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Dave Humpherys / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2012年9月21日

原文はこちら

 あなたは赤のアグレッシブな1マナクリーチャーとして何を得ましたか? マジックの歴史の大半において、《ジャッカルの仔》がその基準となっていました。彼は1997年のテンペストでマジック・シーンに登場し、赤単のデッキで他に並ぶものは無い存在でした。この小さな2/1には非常に深刻な欠点がついていましたが、しかしこれをコントロールするのには程よく釣り合いが取れていました。火力に援護された彼はとても凶暴だったのです。彼はアグレッシブな考えの赤の魔道士がちょうど探し求めていたものでした。単純に言うと、2ターン目に殴り始める2点のダメージ発生源はまさしく赤のアグレッシブなデッキが成功を収めるのに必要とされていたのです。無抵抗になった後の弱った対戦相手に直接行くにせよ、もしくは火力によってその道を切り開いた後、同じ火力が最終的に止めを刺すことができるようにするにせよ、いずれの場合でも、これは火力を完璧に補完しました。

 《ジャッカルの仔》には長い間同等なものがほとんどありませんでした。特に強く色の調整がされたフォーマットで他の色に分岐することによって、プレイヤーは既に《密林の猿人》を手に入れましたが、しかし赤だけを使いたい誰かは、《ジャッカルの仔》を前提として、その次として《モグの徴集兵部隊》や《ゴブリンの士官候補生》、または《ゴブリン巡視部隊》のようなものを正当化するしかありませんでした。面倒な手順を踏むか、追加のマナを払うか、もしくはいくつかの壊滅的な欠点に悩まされたりすることをあなたに求めない生粋のパワー2のクリーチャーは難しいものでした。

最初の十年間

 あなたに歴史的にどんな赤の1マナクリーチャーが与えられていたかを深く理解してもらうために、私はあなたをランディ・ビューラーの連載記事へと連れ戻したいと思います(ここここ(リンク先はともに英語))。この記事は今日のプレビュー・カードのための実に適切な比較です。下記のサンプル・カードを見た時に、プレビュー・カードを推測できるかちょっとやってみてください・・・それはつまり、あなたがプレビューカードを先に見てしまうのをどうにか我慢できた場合、ですが。

 ランディの記事では我々の「空想作戦」テストを見ました。簡単に言うと、これは期待されている研修生および従業員に与えられたテストです。これには私達が近い未来に印刷できるカードが何枚かあります。私達はその受験者に何故それらのカードを印刷するべきか、もしくはするべきではないかの評価を求め、そして全ての場合カードをどのように変更したいかの考えを尋ねます。ちなみに私はここに来て以来このテストの最新バージョンの管理者で、そしてもしこれらに興味があれば私達はこのトピックに再び訪れることができます。

 しかし今は、ランディの連載記事の中から特にこの赤のコモンのカードに注目してみましょう。

だらけたゴブリン

{R}

クリーチャー―ゴブリン

2/1

だらけたゴブリンではブロックできない。


 確かに時代はあの時から変わっていますが、あなたは今このカードをどう考えますか?このようなカードを印刷することによって、あなたがマジックをプレイすることがよりハッピーになりますか?

 その時のランディの記事で2、3人の目を引いた回答者はこのカードを印刷することは良いことだと感じましたが、圧倒的多数の他の人たちは強すぎる、と感じていました(リンク先は英語記事))。

「安すぎ! ブロックできない能力は欠点とは言えないよ・・・」

「このカードは十分な欠点を持っていないね」

「駄目、駄目、駄目」

「駄目だ、こいつは《Mana Drain》と一緒に『開発部がバスに轢かれた時』の分類のファイルにぶち込まれるべき」

「いいえ、では足りない? 1マナで2/1ならもっと欠点が大きくなくては」

「何ということだ・・・バランスを取るのにしても早すぎる」

「このカード(もしくは何か似たようなの)は印刷されることは無いだろう」

「明らかに優秀すぎる」

 ランディは「このカードはたとえ他のクリーチャー・タイプで印刷されたとしても構築において不健全だろう」とこのカードについて締めくくっています。

 これを踏まえて、では《ラクドスの哄笑者》を見てみましょう。

進化

 10年前、ブロックできない2/1は一般概念では強すぎるとして受け入れられませんでしたが、けれどもここに私達は2/2ブロックできない――もしくは1/1でブロックできる――としてプレイできるクリーチャーを持っています。またこれは赤か黒のマナでプレイできます。2点のタフネスも初期の相打ちや除去において無関係ではありません。どういうつもりでしょう?

