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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.10.30

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒単機体(スタンダード)

by 岩SHOW

 殴るデッキを使う時、ネックとなるのが土地の存在だ。マナがなければ始まらない。デッキに土地を一定枚数採用しなければ、何もできずに負けてしまう。ただ、軽くて速いカードばかりを用いるデッキでは、4枚目以降の土地は使い道がなく無駄ドローとなってしまうことが多い。3マナあれば十分、というデッキでは土地をドローしてしまう確率を極力減らすために、土地は18~21枚採用するという構築を行うことがある。ゲーム開始時に2枚手札にあり、20点のライフを削りきるまでに1枚ドローすれば理想、そんなところかな。

 こういった構築をした際にさらにネックとなるのが、タップイン――タップ状態で戦場に出てしまう土地の数々である。例えば《竜髑髏の山頂》なんてとても良い2色土地なのだが、山か沼のタイプを持つ土地をコントロールしていなければタップインしてしまう。

 土地がたっぷりあるデッキや、序盤にこの条件が満たせずにタップインしてしまうことを許容できるデッキであれば問題ではない。ただ、上述のような土地の枚数を絞った攻め攻めな、いわゆるアグロと呼ばれるデッキには、これは致命的な問題だったりする。最序盤に展開することこそが信条のデッキが、1ターン目タップインでゴー、なんて最悪だ。『アモンケット』の2色土地に至っては、絶対にタップイン。いくらサイクリングがついていても、このようなデッキには合わない(逆に「青黒アズカンタ」のようなデッキにとってはこの手の土地は最高のマナサポートだ! 適材適所ってことだね)。

 まとめると、1~2マナの軽量のカードのみを用いるデッキは土地の枚数を切り詰め、そしてほとんど基本土地を用いる形で組まれることになる。大昔からのセオリーだね。もともと赤単デッキとはそういうものばかりだったのだが、最近ではマナをうまく使う方法を獲得したので、土地24枚で4マナ以上のカードも複数採用、という戦法を取るようになった。「ラムナプ・レッド」はそれまでの常識を打ち破ったアグロ新時代を築いたというわけだ。

 これに対して、伝統的なアグロな形を貫いている色がある。黒だ。1マナクリーチャーを多数、土地は20枚前後。デッキの一番重いカードは3マナ......どんなデッキかって? 見たほうが早いね。これが「黒単機体」だ。

Isolating - 「黒単機体」
Magic Online Standard MOCS 5位 / スタンダード (2017年10月21日)
16 《沼》
4 《イフニルの死界》

-土地(20)-

4 《戦慄の放浪者》
4 《夜市の見張り》
3 《敵意ある征服者》
4 《屑鉄場のたかり屋》
2 《才気ある霊基体》
4 《遺跡の略奪者》
4 《ホネツツキ》

-クリーチャー(25)-
4 《致命的な一押し》
3 《超常的耐久力》
3 《板歩きの刑》
4 《キランの真意号》
1 《霊気圏の収集艇》

-呪文(15)-
2 《才気ある霊基体》
4 《強迫》
2 《過酷な精査》
1 《超常的耐久力》
1 《街の鍵》
1 《板歩きの刑》
2 《失われた遺産》
2 《霊気圏の収集艇》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Standard MOCS より)

 『イクサラン』発売後、Magic Onlineのリーグ戦で全勝している姿がちょくちょく目撃されていた、黒単色の軽くて速いバリバリのアグロデッキ。こういうアプローチのデッキは『カラデシュ』からちょこちょこ姿を見せていて、愛好家たちがやり込んでいるため時折結果を残していた。

 今回もそういう、ある種の風物詩的なものかと思っていたのだが......先日開催されたMOCS(権利保持者のみが出られる、定期的に開催されているトーナメント)では、このデッキが5位(7勝1敗)という好成績を残していた。うーん、MOCSでこの成績なら「ホンモノ」なのかもしれない?というわけで紹介することに。

 11枚ある1マナクリーチャーを1ターン目に展開することからこのデッキは始まる。この動きができない手札でゲーム開始は避けたいところ。1マナクリーチャーはいずれも2点分の打点を持っている。

 2ターン目はこれらで2点刻んで......そこに1マナ軍団をさらに2枚追加、という動きも素晴らしいが、他にもパターンがある。

  • 2マナクリーチャーを展開
  • 《致命的な一押し》で相手のクリーチャーを除去し、《ホネツツキ》へ繋げる
  • 《キランの真意号》設置

 普通に2マナクリーチャーを展開しても良いのだが、後者2つの方がダメージ効率で優れているので、可能であればそうしたいところ。《ホネツツキ》を1マナで唱えられたら......そんな思いを叶えるために定番の《致命的な一押し》に加えて、ソーサリーではあるが万能除去である《板歩きの刑》も採用されている。

 《ホネツツキ》に繋げるのであれば自分のターンに唱えるし、ソーサリーであっても何ら問題はなく。2マナでスタンダード環境にいる99%ぐらいのクリーチャーに対処できるのだから、費用対効果も悪くない。これを使っての場合は3ターン目のアクションになるけど、それでも十分に強い動きだ。

 《キランの真意号》はプレインズウォーカーもなく、1体で乗り込めるクリーチャーが8枚のみという条件のみを見ると運用できるか不安に思えるかもしれないが、問題ない。1マナクリーチャーたちはすぐに相手のクリーチャーにより道を阻まれて殴れなくなるので、割り切ってさっさと集団搭乗させるのだ。それに《夜市の見張り》はタップ状態になることで相手のライフを吸い取る能力が誘発する。これを積極的に搭乗させて、4点+αのダメージを与えていこうという寸法だ。

 《敵意ある征服者》も攻撃でなくタップで誘発する能力であれば......と思わずにはいられないが、贅沢は言わないでおこう。

 《遺跡の略奪者》は展開して殴るしか選択肢のないこのデッキにとって、唯一のアドバンテージ獲得手段だ。ガシガシ殴って手札を補充して、切れ目のない攻めを継続させることで最序盤を過ぎてもまだギリギリ耐えられるようになっている。とにかくノンストップでクリーチャーをオールイン!

 ......さっき「1マナクリーチャーたちはすぐに相手のクリーチャーにより道を阻まれて殴れなくなる」って言ったところだろって? まあそうなんだけども、無理やり殴りにいく手もちゃんとある。除去に加えて道をこじ開ける術、それが《超常的耐久力》。

 クリーチャーのパワーを上昇させ、サイズで勝る相手も相打ちにもっていける。さらにそのクリーチャーは死亡後、すかさず戦場に帰ってくるのだ。これで対戦相手の防衛ラインを突破せよ! 除去呪文に対応して打ち消しのように使うのも良いぞ。

 カードと戦略自体はシンプルで簡単なものばかりなので、初心者にも扱えるデッキだ。ただ、これで勝ちを重ねるというのは中級者以上のプレイヤーでも難しいことだろう。1つのミスが重くのしかかる、毎ターン最適解を要求してくるタイプのデッキだからね......ミスすると、取り返しがつかなくなる。

 そんな綱渡り感も味わえるが、適当にブン回りでも勝てる。単色なので土地を揃える必要もなく組みやすいので、この冬はこういうデッキをみっちり練習して、戦闘が上手いプレイヤーを目指してみてはいかがだろうか。使いこなせるとかっこいいよ!

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