マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

Beyond the Basics -上級者への道-

authorPic_GavinVerhey.jpg

レアの話をしよう

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年7月6日

原文はこちら

 あなたがマジックのイベントに興味のあるプレイヤーなら(この記事を読んでいるということは、多分そうだろう!)、今週末は行きつけのお店で『破滅の刻』のプレリリース・イベントに参加できる素敵な機会がある。(そして「プレリリース」という言葉にピンとこないなら、プレリリースの案内記事を読んでみてくれ。そして参加できそうなプレリリース開催店を探してみよう!)私が好きなマジックのイベント、と一口にいってもさまざまな種類があるが、プレリリースのようなものは他にはない!

 そうだ。だからイベントに参加しよう。見栄えのするプレリリース・キットを手に入れて、お店の開始の合図とともに(合図と言えば旗だけど、実際に旗を振るのも格好良さそうだ)箱を開封する。手を素早く箱に突っ込んでパックを取り出し、箱に一緒に入っているフォイル・カードも取り出す。

 それから次だ。ブースターを開封する時、最初にすることは何だろう?

 ああ、ほとんどのマジック・プレイヤーは、決まった場所を......レアが何かを確かめるだろう!

jp_BB20170706_Booster_Gold.jpg

 これは、誰もがブースターを初めて開封する時から続けているであろうことだ。誰だって知りたい。「パックからいいものは出たかな?」ってね。

 しかしプレリリースは、普段ブースターパックを買ったときのように、単にカードをコレクションに加えてスタンダードのお気に入りのデッキに何かを追加する、というものではない。手に入ったカードの束から実際にデッキを構築するイベントだ。素晴らしいレアだが、今ここで組むデッキで使うには難しい、というものが出てきたら、どうすればいいだろうか?

 さて、今日はそれについての話をしてみよう。

色の見え方

 ドラフトの専門家、「Limited Resources」というサイトの元管理人、そしてウィザーズ・オブ・ザ・コースト内でのシールド・リーグの親分でもあるライアン・スペイン/Ryan Spainがシールド・デッキを組んでいるところを見てみると、彼が他の人とは全く違うやり方をしていることに気づいた。

 ライアンは開封したパックのカードを全て裏向きのままにして、そこからレアを(裏向きのまま)取り除き、脇に置いてしまうんだ。

 その後、見もせずに抜いたレアには手を付けず、残りのカードを色別に分けて、どの色が最も強いかを考え始める。いくつかの色を候補から外した後に、伏せていたレアを表にして、それらがどんな選択肢を提示してくれるかを確認するんだ。

 ライアンは、なぜこのような手法を用いているのだろうか?

 レアは驚くほどに......時には危険なほどに魅力的だからだ。

 最初に『破滅の刻』のパックを開封したとしよう。そして魅惑のレア枠に入っていた《蠍の神》を確認した。

jp_q742Vz27AN.jpg

 ああ、こいつはすごい! なんて強力なんだ! いやあ、これが使えるなんて素晴らしいね。

 残りのパックを開封してカードを並べながらも、《蠍の神》のことが頭から離れない。使いたくてしょうがない。《蠍の神》はすごいんだから! そしてパックを開封し終わるころには、目線は自然と黒赤に向かっている。

 ああ、そこが問題だ。その2色のうちどちらかは、もしかしたら弱い色かもしれない。しかし《蠍の神》の(多)色眼鏡を通してから全体を見たために、その色を使おうとしてしまった。そして、使うべきだった他の色を本来よりも早く切り捨ててしまったかもしれない――それによりデッキが弱くなる可能性がある。

 そこで、ライアンは違う手順を踏む。


《Seasoned Tactician》 アート:Dan Frazier

 彼は、どの色を使うべきか、その方向性を狂った強さの爆弾レアに引きずられることなく判断したい、と考えているんだ。なぜだろうか?

 なぜなら、リミテッドでは、たった1枚のカードよりもデッキ全体のほうがずっと大事だからだ。なにしろ、前提としてデッキには最低でも40枚、土地以外のカードだけでも23枚ほどが必要になる。それだけでなく、そのデッキは全体としての動き、ゲームプランを有していなければならない――特定のレアを使いたいからデッキをそれに無理やり合わせる、ということではなくてね。

 私はシールド戦で、強力なレアはあるが平凡なカード群しかない色を使うために、優れたコモンやアンコモンが多い色を避ける人々を数多く見てきた。基本的には、それは間違いだ。

 ライアンはレアを無視しているわけではない、使うことをちゃんと検討している、という点には注意してほしい。レアを見ずにデッキを組み、それから無意味にレアをひっくり返して、そこに《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》が2枚あっても無視して(ライアン、正気かい!?)終わり、ということではないんだ。彼はカードプール(訳注1)を評価する時に、レアを切り離して考え始める。そうすることで、先入観なく各色の相対的な強さを判断しようとしているんだ。これは、色の強さをより正確に測定するための方法と言える。

(訳注1:カードプール/デッキを構築する時に使用可能なカード群)

 原則的に、リミテッドで目指すべきことは、デッキ全体を最大限に強くすることだ。一部分だけを最強に尖らせて、その結果、平均的には弱いデッキになってしまってはいけない。

「原則的に」

 さて、なぜ先ほどの文で「原則的に」と強調したのだろうか? ああ、マジックの他の要素がそうであるように、例外があるんだ。

 レアに引っ張られて、粒ぞろいな濃い色を外す結果になることは絶対に避けたい。開封の結果、4マナ3/3の束しかないが、素晴らしいレアが1枚ある青を使いたくなった。そこで、素晴らしい除去とクリーチャーが大量にある白を使わないことにする......それは間違った道へと進んでいるんだ。

 しかし、優れた色が無い場合はどうだろうか?

