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Beyond the Basics -上級者への道-

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まだ動くな!

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年6月15日

原文はこちら

 あなたはスタンダードでティムール《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》デッキを使っている。対戦席について、1ゲーム目を始めるために最初の7枚を引いた。

 その7枚の内訳はこうだ。

  • 《森/Forest(AKH)》
  • 《尖塔断の運河/Spirebluff Canal(KLD)》
  • 《植物の聖域/Botanical Sanctum(KLD)》
  • 《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》
  • 《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》
  • 《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》
  • 《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》

 これはかなり手堅い初手だ。特に、相手のデッキが分からない状態ではね。手札をキープして、これで始めることにする。

 そして、1ターン目だ。どうしようか?

 まあ、間違いなく《植物の聖域/Botanical Sanctum(KLD)》から《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》だよね? 《植物の聖域/Botanical Sanctum(KLD)》は早いうちに出したい土地だから今置くのがいいし、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》は1マナ域だから、今唱えるのが適切だ。

 ......そうなのかな?

 もっと詳しく調べてみよう。

ああ、マナ!

 これはぜひ覚えていてほしい。呪文を唱えるためのマナがあるからといって、即座にそれを唱える必要があるわけではない。

 そういうプレイをよく見かける。対戦相手のターンの終わりにマナが余っていたからと、どうでもいいクリーチャーに除去呪文を打ってしまう。手札にクリーチャー・カードが多いからと、全体除去呪文を警戒せずにたくさん並べてしまう。何が必要か判明していない状況で、カードを探し出す呪文を唱えてしまう。マジックのすべてのプレイに求められることだが、慎重に検討したうえで行動しなければならない。ゲームの状態と見えている情報をそれぞれ把握し、何が重要かを判断し、それらを踏まえて決断しよう。

 前述の状況は、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》が手札にある。唱えるために1マナが必要だ。1ターン目に使えばすぐに土地を持ってこれるし、後々になってから唱える理由はない。1ターン目の1マナは、この手札ではほかの使い道もない。

 じゃあ、待つ理由は?

 答えは4文字、つまり《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》だ。


《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》 アート:Titus Lunter

 今《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を使わず、《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》を置いてからマナが余っている時に使えば、さらに2つのエネルギーが追加で手に入る。《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》を利用するデッキでは、能力を起動できる回数の多さが勝ち負けを決めるかもしれないため、大きな意味があるはずだ!

 この状況のこの手札なら、私は1ターン目に《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》は唱えないだろう。しかし定石と言える動きはこれだけではない。このデッキでこの手札なら、私は絶対にこうする、と言える状況がいろいろとあるぞ!

 では、ここで考慮すべきなのは何だろうか? 自問すべき2つの基本的な質問がある。

未来予知

 この先のターン、これを使うためのマナがあるだろうか? これを今使わないことで、得られないものは何だろうか?

 これらが、ここで必要となる大きな問いだ。

 このターンに唱えないことを選んだなら、とどのつまり確実に損をすることになるのだ。

 ゲームが続く限り、毎ターン緑マナが1つ余る、ということがあらかじめわかっているとしよう。まあ、その場合、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》をそのまま温存できる。いつでも唱えられるのだから。

 しかし、未来を知ることはできない。そして、先のターンのために、この最初の1マナを取っておくこともできない。したがって、今の手札を踏まえた上で、この先どのような状態になるかについて最大限の推察が必要となる。

 さっきの初手7枚から土地を1枚減らして、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を入れてみよう。そうすると、初手に土地は2枚しかない。どう考える?


《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》 アート:Wesley Burt

 ああ、その場合は確実に1ターン目に《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を撃つだろうね。手札を機能させるためには3枚目の土地が必要になるし、2ターン目もほぼ確実に何らかの行動を起こすだろう。3ターン目のドローまでで土地を引けるかもしれないが、引けなかったときは3ターン目に《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を使わなければならず、その結果《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》をすぐ出せない、という状況には陥りたくない。

 これはたった1枚分の差にすぎない――ところがそのたった1枚が、1ターン目の動きを完全に変えてしまう。

 最初の初手に《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》が無く、代わりに《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》があったらどうだろう? 土地を1枚持ってくる機会を遅らせる価値はあるだろうか?

