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Beyond the Basics -上級者への道-

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メインの進路

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年8月3日

原文はこちら

 マジックの各ターンは、数多くの要素によって構成されている。

 アンタップ、アップキープ、ドロー。あなたが呪文を唱えて、対戦相手に対応の機会を与えるたびに、優先権が行ったり来たりする。戦闘フェイズの各ステップに起こることのややこしさときたら......。

 しかしその中でも、唯一ターン中に2回登場するフェイズがあるんだ。それは極めて重要な存在で、そう、その名前だけでもそれが主要な部分であることが伝わってくる。

 それはもちろん、メイン・フェイズだ。

 リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldがメイン・フェイズを2つ作り出してくれたおかげで、数多くの物事がメイン・フェイズに起こるようになっている。

 しかしこれは、なかなかにややこしい――メイン・フェイズは2つあるが、それぞれをどのように用いればいいだろうか? つまり、このターンに攻撃するつもりだとして、それ以外の行動を攻撃前に行うのと攻撃後に行うのでは、何か大きな違いが生まれたりするんだろうか?

 調べてみると、これが結構あるものなんだ。

メインの情報

 多くのプレイヤーが早い段階で学びとりやすいプレイングといえば、第2メイン・フェイズを活用する、というものだ。呪文を唱えたり土地を置くことは、ほぼ必ず第2メイン・フェイズにすべきだという話を聞いたこともあるだろう。

 なぜかと言えば、ここに情報という要素が関係してくるからだ。

 お互いに《栄光の探求者/Glory Seeker(ROE)》をコントロールしている状況を想像してみてくれ。

 そして今は3ターン目、こちらの手札には3/2の《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》があり、このターンに唱えるつもりだ。

 攻撃前である第1メイン・フェイズに《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》をプレイした場合、このターンでの行動を全て対戦相手へ伝えたことになる――そうすると、相手は必要な情報を全て得てから、対応することができる。

 その影響の1つ目は、戦闘で勝つためのコンバット・トリック(訳注1)をこちらは唱えられないことが明らかなので、相手にとってはそれを警戒することなく行動できる、という点だ。対戦相手はすべてを知ったうえで決定を下すことになる。

(訳注1:コンバット・トリック/戦闘フェイズ中に、クリーチャーを支援する呪文や能力)

 2つ目は、今出したクリーチャーを相手が見ている、という点だ。こちらに3/2がいることを知ったため、それをブロックするために2/2を残したほうがいい、と対戦相手は考えるだろう。3/2を見る前であれば、お互いの2/2で相打ちを取ることを考えていたかもしれない。しかしこうなってしまえば、後々こちらにとって損な相打ちをされてしまう可能性が高いだろう。

 戦闘の後に《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》をプレイした場合にどうなるか、それぞれ比較してみてくれ。後からプレイしても失うものは何もない。そして無防備に情報をさらすことなく、与える情報を制御できる。

 これはごく単純な一例に過ぎないが、こういった一般的な状況はゲーム中に何度も登場する。第2メイン・フェイズで行動するという習慣を身に着けるのは、普段の行動としては手堅く、良いものだ。

 しかし、これからさらに議論を進めることでわかる通り、第2メイン・フェイズになってから行動するということが常に正しくなるわけではない。

メインの恩恵

 このターンに攻撃させたい速攻持ちクリーチャーが手札にあるなら、攻撃する前に唱える必要がある。オーラで強化してから攻撃したい場合も同様だ。これらは明白な事例だが、一見しただけでは分からないような事例に対しても、同じ考え方を広げて当てはめることができる。

 例えば、ゾンビ・デッキをプレイしていて《呪われた者の王/Lord of the Accursed(AKH)》が手札にある場合、おそらくは――絶対にとは言わないが――攻撃前に唱えて、与えるダメージを増やしたいと考えるだろう。(とはいうものの、コンバット・トリックや除去を構えるほうが有益だと思える場合は、攻撃前には行動せず、成り行きを見守りたいだろう。)


《呪われた者の王/Lord of the Accursed(AKH)》 アート:Grzegorz Rutkowski

 話をもう少し先に進めよう。攻撃の前、第1メイン・フェイズに土地を出しておくことには一定の利がある。

 先に土地を出しておくことで、使えるマナが増える。そうすると、対戦相手が警戒しなければならない要素......こちらが使うと見せかけることができるブラフの範囲が増える。とはいえ、これはもちろん、すでに土地が十分に並んでいて、手札に土地を残していたほうが効果的なブラフになる状況を除いた話だ!

 また、攻撃の前に土地を出しておくことで、第2メイン・フェイズに土地を置き忘れて「エンド」と宣言してしまうミスを防ぐことができるのも良いね。ああ、ありうることだ。

 基本として、戦闘フェイズ中に取れる行動の選択肢を増やす(増えたように見せる)つもりなら、第1メイン・フェイズ中に土地を置こう。

メインの洞察

 戦闘の前に行動すべきもうひとつの理由には、追加の情報を得るため、というものがある。

 対戦相手が何かしてくるのであれば、攻撃しておきたい、という場合がある。あるいは逆に、何かしてくるのであれば、攻撃したくない、という場合もあるだろう。先に相手の出方が分かっていれば、よりその情報に基づいての判断ができるはずだ。

 今回は、手札に《ハイエナの群れ/Hyena Pack(AKH)》があり、戦場には《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》を出しているとする。そして対戦相手がコントロールしている《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》は、今はタップ状態だ。

 普通なら、《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》で攻撃して、そのあと《ハイエナの群れ/Hyena Pack(AKH)》を唱える、といったところかな?

