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良いメカニズムの構成要素

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年3月17日

原文はこちら

 最初、今週はスタンダードについて書こうと思ったのですが、エリック・ラウアー/Erik Lauerが禁止制限告知で私が言いたいことのほとんどをまとめてしまいました。禁止リストにカードが追加されないことは、我々がスタンダードを完璧であると信じていることを反映しているわけではなく、我々は何か変更を加える前により多くの情報を求めているということです。

 というわけで、スタンダードについてお話しする代わりに、デベロップの側から良いメカニズムを良いものにしているものについて、そしてデザインから引き継いで仕事を始めるときに我々が期待しているものについてお話しします。

楽しさ

 これはどのメカニズムにとってダントツで重要なものです。これが一覧に挙がるのはおかしなことに見えるかもしれませんが、デザイン初期にはかなりの数の楽しくないメカニズムが存在しています。クリエイティブの側と結びついていたり、その世界の全体的な感覚を作り出そうとしたり、いくつかのメカニズム的な未解決の部分を完成させようとしたりしていることがよくあります。

 デザイン過程の初期で最もよくあるメカニズムにおける失敗は、それらが「回らなければ負け、回れば勝ち」という軸でバランス調整されていることです。デベロップの求めるものは、初めてでも20回目でも、使っても使われても楽しめるメカニズムです。我々は斬新で興味深い選択をゲームに加え、それらを最大限にするデッキ構築上の選択を可能とするメカニズムを求めています。

 初期のプレイテストで解明するべき最も重要なものは、デザイナーがそのメカニズムの中で楽しいと思ったものを見つけ、それを現実世界の環境で再現できるものにすることです。しばしば、我々はデザイナーが楽しいと思ったことが彼らの枠の中でしか機能しないことを発見し、デベロップで数字の微調整や軽い改定を行うことで修正できるかを判断します。

 例えば、『カラデシュ』のエネルギーに関してデベロップが最初に行ったことの1つは、カードから得られるエネルギーの量を倍にすることでした。デザイナーはどの効果を使うかを選択できる組み立て感覚を楽しんでましたが、彼らはほとんどの能力を批判的に十分見ておらず、現実世界よりも最適ではないプレイをして満足していました。得られるエネルギーを倍にしたことで、戦場に出たときに3つ得て2つ払ったり、単純に小さな効果のために1つ支払うなどのより細かいエネルギーの支払いができるようになりました。この変更はデザイナーの好んだ組み立て感覚を保つ助けになりましたが、それ以上にこれらを実際のゲーム・プレイで「正しい」ものにしました。

とっつきやすさ

 メカニズムを実際に売り込むのに役立つことの1つは、フレーバーとゲームプレイの全体像からのわかりやすさです。これは隠れた物事ですが、大部分は我々が失敗したものを除外するかなり良い仕事をしているからです。また我々は何かの助けが必要なメカニズムの名前の付け方やフレーバーを考え出すためにクリエイティブと良い仕事もしています。

 例えば現出は、メカニズムとしての主な理由が「エイリアンとゴシック・ホラー世界の出会い」で、そしてエイリアンのチェストバスターのアイデアは、その背景では説明できるけれども他のほぼすべての背景ではとても場違いに感じられるものです。これはとても複雑なメカニズムでしたが、理解しやすい物語に後押しされました。

 飛行はこの方法で機能するメカニズムの最高の例です。フレーバー豊かで、注釈文がなくても人々はこれが何をしようとしてるか、かなり理解できます。それとは反対に、徘徊のようなほぼ完全にメカニズム的で全くフレーバーのないメカニズムもあります。この名前をならず者と結びつけることはできますが、このメカニズム自体に関しては筋が通っていません。

影響対文字数

 本当に素晴らしいメカニズムに求められるものは簡単さとゲームへの影響の両立です。上で述べた飛行はこれにもとても良く当てはまります。威迫、果敢、親和、強襲、召集はこれがうまくできている他の例です。

