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秘密の性質

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年3月22日

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 DailyMTG.comのディミーア特集も終わりに近づき、そしてギルドのメカニズム(それに関してはマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterの記事が詳しく触れています)を詳しく調べる代わりにディミーアの特徴の中で多分最もよく知られているもの、秘密主義について話そうかと思います。私の考えでは、マジック:ザ・ギャザリングの最も面白いところは戦場とそれ以外の両方での情報戦です。マジックは過去の経験、直観、推測、そしてしばしばヤマカンを用いて、部分的な情報で反応と決断することを教えてくれるゲームです。あなたが接戦を演じているとき、あなたはいくらか完璧ではない決定をすることを分かっているでしょうし、勝とうとするならいくつかリスク(計算されたものでも、そうでなくても)を冒すでしょう。

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 プロツアー「ギルド門侵犯」で個人的に最も印象に残った部分は、ゲームの大勢が決まるのは一人のプレイヤーの大きな間違いや偶然の幸運によってではなく、代わりにプレイヤーが情報が不完全な状況で取る間違った方針によってだということです。それがテーブルに存在する技術を際立たせるだけでなく、マジックが私を20年近く魅了し続けているエキサイティングなゲームにしているものの一部です。

なぜ情報は隠されているのか

 毎回の決定を下すための情報がいつでも全て盤上にあるチェスのようなゲームとは対照的に、マジックは隠された情報のゲームと考えられています。このタイプのゲームの大きなアドバンテージの1つは、新しいことを発見することが好きな我々の脳の根本的な部分に常にやりがいを与えることによって、そのゲームにより深く没頭させる助けになることです。同じようにマジックのランダム要素は2つのデッキが互いに何度も繰り返しプレイできて、全く異なる結果になることを保証しています。あなたがコンバットトリックを持っていて、手札がある対戦相手に攻撃した場合、様々なことが起こり得て、そしてそれを全て把握しようとすることは私のようなプレイヤーを何度も繰り返し悩ませるマジックの光景の一部です。

 デベロップの意見では、隠された情報とは単にあなたの手札の中身だけでなく、あなたのデッキの中身もやはりそうです。デベロップの過程で、我々はカードプールが多様なメタゲームのための手段を含むことにより、そのデッキの中身が人々が気にしなければならないカードが正確には何かを特定できないような変化、その幅の確保に注目します。例えば最近のスタンダードで、あなたの対戦相手が1ターン目に《寺院の庭/Temple Garden》をタップ状態でプレイしたとしましょう。対戦相手はバントコントロール、ナヤブリッツ、白緑人間、またはジャンクかもしれません。この一点のデータでは、次のあなたのプレイをどうするかと言う点で十分な情報を与えてくれません。あなたが対戦相手のデッキの全体的なテーマを知っている時でさえ、手遅れになるまで対戦しているデッキの正確な中身が分からないかも知れません。あなたは対戦相手が伝統的な白黒緑ジャンクをプレイしていると思うかもしれません...《ロッテスのトロール/Lotleth Troll》から《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》を捨てて《堀葬の儀式/Unburial Rites》を唱えるまでは。あなたは有利な状態から突然40点のトランプルダメージを受けてしまいました。

 マジックの第1版まで遡ると、主にインターネットの普及率とデッキとカードの両方のリストが不足していることが原因で、マジックの隠された情報の様相は今日よりも強いものでした。マジックが最初に発表された時、ウィザーズは人々がどれだけの製品を開けるかを少なく見積もっていました。マジックの最初の年に製品の印刷を管理するのがウィザーズにとってどれだけ難しいか推測できるかもしれません。当時は今までに見たことの無いマジックのカードをゲームで見かけるのはよくあることでした。《Illusionary Mask》や《ハルマゲドン/Armageddon》のようなカードを初めて見た時のことを想像してみてください。あなたはそのカードに対してどうプレイして良いのか分からないかも知れないし、そしてあなたのデッキに何を入れることができるかを考えて振り出しに戻ることもありえました。このような初期の日々にあなたがコンボを考えた場合、それを対戦相手が今までに見たことが無い可能性はとても高いものでした。我々はもはやこのレベルの謎を再び作り出すことはできないかもしれませんが、少なくとも新しいセットを発売し、メタゲームが停滞しないように促進することを通して、最低限の水準の謎を維持しています。

情報格差を利用する

 もし秘密のどこにもアドバンテージが得られるものがないなら、これはディミーアの記事とはいえないでしょう。大量の隠された情報が常にあるようにマジックはできていて、そこには常に情報格差を用いてあなたがアドバンテージを得る方法があり、それはディミーアの十八番です。《強迫/Duress》を用いて対戦相手の手札を捕まえるように簡単で、そしてあなたが攻撃するときに対戦相手よりもより良い情報を持っているという利点を生み出します。「研磨/grind」メカニズム(土地が出るまでライブラリーを削る)は対戦相手を削りきることが時折できますが、《欄干のスパイ/Balustrade Spy》のようなカードは1ゲーム目と2ゲーム目の時に対戦相手のデッキの中身に関するあなたの知識を向上させることによってその名に恥じない活躍をして、マッチが続くにつれて対戦相手の手札やライブラリーで何ができるかについてのあなたの見解を向上させます。《破滅小径の仲介人/Bane Alley Broker》のようなカードは、対戦相手がそれを見た後でさえ、あなたの手札に何のカードがあるかを分かりにくくします。この格差はデッキ構築でより大きくすることができます。

