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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ感染(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ感染(モダン)

by 岩SHOW

 最近の背景世界では、ゲートウォッチのメンバーが各次元で彼らの宿敵と対決するという展開が続いており、これまでに作ってきた下地が活用されているなと思う。エルドラージ、ニコル・ボーラスと彼が率いる軍勢......多元宇宙を脅かす存在だ。

 と、ここでもうひとつの脅威を忘れてやしないか確認したい。エルドラージ、ボーラスと並ぶ多元宇宙の災厄......ファイレクシアだ。ミラディンを完全に取り込んで、新ファイレクシアとして支配したファイレクシア人たち。彼らはミラディン以外の次元を知り、多元宇宙全体へとその機械の教えを拡大する気でいるようだが......その後の様子はこれといって描かれていない。今後の背景世界で再度ファイレクシアがその姿を現すのがどのようなタイミングになるのか? 実に楽しみだ。

 1年ほど前、ゲーム的にはファイレクシアは隆盛を極めていた。新ファイレクシアの、汚染を拡大する姿を体現する能力・感染。毒カウンターという形でプレイヤーにダメージを与え、計10点で勝利というそのスピードは他の追随を許さない。モダン環境において「感染」デッキは最強デッキの1つだった。ワールド・マジック・カップ2016が青と緑に染まったのも納得の結果というもの。

 しかし、現在「感染」はその地位を大きく落としている。クリーチャーを強化して殴るというシンプルな戦略は、除去1枚で瓦解する脆いものである。この戦略を支えていたのが《ギタクシア派の調査》だったのだが、このカードはさまざまなデッキで悪用された結果、禁止カードとなってしまった。まあ、こればっかりはしょうがない。0マナでカードを引きつつ相手の手札を見る、という行為は、マジックの醍醐味のひとつでもある「読みあい」というファクターを消し去ってしまっていた。「ないやん、いったれ!」というゲームばかりでは、ちょっとね。

 そんなわけで主戦略を失い、大幅にパワーダウンした「感染」の姿を、久しぶりに目撃したのでここで紹介しておこう。全盛期とどう変わったのか、見比べてみるのも面白いかもね。

IIxxJCxxII - 「スゥルタイ感染」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2017年8月7日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《繁殖池
2 《草むした墓
2 《霧深い雨林
4 《吹きさらしの荒野
4 《樹木茂る山麓
4 《墨蛾の生息地
2 《ペンデルヘイヴン

-土地(21)-

4 《貴族の教主
4 《荒廃の工作員
4 《疫病のとげ刺し

-クリーチャー(12)-
4 《古きクローサの力
4 《血清の幻視
4 《手練
3 《呪文貫き
4 《巨森の蔦
4 《強大化
4 《撹乱する群れ

-呪文(27)-
3 《顕在的防御
2 《ひずみの一撃
1 《儀礼的拒否
1 《払拭
1 《呪文貫き
2 《致命的な一押し
1 《集団疾病
2 《突然の衰微
1 《原基の印章
1 《霊気のほころび

-サイドボード(15)-

 意外や意外、《ぎらつかせのエルフ》解雇! 1マナ1/1感染で、当時の「感染」が3ターン目に勝利することを可能にしていたのはこのエルフによるところが大きかったのだが......安全確認から全弾ぶち込むという動きができなくなった以上、1マナで能力を持たない感染持ちにメリットはない、という結論に基づく構築だろうか。ついつい「感染」を構築する際にはこのクリーチャーから始めてしまうので、これの不採用は目から鱗であった。

 では、感染ダメージ源は何になるのか。ブロックされない能力が強烈な《荒廃の工作員》、ソーサリー除去を受け付けず飛行が強い《墨蛾の生息地》というお馴染みの面々に加えて、《疫病のとげ刺し》が採用されている。

 メインデッキの黒いカードはこれのみで、されどこれのためだけに黒を足す価値があるということだ。除去があるかないかの読みはプレイヤーでどうにかするから、せめて最低限ブロッカーを苦にしないカードを使おうということだろう。《タルモゴイフ》1匹に止められているようなヤツは、もうお呼びじゃないのだ。《疫病のとげ刺し》のように、最低限飛行は持っていないと。しかしこれに加えてさらに《ファイレクシアの十字軍》を加えるようなことはしていないのが印象的である。あくまで、青緑2色のあの「感染」の強かった部分を軸にしているということだ。

 これらの回避能力持ち感染クリーチャーを、《古きクローサの力》《強大化》でデカくしてやってぶち抜く。相手の除去は《巨森の蔦》《呪文貫き》で弾く。

 という従来の戦法に、《ギタクシア派の調査》の穴を埋めるべく加えられたのが《撹乱する群れ》だ。

 このデッキが恐れる除去は《流刑への道》《致命的な一押し》など、1マナのもの。これらを打ち消すには、《撹乱する群れ》はもってこい。不要な《手練》などを餌に、0マナで唱えて相手の意表を突くべし!

 以前ほどぶっ放せなくなったが、相変わらず3ターンキルなんかを狙える「感染」。当時ブイブイ言わせていたプレイヤーは、再びファイレクシアの力をその手に取ってみてはいかがかな。

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