 ああ、以下の状況を除けばそうだろう。対戦相手に手札が1枚あって、相手のデッキに《取り消し/Cancel(AKH)》が入っていると知っている場合だ。

 その場合は、攻撃の前に《ハイエナの群れ/Hyena Pack(AKH)》を唱えるという手を検討してもいいだろう。そうすれば、《ハイエナの群れ/Hyena Pack(AKH)》が打ち消された時に、《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》と相打ちを取るために《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》の攻撃を取りやめる、という選択が取れるようになる。

 ああ、この行動には危険もある。もしかすると相手の手札は、《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》に使うつもりだった除去呪文かもしれない。そうなると、《ハイエナの群れ/Hyena Pack(AKH)》を見せたことによって、除去の矛先がそちらに向かうことになるだろう。とはいえ、対戦相手が持っている手札が推測できるなら、やってみる価値はあるはずだ。

 これは一例にすぎないが、攻撃する前に何があるか知っておきたいと考える状況はいくつもある。ここに他の例を3つ提示しよう。

  • 攻撃の前に、除去呪文が通るかどうか確認したい場合
  • 攻撃で大打撃を与えるためのパンプアップ(訳注2)呪文が、対戦相手の直接火力呪文で対応されないか確認したい場合
  • 《思考囲い/Thoughtseize(THS)》のような手札破壊呪文で、攻撃前に対戦相手の手の内を確認したい場合

(訳注2:パンプアップ/クリーチャーのパワーやタフネスを上昇させる効果)

 こちらの情報を先に対戦相手にさらすことが、後になるまで隠しておくよりも有効かどうかを考えよう。

メインの計略

 ここでさらなる要素を紹介するが、やや上級者向けで、裏目に出る可能性もある。慎重に読み進めてくれ。

 そんな大げさな警告が出るなんて、どんな内容だろうか?

 対戦相手に情報を余分に与えることで、こちらが望む行動を引き出す、というものだ。

 記事の最初に取り上げた、単純な例を思い出してみよう。

 お互いに《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》をコントロールしていて、こちらはこのターンに《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》を唱えたい。先ほどは、《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》を先に唱えないことで対戦相手に与える情報をできるだけ少なくしたい、という話だった。先に出すと、《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》で《砦の執行官/Bastion Enforcer(AER)》をブロックするために、《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》同士の相打ちを避けられてしまう可能性が高まるからだ。その未来がわかっているので、後から唱えるべきだ。

 ......しかしそれは、このターンにブロックされたくない場合を除いて、の話になる。

 手札に《叫び回るバンシー/Keening Banshee(RAV)》のようなカードがあるとしよう。そうなると、相手の《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》がブロックしてこないように誘導して、次のターンに《叫び回るバンシー/Keening Banshee(RAV)》で除去したい、と考えるはずだ!

 さて、これはさまざまな状況において、相手のプレイ技術の段階によってそれぞれ異なってくるであろう結果を推測する、ということになる。高度な技術を持つプレイヤーであれば、こちらが追加の情報をわざわざ与えてきたという事実から、絶対にブロックすべきだという結論に達することすらあり得るだろう!

 これについては極めて慎重に実行しなければならない。失敗すれば逆に損害を被るからだ。例えば、対戦相手がここでブロックしてきた場合、《叫び回るバンシー/Keening Banshee(RAV)》は次のターンに出しても除去する的が無いかもしれない。そして無理に攻撃しなければ、スムーズに《叫び回るバンシー/Keening Banshee(RAV)》で相手の《栄光の探求者/Glory Seeker(ONS)》を除去できる。これはつまり、2点のダメージを与えるために危険を冒す、という状態だ。しかし慎重にうまく行動すれば、全く違う結果を手にすることも可能だろう。

メインの最後

 マジックは僅差のゲームだが、その僅差が確実に大きな違いを生み出す。わずかな例外はあれど、(《血のたぎり/Boiling Blood(WTH)》を使われたり、対戦相手が浮かせているマナをマナ・プールから取り除きたかったりして)攻撃に入りたいターンがあるとすれば、やっていることは攻撃前と攻撃後のメイン・フェイズ、そのどちらで行動するかの差にすぎない。しかし、そのわずかな差こそが必要となる時もあるんだ。

 この記事を読んで、呪文をどちらのメイン・フェイズで唱えるか、よりはっきりした考えを持つ助けになれば嬉しいよ。今回の記事に関することでもそれ以外でも、さらなる疑問、考え、あるいは意見はあるだろうか? ぜひとも聞かせてほしい! 気軽にTwitterTumblr、あるいはBeyondBasicsMagic@gmail.comに(すまないが英語で)メールしてくれれば、いつでも確認させてもらうよ!

 来週はいよいよ『統率者(2017年版)』のプレビューがやってくる! 私はこのセットのリード・デザイナーとして、話したい欲求を何年も我慢してきた。だから来週と再来週は、いつもと少し違う記事をお届けしようと思う。楽しみにしていてくれ。このセットのすごいカードを見逃さないようにね!

 また来週会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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