岩SHOWの「デイリー・デッキ」：スカラベ・ゾンビ（スタンダード）

by 岩SHOW

　ゾンビってやっぱり良いよな......死んでも朽ちても蘇る、絶望の軍団。人類はただ、その軍勢に喰らわれるか、列に加わるか、いずれかの選択肢しかないのだ。

　『破滅の刻』では、これまで聖別された遺体が善のゾンビとして存在していたアモンケットに、悪しき死者の群れが蔓延する。ニコル・ボーラスが封印していた神を解き放ち、その一柱である《スカラベの神》は、《永遠の刻》をもたらした。これによりボーラスに仕えるゾンビ軍団・永遠衆が誕生だ。

　ゾンビを率いる《スカラベの神》の姿は、まさしくこの世の終わり。カードの能力もゾンビを量産するものとなっており、思わず使ってみたくなる。今日はこの神を採用したデッキを紹介しよう！

　プロツアー『アモンケット』を制したゾンビデッキの最新版！ 「黒単ゾンビ」に青を足したものとなっている。前環境のゾンビデッキといえば、クリーチャーデッキの代表だった。序盤からガシガシとビートダウンすることもできるが、どちらかといえばしぶといゾンビを並べ続けて盤面を形成し、そこから《リリアナの支配》《呪われた者の王》のゾンビ強化と、王の威迫付与で一気にライフを削り切る戦略を武器としていた。これが強かったんだよなぁ。とにかく、しぶとく盤面にクリーチャーが残り続ける、文字通り不死の軍団だった。

　ここに青を加えて、《スカラベの神》を足したこのデッキ。この神が加わることで、ついにゾンビデッキは一つの境地に達した。殴らずして勝利する。戦場にゾンビを並べるだけで良い、永遠衆を集わせるだけで相手は降伏する。《スカラベの神》の誘発型能力である、

　アップキープに、コントロールしているゾンビの数だけ対戦相手のライフを失わせる能力。これで、対戦相手がどれだけブロッカーを用意しようが容赦なくライフを削ぎ落とす。ついでに同じ数だけ占術できるので、まあ欲しいカードは大体手に入るだろう。これで５点の占術５、なんて言われた時は投了の刻かもしれない。神が出た途端、貧弱なゾンビたちがダメージ源として活き活きとしてくる。どんなチープなサイズのゾンビでも、とにかく並べてやろうじゃないか。

　墓地のクリーチャーを永遠衆として蘇らせる能力も強烈だ。この能力、僕は最初気が付かなかったのだが、対戦相手の墓地のクリーチャー・カードも対象にできる。そのため、うかつに《栄光をもたらすもの》なんかを展開してしまうと、除去された上にゾンビ化させられて地獄を見せられる、なんて事態に。消耗戦になった際に、お供のゾンビがいなくとも神が単騎で戦場に出るだけでゲームを終わりへと導ける、高いポテンシャルを誇っている。

　また、このデッキではこの神の能力を最大限に発揮させるため、あるクリーチャーが採用されている。《ギサとゲラルフ》だ。

　ライブラリーの上から４枚を墓地に落とす能力でゾンビをチャージし、墓地からゾンビを唱えられるようになる能力で戦場を形成する。これで《スカラベの神》のお供の準備は万端、もしこの姉弟が即座に除去されてしまったとしても、墓地に寝かせたクリーチャーは腐らず、《スカラベの神》で蘇らせてやることができる。しかもサイズアップのオマケ付きで。

　いやぁ、リミテッドでも最強のカードの１つとして広く認知されているが、構築でもその強さを問題なく発揮するようだ。死んでも蘇る能力がまた、終わらない悪夢をもたらしてくれるので実に頼もしい。

　前回プロツアーの覇者であるだけに、ゾンビデッキはある程度マークされているかもしれない。新戦力を得てパワーアップしたが、意識もされている状況。果たして破滅をもたらす存在になれるか？さあ、今日からプロツアー『破滅の刻』！ 時差の無い中継を、決して見逃さないように！(もちろん後からも見られるから安心してね)

プロツアー『破滅の刻』 日本語実況生放送

※試合状況によっては放送時間が前後する場合がございます。