 シールド戦は、開封したパックの中身に従うしかないという、一風変わったフォーマットだ。自分のデッキを持ち込む構築フォーマットや、卓で回される束からカードを見繕っていけるドラフトとは違う。シールド戦は自分が開封した6つのパックの中身――それの良し悪しに左右される。

 良いカードプールを得られることもある。それは素晴らしいことだ。しかしシールド戦のデッキ構築理論が扱っている分野は、その逆に特化されている。カードプールがあまり強くなかったなら、どうやって勝てばいいだろうか?

 それこそが、レアのためにデッキを組む方法が真に生かされる機会だ。


《蝗の神》 アート:Lius Lasahido

 パックを開封して、カードプールを評価してみよう。どうにも弱そうだ。まあ、環境の平均より劣るが、2色デッキを組もうと思えば組める。しかし相手が同じぐらい弱いならともかく、普通以上のカードプールを得たほとんどのプレイヤーには負けてしまうだろう。

 となると、勝つためにはリスクを背負う必要が出てくる。

 もし大型イベントに参加しているなら、おそらく勝利を目指しているはずだ。そのためには、他の勝者を押しのけなければならない。より強力なデッキを打破できるかもしれない方法の1つが、強力なレアを最大限生かし、対処されなければ対戦相手を圧倒できる尖った単体戦力を用意することだ。

 開封したパックから、先ほども話題に出した《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》が出たとしよう。

 カードプールから考えられる最良の構築は、白青デッキだと思われる。そして赤いカードのほとんどはかなり弱い。しかし、その白青デッキ自体も環境全体の平均を考えると弱そうで、単体で強いカードも大して入っていない。

 ああ、こういう場合は、どちらかの色を赤と交換して、《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を採用する価値があるだろう。最善と思われるデッキが環境の水準から見て弱いのであれば、それがカードプールから見て弱いほうの色であっても、勝つためのさらなる爆発力を得るために採用すべき場合がある。(そして今回の例、『破滅の刻』が含まれるシールド戦であれば、サイクリングを持つカードを増やして見つけやすくすることも可能だ。)

 さて、この手法をきちんと機能させるためには、自分自身で正当な評価を下さなければならない。平均以上のデッキを平均以下だと言い張れば、《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を使う口実ができる。しかしそれは敗北に繋がる行為だ。この手法は必ず成功できるようなものではないが、特定の状況下では実行の価値がある戦法だ。

レアのタッチ採用

 考慮すべきもう一つの重要な手段として、メインの色とは違う色のレアをタッチする方法が考えられる。

 特にシールド戦は、カードのタッチをしやすいほうだ。他のフォーマットに比べてゲームの展開が遅い傾向にあるため、タッチした色を見つける時間はそれだけ増えるということになる。例えば、《蠍の神》がパックから出てきたが、デッキに黒を使う余地が見当たらないとしよう。その場合、デッキに少量の《沼/Swamp(AKH)》とともに《蠍の神》だけを入れる、という方法がある。

 ああ、この方法はいつでも行うべきではない。これが有効かどうかは、カードプールの内容と、どのようなデッキになるかに依存するからだ。しかしデッキを構築する時、とりわけマナの色を調整できるカードが手に入った場合には、選択肢の1つとして忘れずに検討しておきたい。

 色のタッチについてもっと知りたいかな? 色のタッチについて色々と語った「色もいろいろ」という記事を前に書いている。どんな時に色をタッチすべきか(あるいはすべきでないか)についてのさらなるアドバイスがあるぞ。

貴重な助言

 私はシールド戦で、開封したパックの中から出てきたレアを見てデッキを組むのをやめるまでに、何年もかかった――この記事が同様にあなたの習慣を変えるきっかけとなれば幸いだ! この記事は、今週末のプレリリースで、新しい考え方とさらなるサポートを得た上でデッキを構築できるようにするためのものだからね。

 この記事について、あるいは別のことについて、何か疑問や考えはあるかな? ぜひとも聞かせてほしい! いつでもTwitterTumblr、あるいはbeyondbasicsmagic@gmail.comに(すまないが英語で)メールを送ってくれれば、いつでも読ませてもらうよ。

 素敵なプレリリースを! 『破滅の刻』のすべてを楽しんでくれ。また来週会おう。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

前の記事: プレインズウォーカーの死 | Beyond the Basics -上級者への道-一覧に戻る | 次の記事: サイドボードをドラフトしよう

トピックス