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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ゴンティ型4色エネルギー(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ゴンティ型4色エネルギー(スタンダード)

by 岩SHOW

 「4色エネルギー」――この単語を、皆さんここ最近目に耳にしまくったんじゃないだろうか。プロツアー『イクサラン』でも全体の約20%という高い使用率を誇り、あっちでもこっちでも大活躍。とりあえずリストを見てみよう。

Mike Sigrist - 「4色エネルギー」
プロツアー『イクサラン』 5位 / スタンダード (2017年11月3~5日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
2 《
1 《
4 《植物の聖域
1 《隠れた茂み
3 《根縛りの岩山
3 《尖塔断の運河
4 《霊気拠点

-土地(22)-

4 《牙長獣の仔
4 《導路の召使い
4 《ならず者の精製屋
4 《つむじ風の巨匠
2 《逆毛ハイドラ
2 《栄光をもたらすもの
2 《スカラベの神

-クリーチャー(22)-
4 《霊気との調和
2 《マグマのしぶき
4 《蓄霊稲妻
1 《削剥
3 《反逆の先導者、チャンドラ
2 《秘宝探究者、ヴラスカ

-呪文(16)-
1 《多面相の侍臣
2 《チャンドラの敗北
1 《マグマのしぶき
1 《呪文貫き
3 《否認
1 《削剥
2 《人工物への興味
2 《慮外な押収
2 《自然に仕える者、ニッサ

-サイドボード(15)-

 予選ラウンド1位抜け、マイク・シグリスト/Mike Sigristのリストである。一言で形容するのであれば、贅沢。スタンダード環境にある白以外の色のパワフルなカードをまとめあげました、というショールームのような豪華絢爛デッキだ。《栄光をもたらすもの》と《スカラベの神》と《秘宝探究者、ヴラスカ》が共存しているって、改めて見るととんでもないデッキだな。

 《霊気との調和》と《霊気拠点》、そしてさまざまな2色土地で運用は問題なし。序盤をエネルギー関係のクリーチャーで攻めたり守ったりしながら、5マナ以降はパワーカードを連打して圧殺。俗にいう鉄板ってやつだね、安定して勝てる選択肢であるため、多くのプレイヤーがこのデッキを選択したのは自然なことかなと。

 もう「4色エネルギー」は食傷気味だって? そうかなと思ってね......今日のメインは、変わり種にしてみた。「4色エネルギー」だ。ふざけてるのかって? まあ、リストを見ればどういうことなのかわかるよ。どんなデッキと聞かれたら「4色エネルギー」なんだけども......

Michael Hinderaker - 「ゴンティ型4色エネルギー」
プロツアー『イクサラン』 スタンダード部門 7勝3敗 (2017年11月3~5日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
1 《
4 《花盛りの湿地
4 《植物の聖域
2 《泥濘の峡谷
2 《竜髑髏の山頂
4 《霊気拠点

-土地(22)-

4 《光袖会の収集者
4 《導路の召使い
4 《ならず者の精製屋
4 《つむじ風の巨匠
3 《豪華の王、ゴンティ
3 《スカラベの神

-クリーチャー(22)-
4 《霊気との調和
4 《致命的な一押し
3 《蓄霊稲妻
1 《本質の散乱
3 《ヴラスカの侮辱
1 《秘宝探究者、ヴラスカ

-呪文(16)-
1 《才気ある霊基体
2 《貪る死肉あさり
1 《象形の守り手
3 《強迫
2 《チャンドラの敗北
3 《否認
1 《人工物への興味
1 《川の叱責
1 《秘宝探究者、ヴラスカ

-サイドボード(15)-

 採用されているカードがかなり異なる、黒が濃い「4色エネルギー」だ! 黒い除去呪文をふんだんに採用し、対戦相手のクリーチャーの生存を許さない。さらにはクリーチャーも黒く、中でも目を引くのが3枚採用された《豪華の王、ゴンティ》。このデッキの顔とも言えるこのカードから、とりあえずゴンティ型と呼ばせてもらうことにしよう。

 一般的な「4色エネルギー」は攻める能力が高い。環境の2マナクリーチャーの中でも最高クラスの打点を誇る《牙長獣の仔》を各種エネルギー・カードでバックアップしてやって、ガシガシ殴っていくのが基本的な動きとなる。《つむじ風の巨匠》を用いた受けのプランも取れるが、それは往々にして相手のデッキが自分よりアグレッシブな場合だ。

 対して、このゴンティ型はその《牙長獣の仔》を採用していない。代わりに、打点は落ちるがアドバンテージを獲得可能な《光袖会の収集者》が採用されている。除去を唱えて相手を阻害し、このクリーチャーでドローして手札が尽きないように戦っていく......どちらかといえば、コントロール寄りのデッキなのだ。

 《豪華の王、ゴンティ》はまさしくこのコントロールプランにおいて輝くカードである。接死で地上に睨みを利かせつつ、相手のデッキのカードを奪う。《逆毛ハイドラ》や《栄光をもたらすもの》はデッキ内に不要、これで奪って使ってやればよかろうなのだ。確実にアドバンテージを得させてくれる、にくいヤツ。

 このデッキのゴンティはもったいぶらず、適当なクリーチャーと相打ちさせてしまって構わない。3枚も採用しているので第2・第3のゴンティが有効活用できるし、死亡させれば《スカラベの神》で使いまわすというとんでもない動きが可能だ。こんな動きされた日にゃ、ただただ悲しい顔をするか、あるいは爆笑しながら投了することだろう。

 黒が濃いので、サイドボードにしっかりと《強迫》をとれるのも魅力だ。コントロールデッキ相手には《否認》とこれを除去と入れ替えれば問題なく戦うことができるだろう。

 同じくサイドボードのカードで目に留まるのは《象形の守り手》。そういえばこんなカードもあったんだなと。この除去体制に優れたスフィンクスもまた、コントロール相手に......あるいはそのサイズと不朽まで持った粘り強さを活かして、「4色エネルギー」相手に出したりしても強いかもしれない。まだまだ使われていないカード、あるんだなぁ。ちょっと感動。

 独特な形のこのリストは、プロツアー『イクサラン』のスタンダードラウンドで7勝3敗という好成績を収めている。「4色エネルギー」「ティムール・エネルギー」「ラムナプ・レッド」は確かに多かった、これらで全体の6割という圧倒的な存在となったが、これらに挑み戦えるデッキがないというわけではない。強く、数を増やしたデッキを、このような軸をずらしたデッキで狩る感覚は、最高のものだろうね。

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