 この場合は、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》をすぐに唱えるほうがよさそうだ。確実に土地を伸ばしたいからね。しかしながら、そこの枠が《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》でも《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》でもなく、4枚目の土地だったとしたら、おそらく《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》は保持するだろう。

 マナを効率的に用いることも、もちろん極めて重要なことだ。唱えられる機会に唱えなかったことで、のちの他の行動を阻害する原因とはしたくない。それが無ければ唱えられたはずの、手札の呪文を唱えられないせいで負けるのは嫌だよね。......だけど、同じように、唱える時期を自由に決められる事で得られる利益を諦めたくもない。

 そしてそれは、この先訪れる未来を予測するために、手札とデッキをどのように情報源として用いればよいか、本当に厳しい判断が求められる場面だ。

 さて、ここでの判断には他の要素も加わってくるだろう。例えば、1ターン目に《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を唱えると、ライブラリーの基本土地の枚数は減り、今後有用カードを引く可能性が上昇する――しかしそれは、温存して後からエネルギーを2つ余分に獲得できるという明確な強みと比べれば、取るに足りない恩恵だ。いずれにせよ、カードを考慮し、先を見据えよう。今唱えなくてもよいだろうか? あるいは、今唱えることで得られる利益は、放棄してもよいだろうか? もちろん、そのカードのコストが軽ければ軽いほど、温存する負担は軽くなる。

 同じような問題が生まれる、別の種類のカードを調べてみよう。

カード選択

 1ターン目に《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を使わず、お互い少しターンを進めて、今は対戦相手の2ターン目のターン終了ステップだ。さて、手札に《予期/Anticipate(BFZ)》が来たが、今これを唱えるべきだろうか?

 そうだな......何か見つけ出したいものがあるだろうか?

 《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》のために待つべき、という理由に加えて、待つことで得られるよりよい情報の価値はどれほどのものか、という問題もある。

 問題をよりはっきりさせるために、過去へと戻ってみよう。《定業/Preordain(M11)》の時代へと。

 「カウ・ブレード」と呼ばれる極めて強力なデッキが、《戦隊の鷹/Squadron Hawk(EMA)》の止まり木(だか鳥の巣だか)であるスタンダードを棲み処として支配していた時代は、《定業/Preordain(M11)》が定番のドロー操作だった。事実上、(シャヒーン・スーラニ/Shaheen Sooraniのようなわずかな反逆者たちが別の道を探っていたものの、)あらゆる青いデッキが《定業/Preordain(M11)》を4枚採用しており、重要な存在だったと言える。しかしながら、いつ、どのように用いるべきかを理解するのは難しいものだった。

 カウ・ブレードのミラーマッチ(訳注1)で――私は不幸にもグランプリの16回戦のうち11戦で同系に遭遇してしまったのだが――《定業/Preordain(M11)》が唱えられるさまざまな状況を見てきた。そして対戦相手が1ターン目に《定業/Preordain(M11)》を打つたびに、内心喜んでいたものだ。

(訳注1:ミラーマッチ/同じデッキタイプ同士での対戦)

 思い返してみれば、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》や《戦隊の鷹/Squadron Hawk(EMA)》のような重要な2マナ域や土地が手札に無い場合を除けば、《定業/Preordain(M11)》は3ターン目に唱えるのが適切な場合が多かった。《定業/Preordain(M11)》で何が欲しいのか判明するところまで十分にゲームを進行させたいという点もあるし、3ターン目なら《定業/Preordain(M11)》を唱えた上で他に2マナ域のカードも使える。土地が必要だろうか? それとも呪文? 速攻デッキへの回答が欲しい? 恐るべき《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(EMA)》を探し出したい? ゲームをもう少し進めれば、より多くの情報から判断できるようになる。

 では《予期/Anticipate(BFZ)》に戻ろう。

 《予期/Anticipate(BFZ)》は《定業/Preordain(M11)》とは全く違う。占術のように見たカードを上には残せない。そして、2マナが必要になる。

 この違いは大きい。唱えるのを待つことによる機会損失は倍だ。この手札なら、《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を使うための1マナがどこかで余ることはあるだろう――しかし2マナが余る状況は、ある程度先の話になってしまう。

 この状況であれば、私なら《予期/Anticipate(BFZ)》をここで唱える。(《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》を使うために何もしないということも考えられる――しかしできれば《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》は《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》を出すまで待ったほうがいいだろう。)ともあれ、どうするか考えるというのは良いことだ。例えばデッキ全体が軽めに組まれているとすれば、エネルギーの安定供給を考えて、3ターン目に《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》を置き、4ターン目に《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》と《予期/Anticipate(BFZ)》の両方を用いる作戦に出るだろう。

 いずれにせよ、この話の教訓はこのようになる。カードそれぞれについて、実際に今唱える必要があるのか考えよう。時には、待ったほうが良いこともある。

準備を尽くして機会を待つ

 これはマジックではあまり討論されていない領域の話だ。物事を別の視点で考えるきっかけになれば嬉しい! 私はこれに初めて気が付いた時、目の覚める思いだったよ。

 呪文を唱える最高のタイミングをいつでも《予期/Anticipate(BFZ)》できるといいね。

 今回の記事について何か考えや疑問があるかな? ぜひとも聞かせてほしい! TwitterTumblrで気軽に伝えてくれてもかまわないし、あるいは昔ながらのメールがいいならBeyondBasicsMagic@gmail.comへと考えを送ってくれ!(済まないが、英語でよろしく。)

 来週の「Beyond the Basics -上級者への道-」でまた会おう。それまでは呪文のプレイを楽しんでくれ!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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