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Latest Developments -デベロップ最先端-

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熱中をカーブ上に

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2016年11月18日

原文はこちら

 こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」にようこそ。今週は我々がマナ・カーブ上に異なるクリーチャーが存在するよう計画するときに、何をするかについてお話しします。

カーブの独自性

 先週お話しした、色の独自性を強化するためのバニラの使い方と同じように、1つの色内でクリーチャーのマナ・カーブを整えることの主な目的はその色の独自性を強めることです。さて、これの一部は単に実際のものです。我々は色によってクリーチャーの割合を変えています――最も多いのは白で、そして最も少ないのは青です。そうなると自然と追加で2つか3つの白いクリーチャーをコモンに当てはめる必要があるということになり、白は大きなクリーチャーが多くある傾向にはないので、普通は1~3マナのクリーチャーを青よりも多く入れる必要があるということになります。

 また我々は色の強い部分を説明することを助けるために、カードがマナ・カーブ上のどこに存在するかを使います。緑はランプの色なので、5~6マナが最強である傾向にあります。我々がそのセットの中で赤緑をランプ戦略のアーキタイプとして推したい場合、我々はそれを引き立たせるために緑が6マナで最も強く、赤が4か5マナで最も強くする可能性が高いしょう。我々は2色目に向かう理由を求めていて、それは大抵その戦略を補完するクリーチャーでマナ・カーブを埋めることになります。

 一方、白はすべての色の中で最も低いマナ・カーブを描く傾向にあります――小さく効率の良いクリーチャーはとても強力ですが、大きなものではあまりよろしくありません。特にコモンでは、我々がパワー4以上の白いクリーチャーを作ることは稀です。同時に、実際に強力な1マナ域が存在する数少ない色のひとつでもあります。白はそのような理由でリミテッドでアグレッシブな戦略――特に『イニストラードを覆う影』ブロックの白赤や『カラデシュ』の白緑のような「横に並べる」ものを背景に持つ傾向にあります。白のコモンとアンコモンのクリーチャーの開封比は60%なので、通常はコモンに12枚前後のクリーチャーがいることになります。

 1セット中の典型的な白のクリーチャーのマナ・カーブはこのような感じです。

点数で見たマナ・コスト123456
白のクリーチャーの数233211

 これら全てのクリーチャーが強くないとしても、堅実なマナ・カーブを描こうとするのであればうまく機能するでしょう。何枚か2マナ域が必要な場合、それらはとてもたくさんいるので優先する必要はありません。あなたは回ってくる他の強力なカードを取って、2マナ域を後のパックで取ることを期待できます。

 一方青はマジックで最も「クリーチャー的」でない色です。結果として、そのマナ・カーブは少し変なものになります。青のクリーチャーのコモン/アンコモンの開封比は47%なので、白よりもかなり少なくなります。1セットにおけるマナ・カーブはこのような感じです。

点数で見たマナ・コスト123456
青のクリーチャーの数122211

 青単色のデッキをプレイしたい場合、特にアグレッシブなデッキとのゲームで最初の2~3ターン何もしないのは厳しいので、本当に急いで2マナ域を集めなければいけません。青の2マナ域が弱めの傾向にあったとしても、他の2マナ域を食い止めるためだけにとにかくそれらを必要とすることがよくあるでしょう。

 各色にはマナ・カーブに多い部分と少ない部分を持っているので、我々は必然的に2色を組み合わせる空間を作り出します。この場合青白デッキは、本当に弱い青の2マナ域を白を加えることで補うことができ、白に欠けていて青が間違いなく持っている全ての追加の呪文とやり取りをするポイントを得られます。

カーブのバランスを取る

 リミテッドをプレイすると、そのセットの楽しいものやリミテッドで機能するものの感触がつかめます。我々は人々がそのセットのメカニズムを楽しみ、強すぎるカードがないようにし、すべての色がバランスが取れていると感じるようにします。また、直感的でなかったり壊れていたりする相互作用を探し出し、それらを修正しようとします。さらにどの色が魅力的か魅力的でないかを見て、それらを整えようとします。

 しかしながらこれで我々が得られるものには限界があります。1つのセットのデベロップ期間全体で、我々は15~20回ぐらいしかドラフトできません。その間常にカードは劇的に変更されていきます。これは物事の感触をつかむのには十分ですが、直感だけで実際にバランスを取るには不十分です。そのセットをプロツアー前にプレイするプロを見てみると、そのセットの期間中の最初の2週間で20~30回ドラフトをすることも珍しくありません――そしてそれらは全て完成したセットで行われています。

 我々は直感的にかなり良く物事のバランスを取っているかもしれませんが、そのセットが最初の週の終わりまでにプレイされたゲームの数にさえ完全に一致することは絶対にありません。我々は、我々がプレイしたゲームの数よりも高いレベルのバランスを作り出そうとしていて、もし誰か一人が1回のドラフトで強力なレアを2枚開けたことによってその色のコモンに大きな影響を与えるようであれば、まずいことになるでしょう。

 そのようなわけで、我々はセットを作るときに正確な決定が下せるようにするために集計表を重用しています。デベロッパーはセットの中のカードを評価して各カードがどれぐらい強いかを言い、そして我々はその評価を使って各色のクリーチャーの強さがうまく分配され、その色の筋が通ったところに配置されるようにします。

