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Latest Developments -デベロップ最先端-

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スタンダードの更新情報

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年3月24日

原文はこちら

 こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ。先週、私はスタンダードについて話さないことにしたのですが、さらなる情報を求める多くの人の声をいただき、今週この記事で今回の禁止告知までの期間に何が起きたかについて、そして我々が今後に向かって考えていることに取り上げようと思いました。我々はスタンダードで禁止を出さずにこのフォーマットを進化させ続け、追加の数週間のプレイや『アモンケット』が構築フォーマットにどのような違いをもたらすのかを見ることにしました。

 これは我々がこのフォーマットが完璧だと信じていることを反映したものではなく、我々はプレイヤーの懸念を聞きマジックにとって最良であることをしようとしています。我々は彼らのスタンダード、そしてマジック全体への信頼を再確認したいと思っています。これは本当に綱渡りです――禁止を出す、特に短い期間に繰り返すことは、プレイヤーの不満を爆発させるでしょう。一方でこのフォーマットがつまらなく新鮮さのないものになれば、プレイヤーがスタンダードから離れていきます。自信を持ってこのフォーマットを改善する禁止はなかったので、我々は全てが終わったときに良い結果が出る可能性が一番高いと思われる方策を取りました。

 前回のスタンダードの禁止を見てみると、全体的に我々が『カラデシュ』スタンダードに期待していることを達成する妥当な仕事をしたと思いますが、『霊気紛争』が出たときにこのフォーマットは最終的に我々の希望よりも多様性の少ないものになりました。最終的にはマルドゥ機体(《産業の塔》と《キランの真意号》で大きな恩恵を受けました)と黒緑《巻きつき蛇》(以前は存在しなかったデッキです)とコピーキャット(これも『カラデシュ』スタンダードにはありませんでした)に固まりました。理想的な世界では、我々はスタンダードに追加で禁止する必要がなく、将来のセットは禁止する必要がないぐらい十分にバランスが取れたものでしょう。

 ここ最近のグランプリでは、我々は確かにマルドゥ機体がメタゲームで大きな躍進を遂げたのを見ました――これがすでにほぼベスト・デッキであることを考えてもかなり印象的な功績です。しかしまた我々は先週機体と戦うためのある興味深いカード、具体的には《鈍化する脈動》がコピーキャット・コンボと戦うのと同時に、本当に魅力的な方法で機体のアグレッシブな滑り出しを遅くさせ、《キランの真意号》への搭乗を困難にしているところを見ました。マルドゥ機体が素晴らしい週末を過ごしたことに異議を挟むことは困難ですが、ティムール・タワーにはこのフォーマットにまだ仕掛けが仕込んであるという希望がありました。

 結局、我々は最終的に2つのとても堅実なトップメタのデッキ(マルドゥ機体/バリスタと4色コピーキャット)と、トップメタに近いけども一段パワーが下にに見えるいくつかのデッキ(黒緑《巻きつき蛇》、ティムール・タワー、《奔流の機械巨人》デッキ)があるところにたどり着きました。他の多くのフォーマットのように、トップメタ以外であればより多くの実行可能なデッキがありますが、それらのデッキは通常よりもトップ8に残りにくいように見えます。

 『霊気紛争』スタンダードを改善するために今すぐ何かを禁止することは可能だと信じていますが、それはどんなフォーマットであってもカードを禁止することのリスクの1つを強調してしまいます――出てくるデッキは今あるものよりもスタンダードを楽しいものにしないかもしれません。我々は禁止をすることはプレイヤーのマジックに対する信頼に多大な影響を与えることを理解していますし、スタンダードで禁止を出す回数を最小限にしたいと思っています。

デベロップ上の留意点

 私は我々が現在のスタンダードから、それを作っていたときも、去年フューチャー・フューチャー・リーグでそれをプレイしていたときも、そして今でも多くのものを学んだと考えています。このプロツアーのずっと前には、スタンダードでの強力な回答の数が増えるという大きな願望がありました。我々の内部のメタゲームはあなたが現実に見ているものよりも多様性がありましたが、プレインズウォーカー、機体、墓地戦略の圧力も感じていました。

 我々はかなり良い歩幅で3セット・ブロックの戦略とデッキを推してきましたが、2セット・ブロックへの切り替えと基本セットの消滅が我々のその全てを適切に機能させる能力を傷つけ、私は我々がこれらの変更の重大さを甘く見ていたと思います。

 基本セットの一番良い部分の1つは、強力なテーマが存在せず、どんな古いカードのテーマも入れることができるところです。『基本セット2011』に《鋼の監視者》が《通電式キー》《トリスケリオン》と《不死の霊薬》と一緒にあったのは、それらがローテーション落ちする前の1年間『ミラディンの傷跡』ブロックと一緒に機能させるためです。『戦乱のゼンディカー』や『イニストラードを覆う影』に《鋼の監視者》を入れて適切に機能させるのはとても困難です。事実、我々は「無色/アーティファクト関連」のテーマで『カラデシュ』に少し備えようとしましたが、最終的にはそれらの多くがなくなってしまいました。実際にそのセットでテストをできるようになる前に適切な強さのカードを計画するよりも、基本セットに後で再録を投げ込むほうがずっと簡単です。

