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第1章:マジック的10の累乗

Dave Guskin / Tr.Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2013年3月1日

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 こんにちは! 私の開発部での肩書きは今「経験デザイナー」なので、従ってその観点からのアイデアに記事を費やそうと思います。経験デザイナーがどんなことをするか聞いてみたいですか? 私は莫大な自分の(そして時には他のデベロッパー、デザイナー、エディター、クリエイティブ・ライター、アーティスト、マーケティング担当、製造のスペシャリスト、販売の代表者、そしてさらにたくさんの人々の!)時間をお店での経験を提供するためのこんな仕事に費やしています:

  • ラヴニカへの回帰/ギルド門侵犯のプレリリース・パック。
  • 暗黙の迷路を走破する活動と同調した、少し異なっているがこれまたすごい、ドラゴンの迷路のプレリリース・パック。
  • 獄庫を開けたときのような叙事詩のような瞬間
  • まだ公表されていない"Friends"ブロック関連のあなたを驚かせるであろう取り組み

 これらの経験は「より楽しくする」というとても明確な意図を持っています。我々はいつもより楽しくする方法を探しています。特殊なことは少ししかしていません。マジック自体が楽しいものですし、皆さんが知り、そして愛している戦略ゲームとしての確信の本質から離れすぎたくはありませんから。それに、押し付けられた楽しさなんて楽しくないのは知ってますよね?

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 私と一緒にマジックの経験の層への旅に出かければ、デベロップがどこでより楽しくすることができるかわかるでしょう。マジックを経験して楽しいのはどんな方法ですか? 大きなイベントのためのこれらの最近のデザインは我々のツールボックスの中でも最新のものですが、これから明らかになって行くとおり、我々は全ての規模のマジックを楽しくしようとしています!

(余談ですが、私は古い教育ビデオ「Powers of Ten」をマジック的に再現しようとベストを尽くしています。その動画をYouTubeで見ておくことをおススメします、特に科学が、サイエンスが!好きな人には!)

10^0:カード

 我々がデベロッパーとして影響を及ぼす最も基本的な単位はカードで、それはマジック宇宙における原子です。カードは物事を楽しくするいくつもの方法で変更されることがあり、多くの人がそれをデベロップの主な仕事だと考えています。「庭を造る」こと、言い換えると、セットの各カードが楽しいプレイの経験やバランスの取れた環境を提供するよう注意深く形作ることです。もちろんここでも成すべきことが存在します。もし個々のカードが楽しくなければ、我々がカードの上に積み上げた残りの仕事は恐らく何の楽しさも増すことはないでしょう!

 例として私がデザインした、新たなるファイレクシアの《倒れし者の記憶/Remember the Fallen》(デザインとデベロップでのコードネームは〈はらわたとボルト/Guts and Bolts〉)を使ってみましょう。このカードで経験できるものを最大限にするのは何ですか? 以下にこのカードをプレイし考えることを楽しくするいくつかの事柄があります。

  • それらは両方素晴らしい「起きたらどうなるか?」のシナリオに結びついた一組のまっすぐな効果を持っています。
  • セットのテーマをプレイしたことの報酬なので、両方使っても魅力的なお値段(追加コストなし)です。
  • これには物語の流れがあり、エルズペスはミラディンが(新)ファイレクシアに敗れたことを嘆いています。

 {2}{W}はこのカードの正しいコストですか?{1}{W}や{W}のほうがより魅力的で強力ではないでしょうか? 「両方」にいくらかのコストがあるとうまく使うことが難しくなり、いざうまく使えたときの興奮はひときわ大きいものになるかも知れません。テストを通して、我々はカードのマナ・コストの最もインパクトの強い地点の限界に近づこうとします。我々は何かをどの程度プッシュすることができるかではなく、むしろそのカードをどのポジションに置くと意図した相手にとって楽しむ可能性が最大限になるかを考えます。ドラフトするかどうかが難しいものもあれば、明らかな構築のオールスターもあり、そしてとても悪く、ある特定の勝ち筋を探すしかないカードもあります(例えば《煙突のインプ/Chimney Imp》)。

 カードにはそれぞれ役割があります。通常それは文字通り満たすためにデザインされ、デベロップはそれが確かに当てはまるようにします。マジックのカードの目的をゲームの主な機能として考える場合、マジックの思い出を作り出すその2番目の役割はその秘密の目的のようなものです。メカニズムはゲームの働きを作るのに必要ですが、物語を作る中での役割こそがマジックの経験の中でのカードの真の力なのです。

