!

締め切り:1月14日(水) 午前11時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 また、今週についても、デッキは reconstructeddecks@gmail.com 宛に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 カード全てのリストが、今週末にはカードギャラリーで公開される。そこで、締め切りは来週の水曜日に設定したので、もし待ってもいいのであれば、『運命再編』の新しいツールをあらん限り流し込んで、本当にエキサイティングな新デッキを組むことができる。私個人としても、皆さんが何を考えつくのか見るのが待ちきれないよ!

 それまでの間、この記事、《世界を溶かすもの、アタルカ》、あるいはスタンダード一般について考えたことがあれば、ぜひ聞いてみたい! 私のTwitterTumblr宛に気軽に送ってくれれば、必ず見ることをお約束するよ。

 今週の『運命再編』でどんなことを考えるのか、ぜひ楽しんでほしい! 次回はこの新フォーマットで読者の皆さんから贈られてきたデッキを、初めて見ていくことにしよう。またお会いできることを楽しみにしているよ!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(編集より:次回の記事は原文1月13日掲載、日本語訳1月27日掲載となります。)

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