 マジックは変化してきました、そして今も変化しています! それは生きている、呼吸するクリーチャーやその類、そしてその上複合したものです。2003年のデベロップ・チームは当時のマジックの文脈の中で〈だらけたゴブリン〉の進化を定める良い機会でした。例えば、火力の詰め合わせの支援はその後大きく変化し、中型のクリーチャーは早期の猛攻を効果的に止めてくれそうにありませんでした。あなたがマナ・カーブに沿った様々な点でクリーチャーのために受け取ったものへの期待は非常に異なったものでした。

 私達の批評家のうち何人かは、恐らく《ラクドスの哄笑者》は私達のカードパワーが徐々に上昇していくという問題の一つだと主張するでしょう。ちょっとこれがいくつかの赤の前任者よりどれぐらい露骨に強力かを見てみましょう。《ゴブリンの先達》や《運命の大立者》のような既にその時から新しいバーを設定したカードはさておき、私達が長年作ってきた他のたくさんのカードのためにこのカードがより強力であるべきであると主張できます。しかし状況はそれよりも少しだけ複雑なのです。

 一般的に、カードとデッキはマジックの歴史を遡るほど強力になる傾向があり、そしてそれは大抵クリーチャーでないものです。禁止がされなければ、これらの古いカードと戦略はエターナルフォーマットを支配しつづけていたでしょう。一般的にフォーマットは強力な突出したカードによって特徴付けられ、また私達はそれらの強力なカードの量と範囲を縮小させることにこの数年で良い進歩を遂げました。もちろん、この議論は私達がまた間違いを犯さないということではありません。私達はいくつかの突然変異のカードを作り出し、そしてそれはバンハンマーに選択されなければ時に予期せぬ方向にゲームを引っ張っていきます。

 パワー・カーブの上限の変更に加えて、私達はまた弱い方向に突出したカードの数も減らしました。これらは全て、私達の数年にわたるゲーム・エンジンへの理解の一部です。また、パワー・カーブの中心に向かってシステムに顕著な変更を加える場合には、私達はとても長い議論を重ねます。私達は各色のクリーチャーの中での相対的な強さの期待値を定めました。

 例えば、《歩く死骸》は内部で多くの議論を生み出しました。黒に弱点の無い{1}{B}2/2を容認してもいいのか? 《夜の子》のようなカードはほとんどのシナリオでよいかも知れませんが、これは直接比べて「完全上位互換」になるカードです。2点のタフネスの重要性は《骨なしの凶漢》、《流刑のボガート》、《汚い野犬》、そして《クロヴの悪漢》の歴史と比較すると顕著です。さらにマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterが今週ラヴニカへの回帰の門に関して、完全上位互換の比較を議論していました。《歩く死骸》の状態について多くのメールやグループでのミーティングがありました。最終的に、私達はこれについて時にはありえるとして同意しました。それは私達が他の色に《銀筋毛の狐》、《ムーアランドの審問官》、《暗茂みの狼》、《夜明け歩きの大鹿》、《ソンバーワルドのドライアド》のようなカードで明確な違いをこのスロットに提供する余地を与えました。それはまた私達に、私達が到達したいと思う興奮の幅を作る余地を色の中に与えてくれました。さらに私達は、《歩く死骸》が必ずしも基準でないと認めました。なので、ここにより多くの盛衰を期待できます。

 私達は常にシステムを再計測しています。私達もプレイヤーも、このゲームが初めて発売されて、その基準と期待値の多くが設定されたときよりもゲーム・エンジンと戦略についてより多くのことを知っています。私達はクリーチャーがそれらがマジックの幼年期にしていたよりも、さらに焦点を当てた役割を果たすことを熱望することを明らかにしました。そこで、クリーチャーの強さとサイズの再計測がありました。マジックが始まって以来、変化が最も多く見られたのはクリーチャーの強さでした。そして、そうです、私達が環境とデッキのパワー・レベルの維持に努めてきた中で、クリーチャー達はそれら自身で強さを高めていきました。私はいくつものトレーディングカードゲーム・エンジンの仕事をしたことがあり、またそれらの全てで少なくともクリーチャー・カーブのいくつかの部分で改善点の実現を可能にする同じような過程を通過しました。デベロッパーとして、私達はカードと共に様々な繊細な方法でプレイを育て、そして私達が作った新たな設定に継続的に新たなカードを適応できるようにしなければなりません。この動きは、着実に、そして大抵ゆっくりと発生しており、従って私達は自身の実験結果を見て調整することができます。プレイヤーの間にどこかでクリーチャーが必要以上に強くなるかも知れないという懸念があることは認めますが、しかし最近のカード・タイプ間のバランスの落ち着きどころについてはおおよそ満足しています。

