マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

読み物

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.02.24

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ベルチャーact.2:弱者選別(レガシー)

by 岩SHOW

 どんな業界でも「ぶっ飛んだヤツ」というのはいるもので。ネクスト・レヴェルへ到達した方々に、一歩でも近づきたいなんて思うのだけども、僕は彼ら彼女らがいかにぶっ飛んでいるのかを伝えるのが精一杯だ。今回もぶっ飛んで、次なる領域に一歩踏み込んだデッキを紹介しよう。

 Magic Online上にてストーム系コンボを延々と使用しているプレイヤー、monkeyscantcry。アカウント名もパンチが効いていて謎の好感を覚えるが、このプレイヤーがある日、とんでもないデッキで遊んでいたので、今日はそのデッキを紹介しよう。いやーまさかこんなカードたちが2017年に使われているところを見ることになるとは......。

monkeyscantcry - 「ベルチャーact.2:弱者選別」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2017年1月24日)
1 《Bayou》
1 《ドライアドの東屋》

-土地(2)-

1 《死儀礼のシャーマン》
1 《野生の朗詠者》
4 《Elvish Spirit Guide》
1 《スカイシュラウドの切断獣》
1 《這い耽り》

-クリーチャー(8)-
4 《金属モックス》
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》
4 《水蓮の花びら》
4 《召喚士の契約》
4 《弱者選別》
4 《暗黒の儀式》
4 《陰謀団の儀式》
4 《冥府の教示者》
4 《土地譲渡》
4 《残酷な取り引き》
4 《冥府の契約》
2 《ゴブリンの放火砲》
2 《苦悶の触手》
1 《不正利得》
1 《闇の誓願》

-呪文(50)-
4 《ザンティッドの大群》
3 《殺戮の契約》
4 《秋の帳》
2 《花の絨毯》
2 《夜の戦慄》

-サイドボード(15)-
MTGO Standings Competitive Legacy Constructed League より)

 一見「ベルチャー」に見えるかもしれないが、似て非なるもの・天津飯と天津麺くらいの違いがある。自分でも何を言っているのかいまひとつピンと来ていないが、まあ今日はそんな内容に最後まで付き合ってくれると嬉しい。

 「ベルチャー」に見えるということは《ゴブリンの放火砲》が入っているデッキということだが、このデッキには2枚のみとそこは抑えめ。あくまで勝ち手段の1つである。もう1つの勝ち手段は《苦悶の触手》。ストームを9以上稼いで《苦悶の触手》で吸い尽くすのか、それともライブラリーから土地を抜いて《ゴブリンの放火砲》をぶっ放すのか、いずれかのミッションを達成することで勝利と相成るわけだ。やってることは「ベルチャー」とほぼ変わらないって? 変わらない、変わらないが違うのだ!

 注目してほしいポイントは、「3マナ増やすカード」が最大限に採用されている点。何の話かというと......かつて「マナソース」なんて呼ばれたマナを増やす類のカードの中でも最高のものとされる《暗黒の儀式》は、2マナ増やすカードである。{B}を{B}{B}{B}に引き上げてくれる。《煮えたぎる歌》も3マナを5マナに。

 これら2マナ増やすカードをも上回る、3マナ増やすカードとは......《陰謀団の儀式》、これは「ANT」でもお馴染み。通常なら1マナしか増えないが、スレッショルドすると3マナ増やすスーパー儀式。

 《ライオンの瞳のダイアモンド》、これも「ANT」「ベルチャー」でお馴染みだ。0マナから3マナへのジャンプアップ、すわ《Black Lotus》かというカードだが、コストで手札をすべて捨てるため、ひと工夫が必要な1枚。

 そして第三の3マナ増やすカードは......《弱者選別》!

 まさかこのカードを取り上げることになろうとは、感動モンだなぁ。このカードは1マナから4マナ生み出す。ハイパー儀式なのだが、このカードは唱える際の追加のコストでクリーチャーを1体生け贄に捧げることを要求してくる。クセが強すぎて、ちょっと普通のコンボデッキじゃ声がかからないカードである。ただ、このデッキではキーカードだ。

 いきなり{B}{B}{B}{B}を出すことができる《弱者選別》を使いこなすため、このデッキにはマナの不要なクリーチャーが採用されている。1つは《ドライアドの東屋》、土地として戦場に出すのにマナが不要なのはご存知の通り。《水蓮の花びら》なんかから黒マナ出して《弱者選別》してやろう。

