マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.08.29

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ゼウス・サイクル(スタンダード)

by 岩SHOW

 スタンダードで流行りのデッキをイメージしてほしい。《熱烈の神ハゾレト》が走っている光景、ゾンビの大群が押し寄せる様、ハイドラとドラゴンの猛攻......強烈なクリーチャーたちが暴れまわる、それが現在のスタンダードだ。

 こういった環境の場合、自分もそれらクリーチャーデッキを使用するか、あるいは除去の嵐でそれらを薙ぎ払うコントロールを使用するのかという2択を迫られることになる。ただ、環境によってはそこに第3の選択肢が浮上してくる。コンボだ。

 純粋なビートダウンは、コンボを妨害する手段を持たないことが多い。「ラムナプ・レッド」「黒単ゾンビ」なんかはその典型で、メインなんかは何一つ妨害手段を持たず、サイド後も単色ゆえに選択肢が非常に少ない。良いコンボデッキが組めれば、コントロールよりも確実にこれらを食える可能性が高いというわけだ。

 で、この環境にコンボなんてあったっけか......《霊気池の驚異》はもうないし......と思ったあなた。忘れてませんか、「ゼウス」の存在を。

Goto, Yusei - 「ゼウス・サイクル」
プロツアー『イクサラン』地域予選 大阪大会 トップ4(権利獲得) / スタンダード (2017年8月20日)
7 《森》
1 《島》
1 《沼》
4 《隠れた茂み》
4 《異臭の池》
4 《泥濘の峡谷》
4 《霊気拠点》

-土地(25)-

4 《砂時計の侍臣》
4 《シェフェトのオオトカゲ》

-クリーチャー(8)-
4 《花粉のもや》
4 《葬送の影》
2 《検閲》
4 《楽園の贈り物》
4 《奇妙な森》
2 《死後の放浪》
1 《信者の確信》
2 《ラザケシュの儀式》
4 《新たな視点》

-呪文(27)-
4 《周到の神ケフネト》
2 《敏捷な妨害術師》
4 《払拭》
1 《検閲》
4 《焼けつく双陽》

-サイドボード(15)-
プロツアー『イクサラン』地域予選 大阪大会 TOP16デッキリスト | BIG MAGIC より引用)

 鬼才・浅原晃が注目した「ゼウス・サイクル」。

 《新たな視点》によって0マナでサイクリングし続け、《砂時計の侍臣》《シェフェトのオオトカゲ》でマナを伸ばし、《葬送の影》でサイクリングカードを回収し......

 このループで作ったマナで《副陽の接近》を2回唱えて勝利する、というなんともストーリー性の高いコンボデッキで、ながらくスタンダードで見ることはなかった「カードを引きまくる」タイプのコンボムーブは世界中のマジックファンを魅了した。

 このデッキも機体デッキなどのビートダウンを獲物に定めて活躍したものだが、その存在が認知されるとビートダウン側もエンチャント破壊などの対策を用意し、コンボに介入してくるようになった。結果として、大勝を成し遂げることなくトーンダウンしていたが......今こそ好機、とプロツアー地域予選に持ち込まれ、そして見事に権利を獲得するに至った。さすがはゼウス(ゼウスとは何か、については浅原さんに聞いてみてほしい。すべてのデッキビルダーが目指す存在、らしいが)。

 さて、この「ゼウス・サイクル」は《副陽の接近》で勝つタイプのものではない。これも重要なポイント。上述のマナを伸ばす能力を持ったサイクリング・クリーチャーおよび《新たな視点》のために青と緑はメインカラーとして絶対に外せないデッキで、そして《葬送の影》のために黒マナも必要だ。《奇妙な森》《楽園の贈り物》から捻出できるとは言え、4色目の白をカットしてこの3色にまとめたほうがデッキとしては安定することだろう。

 問題は勝ち手段が用意できるのか、という点だが......ありました、《信者の確信》。

 サイクリングする度に1マナ払えば、対戦相手のライフを2点失わせることができる。即ち、10マナ用意できれば勝ち、みたいなもので、副陽よりも勝利に必要なマナの総量自体は下がっている。どうせ《葬送の影》で手札にサイクリング・カードは10枚以上あるだろうしね。

 序盤は《奇妙な森》《楽園の贈り物》を土地に貼り付け、《シェフェトのオオトカゲ》をサイクリングしてコンボ始動可能な6マナを目指す。

 《新たな視点》は手札が7枚以上ある状態であればサイクリングのコストが{0}になり、それ自体が戦場に出た際に3枚ドローをもたらしてくれる。すなわち、このエンチャントを設置するまでの間にどれだけ動いても手札4枚以下にはならないように、余裕のある状態をキープすることを心掛けねばならない。

 コンボ成立を対戦相手が待ってくれることもなく、ガンガン殴られることだろう。そこでいざという時には《花粉のもや》を使用して耐えるのだが、これも上述の理由で可能な限り引き付けて使用するようにしたい。

 《信者の確信》の偉いところは、序盤に設置してしまって、コンボパーツを見つけるためにサイクリングしていく傍ら、相手からライフを吸い取れるという点にもある。あまり狙わないとは思うが、そういうこともできるという引き出しがあるとないとじゃ大違いだ。耐えて揃えて、そこからはいかに時間をかけずに、しかし確実にループを繋げるかというところ。エンチャントがついた土地を《砂時計の侍臣》でカチャカチャやってマナを作って、《葬送の影》で......という動きを続ければ10マナと10回サイクリングという動きが可能な「ゼウスの刻」を迎えることができる。

 対策されれば脆いデッキではあるものの、妨害に手段に乏しいデッキを持ち込むプレイヤーが多いだろうと予測して、見事その通りの結果となった場合、このデッキは文字通り無双することだろう。すべてはタイミング。ゼウス信者は確信を持ってトーナメントに臨むべし、ってことだな。

前の記事: 岩SHOWの「デイリー・デッキ」:副陽コントロール(スタンダード) | 岩SHOWの「デイリー・デッキ」一覧に戻る | 次の記事: 岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Inside Out(Pauper)

トピックス