 ここでの目標は、興味深いデッキ構築とゲームプレイを可能とし、しかしカードのテキストに多くの余裕を残すメカニズムです。メカニズムの使う文字数が少なければ少ないほど、我々がコモンをシンプルなものにする能力とカードに興味深い能力を作り出す能力は大きくなります。このことがある程度メカニズムの機能に結びついていることは明らかです。

 親和は何にでもつけられるのでこれの恩恵をとてもうまく受けていますが、このメカニズムはそのカードを変更せず、一方で強襲はより多くの文字数を必要としますが、それらの文字数のほとんどは戦場に出たときの能力であり、強襲は飛び越えるための輪を提供するだけです。


《戦名を望む者/War-Name Aspirant(KTK)》 アート:David Gaillet

 これがうまくできてないメカニズムの例は族系と窮地です。これらのメカニズムはゲーム・プレイで見かけられましたが、ゲームでで見られるとても少ない割合の能力のために多くのテキストとそのセットの能力の空間を必要としました。

 族系の例では、これは(基本的にライブラリーの上をうまく操作できないので)かなり何もしないメカニズムで、共通のタイプを持つクリーチャーを十分な数デッキに入れる必要があり、その効果は実際に大きな違いを出すほど十分に強くないことがよくあります。

 奇跡はランダム性の点で族系と同じ問題を多く抱えていましたが、奇跡の規模と能力はより筋の通ったものでした――また、奇跡なしで《忌むべき者のかがり火》を唱えて本来のカード・パワーを得ることもできます。一方で《葉冠の古老》はそのコストを埋め合わせるために少なくとも一回は実際に当てる必要があります。

 同じように窮地は、ライフの総量が少なくなることを必要とし、そのボーナスのほとんどはライフの総量を少なくしようとするデッキを作るには十分な強さではありませんでした。代わりに対戦相手がそのレベルまで持っていってくれることを願う必要があり、そしてその時点では窮地を持つカードは書いてあるのに見合うだけの十分な影響を持っていますが、普通はそうではありません。

デベロップしやすさ

 調整できる箇所は我々がデベロップ中に話すことの中でメカニズムに関係するものの1つです。我々はカードに取り組んでいるときに微調整できる部分を求めます。デザインからメカニズムを引き継いだとき、我々はカードのバランスを特に過程の後半で興味深い方法で取れるような戦略を把握しようとします。これはつまり、我々がカードのバランスを取れるぐらいにメカニズムを十分細かく変更する能力ということです。

 簡単そうに見えますが、全てのメカニズムがこの性質を持っているわけではありません。デベロップがとても難しかったり不可能であったりするメカニズムの例は、『ウルザズ・サーガ』のフリー・スペルやストーム、暗号などです。フリー・スペルを例に取ると、コストを重くするだけではそれらを十分に弱くできず、そのフォーマットの中に2マナ以上出る土地があるなら軽いフリー・スペルは何でもマナ加速呪文になってしまいます。対応型の呪文だけを作ることもできますが、そのメカニズムを正当化するのに十分な数のカードを作るのは大変です。

 ストームと暗号はその呪文を何度も唱えるという問題に必ず対処する必要があるので、規模が拡大するけども極端にならない効果が必要になります。結果的に、同じ呪文を何度も何度も何度も唱える問題のせいでストームは強すぎ、暗号は我々が意図的に弱すぎるものにしました。

 理想的にデベロップしやすいメカニズムはキッカーで、それはこの世にある全ての調整箇所があるからです。我々はキッカーの追加コストも、追加効果も決めることができます。我々は容易にギリギリの線でバランスを取ることができます。