 もう1つの0マナクリーチャーは......これもこんなところで会うとはね、《スカイシュラウドの切断獣》だ。

 森タイプを持つ土地をコントロールしていれば、マナではなく対戦相手にライフ5点を与えるというコストで唱えることが可能。実に面白い能力の持ち主だが、使い道は確立されぬままスタンダードを去っていった思い出が蘇る。ノスタルジックな思いにさせてくれるこのへんてこなクリーチャー、《Bayou》から戦場に出したら黒マナへと変換してやろう。

 このデッキにはこれらをサーチするために《召喚士の契約》も採用されている。《Elvish Spirit Guide》サーチから1マナ生み出したり、{G}を{B}に変換したい時に《野生の朗詠者》をサーチしたりと、ちょっとした小技が嬉しい。これを唱えて次のターンを迎えると、このデッキはほぼ確実に敗北することになる。そのターンに決めるという、強い意志で用いることにしよう。

 さて、《弱者選別》らでマナを得て一体どうするのか。とりあえず《ゴブリンの放火砲》設置から《ライオンの瞳のダイアモンド》でファイアーーーーーッ!! ルートはわかりやすいものだが、《苦悶の触手》でライフ吸い尽くしWinを望むのであれば、ストームを稼ぐ手段が必要。ここで用いられるのが《冥府の契約》《残酷な取り引き》。

 《弱者選別》で増やした3マナをそのまま支払って唱えることのできる呪文で、ライフの半分を代価にして、4枚ドロー! カード1枚で手札を3枚増やすという、莫大なアドバンテージをもたらしてくれる。これら黒いドロー呪文を唱えてマナを伸ばし、マナを伸ばしては唱えを繰り返す(ドロー呪文を唱えたら、その解決前に(スタックで)《ライオンの瞳のダイアモンド》からマナを出そう)。こうやって連鎖的にライブラリーを掘り進めていけば、十分なストームを稼ぎながら《苦悶の触手》か《冥府の教示者》《闇の誓願》にたどり着いて、それを唱えてYou Win。同じ工程を繰り返すことでフィニッシュに至る、いわゆるチェーンコンボってやつだ。

 ゲーム開始時の手札には、マナを増やすカードと《土地譲渡》《召喚士の契約》というマナに関係のあるサーチカード、そして《冥府の契約》《残酷な取り引き》ら大量ドローを握っておきたい。実際に最高の手札に恵まれると、1ターンキルも夢じゃない。以下に僕が実際に経験した1キルパターンを示そう。

パターン1
  1. 《土地譲渡》で《Bayou》をサーチ
  2. 《スカイシュラウドの切断獣》を唱え、《Bayou》から{B}を出して《弱者選別》で{B}{B}{B}{B}
  3. 《ゴブリンの放火砲》を唱え、《ライオンの瞳のダイアモンド》も設置
  4. 《召喚士の契約》で《ドライアドの東屋》をライブラリーから抜いて、ダイアモンドを割ってベルチャーファイアッ!
パターン2
  1. 《土地譲渡》で《ドライアドの東屋》をサーチ
  2. 《水蓮の花びら》《弱者選別》で{B}{B}{B}{B}
  3. 《残酷な取り引き》で4枚ドロー
  4. 《暗黒の儀式》で{B}{B}{B}
  5. 《冥府の教示者》を唱え、《暗黒の儀式》を見せてライブラリーから1枚手札に加える
  6. 残った{B}から儀式儀式と連打して合計{B}{B}{B}{B}{B}
  7. 《水蓮の花びら》も出して、《闇の誓願》を唱えて《苦悶の触手》サーチ。合計4マナを得て《苦悶の触手》を唱えて終了ッッ!

 さすがにこんな動きを毎回できるわけではないが、決まれば他のデッキを置き去りにする速度を体感できる。「ANT」「ベルチャー」その他のコンボデッキが好きな方・気になる方に気分転換にでも使ってほしいね!

 最後に豆知識を。《弱者選別》の日本語版フレイバーテキストには、あの偉大なる機械の父・ヨーグモスの名が記されている。

弱者の血は、偉大なるヨーグモフ様の御名を書き記すためのインクになるだろう。

――要塞の建築技師の日誌


(《弱者選別》日本語版フレイバーテキスト)


 ......のだが、ここでは「ヨーグモ」と訳されている。なんだかかわいいね。日本語訳がこのままになっていたら、荒廃の王ももふもふした人というイメージになっていたのかもしれない。

P.S.《這い耽り》は一度もプレイしていないので、一体全体強いのか役に立つのかわからないってぇ!《弱者選別》しながら手札補充できたら神なんだろうけども、果たして人類に実現できる動きなのか......?

前の記事: 岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エスパー・フラッシュ(スタンダード) | 岩SHOWの「デイリー・デッキ」一覧に戻る | 次の記事: 岩SHOWの「デイリー・デッキ」:死の影ジャンド(モダン)

トピックス