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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:対立オーブ(過去のスタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:対立オーブ(過去のスタンダード)

by 岩SHOW

 Masterpiece、引いたか~い? 皆で『カラデシュ』のパックを剥きまくって、カラデシュの人々が発明した、どこかで見たことがあるような強力なアーティファクト「Kaladesh Inventions」をその手につかもう! いずれも時代を築いた、強力な能力を持ったアーティファクトだが......今日はそんなマジック界の最高傑作の1つを主軸としたデッキを紹介しよう。

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 今回ピックアップしたのは《静態の宝珠》だ。このアーティファクト、初心者には何が言いたいのか少しわかりにくいカードではある。僕も最初はよくわからなかった。アンタップ・ステップにパーマネントを2つまでしかアンタップできない、ということが一体ゲームにどれだけの意味をもたらすのか。そもそも自分もこの能力によりハメられてしまうので、自らの首を絞めることになるのでは?と思っていたわけだ。

 『テンペスト』のスターターからこれを引き当てていた僕としては、使い道が欲しいなと思いながらそのまま時は過ぎ......『第7版』が発売されるころ。そのころにはマジックにおけるカードの強さ・弱さというものをある程度理解できるようになっていた。《静態の宝珠》は、自身が用いるパーマネントの数が少ない・あるいはアンタップ・ステップ以外にアンタップすることのできるカードと組み合わせて、なおかつ対戦相手はクリーチャーやアーティファクトと土地を同時に起こすことはできず、攻撃と展開を両立できない。軽いロック状態に押し込めることができるなかなかにいやらしい置き物であることがわかった。

 そして先述の『第7版』発売である。パックを剥けば、《静態の宝珠》がこんにちは。お~この監獄を生み出すアーティファクトを、ついに使える時が来たか!と嬉しくなったものである。そして、雑誌にてこの宝珠を使ったデッキが掲載されていて、そのデッキの見た目の美しさには当時シビれたものである。「対立オーブ」をご紹介しよう。

Christian Lührs - 「対立オーブ」
ドイツ選手権2001 4位 / スタンダード (2001年5月25~27日)[MO] [ARENA]
21 《
2 《リシャーダの港

-土地(23)-

4 《トゲ尾の雛
3 《マーフォークの物あさり
4 《氷河の壁
2 《時間の名人
4 《泥棒カササギ

-クリーチャー(17)-
4 《選択
4 《対抗呪文
4 《静態の宝珠
4 《対立
4 《妨害

-呪文(20)-
4 《放蕩魔術師
2 《時間の名人
3 《有刺障壁
4 《反論
2 《冬眠

-サイドボード(15)-

 このデッキはドイツ選手権2001にて活躍したデッキだ。当時使用可能だったセットは『第7版』『メルカディアン・マスクス』『ネメシス』『プロフェシー』『インベイジョン』『プレーンシフト』。マスクス・インベ時代、プレイヤーも数を増やし、マジックが流行の兆しを見せていた古き良き時代である。『インベイジョン』にてタップインだが2色のマナを生み出せる土地がアンコモンで登場、同ブロックでは多色のカードを大幅強化という流れの中で、2色以上のデッキが隆盛を極めつつあったが、この「対立オーブ」はそんなデッキを狩る青単色のデッキである。

 《静態の宝珠》と同じく『第7版』に再録された強力エンチャント《対立》がこのデッキの主役だ。《静態の宝珠》が置かれている状況で対戦相手がアンタップした2つのパーマネントを、アップキープの間に《対立》でタップしてしまい、攻撃も展開も絶対に許さないという非常にイジワルな動きをするデッキである。

 そして何より、この組み合わせの邪悪なところは......自分は何の被害も受けないということだ。《静態の宝珠》のアンタップ阻害能力は、このアーティファクト自身がアンタップ状態の時にしかその能力を発揮しない。なので、対戦相手のターン終了ステップに自身の《対立》で宝珠をタップして自身のターンを迎えると......何の問題もなく自身はすべてのパーマネントをアンタップすることができるのだ。自身は普通に動いてクリーチャーを展開し、対戦相手だけは《対立》とオーブ(宝珠)で雁字搦め! この性格の悪さが、いっそ清々しくて僕はこのデッキを一目見て大好きになってしまった。

 採用されているカードがまたシブい。《トゲ尾の雛》《時間の名人》は普通に使っても対戦相手にとっては嫌なカードだが、対立オーブロック下ではあらゆる自由を奪う地獄からの使者に見えることだろう。

 《対立》《静態の宝珠》セット時こそが数少ない隙なため、ここを狙ってエンチャント・アーティファクト破壊を対戦相手は使ってくるだろうが......そこで火を噴くのが《妨害》。

 島を3つ手札に戻すことでマナを支払わずに唱えられるピッチ・スペルで、これにより対戦相手の全身全霊のアクションを打ち消しつつ、例えば《静態の宝珠》しか出ていないという状況ならばアンタップ状態で置ける《》をこれで手に入れる、という動きができたりするのだ。この《妨害》ドヤは当時マジックをしていた人間なら、する側orされる側になった経験があるはずだ。

 勝負を決定づけるフィニッシャーの役目は......大型クリーチャーではなく《泥棒カササギ》。ロック状態に持ち込んでカササギで殴ってドロー、これを延々に繰り返して勝利するのだ。まあ、大体最後まで付き合う意味がないので揃ってしまって数ターン様子を見た後に対戦相手は投了することになる。

 一見穏やかなコントロールに見えて、やることは狂暴極まりないデッキである。最近のスタンダードのデッキがこれと相対したら、もう心をへし折られてしまうのではないだろうか。当時はこれに対抗するデッキも複数あり、決して絶対的な存在ではなかったと考えると......なんだか恐ろしい話である。

 同じ青春を過ごした仲間と、ウルザ・マスクス・インベあたりのスタンダードのデッキを再現して遊んでみるってのも面白いんじゃないだろうか。そういうカジュアルマジック、大好物!

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