読み物
一番のお気に入りというわけではないけれど
一番のお気に入りというわけではないけれど
Mike Flores
2010年1月28日
今日はお気に入りを使うことについてお話ししたいと思います。
マジックの今昔を通して一番好きなセットはと問われたら、実際はそう言い切れなくても、ビジョンズだと答えることにしています。ビジョンズは私がプレイヤーとして、そしてデッキデザイナーとして重要な転機を迎えた13年前に発売されたセットです。ビジョンズには、数年後に出てくる《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》[DST]や《野生の雑種犬/Wild Mongrel》[ODY]、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》[LRW]のような直線的なパワーはありませんでしたし、ほとばしるように強烈なカードの残り香がまだ何となく残っている(《Ancestral Recall》[2ED]や《Black Lotus》[2ED]が消えてから3~4年、《チャネル/Channel》[4ED]は2年前までありましたし、《Hymn to Tourach》[FEM]は文字通りちょうど去っていったところでした)時代でした。まあ、「タイプ2」の世界には《ネクロポーテンス/Necropotence》[5ED](注:まだ注目される前でした)が4枚鎮座ましましておられましたがね!
ビジョンズにあったカードの中で構築で使われていたカードと言えば、覚えている限りでは、強い効果の強いカード(ただし「壊れて」はいないレベル)で......コストも安かった、と思います。
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その典型例を挙げれば、《ウークタビー・オランウータン/Uktabi Orangutan》[6ED]、《衝動/Impulse》[VIS]、《リバー・ボア/River Boa》[ZEN]と言ったところでしょう。ビジョンズの最強のカードはと言われれば、軽くて安定して強い《吸血の教示者/Vampiric Tutor》[6ED]になるのでしょうが、当時のプレイヤーにとっては「2点のライフを支払うのはありなのか」という議論のタネになったものでした(実際の所)。
――本当にお気に入りのセットは、ですか?
名前が挙がるのは、ラヴニカ:ギルドの都とそれに付随するギルドパクト、ディセンションですね。《稲妻のらせん/Lightning Helix》[RAV]や《差し戻し/Remand》[RAV]、《呪文嵌め/Spell Snare》[DIS]、《撤廃/Repeal》[GPT]あたりはプレイしていて興奮させられました。唱えやすくて重くなく、効果も充分でしたから。
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私がマジックにはまった原因となったカードを踏まえれば、近年のお気に入りが《つっかかり/Lash Out》[LRW]であることはおわかりでしょう。ブロック構築ではメインに、そしてスタンダードのみならずエクステンデッドでさえもサイドボードにこのカードを入れることができました。《つっかかり/Lash Out》[LRW]は、フェアリーが蔓延している環境の中でさえもビジョンズやラヴニカと同じ一面を見せてくれました。つまり、とても軽くて効果のあるカード――お求めやすくてお値段以上、といったところですかね。
一般に、トップデッキ頼りと見られがちな赤デッキにおいて、《つっかかり/Lash Out》[LRW]を使う理由は《マグマの噴流/Magma Jet》[5DN]を使う理由と同じでしょう。占術にせよ激突にせよ、少しだけとはいえカード操作ができるのです。それだけで、このカードを選ぶ理由になるというものです。加えて《つっかかり/Lash Out》[LRW]は火力呪文です。まず焼いてからですね(だって、そういうカードでしょう?)
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《つっかかり/Lash Out》[LRW]は、「いつでも」良い、という類です。《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》[LRW]や《ケルドの匪賊/Keldon Marauders》[PLC]、どんなデッキを相手にしても《火葬/Incinerate》[10E]よりも優秀です。まして激突に勝ったとしたら、強烈にもほどがあるでしょう!
《つっかかり/Lash Out》[LRW]は2マナ域に颯爽と登場しましたが、その強烈さは《ボール・ライトニング/Ball Lightning》[M10]級です。《ボール・ライトニング/Ball Lightning》[M10]ですよ! (半分はクリーチャーで、半分だけが相手のあごをぶん殴るとは言え)6点のダメージを与える呪文が他にありますか? 《つっかかり/Lash Out》[LRW]を2枚最初から持っていて、あとちょっとばかりの運がついていれば、《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》[SHM]2体が殴ってくるというピンチは文字通りチャンスそのものになるのです。
このコラムの読者の中にも、《つっかかり/Lash Out》[LRW]をプレイすることができなくなって寂しがっている人はいることでしょう。
......いや、もう、過去形になってしまったかもしれません。
本日ご紹介するカード、それは......《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]です!
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ここまで挙げてきたカードとは色々な違いがありますが、一つ確実に同じことがあります。それは、「お気に入り」リストに入る、ということです。
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は新《つっかかり/Lash Out》[LRW]だ
つまり、どういうことかというと、《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は上陸の条件さえ満たしていれば、ダメージという点では《つっかかり/Lash Out》[LRW]と並びます。激突こそありませんが、それは相手にもライブラリ操作をさせないということにつながります。上陸が成立していれば、《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は常に6点与えられる2マナの呪文ということになります。つまり、超特売です。
《つっかかり/Lash Out》[LRW]がこの量のダメージを与えられるのは2回に1回もありません。当時6点与えるものとしてあのカードがプレイされることはありませんでしたが、信頼できるものだったらそうして使われていたことでしょう。
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は広告塔だ
ところで、インスタントにおいて上陸はどう働くのでしょう?
