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Beyond the Basics -上級者への道-

『マスターズ25th』リミテッドで知っておきたい3つのこと

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『マスターズ25th』リミテッドで知っておきたい3つのこと

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2018年3月8日

 

(編訳注:この記事の原文は2018年3月8日に掲載されたものです。)

 『マスターズ25th』はもうすぐだ!

 来週末には、いよいよ『マスターズ25th』のブースターパックを使ってリミテッド・フォーマットを楽しむことができる。それまでにプレインズウォーカーがやっておくべきこととは何だろうか?

 ああ、プレインズウォーカーを導く先達がいつも教えてくれているように、成功する秘訣とは前もって準備しておくことだ。そしてあなたが地元の『マスターズ25th』イベントでうまくやりたいのなら、少し予習するだけでも役立つことだろう。

 そして都合の良いことに、今回は基本について説明していく予定だ。

 『マスターズ25th』リミテッドで知っておきたいことが3つある。「マスターズ」シリーズの発売が初めてであるならもちろん、過去に発売された「マスターズ」シリーズで遊んでいたとしても、『マスターズ25th』には他とは違う点がある――そのために備えておきたいはずだ。

 準備はいいかな? よし、やっていこう!

1.『マスターズ25th』は、より多くの選択肢がある環境だ

 過去の「マスターズ」セットでは、特定の、リニア(訳注1)なアーキタイプ(訳注2)をドラフトする環境であることが多かった。確かに、すべてのデッキがそうなるわけではないが――どの色のカードでもプレイできるようにマナを整えるようなデッキも組めたりするが――かなりの割合でそうなる。例えば、初代『Modern Masters』でアーティファクト列車に乗り込んで親和デッキをドラフトするとか、『エターナルマスターズ』で墓地から呪文を唱えるデッキをドラフトしようとする、といった具合だ。

(訳注1:リニア/直線的という意味合いから、目的に一直線に向かうものを指す)

(訳注2:アーキタイプ/典型的なデッキの構成)

 これは各マスターズ・セットごとに変化している。初代『Modern Masters』のようにより指示的なものもあれば、『モダンマスターズ 2017年版』のように方向性が緩いものもある、というようにね。(いずれにしても、全体を通してサブテーマが用意されている。)

 『マスターズ25th』はそういうものとはかなり異なっている。

 このセットは、これまでのマジックの歴史、そのほぼすべてのセットからテーマの違うカードを集めて組み合わせたものだ。ここでは親和やエルドラージといった、主題となる要素は見当たらない。単体で強いカードを引いてリミテッドのデッキを構築する環境には、より広い幅がある。そこでは自分自身の物語を紡ぐ機会があり、本当に広いカードプール(訳注3)でマジックを楽しむことができるんだ。

(訳注3:カードプール/デッキを構築する時に使用可能なカード群)

 ああ、パックを開封したら《鼠狩り》がいて、《鼠の殺し屋》と《執拗なネズミ》を取りまくることもたまにはあるかもしれないが、めったには起こらない。《執拗なネズミ》や《戦隊の鷹》のような、コモンの「集めよう」カードもあるが、それでデッキが何かをするというようなこともほとんどない。(それらを大量に手に入れて、主要な戦略として利用できたなら、上出来だね!)

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 しかし、だからといって『マスターズ25th』にアーキタイプがないというわけではない――単にそこまで指示的ではない、というだけだ。

 どういうことかって? そうだな......

2.『マスターズ25th』ではマジックの典型的なアーキタイプが組める

 『マスターズ25th』には狙ってドラフトできるアーキタイプがある、という点に間違いはない――単にそれがリニア的ではない、というだけだ。

 『マスターズ25th』には、25年間マジックのゲームを象徴してきた定番のマジック体験を楽しめる。とりわけ、基本的なアーキタイプを構築するということについてね。

 過去の「マスターズ」セットでは、転生スピリット・デッキを構築できた。今回は、単にコントロール・デッキを組むことになる。あるいは白ウイニー・デッキ、または緑のランプ(訳注4)・デッキといった具合だ。そして我々は、それが可能となるように、必須カードを低いレアリティで用意した。青のコントロールはコモンに《対抗呪文》がある。白ウイニーはコモンに《サバンナ・ライオン》がある。緑ランプにはコモンに《東屋のエルフ》がある。しかも、これらはほんの一例に過ぎない!

