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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ソルジャーズ(レガシー)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ソルジャーズ(レガシー)

by 岩SHOW

 兵士と戦士の違いについて考えたことはあるかな? マジックにおいては戦いの中に身を置く者で、その中でも個人的な理由・文明や思想などに基づいて闘争する者を戦士、軍隊に属し将校に率いられて戦う者(また、その将校も)を兵士とするようだ。アブザン家に属する戦士たちのように、兵士と戦士の概念が曖昧になっている者も存在するが、そのあたりはゲーム性もあるということで。どちらかと言うと戦士は単騎で、兵士は集団で戦う者というイメージがあるが、これも近年の「戦士推し」により戦士シナジーを持つカードが多数登場して、これといった明確な差はない(というか最近兵士シナジーを持ったカードの方が出てこないね)。

 しかし歴史を遡れば、手を取り合って戦う多数の兵士を姿を見ることができる。兵士と言えば、『オンスロート』『レギオン』『スカージ』では白の主要部族として猛烈なプッシュを受けていたし、各セットでまばらに兵士に関するカードが登場していた。いわば「兵士推し」である(当時はクリーチャータイプに人間がなかったのも兵士推しに繋がったことかと思う)。今日はそんな古き良き兵士カードを集結させたレガシーのデッキを紹介しよう。「ソルジャーズ」だ!

Kike Gallardo - 「ソルジャーズ」
La Biblioteca Zurana - CarroVedor mensual 優勝 / レガシー (2016年10月15日)[MO] [ARENA]
8 《平地
2 《カラカス
4 《古えの墳墓
4 《魂の洞窟

-土地(18)-

4 《バリラシュの旗騎士
4 《スレイベンの守護者、サリア
4 《秀でた隊長
4 《異端聖戦士、サリア
4 《ダールの戦長
4 《募兵官
2 《宮殿の看守
4 《警備隊長

-クリーチャー(30)-
4 《金属モックス
4 《虚空の杯
4 《抑制の場

-呪文(12)-
2 《ファイレクシアの破棄者
1 《宮殿の看守
3 《安らかなる眠り
2 《漸増爆弾
2 《厳密なる執行
2 《忘却の輪
1 《Holy Light
1 《ハルマゲドン
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-サイドボード(15)-
mtgpulse.com より引用)

 揃いも揃った兵士たち、メインデッキに30枚! マーフォークやゴブリン、エルフをも上回るギチギチに詰め込まれた感がワクワクさせてくれる。ここまで兵士にこだわることで、一体どのような恩恵が受けられるというのか。順を追って解析するとしよう。

 《バリラシュの旗騎士》はそれ単体では2マナ2/1とレガシーで使うには厳しいスペックだが、すべての兵士のコストを1マナ軽くしてくれる。まずはこれを展開し、増援の足取りを軽くするのだ。

 続けざまに《ダールの戦長》を展開しよう。これも兵士のコストを1マナ軽くし、さらにはそのサイズにも+1/+2修整を与える、頼れるリーダーである。理想としてはこれを複数体並べて、サイズと数の両方で押し切りたいものである。少々脱線するが、この《ダールの戦長》、こう見えてもクリーチャータイプは兵士であると同時に人間である。人間...? この時代のドミナリア・オタリア大陸の人間の兵士やウィザードたちは、ミラーリの影響を受けて鼻も口もない白めの筋肉の塊のような姿になったり、液状のウーズ的姿になったり。子どもの頃に読んだ遥か未来の人類を描いた本を思い出す、そんな奇怪な形態をしている。こういう連中とキスキン、そして後述する美女が規律の下に協力し合って戦うってのも、なんともファンタジーで良いね。

 同じく展開を助けるのは《秀でた隊長》。このキスキン兵士は兵士を唱えずに戦場に直接連れてくる能力を持っており、これと《魂の洞窟》のおかげで《師範の占い独楽》+《相殺》のロックコンボなども意に介さずに高速展開が可能となる。

 これらのバックアップを受けて戦場に叩き付けられる、このデッキ一番のパワーカードは《警備隊長》だ。6マナで9点分の打点を誇る、改めて見てもパンチ力の高いこの兵士の長を、上記のカードと《古えの墳墓》《金属モックス》から高速展開したら勝てる!というのがこの兵士デッキの最大の狙いである。ゆえに採用枚数は4枚! レガシーで6マナのカードを4枚採用というのもなかなかに凄いが......

 このフォーマット、高速環境でコンボデッキが全体の平均寿命を引き下げているイメージはあるが、お互い軽量のクリーチャー・呪文ばかり詰め込んでいるため、お互いに決定打を引けなくて壮絶にグダることもある。おそらく、グランプリ・千葉2016の配信でもそういうシーンを見ることがあるだろう。だから案外、重いカードも間に合ったりするのだ。皆も使いたいカードがあれば、工夫次第では活かすことができるのでチャレンジしてみてほしい。

 このデッキでは兵士シナジーとマナ加速によるスピードアップと、《虚空の杯》《抑制の場》による相手のスローダウンという2つのアプローチでこのカードが間に合うゲーム展開を作り出そうとしている。《抑制の場》はシブいね、フェッチランドや《死儀礼のシャーマン》に依存するデッキは白目を剥くことだろう。

 そうそう、対戦相手をスローダウンさせる妨害要員として、サリアを忘れちゃいけない。彼女は《スレイベンの守護者、サリア》《異端聖戦士、サリア》とどちらも兵士なので、この兵士シナジーの恩恵を受けながら、対戦相手の呪文・クリーチャー・土地を締め上げる。《ダールの戦長》でタフネスを上げて除去耐性を与えてやれば、もう怖いものなし。《異端聖戦士、サリア》で《若き紅蓮術士》や《僧院の導師》がどれだけ頑張ろうともブロックは1ターン遅れることになる。ダメージレースでの敗北はそうそうないだろう。

 クリーチャー対策としては《宮殿の看守》という見慣れない方が多いであろう兵士が採用されているのもポイント。対戦相手のクリーチャーを追放しつつ、あなたは統治者となる。とりあえず統治者ボーナスとしての1枚ドローは確定でアドバンテージ得まくり!統治者となって兵を動かすというのも、ゲームにより入り込めてGood!

 さて、長々と兵士たちを紹介してきたが、このデッキがレガシーで組める要因、肝の部分を紹介して締めくくりたいと思う。その要の兵士とは《募兵官》。

 これ自体は4マナ2/3先制攻撃と大したことはないスペックなのだが、戦場に出た際にライブラリーの上から4枚公開して、その中の兵士をすべて手札に加えることができる。有名な《ゴブリンの首謀者》、『マジック・オリジン』に再録された《森の伝書使》と同じサイクルに属する、アドバンテージの塊である。

 当時は強い兵士がいなかったが、今日はここまで紹介してきた素晴らしい兵士たちが君の招集を待っている! いざ、グランプリ・千葉2016に向けて、突撃ィィィィッ!(実際、千葉に参戦するならこれを選んでいたかも)

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