ワールドウェイクのビジュアル・スポイラーに注目しておられる人は、《深遠の謎/Mysteries of the Deep》[WWK]というカードに気づいているかもしれません。《深遠の謎/Mysteries of the Deep》[WWK]もインスタントの上陸呪文です。それらのカードは上陸でなければぱっとしませんが、解決前に土地が戦場に出ていればめざましい働きを見せてくれるのです。
FAQから、私よりうまく説明してくれている記載を引用します。
* このターンに、あなたのコントロール下で戦場に土地を出したどうかは、そのインスタントの解決時にチェックする。唱えたときではない。
* このターンに、あなたのコントロール下で複数の土地が戦場に出たとしても、これらのインスタントでは追加のボーナスは無い。あくまで、ボーナスはあるか無しかのどちらかだけである。
* インスタントの上陸能力は、過去において起こったことをチェックする。それは、そのターンにあなたのコントロール下で出た土地が、既に戦場に残っていなくても、あなたのコントロール下でなくても、土地でなくなっていてもかまわない。
* この呪文が解決されたら、それ以降に土地をあなたのコントロール下で戦場に出すことは、追加の恩恵を与えない。
* この呪文の上陸能力の効果は、通常の効果を置換する。このターン、あなたのコントロール下で戦場に土地を出した場合、良いほうの効果のみが発揮される。
* 《焼尽の猛火》を唱えるには、対象を2つ選ばなければいけない。プレイヤー1人と、そのプレイヤーがコントロールするクリーチャー1体である。それができない場合(戦場にクリーチャーがいない等)、この呪文は唱えられない。
* 《焼尽の猛火》の解決時にどちらかの対象が不適正だった場合でも、それはもう一方の対象にダメージを与える。
つまり、《深遠の謎/Mysteries of the Deep》[WWK]や《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]の解決前には土地を出しておかなければならないということです。
なぜこれらはインスタントなんでしょうか?
《空民の助言/Counsel of the Soratami》[10E]や《つっかかり/Lash Out》[LRW]の効果を相手のターンにも得られることは得られるのですが......
相手のターンに上陸の条件を満たすことは、そう難しいことではありません。基本セット2010には《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》[M10]がありますし、スタンダードやエクステンデッドのデッキなら《霧深い雨林/Misty Rainforest》[ZEN]や《乾燥台地/Arid Mesa》[ZEN]などのフェッチ土地が入っているでしょう。相手のターンに土地を探せば、カードがおまけで1枚ついてきたり、あるいはダメージが4点おまけでついてきたりするのです。
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土地は《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]の解決前にさえ出していればいいのです。スタックにある間に出す必要はありません。さらに、《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]が《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》[ARB]でめくれたあとでフェッチ土地を回したり《砕土/Harrow》[ZEN]を唱えたりするタイミングが存在します。
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は......いつでもお買い得!
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]について語るときに、上陸が達成していることを前提に語る必要はありません。そうでなくても、すばらしいとは言いませんが、選択肢に入るインスタントではあるのです。
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は相手のターンの終了時に2点のダメージを与える、2マナの呪文です。相手のターンに土地を出すのは特殊な方法を使わなければなりません。《沸騰する小湖/Scalding Tarn》[ZEN]を出していない時に、相手が《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》[ZEN]を出してきたら? 自分のターンが帰ってくるのを待たずに処理できれば、それにこしたことはありません。
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は赤デッキの忠臣だ
このカードを初めて見たとき、{R}{R}というマナ・コストには首をかしげさせられました。
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《沸騰する小湖/Scalding Tarn》[ZEN]や《乾燥台地/Arid Mesa》[ZEN]があるスタンダードでの、ゲームの序盤で有効な低マナ域の呪文なんですから、{R}{R}というのは少し難しい、少なくとも違和感のあるマナ・シンボルだと感じたのです。
《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は、タッチ赤のデッキではなく赤単でこそ使われることになるでしょう。過去には、{U}{U}{U}、{R}{R}、{G}{G}{G}{G}、{W}{W}の呪文が全部入っているスタンダードのデッキがありました。《稲妻/Lightning Bolt》[M10]が基本セット2010で帰ってきたとき、私は、ビートダウン(特に《大貂皮鹿/Great Sable Stag》[M10])相手に戦うためにコントロール・デッキに入れようと思いました。もちろん、《稲妻/Lightning Bolt》[M10]はビートダウンやバーンでも強いカードです。しかし、最近では《稲妻/Lightning Bolt》[M10]は《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》[M10]と一緒に見かけられたり、《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental》[CON]の道を開けたりする仕事が多いように思われるのです。
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このマナ・コストは《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]そのものだと言ってもいい気がします。一目見たら驚きます。《つっかかり/Lash Out》[LRW]はジャンド・マナ・ランプの補助として使われました。《不屈の自然/Rampant Growth》[M10]そのものとは言いませんが、マナが途切れないようにすると同時にあわよくば相手にダメージを与えるというのが役目でした。《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]はそうではありません。マナ・コストを見ても分かるとおり、コントロールに転向するような裏切り者ではありません。このカードは ―― 望み通りに動けば ―― 頭をぶん殴るだけで、将来の土地なんて考慮してはくれません。これは火力呪文です。ほとんど2つ分の働きをする火力呪文です。そして、赤のカードです。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》[ARB]のような赤メインのデッキなら入りますが、それよりなにより《焼尽の猛火/Searing Blaze》[WWK]は赤デッキの中で赤の呪文として振る舞うのが一番だ、ということなのでしょうね。






