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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.04.19

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Deadguy Red(Pauper&過去のスタンダード)

by 岩SHOW

 マジックには再録という概念がある。過去にリリースされたセットに含まれていたカードが、後のセットにも再び収録されるということだ。基本的な性能であるためスタンダード環境にあり続けるべきカード、パックが絶版となっているため入手困難なカードを再録することでさまざまなバランスを取っている。同じカードでもイラストが変わればコレクションのしがいがあるし(《対抗呪文》とかね)、昔使っていたカードがまたスタンダードで使えるというのも嬉しい話だ。

 近年では再録カードのみで構成された特殊セット『~マスターズ』が定番となっている。エターナルやモダンにて用いられるカードを再録し、ただ剥くだけでなくリミテッドも楽しめるように作られたこのシリーズ、最新の『モダンマスターズ 2017年版』が発売されてはや1か月。皆もうドラフトは楽しんだかな?

 僕は機会がなくてリアルでのドラフトはできずじまいになりそうだが、Magic Onlineでは楽しませてもらった。かつて『ギルド門侵犯』ドラフトで愛用した《ディンローヴァの恐怖》がまた使えるのが嬉しかったなぁ。しかも、レアリティはコモンになっているので集めやすいときたもんだ。

 他にもいくつかのカードがコモンとなって再録されていた。これが意味するものは......Pauper(※1)環境の変化だ。

(※1:Magic Onlineの独自フォーマット。コモンのみを用いた構築戦。注意すべきは、MOでコモンとしてリリースされたカードのみ使用できるという点。《陥没孔》《トーラックへの賛歌》などは使用できない。)

 ディンローヴァはしっかりと「トロン」デッキのフィニッシャーを務めていた。《ボーラスの占い師》は《深き刻の忍者》で使いまわせるアドバンテージ源兼壁役として活躍している。ただ個人的に最も気になっていたのは......《炎樹族の使者》だ。

 ここ数年の2マナクリーチャーの中でも、このシャーマンの独自性というものは群を抜いているように思う。混成マナであるため赤と緑の両方のデッキで使える、ダブルシンボルのため信心と相性が良い、何より2マナ2/2で扱いやすく2ターン目に連打すればそれだけで勝てたりする。当時のスタンダードでも、現行のモダンでも、その唯一無二の能力を活かして活躍している。

 このカードがコモンとなり、Pauperの既存のデッキは果たして恩恵を受けたのか......リーグ戦無敗のデッキを見てみようじゃないか。

Vancor - 「Deadguy Red」
Magic Online Pauper Constructed League 5勝0敗 / Pauper (2017年4月9日)
18 《山》

-土地(18)-

4 《ゴブリンの奇襲隊》
4 《ゴブリンの群勢》
4 《ジャッカルの使い魔》
4 《モグの徴集兵部隊》
4 《炎樹族の使者》
4 《泥騒ぎの群勢》
4 《谷を駆ける者》
3 《ゴブリンの踵裂き》

-クリーチャー(31)-
4 《稲妻》
2 《稲妻の連鎖》
4 《マグマの噴流》
1 《火炎破》

-呪文(11)-
3 《電謀》
2 《炎の斬りつけ》
3 《粉々》
2 《溶鉄の雨》

-サイドボード(10)-
MTGO Standings Pauper Constructed League より)

 赤単軽量ビートダウン「Deadguy Red」!大量の1・2マナクリーチャーと火力呪文と《山》を併せて作られる、シンプルすぎる古き良きデッキである。Pauperではデッキを構成する軽量クリーチャーが大体ゴブリンとなるため「ゴブリン」デッキとしても認知されている。

 動きは非常に簡単、1ターン目にパワー2のクリーチャーを出す。2ターン目もそれを2枚出すか、2マナパワー2速攻を出すか。いずれにせよ、マナ・カーブに沿ってクリーチャーを最大効率で展開し、ブロッカーは除去して殴るというストーリーを徹頭徹尾たどっていく。というか、他に選択肢がない。器用さをかなぐり捨てて、対価として速度を得ている類のデッキである。

 この手のデッキは以前からPauperでは一定の地位を得ていた。この度、2ターン目の選択肢に《炎樹族の使者》が加わったことでデッキパワーは格段に上昇している。2ターン目に2/2を出しつつ2/2速攻を走らせる、という動きはコモン限定とは思えないレベルの強さだ。《泥騒ぎの群勢》《谷を駆ける者》はそのポテンシャルを以前にもまして発揮できるようになった。炎樹族が2枚以上連打できれば、相手も炎樹族を使ってこない限りは展開力の差で圧倒することができるだろう。

 このリストはなぜかサイドボードが10枚しか登録されていない。手違いなのだろうが、それでも勝っちゃうのはデッキパワーの証明、かな。

 ところで「Deadguy Red」というデッキ名はなんぞや? と思われた方もいらっしゃるだろう。この機会に紹介しておこう。赤単の伝道師、「King of Beatdown」の称号を持つデイヴィッド・プライス/David PriceがチームDeadguyで調整し作り出した赤単ビートダウンのブランド名だ。『ミラージュ』や『テンペスト』が使えたころのスタンダードにおける、「スライ」と呼ばれる超軽量構築が施されたデッキをこれに分類する傾向にある。

 それでは初代デッドガイ、デイヴィッドが初めて表舞台に出てきた1997年のアメリカ選手権・初日全勝のリストを見ながら今回はサヨナラだ。

David Price - 「Deadguy Red」
アメリカ選手権1997 初日全勝 / スタンダード (1997年7月)
18 《山》
4 《ドワーフ都市の廃墟》

-土地(22)-

4 《蛮行ゴブリン》
3 《ゴブリン穴掘り部隊》
4 《鉄爪のオーク》
2 《ドワーフ兵士》
4 《ボール・ライトニング》
2 《ヴィーアシーノの砂漠の狩人》
4 《溶岩の猟犬》

-クリーチャー(23)-
4 《火葬》
4 《ボガーダンの鎚》
4 《火炎破》
3 《ケアヴェクの火吹き》

-呪文(15)-
4 《藁のゴーレム》
4 《Anarchy》
3 《紅蓮操作》
4 《爆破》

-サイドボード(15)-
記事「Deadguy Red」 より)

 サイドの《藁のゴーレム》、シブすぎ!

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