 これは常に2つ目の呪文を唱えている共謀のようなメカニズムよりもはるかに優れています。我々は共謀をどれぐらいその効果を得られる可能性があるか、そしてその効果が2倍になるとどれぐらい有用であるかに基づいてバランスを取りましたが、あまり細かさがありませんでした。もし我々が共謀を持ったコモンの除去呪文を適正なものにしようとした場合、最初に唱えたものがコモンに見合った強さなら、共謀するとアンコモンのパワー・レベルに近くなるので「弱すぎる」側に間違いを犯さざるをえないでしょう。《痕跡焼き》の元の状態はかなり弱く、しかしその追加効果によりこれはそのセットの最強のカードの1枚です。十分な強さがあったとしても{3}{R}でクリーチャー1体に2点では人々は満足しないでしょう。

 探査のようなメカニズムはデベロップ可能ですが難しく、私は我々がそれを取り上げるたびにいくつかのカードが、特に古いフォーマットで想定以上に強くなってしまう理由があると考えています。我々は探査をリミテッドとスタンダードでたくさんテストすることができ(そしてテストしました)、それらのフォーマットでは適正なレベルにできたと思いますが、墓地を満たすより早い手段とともに供給されると、これらは強すぎてしまいます。

構築フォーマット向けのカード

 全てのメカニズムが構築フォーマット向けに強力である必要はありません。スタンダードで見かけることのなかった、リミテッドやカジュアルなフォーマットで重要な役割を演じている楽しくて人気のあるメカニズムはたくさんあります。

 例えば貪食は、おそらく実際に構築フォーマットで強くなるには多すぎるリスクが伴います。しかし理想的な世界では、各メカニズムは構築フォーマットで楽しいカードを作る何らかの方法を持っています。私が楽しいと言うことに注意してください――我々は貪食のようなメカニズムでリスクに見合った強さのカードを作ることはできますが、それらはリミテッドで楽しいものではないかもしれません。例えば、私はより効率的なバージョンの《マイコロス》であまりに多くのゲームが「戦場に出た次のターンにこれ殺せる? 無理なら決まっちゃうよ」になる場合楽しいとは思いません。

 また我々は普通の構築のゲームプレイのパターンに当てはまりやすいメカニズムを求めています。疾駆は自然とアグレッシブなデッキに全体除去やソーサリー速度の除去に対するプレイを可能にするので構築フォーマットで優れたメカニズムであり、我々はこのメカニズムをスタンダードでの居場所を見つけるために過剰に推す必要はありません。我々は適度に効果的なクリーチャーにこれをつけることができ、そしてこのメカニズムの有用性はそのカードを使われるものにするでしょう。

 我々は構築フォーマットで使われる長久クリーチャーを作ろうとしましたが、タップ能力を使うほうを何度か攻撃するよりも強くすると、それらのカードが全く楽しいものではないことを発見したので、このメカニズムをほぼカジュアルとリミテッド環境にだけ存在するように戻しました。

 『異界月』の増呪は構築フォーマット向けにしようとしたメカニズムの例で、これを作ったときに私はこれが基本的には樽で培養された構築フォーマット向けメカニズムだとジョークを言いました。これは我々の構築フォーマット向けカードの作り方から得られた特徴を全て持っていました。カード1枚が複数の能力を持ち、メタゲームの多様性を考慮してサイドボード級の効果を1つつけ、単体のカードよりもちょっと下の効果を2つ加えることができ、最終的に強力なメカニズムになりました。これらはスタンダードよりも、《集団的蛮行》や《神聖な協力》がかなり定期的に使われるモダンで多く見かけられます。

 我々はこれのような、機能性が高く簡単に構築フォーマットを撃つメカニズムをある程度の数必要としています。紛争は同じような立ち位置にあります。我々は古いフォーマットでフェッチランドがこれらのカードを機能できるようにしていて、そして《致命的な一押し》のようなスタンダードとモダンの両方で使われるカードが簡単に作れることをわかっていました。

 我々は全てのメカニズムがこの方法で機能することは望んでいません――基本的に良いと思うのはそのメカニズムが、我々が何もないところからフレーバーとセットの重要性に適応したものを作るよりも、たまたまそのメカニズムが構築フォーマットでうまく機能するものだった時のほうが良いと思っています。

 今週はここまでです。来週はマジックのデベロップの過程についてさらにお話しします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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