(訳注4:ランプ/マナを伸ばす行動)

 数多くの基本的なアーキタイプを構築することが可能だ。トークンをいくつも生成して生け贄に捧げるものや、シンプルな赤白ビートダウンなど、長年見受けられた基礎的なアーキタイプをいくつも発見できることだろう。

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 これまでのリニア寄りアーキタイプ環境と、今回の内容に幅が持てるアーキタイプ環境には、非常に重要な違いがある。取ろうとする戦略の形はわかっても、そこに何が含まれているかを正確に知ることはできないんだ。初代『Modern Masters』の秘儀デッキのように、デッキを良くするためには《氷河の光線》が必要、ということもない。

 『マスターズ25th』では、遅い青コントロール・デッキと一口に言っても、《蓄積した知識》、《対抗呪文》、そして《除外》を満載したデッキをドラフトすることもあれば、タフネスの高いクリーチャーで地上をせき止めつつ飛行で殴り勝つデッキをドラフトすることもあるだろう。(両方の要素を使うデッキになることもあるだろうね!)

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 つまりは、デッキの柔軟性を保ちつつ、このセットで採用できる基本的な戦術について考えていくことが重要、ということだ。コントロール、テンポ、ビートダウン、ランプ......ここではどれに向かうこともできる。それを可能とする道具は各色に(単色では無理でも2色で実現できるように)用意されているので、それらを自由に組み合わせることが可能だ。色とプレイスタイルをうまく組み合わせるための楽しい方法がめいっぱい詰め込まれているぞ!

 組み合わせることについて言えば......

3.『マスターズ25th』は相互作用とコンボの山だ

 『マスターズ25th』の最大の特色の1つは、2枚(あるいはそれ以上)のカードによる強力なコンボだ。しかしデッキのすべてをそのコンボのために偏らせる必要はない――どんなデッキを組むにしても多くの発見があり、スムーズに入るコンボがいくつも見つかるだろう。そのうちのいくつかは、特定のアーキタイプやプレイスタイルにおいてもうまく働く。それらは、(本来は入らなかったかもしれない)カードを両方とも採用に向かわせるためであり、その多くは過去に構築したかもしれない楽しいコンボへと目を向けるためのものだ。

 コンボ・デッキが組めないだなんて誰が言ったかな?

 このセットから自力で発見してもらいたいので、すべてを語ったりはしない。しかし意識してもらうために、ここでは各色および2色の組み合わせに存在する、コモンやアンコモンで可能な私好みの相互作用やコンボ10種を紹介しよう。

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 《アクロスでの武勇》? 単体でも使えるカードだよね。だけどそこに《白たてがみのライオン》が並ぶと? 何度もライオン自身を手札に戻すことができるので、実質「2マナで自分のクリーチャーすべてに+1/+1を与える」効果となる。

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 この「あなただけの《サイクロンの裂け目》構築」は、何でもないような場に見えていても、対戦相手の戦場を掃除することができる。《撤回のらせん》が無いって? 心配ない――《大石弓》は青単で検討できるもう1つの素晴らしい選択肢だ!

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 派手さはないが、再生持ちの5/3を4ターン目に出すのはゲームの勝ちをかすめ取る簡単な方法だ。デッキに複数枚の《よじれた嫌悪者》があれば、《ゾンビ化》を使える確率も上昇する。

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 ああ、ザダとパンプアップ(訳注5)呪文の組み合わせは珍しいものじゃない。しかし《面晶体の掘削者、ザダ》がアンコモンになったことで、これまで以上にリミテッドでの実現性が高まっている――パンチ力もね。対戦相手がザダを使っていたら、この合わせ技で負けないかどうかを常に意識しよう!

