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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Inside Out(Pauper)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Inside Out(Pauper)

by 岩SHOW

 普段遊ばないフォーマットには興味がない。マジックプレイヤーにはこういう視点の方が少なくない。自分が取り組んでいるフォーマットに全神経を注ぎ込んでいるんだと、そういう話であればまあしょうがないというか......あれもこれも極められるゲームではない以上、そうならざるを得ない部分は確かにある。

 ただ同じマジックであるのに、頑なに「興味がない」の一言で終わらせるのはもったいない! 知らないフォーマットにはまだ見ぬテクニックがあり、それらを知るだけでもあなたのマジック観に新たな視点をもたらしてくれるかもしれないのだ。

 そんなわけで、今日はひとつ面白いデッキを紹介しよう。

greenprinny - 「Inside Out」
Magic Online Pauper Challenge 8位 / Pauper (2017年7月23日)[MO] [ARENA]
9 《
2 《平地
3 《灰のやせ地
4 《進化する未開地

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者
4 《不屈の部族

-クリーチャー(8)-
4 《ギタクシア派の調査
4 《思案
3 《定業
3 《渦まく知識
4 《シャドーの裂け目
3 《払拭
1 《目くらましの呪文
4 《裏返し
4 《堂々巡り
4 《噴出

-呪文(34)-
2 《器用な決闘者
2 《孤独な宣教師
2 《軍旗の旗手
3 《水流破
3 《海賊の魔除け
1 《万の眠り
1 《蒸気の絡みつき
1 《解呪

-サイドボード(15)-

 デッキリストを見ただけでは、いったい何をするデッキなのかわからないという方もいらっしゃるはず。《秘密を掘り下げる者》がいるからデルバーデッキ? 確かにそういうサブプランも用意されている。しかしこのデッキが狙っているのはそうじゃない。コモン限定構築戦・Pauperというフィールドに降り立ったこの「Inside Out」は、堂々と3ターンキルを狙う瞬殺コンボデッキなのだ!

 《不屈の部族》は手札を1枚捨てるとタフネスが4も上昇する。5枚捨てればタフネスは21となる。この状態で《裏返し》(英語名が「Inside Out」だ)の対象にしてやると、パワー21の怪獣の誕生だ。この攻撃を通して、ワンショットを狙うというわけだ。

 古くからこの《不屈の部族》を用いたコンボデッキは考えられてきたが、これはその最新版で......そして随分と久しぶりに見たものになる。まだこのコンボのことを考えている人間がこの世界にいたのだ。その事実だけでも、変なデッキ愛好家としてはなんだか嬉しくなるってなもんで。

 《不屈の部族》の攻撃が通ってから上述のアクションを取るだけでゲームに勝てる(相手が過剰にライフ回復していなければ)が、まあこんな回避能力を持たないクリーチャーの攻撃がそうも簡単に通るとは思えない。そこでコンボ成立を助けるのが《シャドーの裂け目》だ。

 シャドーを持つクリーチャーは同じくシャドーを持つものにしかブロックされない。相手側にシャドー持ちが立っている、なんて光景はほとんどないだろう。安心して攻撃できる。

 除去が飛んで来たらどうすればいい? 大丈夫、《払拭》もあるし《堂々巡り》で大抵の相手のアクションを弾いてやることができるぞ(《堂々巡り》は、Magic Onlineでは『Vintage Masters』にてコモンで再録)。《ギタクシア派の調査》で安全確認したっていい。

 これらのカードをかき集めるために、青が誇る1マナドローは大量に採用されている。《不屈の部族》はじめ1マナのカードが多いので、《目くらましの呪文》は万能サーチとなることだろう。

 このコンボは《不屈の部族》と《裏返し》の2枚があれば決まる。そう聞くととても簡単に思えるが、実際は捨てる手札が必要不可欠であることをお忘れなく。《秘密を掘り下げる者》を《昆虫の逸脱者》に変身させて殴ることができれば、その消費する手札枚数を抑えることはできる。が、いずれにしても枚数が少なければどうしようもない。そこで役に立つのが《噴出》だ。

 島を2つ手札に戻すことで、マナを支払わずに2枚ドローすることができる。合計4枚手札に加わる、ということはこれ1枚で16点分のダメージを叩き出すことが可能というわけだ。相手の手札枚数も少ないし、まあ大丈夫だろうなんて高を括ると......ワァオと言わされることに。

 なかなか面白いコンボでしょ? 見た目以上に殺傷性は高く、スリリングなデッキだ。Pauperというフォーマットは特殊であるため、このデッキのコンセプトを他のフォーマットに移し替えて......というのは難しい。ただ、アイディアというか、デッキの作り方なんかの勉強にはなると思う。皆には1つでも多くのデッキを知り、それらを糧に1つでも新しいものを作ってほしい。そんな思いを込めて、毎日書かせていただいてます、押忍。

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