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新・モダン入門~世界選手権3日目へ

2011.11.19

黒田正城の「エターナルへの招待」・新・モダン入門~世界選手権3日目へ

著者紹介:黒田 正城

 黎明期から日本のプロマジック・シーンを支えてきた強豪プレイヤー。
 1999年日本代表、森勝洋・森田雅彦とのチーム「P.S.2.」でのマスターズ・ヴェニス2003優勝など数々の輝かしい実績を持ち、なかでも2004年のプロツアー・神戸で果たした日本勢初の優勝は、力強くも丁寧な手さばきでキャストされた《火の玉》とともに、名シーンととして広く知られている。
 現在では家庭を愛する父親としての一面も持ちつつ、本業のかたわら、マジックの各メディアでその素晴らしさを伝えている。特に『ゲームジャパン』誌(ホビージャパン・刊)の連載コラムでは「伯爵」キャラとして、マジックを新たに始めようとするプレイヤーの手引きをする役割でもお馴染み。エターナルフォーマットへの愛情と造詣も深い。


 今年最後の祭典として幕を開けた世界選手権。
 参加者は6ラウンド×3日間、合計18ラウンドの長い戦いを乗り越えなければならない。
 フォーマットも毎日変わるため、マジックに対する幅広い知識と技術の両方が必要になる、ハードな大会である。

 初日のフォーマットはスタンダード。
 この記事を書いている今は、二日目のブースタードラフトが始まる直前である。

 そして、三日目にプレイヤーを待ちかまえているのが、この夏に颯爽と登場した「モダン」のフォーマットだ。
 ここではモダンのことをあまり知らないプレイヤーに向け、簡単な紹介をさせていただこうかと思う。

 モダンはエクステンデッドとレガシーの中間の環境に位置する構築フォーマットである。
 少し昔の強力カードで、もはやエクステンデッドでも使えないカードといえば、真っ先に思いつくのは《タルモゴイフ/Tarmogoyf》だろう。

 これらのカードをもう一度トーナメントで活躍させることができるフォーマットと理解して頂ければOKだ。

 使用できるセットは下記の通り。

  • 第8版基本セット
  • 第9版基本セット
  • 第10版基本セット
  • 基本セット2010
  • 基本セット2011
  • 基本セット2012
  • コールドスナップ
  • ミラディン・ブロック
  • 神河ブロック
  • ラヴニカ・ブロック
  • 時のらせんブロック
  • ローウィン=シャドウムーア・ブロック
  • アラーラ・ブロック
  • ゼンディカー・ブロック
  • ミラディンの傷跡ブロック

 また、3ターン以内に安定して発動することができるコンボデッキを封じるため、下記のカードは使用禁止となっている。

  • 《祖先の幻視》
  • 《古えの居住地》
  • 《苦花》
  • 《金属モックス》
  • 《暗黒の深部》
  • 《戦慄の復活》
  • 《垣間見る自然》
  • 《ゴルガリの墓トロール》
  • 《大焼炉》
  • 《超起源》
  • 《精神を刻む者、ジェイス》
  • 《精神的つまづき》
  • 《教議会の座席》
  • 《師範の占い独楽》
  • 《頭蓋骨絞め》
  • 《石鍛冶の神秘家》
  • 《弱者の剣》
  • 《伝承の樹》
  • 《梅澤の十手》
  • 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
  • 《囁きの大霊堂》
  • 《猛火の群れ》
  • 《雲上の座》
  • 《緑の太陽の頂点》
  • 《思案》
  • 《定業》
  • 《炎の儀式》

 このフォーマットは、公式大会で使用されるようになってからまだ数ヶ月しか経っていない。
 そのためまだまだ開発の余地が十分に残っている。

 実際、モダン形式で行われたプロツアー・フィラデルフィアでは、予想以上に多くのコンボデッキが環境を席巻し、想定していた健全なフォーマットとは少しずれた形であった、ということが明白になった。
 その内容を受け、追加の禁止カードが設定されたという経緯がある。

 この世界選手権は、それら禁止カードのために活躍することができなかった多くのデッキが活躍できる場になるかもしれない、という点で非常に楽しみなイベントなのだ。


 参考までに、プロツアー・フィラデルフィアの上位デッキを紹介しよう。
 なお、カード枚数が赤で表示されているのは、現在の禁止カードである。


「《欠片の双子》」

サミュエル・エストラティ/Samuele Estratti
プロツアー・フィラデルフィア トップ8(モダン)
1 《繁殖池》
4 《滝の断崖》
5 《島》
3 《霧深い雨林》
3 《山》
4 《沸騰する小湖》
3 《蒸気孔》

-土地(23)-

2 《呪文滑り》
4 《詐欺師の総督》
3 《やっかい児》
2 《鏡割りのキキジキ》

-クリーチャー(11)-
2 《否定の契約》
4 《思案》
4 《定業》
1 《手練》
1 《稲妻》
2 《払拭》
4 《差し戻し》
3 《炎渦竜巻》
4 《欠片の双子》
1 《撹乱する群れ》

-呪文(26)-
2 《呪文滑り》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《稲妻》
2 《古えの遺恨》
1 《剥奪》
2 《四肢切断》
3 《血染めの月》
2 《仕組まれた爆薬》

-サイドボード(15)-

 《欠片の双子/Splinter Twin》と《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》といった、つい最近までスタンダードでも見られたコンボを価値手段とするデッキである。キーとなるカードを幅広くサーチする《定業/Preordain》、《思案/Ponder》が禁止カードに指定された。

 ただ、これらのサーチカードは別に《手練》や《血清の幻視/Serum Visions》でもそれほど変わらないため、弱体化したとは言え、世界選手権で使用するプレイヤーは多いのではないだろうか。