10^1:カードの相互作用

 各々のカードができることには限りがあります。カードは他のカードとの関係の中でプレイされます。それら多くのカードの相互作用の中で、いくつかのより楽しくする方法を得ることができます。あなたが遭遇した印象的な相互作用の種類や、それらがゲームに影響を与える楽しさを探してみましょう。

  • カード2枚でのコンボを発見する。
  • ドラフトでの一進一退のクリーチャー戦、そしてそれを制する《グルールの魔除け》
  • 構築での、ウィニー・クリーチャーの攻勢、全体除去、復帰力のあるクリーチャーのじゃんけん

 これらは特定のフォーマットやゲームプレイの経験を語るときに忘れられない物語です。事実、ほとんどのマジックプレイヤーは興奮してお互いにマジックの議論をする時、最近のゲームの詳細を徹底的に調べます。これは相互作用の物語です。

 我々にとってこれらの相互作用を識別し、調整し、そしてより高める最も明白な場所はプレイテストです。以前にこの記事で明らかしたように、デベロップはこの段階でリミテッド中の働きの大部分を行い、ドラフトでの十分な数の異なるテーマのアーキタイプを保証しようとし、いくつかの創造的な存在の自由な機会に対しても同じようにします(例えばラヴニカへの回帰の《斧折りの守護者/Axebane Guardian(RTR)》、イニストラードの《記憶の旅/Memory's Journey》と《ルーンの反復/Runic Repetition》のコンボなど)。

10^2:デッキ

 デッキは様々な方法で相互作用の束をまとめています。私は私が新しいセットやフォーマットを探索するとき、どんな新しいデッキを組めるか(そしてその後、興奮は少ないにせよいくらか楽しみなのが、どれぐらい古いデッキに新しいカードを入れてアップデートできるか)、という観点から考えることを知っています。どのようにして我々はデッキレベルでの楽しみを最大限にできるでしょうか? しばしば、デッキは上記の二つの層から発生します。ある特定のカードからデッキ全体ができ、あるいはある特定の相互作用を軸に強烈な効果を生み出せるデッキができます。これらは、我々がデッキの開発と楽しみに関して使っている手段のうちの二つです。

 ほとんどのスタンダード・フォーマットで、デベロップは新参の、もしくはカジュアルな(またはその両方である)プレイヤーがカードショップの他のプレイヤーに対して持っているかもしれない弱点を補強するコモンとアンコモンを識別しようとします。これらは高い頻度で遭遇するので、カードの資産に限りがあるプレイヤーにも彼らのデッキの戦う形を維持する方法を与えます。同じように、例えばほとんどの赤いデッキが《頭蓋割り/Skullcrack》や他の強力な火力呪文と《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》のような1マナクリーチャーを使っているように、強力なコモンやアンコモン(または両方)を中心に構築されたデッキは、作成するのも楽しく、そして競技的にも十分強力です。

 我々はさらに、セットへあなたに特定の輪を潜り抜けるよう要求するクレイジーで強力なカードを入れ、プレイヤーがマジックのコンボの側面を調査するチャンスを持つようにしました。このようなカードのうち2つがイニストラードの《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》とギルド門侵犯の《先端生物学者/Biovisionary》です。これらのカードの両方には我々がカードに書く最も強力な一行――「あなたはこのゲームに勝利する」がありますが、そこに至るまでに要求してくるものはかなり困難なものです。これらの2枚のカードの楽しさは、あなたがこれらを中心としたデッキを作るときにやってきます。《慢性的な水害/Chronic Flooding》はあなたのデッキをすばやく削りきる手段としてどうですか? 多分《大笑いの写し身/Cackling Counterpart》は1枚で2枚の《クローン/Clone》になり、《先端生物学者/Biovisionary》を組む力になるのでは?

 デッキは、プレイヤーがその経験の創造的な支配を得る、あるいはデベロップの支配(言葉と数を選んで、カードに現れる、またそれらのカードの相互作用の範囲を決定すること)からプレイヤーの支配(どのカードをデッキに入れるか)へと移り始める最初の主要な場所です。規模が大きくなるにつれて、デベロップが意図的に特定の経験を導くことは難しくなり、プレイヤーとともに楽しい経験を作ろうとすることの比重がずっと大きくなっています。

10^3:トーナメント

 デッキができたら次は何をしますか? トーナメントはプレイヤー達が一緒に来て、それらのデッキが表すアイデアをテストする場所です。私がトーナメントと言う場合、「構造化されたお店でのイベント」でのとても一般的な意味を話しているので、あなたのデッキがどんな行いをするかの場所についての熾烈な議論は必要ありません。