 また我々は内部でスタンダードを楽しくするものについてと、セットの個別のテーマ全てを推すことの難しさ――特にスタンダードが2つの主要なブロックから4つに変化することについて多くの議論を行いました。

 まず、2ブロック制の世界でブロックのメカニズムをかなり激しく推すのは、それぞれのブロックをそれぞれ異なった雰囲気にして、各年のスタンダードがより多くの定義を持つ助けになるのでいい考えだと私は思います。年間2個から3~4個のテーマに移行した途端、我々は問題を抱えるようになり、私は我々がそれらの個別のテーマを推しすぎたのだと考えました。

 また我々はそのブロック周りの対策や回答となるカードの強さについて話し合いました。我々は確かにブロックが1年のときにそのブロックのテーマに対するあらゆる対策カードを持つことから離れましたが、スタンダードごとに4つの『テーマ』をヒットさせるということはそれら全てを回避することが困難であるということでした。我々は『カラデシュ』に対する回答として《粉砕の嵐》やそれに類するものは求めていませんが、後から考えてみると、我々のテーマが想定以上に当たった場合にそれを食い止めるために、少なくとも《帰化》か、もう少し強いものがあるようにすることが重要でした。

 余談ですが、私は昔「フューチャー・フューチャーの日々」の記事で特定の時期のフューチャー・フューチャー・リーグ(FFL/開発部内部のテストプレイ・リーグ)のデッキリストを紹介していました。ここで少しお見せしようと思うのですが、このシリーズは『破滅の刻』まで少し中断することになります。禁止の性質と我々の仕事の進み具合によってこのテストから見えるものはかけ離れていて、現実世界のメタゲームと大きく異なるデッキリストを大量に紹介することは有益ではなく肯定的な議論の積み重ねにもなりません。我々が話し合った上記の変更によってこの時期のFFLのデータが侵害されたものであることを我々は理解していて、それに対処するための答えを求めて密かに取り組んできました。

 しかしそれでも『霊気紛争』スタンダードのFFLのデッキをいくつか見るのは楽しいことです。

 たとえば、我々はある程度似ている(しかし練り込みが足りない)《巻きつき蛇》デッキを作っていました。

FFL「巻き付き蛇」
スタンダード
8 《森》
4 《沼》
4 《花盛りの湿地》
2 《風切る泥沼》
4 《霊気拠点》

-土地(22)-

4 《ナーナムの改革派》
4 《導路の召使い》
4 《歩行バリスタ》
4 《巻きつき蛇》
4 《ピーマの改革派、リシュカー》
3 《逆毛ハイドラ》
4 《新緑の機械巨人》

-クリーチャー(27)-
3 《致命的な一押し》
4 《ニッサの誓い》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》

-呪文(11)-

 我々はトップのデッキを完全に見逃すことはありませんでしたが、我々のメタゲームの中で最強のものが同じように強いとは限りませんでした。我々は依然として多くの《密輸人の回転翼機》と《約束された終末、エムラクール》とローテーションを控えた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》プレイしていて、そのことで多くのデッキの見積もりとどれをもう少し長く維持しても大丈夫かが変わりました。

 例として、このデッキをご覧ください。

FFL 「白単」
スタンダード
20 《平地》
3 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(23)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
2 《ギラプールの希望》
4 《無私の霊魂》
3 《異端聖戦士、サリア》
2 《発明の天使》

-クリーチャー(19)-
1 《グリフの加護》
4 《石の宣告》
4 《霊気装置の展示》
2 《集団的努力》
4 《密輸人の回転翼機》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(18)-

 もしくはこれです。

FFL 「昂揚」
スタンダード
4 《森》
2 《沼》
2 《平地》
4 《花盛りの湿地》
2 《乱脈な気孔》
4 《進化する未開地》

-土地(18)-

4 《改革派の結集者》
2 《復讐に燃えた反逆者》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《害悪の機械巨人》
3 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー(13)-
4 《致命的な一押し》
4 《改革派の地図》
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《枷はずれな成長》
3 《テラリオン》
2 《石の宣告》
2 《苦渋の破棄》
1 《燻蒸》
1 《罪人への急襲》
4 《最後の望み、リリアナ》

-呪文(29)-

 これらは見ていて面白いかもしれませんが、記事1つを全部使うのはやりすぎです。今後数セットの進む方向次第ではいくつかのデッキをご紹介するかもしれませんが、記事全体でこれらに焦点を当てることはないでしょう。

 それではまた次回お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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