 結局、私達は強いカードを作ることよりも、楽しく魅力的なカードを作ることのほうにはるかに関心を持っています。数字をいじくって強力なカードを作る方向に舵を取るのは簡単なことです。これはどのカードを改善しなければならないかを識別するよりかはやりにくいプロセスです。《ラクドスの哄笑者》のようなカードを私達が作ることができるのは、環境が、最も一般的にプレイされるフォーマットが、それを対処することができるからです。一般的に、私達は最も流行している既存の戦略には既に適合していないカードをプッシュする傾向にあります。さらに、私達は同じ兆候にあまりに多くの回数達することを大抵避けようとします。前回の記事では、私は《原初のうねり》をプッシュしたいと書きました。しかし同時に、私達はランプデッキ、特に《原始のタイタン》を使うことができるようなデッキがすぐにさらに促進されることを警戒しました。

 《ラクドスの哄笑者》のようなカードを作る場合、私達は似たような過去のカードを古びさせようと思ってはおらず、むしろそれらのアーキタイプの復活に挑戦し、彼らには同胞がいるので、似たような種類のカードがプレイされるのがおそらくもっと見られるようになります。私達はカードが意味ある役割を持つようにするため、カーブの中のほかの部分の変更の計算を調整しています。根本的に、私達はさらに多くの人達が次の質問に「はい」と答えるようなカードを作ることを追求しています:「このカードの存在は、あなたがマジックをプレイすることをより幸せにしますか?」


《ラクドスの哄笑者》 アート:Ryan Barger

お終いの前に

 +1/+1カウンターを載せて《ラクドスの哄笑者》を自由にさせることができる機会があるとはいえ、それを手なりにやってしまうのは問題です。他の攻撃的なデッキに対して、あなたがブロッカーを必要とするゲームがあるでしょう。そしてまた、他のゲームで最後の火力呪文を引くチャンスを得るためにチャンプブロッカーが必要になる事ももあるでしょう。他の解鎖クリーチャーについては、カウンターを乗せる決定が難しくなるように多くを作りました。例えば、あなたは再生や接死のような防御に望ましい能力を持ったクリーチャーを見つけるでしょう。

 《ラクドスの哄笑者》とより最近のものとの比較について考えるなら、私は――比較的優秀なものですが――当時、赤単デッキで多くの愛を受け取った《ぼろ布食いの偏執狂》が似ていると書くでしょう。私個人としては4枚の《ぼろ布食いの偏執狂》を積んだデッキを2008年のプロツアー・ハリウッド(リンク先は英語)で使用していて、私の記憶が定かなら、パトリック・サリバン/Patrick Sullivanとブライアン・キブラー/Brian Kiblerから借りていました。もちろん、私は《ラクドスの哄笑者》がメタゲームのどこかで見られるようになるのを熱望します。

 私はこの記事で赤単に焦点を当てていましたが、あなたは思い通りにできる他の選択肢を忘れないようにしましょう。《ラクドスの哄笑者》は《墓所這い》と《戦墓のグール》と並んでスタンダードの黒いデッキの1ターン目のパワー2をプレイするコレクションに加えられます。ゾンビであるという長所が無い一方、それを求める人のために更なる速度を提供してくれます。

 そしてもちろん、私達は金色で囲まれた世界に足を踏み入れました。2色のビートダウンは大抵一貫した動きをすることが難しいのですが、しかし混成1マナクリーチャーは長い道のりのレースに出かけるのに頼もしい存在でしょう。《殺戮遊戯》のようなアンチ・コンボ/コントロールや《戦慄掘り》のような汎用性のある除去を使えば、攻撃的なアプローチを取るにも様々な方法があります。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 デイブ・ハンフリー

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