 サム/Sam Stoddardはこの前のLatest Developmentsで、トーナメント・レベルを考慮したスタンダードの盛衰に関する興味深い事柄を書きました。私はそのトーナメントのデベロップの様相を長々と話すつもりはありません。

 よりカジュアルな面で、我々がトーナメントの楽しみを促進しているシンプルな方法の一つは達成カードです。ミラディンの傷跡からのこのちょっとしたアイテムは、単にマッチに勝利することを越えて、印象的なことを行おうとする人のためにプレリリースの楽しさを強化する助けになります。これらは万人向けではないかもしれませんが、より刺激的な瞬間を得る機会を提供してくれます。

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 このレベル(お店でのトーナメント)は楽しい経験のデザインの観点から最も成長する機会を得る場所としての私のお薦めです。より新しい、またはよりカジュアルなプレイヤーのための状況の改善と、そのような軽い接触は、新しいマジックの経験を探すプレイヤーを豊かにする製品を発見し、楽しむための機会に大きな影響を与えることができます。

10^4:大きなイベント

 もちろん、印象的なイベントを作り出す議論は新しいセットのお披露目(プレリリース)のような大きなイベントの議論に、そして最近のプロツアーや記録を破ったグランプリ・シャーロットのような巨大な高レベルのイベントにさえ自然とつながります。

 サムはプレイヤーのギルド・パックを使った新しいセットの経験の議論のときにまたもや私の先を越しました。我々はこの成功した経験を拡張する方法を探しており、これは将来のセットに主題と要約したと感じさせる方法で方向性と選択を組み合わせています。新しいセットはそれぞれ巨大に拡張されたテーマと物語の分野と共に来ており、また我々が印象的なイベントで選択できる経験をコミュニケーションできる方法を見つけられた場合、私は自分の仕事が上手くいったと考えるでしょう。

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 カジュアルと競技という軸で見た真反対側に、プレミアイベントとそのカバレージが存在します。プレイヤーが一流のカバレージにアクセスできることを保証する光景の後ろにいる男、グレッグ・コリンズ/Greg Collinsは長年それの改善に取り組んでおり、そして最近の24時間見られるビデオ・カバレージでも分かるように、明確に成功を収めています。我々開発部は、小さいが重要な資源で彼をサポートしようとしています:あなたがプロツアーでのカードや戦略、デッキについて話すスライドです。この規模では、どんなものでも直接「デベロップ」することは難しくなるので、代わりに我々は調査するプレイヤーに自分の楽しみをより高める資源を提供しようとしています。

 この規模では他にも多くの種類の出来事(PAX、および我々が主催するパネルやパーティー、大発表やプレビューなど)が起こり、また我々はこのマジックの楽しい思考についてのレンズを通して全てを総合的に見始めました。私はこの方法を通じて友達と話すことを楽しみにしています...しかしあと数ヶ月もかからないでしょう!

10^5:そして、対話

 ある意味、我々は「鳥の目からの視点」についてずっと話しています。これは、人々がマジックを知っている他の人々とマジックの物語を共有する規模です。それは我々のフォーラム、ツイッターフェイスブック/r/magicTCG subreddit、他の無数のソーシャルなサイトで、マジックファンが他のマジックファンと繋がることができる場所があります。またそれらの場所ではプレイヤーはこんな議論をしています。

  • 「リミテッドでこんな強いカードがあるなんて信じられない!」
  • 「新しいカードと古いカードのこんなコンボを見たことあるか?これをどうやって倒せばいいんだ?」
  • 「新しいアーキタイプのデッキ診断希望です。新セットはいろんなことが実現できるようになると思ってます」

 対話で面白い事柄の一つ、そしてそれが発生するスペースは、強制的なデザインに自然と免疫があることです。人々は対話の意図を見抜くことができ、そしてそれどころか対話の価値はその自由と公正さから来ています。従って、マジックデベロッパーとしての対話に関しての主要な仕事は、聞いて学ぶことです。

ゆきてかえりし物語

 願わくば、このマジックの規模と楽しさがどこから来るかの探検が参考になりますように! 私はこの方法で物事を考えることが、どのようにして小さなもの(カード)と大規模なもの(世界規模のイベント)が繋がってマジックの楽しさを予想外の方法で成長させるかを気付かせる助けになる、別の視点であることを知っています。

 では次の出番まで、マジックの提供する全てを楽しめますように!

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