「Zoo」

ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton
プロツアー・フィラデルフィア2011 準優勝
1 《森》
1 《平地》
2 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
1 《神聖なる泉》
1 《聖なる鋳造所》
1 《蒸気孔》
1 《地平線の梢》
1 《ドライアドの東屋》
4 《乾燥台地》
4 《霧深い雨林》
2 《湿地の干潟》
1 《沸騰する小湖》
1 《地盤の際》

-土地(22)-

4 《貴族の教主》
4 《野生のナカティル》
4 《タルモゴイフ》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
4 《聖遺の騎士》

-クリーチャー(18)-
4 《流刑への道》
4 《稲妻》
3 《バントの魔除け》
3 《稲妻のらせん》
4 《緑の太陽の頂点》
2 《遍歴の騎士、エルズペス》

-呪文(20)-
1 《渋面の溶岩使い》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
3 《エイヴンの思考検閲者》
3 《瞬間凍結》
3 《統一された意思》
1 《法の定め》
2 《ギデオン・ジュラ》
1 《地盤の際》

-サイドボード(15)-

 Zooはクリーチャーを主軸とするデッキの中で最も安定しており、また対応力も高い。《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》が禁止になったために柔軟性が落ちたところもあるが、こちらも致命的というほどではないと考えられる。今回も最大勢力の一つとなるだろう。


「親和(赤単)」

中島 主税
プロツアー・フィラデルフィア2011 4位
4 《山》
4 《ダークスティールの城塞》
3 《ちらつき蛾の生息地》
3 《墨蛾の生息地》

-土地(14)-

4 《メムナイト》
4 《羽ばたき飛行機械》
4 《信号の邪魔者》
4 《大霊堂のスカージ》
4 《電結の荒廃者》
4 《エイトグ》
4 《金属ガエル》

-クリーチャー(28)-
4 《オパールのモックス》
3 《バネ葉の太鼓》
4 《感電破》
2 《投げ飛ばし》
1 《爆片破》
4 《頭蓋囲い》

-呪文(18)-
3 《刻まれた勇者》
1 《月の大魔術師》
3 《倦怠の宝珠》
4 《血染めの月》
4 《精神壊しの罠》

-サイドボード(15)-

 親和には《頭蓋囲い/Cranial Plating》という最高の武器がある。このカードが親和の爆発力を全て支えており、《投げ飛ばし/Fling》での大ダメージや《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》での毒殺を可能にしている。
 禁止カードの影響を何一つ受けておらず、周囲が弱体化したため今後狙われる可能性はあるが、強力なデッキの一角として注目したい。


「(参考)青単感染」

サミュエル・ブラック/Samuel Black
プロツアー・フィラデルフィア2011 3位
8 《島》
1 《湿った墓》
2 《トレイリア西部》
4 《墨蛾の生息地》
4 《沸騰する小湖》

-土地(19)-

4 《荒廃の工作員》
1 《大祖始》

-クリーチャー(5)-
1 《否定の契約》
1 《召喚士の契約》
2 《ギタクシア派の調査》
4 《思案》
4 《定業》
4 《ドラゴンの嵐》
4 《呪文貫き》
4 《交錯の混乱》
4 《深遠の覗き見》
1 《応じ返し》
4 《猛火の群れ》
3 《撹乱する群れ》

-呪文(36)-
4 《呪文滑り》
3 《ヴェンディリオン三人衆》
1 《殺戮の契約》
2 《剥奪》
1 《残響する真実》
1 《計略縛り》
1 《四肢切断》
2 《ジェイス・ベレレン》

-サイドボード(15)-

 こちらは必須カードがなくなってしまったために解体を余儀なくされた毒の瞬殺コンボデッキである。こんなただの1/1クリーチャーに、一撃で仕留められてしまった多くのプレイヤーが何人いたのだろうか。
 代わりのパーツが見つからないので、このデッキは過去の歴史として名を残すこととなるだろう。


「ブリーチポスト」

ジェセ・ハンプトン/Jesse Hampton
プロツアー・フィラデルフィア2011 6位
3 《森》
1 《山》
4 《燃え柳の木立ち》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《ドライアドの東屋》
4 《雲上の座》
4 《微光地》
4 《ヴェズーヴァ》
1 《ウギンの目》
2 《霧深い雨林》

-土地(25)-

4 《草茂る胸壁》
4 《根の壁》
1 《桜族の長老》
1 《ムル・ダヤの巫女》
4 《原始のタイタン》
1 《テラストドン》
1 《無限に廻るもの、ウラモグ》
4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー(20)-
4 《グルールの印鑑》
3 《内にいる獣》
4 《裂け目の突破》
4 《緑の太陽の頂点》

-呪文(15)-
1 《クァーサルの群れ魔道士》
1 《子守り大トカゲ》
3 《虚空の杯》
3 《罰する火》
2 《原基の印章》
2 《四肢切断》
3 《炎渦竜巻》

-サイドボード(15)-

 今回の世界選手権にあたって、個人的に気になるデッキがこちら。
 デッキで一番大事な《雲上の座/Cloudpost》を禁止されてしまったので、普通に考えれば復活することはない。

 しかし、環境には多くのプレイヤーが愛する《ウルザの塔/Urza's Tower》、《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》、《ウルザの鉱山/Urza's Mine》がある。

 代替手段としてこれらの土地を使い、無理やり《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を走らせるプレイヤーは現れるだろうか?

 なお、これらのデッキに関する詳細な解説は下記の記事で確認いただけるので、もし興味を持った方がおられたら参考にしていただければと思う。

 モダン形式で行われる世界選手権三日目のトーナメント。
 注目の大会結果をお見逃しなく!!


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