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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.10.31

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白青トークン(スタンダード)

by 岩SHOW

 マジックは新セットが発売されると、そのセット名を冠したプロツアーという、世界最高峰のトーナメントが開催される。これに出られるのは世界中の予選を勝ち抜いたり、プロプレイヤーとして活躍している400名ほど。総プレイ人口から考えれば、ほんのほんのほんの一握りのプレイヤーに過ぎない。

 そんな選ばれし者とも言えるプレイヤーたちでも、新セット発売からわずか2週間で開催されているプロツアーでは「デッキ選択を誤る」ことが度々ある。たった2週間でドラフトの練習もデッキ選択もしなければならない。両方完璧に準備できることの方がおかしいっちゃおかしい話。むしろプロツアーを経て、熟成した環境でこそ正しいデッキ選択を実行できてグランプリなどで勝ちまくる、というプロプレイヤーも少なくない。

 今秋開催されるプロツアー『イクサラン』は、世界選手権を優先したスケジューリングにより、発売からわずか2週間というスパンを大きく超え、5週間という倍以上の準備期間をプレイヤーに与えた。

 5週間もあれば、環境の熟成はそりゃもう進む。そして今環境では、強いデッキを絞ることはできるものの、それを取り巻く多種多様のデッキがわらわらと誕生しているという、なんとも楽しい状態にある。いろんなデッキに、プロツアーで勝つチャンスがある。そう思わせてくれる、観る者にとっては嬉しい有様だ。

 そんなわけで、今日も「こんなのもあるのか」というスタンダードのデッキを紹介しよう。

Huetti - 「白青トークン」
Magic Online Standard MOCS 26位 / スタンダード (2017年10月21日)
7 《平地》
3 《島》
4 《氷河の城砦》
4 《灌漑農地》
2 《シェフェトの砂丘》
2 《イプヌの細流》
1 《廃墟の地》
1 《屍肉あさりの地》

-土地(24)-

4 《聖なる猫》
4 《選定の司祭》
4 《機知の勇者》
2 《威厳あるカラカル》

-クリーチャー(14)-
4 《軍団の上陸》
4 《霊気装置の展示》
2 《アズカンタの探索》
2 《至高の意志》
4 《選定された行進》
2 《排斥》
2 《イクサランの束縛》
2 《燻蒸》

-呪文(22)-
3 《陽光鞭の勇者》
1 《断片化》
4 《否認》
3 《本質の散乱》
1 《アズカンタの探索》
1 《不許可》
1 《俗物の放棄》
1 《燻蒸》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Standard MOCS より)

 現スタンダードにおける白の主な役割は2つ。《副陽の接近》で勝つコントロールか、《選定された行進》で盤面を埋め尽くすトークン戦術か。このデッキはその後者であり、最近紹介した「アブザン・トークン」の亜種的なデッキである。

 トークンの数を倍にしてしまうというハチャメチャな能力を持った《選定された行進》、いろんなデッキにトライするプレイヤーがたくさんいるのも当然だね。リストを見てもらえればわかることだが、こいつは青白の2色でまとめてある。行進派閥の中でも実に珍しいタイプだ。

 何が珍しいって、黒を採用していないことだ。行進と抜群の相性を誇る《秘密の備蓄品》、これがトークンデッキには必需品であるとされ、これらのエンチャントありきで構築すると白黒は確定となる。ここにどの色を足すか、というところから構築を行うプレイヤーが圧倒的多数だと思うのだが、このリストを制作したプレイヤーはその固定観念からの脱却に成功したようである。白青2色で組んでも良いじゃないかと。

 《秘密の備蓄品》を捨てたことで、トークン生成手段は白のみに絞られる。《聖なる猫》《選定の司祭》の不朽コンビ、行進下なら2マナで4体のトークンをばら撒く《霊気装置の展示》、猫の親玉《威厳あるカラカル》と既存のカードに加えて、1マナという軽さと変身後は毎ターントークンを生成できるのが強みの新カード《軍団の上陸》。これだけあれば、備蓄品がなくても盤面にじゃらじゃらとトークンを並べることは容易い。

クリックで変身します

 これに加えて、永遠能力持ちでありドローの安定化に貢献する《機知の勇者》が青から入ってきている。これのトークンが2体に増えたりした際にはとんでもないアドバンテージなることは「青白永遠衆」の回でも述べた通り。なのでこのデッキは、それとトークンデッキのハイブリッド的な存在であるともいえる。

 メインから除去呪文も採用し《燻蒸》による盤面のリセットも可能、《イクサランの束縛》により厄介なパーマネントも封殺だ。ということで、このデッキは「アブザン・トークン」などのトークンデッキを相手にした際には有利に戦えるであろうことが窺える。相手がトークンを並べるならこっちもトークンを並べてにらみ合いに持ち込み、《選定された行進》は《イクサランの束縛》で対処し、盤面を《燻蒸》で流してそこからのリカバリーの差で勝利する......と。

 そのリカバリーを助けるカードとなるのが《アズカンタの探索》だ。その誘発型能力で不朽や永遠持ちはどんどんと墓地に投げ捨て、これだけでもアドバンテージ獲得が可能。墓地が7枚以上になれば変身させ、上述のコントロール呪文を探したり、攻めに転換する際の息切れを防いだりと活躍してくれることだろう。

 一見似ているようで、切り口が違うというデッキが多数存在する現スタンダード。一体プロツアーではどのデッキが頂点まで上り詰めるのか。そのあたりをワクワクしながら、皆で観ていこうじゃないか。



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