マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.11.01

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Full English Breakfast(古えのデッキ)

by 岩SHOW

 ようこそアレクサンドリア図書館へ。ここに古今東西ありとあらゆるデッキリストが保管されております。何かを求めてここに来られたのでしょう? どうぞお尋ねくださいませ。ふむ、なるほど、最近見た変なデッキの先祖が知りたいと......その知的探求心、素晴らしいものです。まずは変なデッキというものを拝見しましょうか。

phyrexianmtg - 「???」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2017年10月15日)
4 《島》
2 《沼》
2 《Underground Sea》
1 《Tundra》
1 《Scrubland》
4 《汚染された三角州》
4 《霧深い雨林》

-土地(18)-

4 《不運な研究者》
1 《ウーナのうろつく者》
4 《ヴォルラスの多相の戦士》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
4 《グリセルブランド》
1 《灰燼の乗り手》
1 《浄火の大天使》

-クリーチャー(16)-
2 《水蓮の花びら》
2 《ギタクシア派の調査》
4 《渦まく知識》
2 《狼狽の嵐》
4 《動く死体》
3 《目くらまし》
3 《実物提示教育》
2 《直観》
4 《意志の力》

-呪文(26)-
4 《弁論の幻霊》
2 《フェアリーの忌み者》
1 《外科的摘出》
2 《致命的な一押し》
1 《水流破》
1 《思考囲い》
1 《ブーメラン》
1 《解呪》
1 《計略縛り》
1 《虐殺》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Legacy Constructed League より)

 なるほど......「リアニメイト」系のデッキに見えるが、《納墓》が不採用で、代わりに見慣れない《ヴォルラスの多相の戦士》が入っている、と。

 このカードのテキストはなかなかにややこしいもので、私も初めて見た際には英語版だったこともあって大いに戸惑ったのを覚えております。

 能力は、

  • あなたの墓地の一番上のカードがクリーチャー・カードであるかぎり、この多相の戦士は、そのカードのすべてのテキスト(カード名、マナ・コスト、色、タイプ、能力、パワー/タフネス)を持ちます。(こういったカードがあるので、レガシーでは墓地のカードの順番を並べ替えることは禁止されております。)
  • (上記の能力に加えて)自らマナを支払って手札を捨てることができます。

 この能力で、手札の大物を捨てて化けさせ、戦場を支配しようというものでございますね。コピーになってもこの能力は保持したままなので、状況に合わせて入れ替わり立ち代わり変身させて、戦況を有利にしていくと良いでしょう。

 このデッキは《実物提示教育》で直接大物を出すプランと、《ヴォルラスの多相の戦士》、《再活性》と合計3つのルートを用いていますね。大抵は《グリセルブランド》に変身し、そのまま圧倒。状況によっては《浄火の大天使》などが光り輝くこともあるでしょう。

 このデッキに先祖がいると聞いて、ここにお越しいただいたわけですね。もちろんおっしゃる通り、《ヴォルラスの多相の戦士》という唯一無二の能力を持ったこのクリーチャーを使いたいと思った者は少なくあらず。そして一人、とんでもない傑作を作り上げた、達人とでも呼ぶべき人物がおります。え~っとこのあたりに......ありました、この書ですね。

「Full English Breakfast」について

 英国の朝食について聞きに来たわけではない? そう思われるのも無理はありません。ご安心を。これがそのデッキの名前なのです。英国の朝食というものはカリカリのベーコン、ソーセージ、パンも焼いたものに揚げたもの、ベイクドビーンズに目玉焼き2枚......と、さまざまなものをたっぷりといただくのが伝統的なスタイルらしいですね(岩SHOWはアイルランドに行った際にそれを毎朝美味しくいただいていたそうな)。

 このデッキも、その豪華な朝食のようにさまざまなギミックが詰め込まれております。百聞は一見に如かず、こちらがそのリストでございます。

Paul Barclay - 「Full English Breakfast」
エクステンデッド (2002年7月)
6 《島》
4 《森》
4 《Tropical Island》
1 《Savannah》
1 《Taiga》
3 《真鍮の都》
2 《知られざる楽園》

-土地(21)-

4 《極楽鳥》
2 《ファイレクシアン・ドレッドノート》
2 《クウィリーオン・レインジャー》
1 《エルフの抒情詩人》
4 《根の壁》
1 《金粉のドレイク》
4 《ヴォルラスの多相の戦士》
1 《ボトルのノーム》
1 《ゴブリンの太守スクイー》
1 《ウークタビー・オランウータン》
3 《貿易風ライダー》
1 《流動石の乱暴者》
1 《変異種》
1 《スリヴァーの女王》
1 《黎明をもたらす者レイヤ》

-クリーチャー(28)-
4 《適者生存》
3 《対抗呪文》
4 《意志の力》

-呪文(11)-
1 《腐肉クワガタ》
1 《金粉のドレイク》
1 《コビトカバ》
1 《ボトルのノーム》
1 《アカデミーの学長》
1 《マスティコア》
1 《Phelddagrif》
1 《トゲ尾のドレイク》
3 《紅蓮破》
1 《赤の防御円》
1 《グールの誓い》
1 《浄化の印章》
1 《繰り返す悪夢》

-サイドボード(15)-
(記事「Quietly Dying」より)

 《適者生存》デッキのバリエーションでございますね。当時はエクステンデッドにて有力デッキだった《貿易風ライダー》入りの「トレードウインド・サバイバル」。これに《ヴォルラスの多相の戦士》による一撃必殺コンボを投入した形になります。

 そのコンボの手順とは......

  1. 《ヴォルラスの多相の戦士》を出す
  2. 多相の戦士の能力か《適者生存》のコストで《流動石の乱暴者》を墓地へ
  3. 多相の戦士が乱暴者のコピーとなり、速攻を持って攻撃
  4. 乱暴者の持つ、{0}:ターン終了時まで+1/-1修整を受ける、という能力を起動
  5. そのまま解決せずに、同能力を合計11回連続で起動する
  6. これらがスタックに置かれて解決される前に、多相の戦士 or 《適者生存》で《ファイレクシアン・ドレッドノート》を墓地に
  7. タフネスが12になるため、能力が11回解決されても死亡せず、パワーは23のトランプルに!

 という、なんとも夢にあふれた、美しいコンボでございます。よくぞこんな複雑怪奇なものを思いついたなというところでございますが......製作者はジャッジであり、ルール・マネージャーとしても活動していたポール・バークレー/Paul Barclay。なるほど、ルールに精通している人間ならではの観点から、《ヴォルラスの多相の戦士》というじゃじゃ馬を乗りこなして見せたのですね。

 このコンボを狙わずとも、往年の素晴らしい名クリーチャーたちを直接展開したり、多相の戦士に化けさせたりして盤面を築き上げ勝利することが可能です。使ってみたいと思わせる、これぞ名デッキと呼んで差し支えない逸品ではないでしょうか。


 ご満足いただけましたか? またわからないものがあったら、その好奇心に素直に従ってこのラバイアが誇るアレクサンドリア図書館まで足をお運びいただければ光栄であります。それではまたいずれ......

前の記事: 岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白青トークン(スタンダード) | 岩SHOWの「デイリー・デッキ」一覧に戻る | 次の記事: 岩SHOWの「デイリー・デッキ」:結束の試練(スタンダード)

トピックス