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Beyond the Basics -上級者への道-

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ゲームを強化する

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2017年5月24日

原文はこちら

 マジックに存在するカード・タイプのいくつかはゲームに不可欠なもので、どのゲームでもデッキを構築するための基礎として登場してくる。

 例えば、クリーチャーはほとんどのプレイヤーが採用するカード・タイプだ。デッキを構築するときに、いちいち「デッキにクリーチャーは必要だろうか?」と考えることはあまりない。ゲームに勝つためには必要だとわかっているからだ。

 しかし、中には、あまり注目されないカード・タイプもある。

 アーティファクトは、誰もが常に使うカードではない。(もちろん、『カラデシュ』のようなアーティファクトを重視したセットが存在する場合は、その限りではないが。)プレインズウォーカーは、デッキによって採用可能か否かが分かれるだろう。

 あとは、エンチャントだ。

 エンチャントは、どんなデッキでも使われるようなものではない。さらに詳しく見れば、通常のエンチャントにくらべて、オーラはもっと見かけないだろう。『アモンケット』のデベロップ記事にもあるように、開発陣はクリーチャーをエンチャントして強化するオーラに注目し、評価と強化を繰り返している――実質は単なる除去呪文である《平和な心/Pacifism(M10)》のようなオーラではないものをね。

 今日はこのマジックの一要素について、読者のみんなと一緒に考えてみたい。

 このタイプの(ああ、サブタイプの、と言うべきかな)強化系オーラは、適切に用いることができれば強烈な一撃をお見舞いできる――しかしまずい使い方をすれば、問題をさらに大きくしてしまう場合もある。

 「強化系オーラ」をデッキに採用すべき時とは? 採用した時に生まれる利点と欠点は何だろうか? 良い強化系オーラとは何だろう?

 さあ、やっていこう!

オーラのジレンマ

 オーラのプレイは楽しい。クリーチャーにすごいオーラをエンチャントして、続けざまにクリーチャーを90度傾けて前にずらし、対戦相手のライフを削り取る行為よりも充足感を得られるものはないだろう。

 オーラのプレイは危険でもある。

 オーラが持つ固有の問題点は、カード・アドバンテージを自然と失ってしまうところだ。

 《焼き尽くす熱情/Consuming Fervor(AKH)》のようなオーラをつけた場合、1枚のカードを手札から消費しているが、代わりのカードが手に入るわけではない。

 ああ、そのこと自体を問題にしたいわけではないよ。クリーチャーも結局出したターンには手札を失っていると言えるが、それでも誰もがクリーチャーを使っているよね! ここで実際に問題となるのは、2対1交換されてしまう可能性だ。

 マジックというゲームでは、対戦相手が1枚のカードを使うだけでこちらの2枚のカードが失われる、ということが起こらないようにプレイしたいはずだ。なぜだろうか? まあ、簡単に言えば、それをされ続けるとこちらのカードが先に尽きてしまうからだ!

 クリーチャーにオーラをつけることで、2枚が1つになる。すると、あらゆる単体クリーチャー除去呪文が、2対1交換できるカードに早変わりだ。クリーチャーとオーラを一緒に失ってしまう! バウンス(訳注1)呪文でさえ、使われればオーラを失うとんでもない目にあうんだ。

(訳注1:バウンス/戦場のカードを手札に戻す)

 そのため、オーラには悪評がついて回るようになった。読者の皆も、過去に他のプレイヤーから「オーラは使うな」と言われたことがあるんじゃないかな。

 しかしそれは、オーラ全体の評価としては誤りだ。優秀なオーラも存在する――必要なのは、それを探し出す力を身につけることだ。

 例えば......

採用するメリット

 《焼き尽くす熱情/Consuming Fervor(AKH)》のような種類のオーラは、単にクリーチャーを強化(して後に弱体化)するだけだ。しかしすぐに利益を得る手段が存在するオーラも数多い――それこそが、オーラが活躍を始める場所だ。

 例えば、『アモンケット』にまとめて収録された5種類のカルトーシュは目にしたことがあるだろう。

 カルトーシュはどれもリミテッドのデッキにばっちり採用できる――あるいは、《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity(AKH)》や《激情のカルトーシュ/Cartouche of Zeal(AKH)》が構築フォーマットのデッキに採用されても、私は驚かないね。これらカルトーシュとただのオーラとの違いは何だろうか?

 戦場に出たときにすぐ、呪文のように効果を発揮するところだ!

 単にクリーチャーを強化するだけのよくあるオーラとは異なり、カルトーシュは呪文のような効果を発揮した上で、クリーチャーを永続的に強化する。これにより、2対1交換という問題を軽減できるというわけだ。オーラ呪文を唱えたときに対戦相手が対応してクリーチャーを除去してこない限り(この点は警戒してプレイすべきだが)、完璧だ。

 一例として《知識のカルトーシュ/Cartouche of Knowledge(AKH)》を取り上げてみよう。

 これはすぐにカードを1枚引けるので、2対1交換については全く問題ない。実質的に2マナとカード0枚で、クリーチャーに回避能力と+1/+1修整を付与できる。

 もっといいのは、《活力のカルトーシュ/Cartouche of Strength(AKH)》だ。

 これは実質除去として機能する、リミテッドの緑の中でも最高ランクの1枚だ。このオーラを出せば、対戦相手のクリーチャーを1体除去できるだろう――流れは一気に逆転する!