 マジックの不完全情報ゲームとしての基本的性質から、たとえ1ターンでも完全な情報を持つことによって、物質的なアドバンテージがあるかどうかに関わらず、相手に対して巨大な戦略的アドバンテージを得ることができます。もし私が対戦相手の手札を見ており、そしてお互い2/2をコントロールしているところに私が攻撃したなら、相手は相打ちするか、コンバットトリックを試みるか決断しなければなりません。私が相討ちに納得している限り、最悪でも基本的に私が戦闘で負けることはありません。もし私が大胆ならば、確実に対戦相手の2/3によって殺される状況で2/2を送り出し、完全な情報を持つプレイヤーとしての立場を利用して何点かのダメージを稼ぐこともできます。

 多くのプレイヤーがローグデッキを作って楽しむのは、彼らが情報格差による先天的なアドバンテージを得るからです。はるか昔のマジックプレイヤーのように、彼らは対戦相手が予想しないやり取りによって驚くことを期待している一方、該当する当該フォーマットで最も人気のあるデッキの多くの熱を内包しています。結局のところ、プレイヤーは自然に《スラーグ牙/Thragtusk》、《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger》、そして《修復の天使/Restoration Angel》のようなカードへの最良の対処方法を学びます。《墓所の怪異/Crypt Ghast》に初めて直面したときに、十分な大きさの警報が鳴らせなかったり、または脅威への対応が正確なレベルではなくて、そのプレイヤーがアンタップして壊滅的な《ラクドスの復活/Rakdos's Return》や《グリセルブランド/Griselbrand》を唱えることを許してしまいます。これは恐らく対戦相手の「見たら即殺す」リストに《墓所の怪異/Crypt Ghast》を載せるでしょうが、これはわからん殺しで勝利を得るというその目標を成し遂げました。

スパイ・ゲーム

 情報戦のあるところでは、いくらかのプレイヤーは常に核の選択を見つけることを望むでしょう。《ウルザの眼鏡/Glasses of Urza》は戦争の不透明さを打破する助けになる手段としてアルファに収録されました。もし実際にあなたが進路をはっきりさせたい場合には《精神錯乱/Mind Twist》も手段に含まれますが、しかし今はただこの手の効果を行うパーマネントを見てみましょう。《ウルザの眼鏡/Glasses of Urza》は特に強力なものとして意図されたわけではなく、相手の手札を見たいプレイヤーにその能力を与えただけでした。これは《天啓/Revelation》や《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》のような似たカードへとつながり、それは一歩進んで対戦相手がカードを引くのを妨げて窮地を脱するようにさせました。それがなすべきことのように見えたので我々はこのようなカードを何年も印刷していましたが、今はパーマネントにその効果をつけることを基本的にやめました。それはこれらの効果を持つカードを再び印刷しないと言う意味ではありませんが、我々はそれを慎重に行います。

 多分この仲間で最も酷いカードの1つで、我々がこの効果を取りのぞいた理由の1つは、ネメシスの《さまよう眼/Wandering Eye》です。このカードを思い出せない人に説明すると(だからといって責めたりはしませんとも)、これは{2}{U}で1/3飛行です。しかもコモンなんです。このパワーとタフネスはリミテッドのメインデッキに入れるのには十分手ごろで、そしてそのレアリティはドラフトで毎回何枚か同じカードを見かけることを意味していました。《さまよう眼/Wandering Eye》がこの嫌な習性を持っているので、これがテーブルに叩きつけられたときにはゲームは急停止する傾向にありました。なぜ? それは両方のプレイヤーが処理しないといけない情報が劇的に増えて、そしてそのプレイヤー達は得られるデータを十分に噛み砕くだけで「正確な」プレイを毎ターン見つけることができたからです。これが全て3/1飛行にあれば少なくともゲームを終わりに近づけるので問題はなかったかもしれませんが、しかし《さまよう眼/Wandering Eye》は攻撃さえも特にしなかったのです。ゲームが時間通りに終わるか分からないリミテッド・フォーマットで、《さまよう眼/Wandering Eye》はそのゲームをさらに長引かせました。

 我々が現在この効果を一時的なものとして印刷する傾向にあるのは、このようなことが起きないようにするためと、我々は単にこれが楽しいものだと信じているからです。《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》の能力は多分この効果の完璧なバランスで、あなたは対戦相手の手札を覗き見することができて、情報戦の手助けを得ますが、あなたが対戦相手の手札を1枚ライブラリーの底に置くことを選んだ場合、再び不完全な情報が残されてしまいます。そういう意味では、「良い」情報はゲームの感覚では一般的に完全な情報よりも面白いのです。これは一時的により良い情報を得るという任務を完了しますが、そのアドバンテージは直ちに失われるので、ゲームを著しく遅くする傾向にはありません。

展望

 秘密といえば、ドラゴンの迷路のプレビューが始まればその次の何週かにわたってあなたにお見せするものが沢山あります。ラヴニカで増加する不安はギルドにとって何を意味するのか? 暗黙の迷路とは一体? そして《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》はそれらにどう絡んでくるのか? それがやってくる週までDailyMTG.comをお見逃し無く、そして今週末(訳注:この記事は3/22に掲載されたものです)PAX East(リンク先は英語)へ明らかになる新しい情報を見るためにスパイを送り込んでください。

 乞うご期待!

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