(訳注5:パンプアップ/クリーチャーのパワーやタフネスを上昇させる効果)

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 2ターン目、《カヴーの捕食者》。3ターン目、攻撃しつつ《激励》を代替コストで唱える。《カヴーの捕食者》はこのターン10/10、その後は6/6のままになり、対戦相手のライフは14になる。除去呪文を持っていなければ......おそらくゲームオーバーだね。

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 《戦隊の鷹》を引いたら、《渦まく知識》を使う。不要なカードをライブラリーに戻したら、《戦隊の鷹》を出してライブラリーをシャッフルしつつ鷹を手元に集める。スタンダードで《精神を刻む者、ジェイス》と組んでいたころほどひどくはないかもしれないが、デッキに《渦まく知識》を採用するかを検討する際の大きな理由となることに違いはない。

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 実際のところ、《雲隠れ》があればどんな変異ともコンボになる。しかし、どうせやるなら《クローサの巨像》を使わない理由があるだろうか? 4ターン目に9/9が出るなんて最高じゃないか! 白ではなく黒に行く場合は、《超常的耐久力》が同じように使えるだろう。

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 これは私がランプ・デッキで素晴らしいフィニッシャーとして揃えたい、私好みのコンボだと言える。《東屋のエルフ》はそれだけでもデッキに十分入るものの、《苛性タール》はデッキに常に必要というわけではない。しかし揃えることができれば、次の自分のターンまででゲームを終わらせることも可能だ。(それに《東屋のエルフ》があれば《苛性タール》をより早く出せるからね!)

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 《トゲ撃ちゴブリン》だけでは力不足だと言わんばかりに、あなただけの《文書管理人》を作り上げて、カード・アドバンテージ(訳注6)の重みで対戦相手を押しつぶそう。(さらに、引いたカードでこのゴブリンをパンプアップすることもできそうだよね?)

(訳注6:カード・アドバンテージ/パーマネントや手札のカード枚数における優位)

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 やあ、また会ったね《白たてがみのライオン》! 《謙虚な離反者》の能力がスタックにあるうちに《白たてがみのライオン》を出して、先に手札に戻してしまえば対戦相手の元に行くことはない。何の問題もないね!

 紹介したのはたった10種だが――もっともっとたくさんのコンボがあるぞ。今紹介したカードだけを見ても、他の組み合わせに気づくはずだ。(《面晶体の掘削者、ザダ》と《撤回のらせん》? 《雲隠れ》と《謙虚な離反者》? いいね!)ついには《カヴーの捕食者》を出しているときに対戦相手に《集い》を使えるということに気づくかもしれない――ああ、うん、そういうことだ。

 これらのさまざまな相乗効果と魅力的なコンボは、このセットに独自性を持たせている。そしてドラフトのたびに、利用可能なものに応じて少しずつドラフトの仕方を変化させるための手段が大量にあるんだ。

マスターズをマスターする

 『マスターズ25th』で何ができるのか、楽しんでくれれば幸いだ! このセットを体験してみた感想を聞きたくてしょうがない――気づいたり実行してみたコンボについてもね。我々が社内でこのセットを試していたときは、どのドラフトでも今何が起こっているのか把握するために誰もがあたふたするぐらいだったし、私も新しくて楽しいものに気づくことしきりだったよ。本当にたくさんのものが含まれているんだ!

 このセットには思い出がいっぱい詰まっている。あなたが遊ぶときに素敵な過去を思い出すことを――そして遊びながら新しい思い出を作ることができるように願っているよ!

 何か考えや感想はあるかな? ぜひとも聞かせてほしい! いつでもTwitterTumblrでメッセージを送ってくれてかまわないし、BeyondBasicsMagic@Gmail.comにメールしてくれても大丈夫だよ。(編訳注:英語にてお願いいたします。)

 『マスターズ25th』をお楽しみに。楽しむための準備も楽しもう。また会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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