 それだけじゃなく、《活力の試練/Trial of Strength(AKH)》のような試練シリーズを戦場から手札に戻せることまで加味して考えれば、オーラ1枚でとんでもないカード・アドバンテージ(訳注2)を確保できるわけだ!

(訳注2:カード・アドバンテージ/パーマネントや手札のカード枚数における優位)

 戦場に出たときに呪文のような効果を発揮するオーラなら、もっと活用したいと思えてくるはずだ。しかし、オーラを採用したいと思わせてくれる要素はほかにもまだまだある。


《活力のカルトーシュ/Cartouche of Strength(AKH)》 アート:Kieran Yanner

 例えば《天使の運命/Angelic Destiny(M12)》や《怨恨/Rancor(ULG)》のようなカードは、手札に戻ってくるのでカードを損する心配はない。《第六感/Sixth Sense(AKH)》のようなオーラなら、継続的にカード・アドバンテージを獲得できる。《第六感/Sixth Sense(AKH)》を使った後に少なくとも2枚はカードを引けるだろうと考えたなら、ドラフトでデッキに採用する価値があるはずだ。

 構築フォーマットはリミテッド環境と比べて、はるかに優秀な単体除去や全体除去をデッキに自由に入れられるため、2対1交換されてしまう危険性がより高い。よって通常は、なんらかのカード・アドバンテージや強力な除去耐性が得られる、採用する価値のあるオーラだけが構築フォーマットで用いられる。

 あるいは、先ほどの《激情のカルトーシュ/Cartouche of Zeal(AKH)》や《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity(AKH)》のような軽量オーラの類なら、構築フォーマットに影響を与えることがある。主に速攻デッキで、コストが軽く、なおかつ効果的なカードとして採用されるだろう。

 なぜ速攻デッキかって? ああ、妥当な理由が存在するのさ。

攻撃を押し通す

 基本的に強化系のオーラは、コントロール・デッキなどに比べれば速攻デッキのほうがはるかに相性が良い。

 コントロール・デッキは時間をかけて動き、2対1交換されるような状況は起こらないし、クリーチャーはほとんど並ばない。早い段階での勝利はそもそも望んでいない。

 逆に一般的な速攻デッキは、リスクを受け入れつつ序盤から攻撃を通していく必要がある。特にリミテッドの場合は、対戦相手の除去呪文にも限りがあるため、最適なタイミングでつけられたオーラによって対応される前に勝ち切ることも可能だ。

 《焼き尽くす熱情/Consuming Fervor(AKH)》をもう一度見てみよう。

 これはカード・アドバンテージは得られない。それどころか、時間が経てば自分のクリーチャーを失う羽目になる! じゃあ何を提供してくれるのかといえば......大量の追加ダメージだ。

 2ターン目に2/2のクリーチャーを出して、3ターン目に《焼き尽くす熱情/Consuming Fervor(AKH)》をつけたとする。5/5で攻撃すれば、相手は適切なブロックができないだろう。次のターンの4点パンチも、おそらく対戦相手は微妙なブロックを迫られるだろうね。1マナと1枚のカードで強化した結果、本体に5点のダメージを通すことができた――2/2のままでは攻撃にも行けかったであろうクリーチャーで、だ!

 常に意識しておこう。最高のカード・アドバンテージとは、対戦相手のカードを全て無意味にすること......つまり、ゲームの決着をつけてしまうことだ。

 突然追加される回避能力もまた、過小評価してはいけない要素だ。《向こう見ずな技術/Madcap Skills(MM3)》のような素晴らしいカード群が過去にどれだけのダメージを通してきたか、想像してみるといい。突然ブロックされなくなって、3点も追加ダメージを与えるんだ!

 私はおそらく、現在《ゴブリンの戦化粧/Goblin War Paint(BFZ)》を最も愛用しているプレイヤーの一人だろう。何もないところからクリーチャーに速攻を持たせてアタックしたり、3ターン目に脅威となる4/4クリーチャーを作り出したり、といった具合にね。

 オーラで序盤にリスクを取ること自体は正しいとは言え、数ターン手札に温存して、対戦相手が単体除去呪文をその間に消費してくれないか試すことも可能だ。除去を1~2枚使ってくれれば、安全が確保されてからオーラを使って、戦場を支配できるだろう。

 この種のオーラはコントロール・デッキでは役に立たないものの、速攻デッキでは考慮する価値がある。ドラフトでは終盤になってからでも手に入れられるカードで、1~2枚あれば十分だ。常に意識しておこう!

本当に魅力的なやつ

 クリーチャーにエンチャントをつける......それはマジックの始まりの時代から行われてきた。そして私たちは《聖なる力/Holy Strength(M10)》から長い時を過ごしてきた。

 うまくいけば、このアドバイスがオーラそのものの評価を、そしてドラフトで回ってくるオーラを取るかどうかの判断を正しく行う助けとなるだろう。それらは無視すべきではない......特に『アモンケット』のリミテッドではね! カルトーシュはとんでもない影響力を発揮するだろう。

 何か疑問や考え、あるいは感想はあるかな? ぜひとも聞かせてほしい! TwitterTumblr、あるいはBeyondbasicsmagic@gmail.comに英語で気軽に話しかけてくれ。

 クリーチャーの質を高めることでゲームの質も高められるといいね。また来週!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

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