 青が最強の2マナ域を得たり白が最強の6マナ域を得ることは筋が通っていませんが、また我々は黒の強力なカードの全てが3マナに存在しないようにもする必要があります。セットを興味深く楽しいものにしようとするなら、我々は必ず全てのマナ・コストに渡って強力なカードがあるようにしなければなりません。

 カジュアルな構築フォーマットのデッキを作ることはこのための良い手段です。しばしば、これらはプレインズウォーカー・デッキや昔のエントリーセットによく似ていたものになります。ここでの目標はこれらのデッキをお互いに完璧にバランスの取れたものにすることではなく、色のペアの戦略と限られた数のコモン、アンコモン、レアを使って、全体として妥当に見えるデッキを組み立てられるようにすることです。

 我々がこれらを作るときに、そのデッキで強力な4マナ域があふれて3マナ域が不足していることを見つけたならば、我々はそれを補うために何かを移動させようとするでしょう。我々がもっと強力な2マナ域が1枚必要だと発見したなら、同じように補おうとするでしょう。これはドラフトやシールドをプレイするときにこれらが十分に拡散されていて、自分の戦略でカードを輝かせる機会を得て、マナ・カーブの足りない部分をより基本的なカードで埋めるということです。


《格納庫の整備士/Aviary Mechanic(KLD)》 アート:Mark Zug

強さの曲線

 100%真実ではありませんが、一般的には全ての3マナ域は全ての2マナ域よりも強力です――「コストに1マナ追加した」もの以外はですが。同じように、全ての4マナ域は全ての3マナ域よりも強力です。4マナ4/3は十分いいカードですが、3マナだとセット最強のコモンの1つになります。能力や回避能力などの多くのものがこれらのカードの特定のデッキでの強弱を変化させることができます。同じように、同じコストの中でも2枚のカード間のパワーは大きく異なります――{1}{W}2/2バニラと《トーパの自由刃》の差はかなり大きなものです。

 セットに取り組むとき、我々は各色の最強のカードが異なるマナ・コストに散らばっている傾向にあるようにしたいと考えています。例えば黒の最強のコモンが3マナ域に2枚あるとしましょう。それ自体はかまわないかもしれませんが、もし緑の最も強力なコモンのクリーチャーが同じところにあった場合、黒緑デッキのカード・パワーは3マナで供給過多になってしまいます。確かに毎回強力な3マナ域を確保できることになるでしょうが、1ターンに2回行動できるようになるまで時間がかかるので、実際にそれはあまり強くありません。2色がこのように並んでいる場合、それらはそのマナ・カーブが不安定であると判断して他の色の組み合わせに向かう経験豊富なドラフト・プレイヤーにとって、とても魅力のないものになります。

 同時に、2マナに強力なカードが存在するとしましょう。そのことは色の組み合わせをアグレッシブすぎるものにするかもしれず、強力な2マナ域から強力な3マナ域、さらに強力な2マナ域2枚への流れは(特に除去呪文と組み合わせると)ゲームを信じられないぐらい早く終わらせる傾向にあります。

 『ギルド門侵犯』において、シミックのデッキでボロスのデッキを相手にしたことがあるなら、強力な2マナ域を持ちすぎているときにどうなるかを経験したかもしれません。これはしばしばあなたの戦略やあなたの開けたカードを問題とせず、ボロスのデッキが息切れするまで生き延びるための十分な時間稼ぎの手段を持っているかどうかをより重要にしてしまいます。最も満足できるプレイ経験とは言えません。

 このようにプレイされるゲームがあること自体はかまいません。多くの人々がこれらのゲームを本当に楽しんでいますが、それらはそれしかやることがない物事であるべきではありません。そのようなフォーマットは横道戦略の多くを無効にする傾向にあり、ゲームを同じようなものにする可能性があります。同じように、低マナ域が弱すぎる(もしくはタフネスのほうが大きいことが多い)セットでは、ゲームが長引きやすく、そのようなゲームが好きな人々には楽しいかもしれませんが、大抵レアやその他の爆弾カードを過度に重視する傾向にあります。加えて、盤面を停滞させて強力なレアで勝つ戦略は素晴らしいものですが、それはいくつか強力で重いレアを手に入れたときに向かうべきものです――単純に優れたデッキを作るために強いカードを開けることを要求するドラフト・フォーマットの主要な戦略ではありません。

 結局のところ、我々はリミテッド・フォーマットが中間に存在することを好みます――いくつかの弱点を持った超アグレッシブなデッキを組むことができ、そしてまたいくつかの弱点を持った超コントロールなデッキを組むこともでき、しかしほとんどのデッキはその中間に存在します。早めのデッキにもいくつかの遅いプレイがあり、コントロールするデッキも飛行クリーチャーを序盤に何枚か引けばダメージ・レースができます。このようなゲーム・プレイの多様性は重要であり、そのフォーマットのカードの強さを一点に集中させるのではなくうまく分散させるようにすることは、そのようなゲーム・プレイを作り出す助けになります。

 今週はここまでです。来週はテストプレイ名の実情と、テストプレイのカードに関する他のいくつかのおかしなことについてお話しします。

 それではまた次回お会いしましょう。

サムより (@samstod)

(※編集より:感謝祭休日による11月25日分休載のため、来週は当翻訳記事も休載させていただきます。ご了承ください。)

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