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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.02.17

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:フェアリー(モダン)

by 岩SHOW

 かつて栄華を極めしデッキがあった。そのデッキは、グランプリ、プロツアーでTOP8に勝ち残り、世界選手権でも優勝を飾った。日本国内でも、ブロック構築・スタンダード・エクステンデッドと3つのフォーマットのグランプリを制している。とんでもないデッキだ。ゆえに警戒され、モダン制定時にはキーカードが禁止カードに指定されていた。

 後にその禁止が解除され、さあ再び覇権を握るか......と思われたものだが、モダンというフォーマットの進化はこのデッキを置き去りにしていた。かくも厳しいものなのか、現代マジック......と恐れおののいたのも記憶に新しい。

 そのデッキの名は「フェアリー」。青と黒の2色の(時に白や赤を用いることも)、クロック・パーミッションである。クロック・パーミッションとは、ダメージ源=ライフを刻む者=クロックを展開しながら、対戦相手の行動を打ち消しを中心とした妨害手段で縛っていき、ぺシペシと殴っていくデッキを指す。完全にコントロールに回るのではなく、攻めと妨害を同時進行でやるデッキ、と思ってくれれば問題はない。

 フェアリーはクロックパーミの究極系と言っても決して過言ではないデッキだ。『モーニングタイド』にてその時代を象徴するエンチャント《苦花》を獲得して、このデッキはこの世に生を受けることとなった。

 2ターン目にこの部族エンチャントを設置し、後はライフを糧にワラワラと目覚めるフェアリーを手駒に、相手を殴り、またその攻撃を食い止めながら、じっくりと首を絞めていく......この動きはあまりの強さから「2キル」と呼ばれ、愛され憎まれたものだ。この心臓部である《苦花》が件の禁止カード。しかし、この《苦花》でもそれ以降に誕生したクリーチャーたちの猛攻を防ぎきれるものではなかった、というのが事実である。かつてよりも速攻やトランブルを持ったカードが圧倒的に増えたし、メインからエンチャントに触ることもそれほど苦じゃなくなった、これが時代の流れである。

 しかしながら、「フェアリー」ユーザーが待ち望んでいた新たなる除去カードが、近年のパワフルな軽量クリーチャーへの耐性を高めてくれる、捲土重来のその時ではないか?と囁かれることに。『霊気紛争』の新カードの中でも、全フォーマットに与えた影響が最も大きくなる1枚になるだろうと思われる《致命的な一押し》だ。

 1マナで大抵のモダンのクリーチャーを排除するこのインスタントなら、これを用いればあるいは......? あの頂に再び戻れるのでは?

Luke Kellett - 「フェアリー」
グランプリ・ブリスベン2017トライアル at Good Games Maitland 優勝 / モダン (2017年2月4日)
3 《島》
2 《沼》
1 《湿った墓》
4 《汚染された三角州》
3 《闇滑りの岸》
1 《水没した地下墓地》
4 《忍び寄るタール坑》
4 《変わり谷》
2 《幽霊街》

-土地(24)-

3 《瞬唱の魔道士》
3 《呪文づまりのスプライト》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《霧縛りの徒党》
1 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(11)-
3 《致命的な一押し》
3 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
2 《呪文嵌め》
4 《苦花》
2 《集団的蛮行》
2 《対抗突風》
1 《喉首狙い》
1 《夜の犠牲》
3 《謎めいた命令》
1 《残忍な切断》

-呪文(25)-
1 《致命的な一押し》
1 《思考囲い》
1 《呪文嵌め》
3 《祖先の幻視》
2 《外科的摘出》
1 《集団的蛮行》
3 《涙の雨》
1 《英雄の破滅》
2 《滅び》

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 というわけで《致命的な一押し》採用後のフェアリーのサンプルリストがコチラ。多くのフェアリストが待ちに待っていた1マナの超万能除去である。メイン/サイド併せて4枚採るのが嗜みというもの。実際に使用してみると......以前までとにかく鬱陶しかった1ターン目の《野生のナカティル》《ゴブリンの先達》といった、《苦花》設置よりも早く戦場に出てくるクリーチャーをピンッと弾いてそのまま「2キル」ムーブに入れる。これは気持ちいい。

 以前までの「フェアリー」の1ターン目の行動はさほどバリエーションがなかったが、1ターン目から除去を構えられるとなんとも頼もしい。《稲妻》《流刑への道》と、他の色の除去の方が軽かった頃は除去撃ち合いに負ける、なんてこともあったが......もう笑わせない。優越感に浸るのはこちらだ。

 《汚染された三角州》などのフェッチランドと絡めれば紛争モードで唱えることも簡単。モダンではそれほど3~4マナのクリーチャーの姿は見ないが、いざともなればそれらのクリーチャーをたった1マナで処理してテンポも稼げる、というのは嬉しい。クリーチャー化する土地をサクッと対処できるのも最高だ。

 デッキとしてはやはり2ターン目の《苦花》設置から入って、対戦相手のアクションを《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》で弾いて......という黄金ムーブで攻めたい。このデッキはよりアグレッシブに《思考囲い》から2ターン目に確実な設置を目指すタイプのものだ。個人的には同じ1マナ呪文に《祖先の幻視》を採用している方がアドアドしくて好きだったりするが、対コンボデッキなどには前者のスタイルの方が功を奏するだろう。この辺りはメタゲームと好みでチョイスしてほしい。このデッキではサイド後にこれらをスイッチする形を採用している。

 打ち消しと除去を繰り返し《瞬唱の魔道士》で《謎めいた命令》フラッシュバックまでいければ、もう勝ちだ。かつてはここまで来るのが大変だったのだが......《致命的な一押し》のおかげで幾分か楽になった。《集団的蛮行/Collective Brutality(EMN)》の加入もこれを大きく手助けしてくれているね。

 《致命的な一押し》をひたすら推す回になってしまったが、実際にこのカードが入ったことで「フェアリー」の運用はかなり楽になった。楽になったが......イージーウィンできるようになったわけでは決してない。戦いはまだまだこれから、追い風が吹いたところである。風に乗って舞い、再びプレイヤーたちを苦しませるのか。ここまで「フェアリー」を使い続けてきたプレイヤーの、愛と情熱が試されるわけだ。女王ウーナの加護があらんことを。

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